欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2011年4月13日 の記事

カテゴリー: 国内革事情

 

 

 

社団法人日本皮革産業連合会 調査・情報提供委員長
矢代裕夫さんからお聴きした
ジャパンレザーの今と未来について。
前回に続き、お届けします。

 

 

 

 

―――――――― 付録ブームに負けないジャパンレザーの魅力とは? ――――――――

 

 


―――― 現在の付録ブームをいかがお考えでしょうか?

 


矢代さん 「街でよく見かけますね。
      多くのユーザーが楽しんでいらっしゃるようです。
      ただ、ハンドバッグの価値が
      なくなってしまうわけではないでしょう。
      あくまでもこれらは袋物。
      ハンドバッグというアイテムを再認識していただく
      よいきっかけだと思います」

 

 

――――― ハンドバッグのよさを知らないかたが増えているということでしょうか?
      

 

矢代さん  「そうですね。
       いいものを売っているところが少なく
       なってきているんです。
       ブランドにこだわらず、高品質品を
       売るひと・買うひとが減り、
       皮革文化が育たない。
       付録バッグを否定しているわけではありません。
       使い分けができればいいと思いますし。
       T.P.Oによって、上品な着こなしに合う
       革のハンドバッグも楽しんでほしいですね」

 

 


――――― 皮革産業にも影響がありますか?

 

矢代さん  「いいものに対する共感が少ないことで
       いいものを作ることができず、
       廃業してしまう有力なタンナーも。

       例えば、海外の作り手からは
       「日本人は靴を虫めがねで見ているのか?」と
       冗談を言われたり、
       [ここまでの技術があるのか]と驚かれるほど
       ジャパンレザー商品(グッズ)の品質と技術は高く、
       世界レベルといえます。
       この事実を多くのユーザーに知っていただきたい」

 


―――――  ジャパンレザーのハンドバッグについては いかがでしょうか?

 

矢代さん  「弊社でのハンドバッグ取り扱いは古く、
       長年の顧客の方々は
       靴×ハンドバッグのアンサンブルで
       お求めのかたが多くいらっしゃいます。
       そのため企画も同時進行で、
       しっかりとご提案しています。

       ハンドバッグのみをお求めになる方も 
       もちろんいらっしゃいますが
       ファッションをトータルでお考えの方が主流。
       靴とハンドバッグ、上質な革製品は
       コーディネートの要。
       これは、付録では実現できない魅力ですね」

 

 

―――――  バッグの魅力とは?

 

矢代さん  「[履きよさは、美しさ。] をテーマとした靴同様、
       機能的で使いやすく、
       且つ、美しい、という点です。
       使い勝手のよさ、品質については
       ジャパンレザー商品(グッズ)は、インポートに負けてはいません。
       年齢・体型を問わず楽しめるハンドバッグの特性上、
       おしゃれがすきな方は
       サイズバランスにもこだわる傾向があります。

       ヨーロッパのものは、
       デザイン性を重視で大きい作り。
       華奢で小柄な日本人には
       バッグが目立ちすぎることもある。
       繊細な感性が生かされた
       丁寧な作りが日本製の特長です」 

 

 

皮産連ブログ2-1.JPG

銀座ヨシノヤのハンドバッグは機能性を重視。
独自性にこだわり、
新作ジャカード織りのオリジナルテキスタイルも好評。

 

 

皮産連ブログ 2-3.JPG

 

―――――――― ほんとうによい靴を考えてつくっていきたい ――――――――

 

 

 

 


―――― 靴とバッグ、現在の傾向は?

 

矢代さん 「[ソフト&ライト]と言えますね。
      ハンドバッグも靴ともに
      柔らかく、軽いものが求められています。
      履き捨てではなく、長く履ける
      いいもののよさをご理解いただき
      お客様に喜んでいただけるよう、研究を重ねています」

 

 

―――――  ユーザー視点でのものづくりを徹底なさっているんですね。

 

 

矢代さん  「社訓である[三徳主義](※)のひとつですし、
       メードインジャパンの誇りとして
       高品質に とことんごだわるのは、あたりまえ。
       簡単なことではありませんが
       そのときどきの最高のものをお作りできるよう
       努力しています。
       もっときれいな靴を履きたいというニーズがあり
       つくりのよさを共感してくださる
       お客様のために
       日本人にとって、ほんとうによい靴を届けたい」 

 

 

――――― 例えば、どんな靴ですか?
      

 


矢代さん  「上質でエレガントでありながら
       カジュアルな感覚もある・・・
       
       持った瞬間
       軽さを感じることができ、足入れもよい。
       課題としては
       機能的で、履いて美しいパンプスですね。

       きれいな靴を
       履きたくても履けないひともいる
       アクティブシニアの女性に多いのですが
       中材などを改良し、
       さらに履き良い靴を作っていきます」

 

皮産連ブログ 2-2.JPG


[カイゼン]は世界じゅうでよく知られる日本語。
ジャパンレザーにも
その魂がしっかりと宿っているようです。
しかし、ニーズがなければ、それも絶えてしまいます。

ユーザーのみなさまには
ジャパンレザーのすばらしさをご理解いただき、
今後も受け継いでいけるよう
応援していただければ、と思います。

 

本日から人気イベント
「ジャパニーズレザー クラフトマンワールド」が
東京・銀座の一番店でもある
老舗百貨店 松屋銀座でスタートしています。
会場で熱いつくり手たちと
彼らの手仕事が生み出したプロダクトに
ぜひ出会ってください。

 

 

 


次回に続きます。

 

 

 


※三徳主義

銀座ヨシノヤ創業時から掲げる企業理念。

(1)お客様に喜ばれるものを売る
(2)取引先を大切にする
(3)そうすることによって自然に徳が戻ってくる

お客様第一主義で靴作りに妥協しない姿勢の現れです。


 

 

 

 

 

 

 

 

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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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