欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2014年4月30日 の記事

カテゴリー: 国内革事情




経済産業省と一般社団法人 日本皮革産業連合会(JLIA)が
連携・推進している
「足入れの良い革靴プロジェクトに関連する実証事業報告会」が、
東京(4月17日)と
大阪(4月23日)の2会場で開催されました。

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JLIAは、産業技術総合研究所(AIST) の
デジタルヒューマン工学研究センター(DHRC)に委託し、
「科学的な証拠に基づく靴型の設計指針づくり」を研究。

足入れ報告会 4タイプ


DHRCでは、
この研究成果物である靴型を用いて革靴を製造し、
期間限定で試験的に販売実証を行う事業者グループを公募。


株式会社 三越伊勢丹ホールディングスらのグループが
採択され、2014年3月5日(水)~25日(火)までの期間、
伊勢丹新宿店において婦人革靴の試験販売を実施。


同期間、銀座 革のショールーム  TIME & EFFORT
(タイム・アンド・エフォート)でも説明展示を行い、
来場者のかたに試し履きをしていただきました。



そんな販売実証事業の概要と実績、販売スタッフのコメントや
お客様の声とともに
研究成果である靴型に基づく革靴が
マーケットでどのように受け止められたのか ? を総括。


「革靴のメーカーをはじめ、素材、
 部品に関連する企業のかたがた、卸売、小売、百貨店、
 量販店のかたがた、教育機関のかたがた、
 スポーツシューズ関連企業のかたがたなど履物に関連する
 幅広い関係者のかたがたにご参加いただきたく
 企画しました」と、DHRCのセンター長  持丸 正明さん。


3月14日(金)に開催されたシンポジウムに続く今回は、
研究プロセスと成果に加え、
販売実証事業の報告が詳細に発表されました。


開示された研究データは、こちらで閲覧可能です。

 デジタルヒューマン工学研究センター
 <http://www.dh.aist.go.jp/jp/dhrc/public_offer/leathershoes_2013/lastreport.php>


2会場ともに幅広い業種・職種のジャパンレザー関係者が
多数参加(写真は東京会場のようすです)。

足入れ報告会1404東京


「産経新聞」(3月6日(木) 生活欄)、
「読売新聞」(3月13日(木) くらし 家庭欄)でも紹介され、大反響。

試験販売の好調が「繊研新聞」ほか、メディアで伝えられ、
大きな話題に。そのため、会場は満席 !


三越伊勢丹オリジナルブランド
NUMBER TWENTY-ONE(ナンバートゥエンティーワン)を
生産するメーカーと、
伊勢丹新宿店とのコラボレートを実施。

同店2Fで期間限定コーナーを設置し、3タイプ
(「Hikari」<基本タイプ・無修正>、「Sakura」<基本タイプ・合体修正>、
「Fuji」<内盛タイプ・合体修正>)の靴型のうち「Sakura」のみを販売。

足入れ報告会 伊勢丹

通常、婦人靴は、一週間 一型10足売れるとヒット、
といわれますが、
スタートして一週間で一型30足以上を販売 !

トータルで100足以上
(受注<3月25日~31日に8足受注>を含め)販売。


足入れ報告会 銀座

銀座 革のショールーム
TIME & EFFORT(タイム・アンド・エフォート)でも同時開催。

ハイヒール ポップ

3タイプ各サイズ計120足を展示・受注。

女性の足を科学する 銀座


上記2か所合計で約200足を販売(受注を含む)しました。


傾向としては...
小さい足長サイズと大きい足囲サイズが多く売れました。

伊勢丹では、日本最大級の品ぞろえ
ともいわれる売り場において
「Sakura」のみの展開のなか、ほかの靴と比べたうえで
想定以上の結果
(販売実績、顧客の満足度調査)に。

TIME & EFFORTでは
3タイプを展示・受注。修正タイプが好まれ、
「Fuji」がいちばん多く売れました。


2か所とも
購入層は中高年が中心。

サイズが多いことが消費者、販売者、両方にとって、
好都合というニーズがつかめました。


販売員へのインタビューによると、パンプスが接客時間が必要であり
購入希望者が選びやすく、満足を得やすいので、
サイズバリエーションを充実させることで販売がスムーズに。


価格が高いという購買者もいなかったそうです。

比較的高価格にもかかわらず、
履きやすく、高品質の日本製のハイヒールが
支持を集めました
(消費税増税前に行われた短期間の
実証実験ではありますが)。


「履き心地がよければ、
 価格が問題にならないことがわかった。

 < 中略 >

 お客さまにとって、よい商品が、
 日本最高峰の技術で実現することも証明された」と、
三越伊勢丹 松野裕 婦人雑貨第一商品部婦人靴バイヤー
(「繊研新聞」3月14日(金) 2面より)


「次はいつやるの ?」とユーザーからのリクエストも
多数寄せられて。

実証実験で得られたデータを生かし、さらなる改善・
発展が期待されます。


今後は、統一基準の徹底を目指し、
認証機関及び認証マーク制定を視野に入れた
活動へとステップアップし継続。

< 履きやすく、品質が高い日本製の靴 > が一目でわかる
トクホ(特定保健用食品)のような目印の
登場が待ち望まれますね。






■ 参考URL ■


 TIME & EFFORT
 <http://timeandeffort.jlia.or.jp/>


 銀座 革のショールーム  TIME & EFFORTで
 「女性の足を科学した、美しいハイヒールの展示」ほかプログラム同時開催中 !
 (3月5日更新分)
 <http://www.jlia.or.jp/enjoy/blog/cat4/20140305>


 「足入れの良い革靴プロジェクト・最終報告シンポジウム」レポート
 (3月19日更新分)
 <http://www.jlia.or.jp/enjoy/blog/2014/03/19/>




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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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