欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2011年2月 2日 の記事

カテゴリー: 国内革事情

 

       

 

 


1月27日~28日の2日間
東京・原宿 JR原宿駅ほど近いレンタルスペース「さくら」にて、
ノンクロムレザーPRイベント
『エコへの一歩、ノンクロムレザーを知る』展が開催されました。
 

ノンクロム会場外観.JPG

ノンクロム会場内観.JPG

 


このイベントは社団法人 日本タンナーズ協会が開催。
各地にある皮革産地ごとに支部を置き、
大部分のタンナーが会員。
日本で唯一の製革業者による全国団体として
時代のニーズに応え、
喜ばれる革づくりを目指す活動の一環となる提案です。

試作品と文化服装学院 服装科を中心とした
学生による作品の展示、セミナー、トークショーなどで構成。

 

会場で配布されたパンフレット巻頭には
社団法人 日本タンナーズ協会からのメッセージが。
すばらしいので全文ご紹介します。


「経済産業省のご指導・ご協力のもと、環境に対して
 正面から取り組んでいる姿を
 製造技術の一つであるノンクロム鞣製法を通して
 皆様にご披露したいと考え、このたび展示会を開催致しました。
 現在、地球規模で「環境にやさしい」とか
 「エコ」という言葉がマスコミに登場しておりますが、
 我々日本の製革業界は昔から
 地球に優しく、エコロジーな革づくりに向けて
 日々取り組んでおります。
 この展示会を通して安全で高品質な日本製の革で作られる
 革製品を消費者の皆様に提供したい との
 我々の思いをお届けできたら幸いであります」
 (社団法人 日本タンナーズ協会  会長  徳永 耕造さん)

 

「今回は、これまで本事業で試験製作した
 ノンクロム鞣し革とその革製品を一堂に展示しております。
 ノンクロム革とは全くクロムを使用しない製法の革のことですが、
 独特の風合いがあります。
 ご覧頂くだけでなく、どうぞ手で触れ、肌で感じていただきたいと思います。
 この展示会で日本の革鞣し業者が作った
 日本産革の安全性や品質の良さを知って頂き、
 日本の天然皮革を使った革製品を更にご愛用頂けますようお願い致します」
 (社団法人 日本タンナーズ協会
  ノンクロム実用化試験実証事業  委員長  金田 浩一さん)
 

 

ノンクロム 来場者2.JPGノンクロム会場内観2.JPG

 

この情熱に共感するように会場にはたくさんのかたがたが来場。
セミナー、トークショーともに満席でした。

 

 

東京都立皮革技術センター  専門技術指導員・農学博士
寶山 大喜さんによる「非クロム鞣し」セミナーは

なめしと、ノンクロムなめしの違い、
皮革の耐熱性、なめしの製法ごとの比較、
日本エコレザーとその基準、制定までのプロセス、
これらの認定業務を行う
社団法人 日本皮革産業連合会についてなど・・・くわしく解説なさっていました。

 


続いてトークショーは東京ファッションデザイナー協議会 
議長  大塚 陽子さんを司会に
第一線で活躍するデザイナー  荒川 眞一郎さん、澤柳 直志さんが出席。
セミナー.JPG トークショー.JPGのサムネール画像のサムネール画像  

 

ホンダとの取り組みが企業コラボレーションブームの先駆けとなり

この日もバイクで会場にかけつけた荒川さん。
ライダースジャケットなどのバイカーズファッションとしても
レザーには関心が高いそう。
革ジャンを私服として着ることも商品として
手がけることも多いのだとか。
「墨田区にあるタンナーと東京都立皮革技術センターへ見学(澤柳さんとともに)。
 革に息づいている[手]の感覚、職人たちの存在、
 ものづくりの重要性を再認識しました。
 今後どのようなノンクロムレザーが取り組みをしていくのか、
 とても気になります」と発言。

 

東京ピッグスキンがポイントとなる
自身のブランドのストールを身につけた澤柳さんは
「部分使いが中心だったが、もっといろいろなものをつくりたい。
 ノンクロムなめしはもちろん、
 エコを意識し、ものづくりの現場を支えているひとたちと
 よく話し、取り組んでいきたい」。
これからのおふたりの活動に注目したいですね。

 

1階 会場では、会員企業であるタンナーを試作品とともに紹介。

兵庫・姫路  株式会社 金田製革所
兵庫・たつの 株式会社 モリヨシ
東京・墨田  株式会社 ニシノレザー
長野・飯田  メルクス 株式会社  飯田本部
兵庫・姫路  前實製革所

各社の担当者の顔写真とともにコメントも掲出。
レザー、エコへのスタンスほか、
それぞれの取り組みについて伝えていました。

さらに、これまでに協力したタンナーの試作品もあり、
たくさんのノンクロムレザーが展示されていました。

 

 

「エコがキーワードになっている昨今ですが、消費者の皆様には
 製革産業そのもの自体が非常にエコに基づいた産業
 であることを理解して頂きたいと思います。
 なぜなら製革産業は、
 食肉産業の副産物である原皮を加工し、
 利用できるところまでもっていくことを職業としております。


 [何もしなければ廃棄物として処理されていく原皮を素材にする]


 このこと自体が既にエコであると判断できないでしょうか。
 ただし、製造時に生じてしまう環境負荷に対しては
 今後も配慮していくべきであると考えます」
 (メルクス 株式会社  飯田本部
  生産部  製造第一課  生産技術課  チーフ  髙島 順一さん)

 

現場の苦労、体験、今後の抱負などがリアルに書かれ、
じっくり読んでいた来場者も多く、新たな[気づき]となったようです。

 

作品は、平成20年度試作品とその革を使用した
会員有志企業による商品、
平成21年度試作品と、その革を使用した作品を交えて展示。

学生による作品展示スペースには
現在、活躍中のデザイナーからのコメントが掲出されました。

 

 
朝月 真次郎さん、安達 稔さん、荒井 沙羅さん、
荒川 眞一郎さん、小野原 誠さん、周布 歩美さん(五十音順)

「正直自分はエコに対する意識というものが
 薄かったのだが、日本の技術者により
 ノンクロムレザーのような新しい加工技術が
 どんどん生み出されていると知り、
 今まで以上にエコへの意識が芽生えていくと思う。
 僕のブランドでは服とは別に
 靴のデザイン展開にも力を入れており、
 革は日本で加工したものを使っています。
 今後は靴の他にバッグやレザーを使った洋服の展開も
 もっと広げられたらアイテムの奥行きが
 増えるので是非挑戦していきたい」(小野原 誠さん)

ノンクロムレザーを通して[エコ]の必要性、
[日本のものづくり]、[ジャパンレザー]のすばらしさを実感。
みなさんのクリエーションが
多くのユーザーの共感へとつながり、ひろがる・・・
そのきっかけとなりますね。


タンナー、クリエーター、学生、企業が一体となった
素敵なイベントでした。

 


 

 

 

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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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