欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2016年9月14日 の記事

カテゴリー: 国内革事情


日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市
「東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2016」が9月7日(水)~9日(金)、
東京・有明 東京ビッグサイトで開催されました。


<暮らし・デザイン・新時代
 ~住まいと暮らしのイノベーション 次世代デザインセンスとサムシングニュー~>
をテーマに国内外から2,867社が出展。

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国土交通省の調査によると、
中古マンションや一軒家の空き家が目立ち、
今年には1,000万戸を超えるそうです。

そんな日本の住宅、居住空間に対して問題提起。

住まいのリノベーションで、新しい付加価値を生み出し、
サスティナブルな社会の成長へと。

次世代の快適な住まいのライフスタイルデザインにより、
子どもからお年寄りまで楽しめる
平和で、
安全、安心な素敵な暮らしを築くことを提案しています。


さまざまな日本製革製品が出品されるなか、
今回は国内最大の皮革産地・姫路のものづくりをご紹介。



こちらは姫路市のブース。

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海外の展示会で高く評価されたレザーを中心とした
<世界の頂点を極める「革の産地 姫路」のレザーアイテム>がラインナップ。

3社が技術と想いをアピールしました。



<オールマイティ>


2013年第103回「mipel the bag show」で、
タンナー初の「MIPEL AWARD」部門賞に入賞。

受賞作品は歌舞伎の化粧法 隈取りや
風呂敷をモチーフにしたトートバッグなど、
日本の伝統文化を重んじた斬新な作風が評価され、
続く第104回でも連続入賞を果たしました。

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藍染め、墨染めなど異なる手法で染め上げたレザーを
パッチワークで仕上げたキャップをはじめ、
シンプルななかにも、クリエイティビティが際立ちます。

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「世界のお客さまによろこんでもらえる革づくり」
「常に新しい革をつくる」ことを理念とし、
ファッション、アパレル関連で使用する革素材を生産。

デザイナー、クリエイターが、直接、取引することをスタート。

原皮の選択から、なめし、仕上げの厚さなど、
1枚からオーダー可能。オリジナルを生産できます。



<前實製革所>


職人による<オンリーワンのものづくり>をコンセプトに、
独自の技術を追求し、細部まで手を抜かない
<こだわりの革づくり>を目指しています。

現在、注目されるのは<姫革友禅>。


革とは思えないほどのしなやかさで
輝くような白さが特徴の<姫革>に、
高精細で強い<京友禅>の技術を融合。

従来の技法ではできなかった、
均一な色づけや人工的な斑を同社の技術で可能にし、
革への美しい彩色と模様をもつレザーをつくり上げました。

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世界最高峰のファッション素材見本市「プルミエール・ヴィジョン」に日本企業として初めて出展。

皮革産業の本場 ヨーロッパで純日本産素材を披露し、話題を集めました。

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製品では和装関連アイテムを発表し、好評。

来春シーズンから百貨店での展開が予定されています。



<坂本商店>


国産黒毛和牛を使用して日本古来の伝統技法である、
なめしの技術と漆塗りの技術を融合させた
<姫路黒桟革>を手がける<坂本商店>。

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小さなダイヤモンドの粒を無数に散りばめたような<黒桟革>は、
<革の黒ダイヤ>と称されます。

摩擦に強く、戦国時代には大将クラスの甲冑に使われていたそう。

シボに手作業で漆を施し、乾燥と塗りを繰り返して仕上げます。

幾層にも塗り重ねることで漆の光沢とボリューム感が生まれ、
黒の艶に深みが増すそう。

専門の職人でも月に20枚程度しかつくることができない、
とても希少なレザーです。


「アジア・パシフィックレザーフェア(APLF2014)MM&T」展と
「ファッション・アクセス」展へ出展。

香港APLF皮革素材・製造技術展2014において、
出展社コンテストで「ベスト・ニュー・レザー大賞」を受賞。


さらに世界最高峰のファッション素材見本市

「プルミエール・ヴィジョン」が主催するテキスタイルアワード

「PVアワード」で日本企業としては初めて、レザー部門で「ハンドル賞」を受賞しました!




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画像:「WWD JAPAN」(9月14日更新分)より




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<黒桟革>を使用したブーツが、
「Japan Leather Award 2015」グランプリに輝きました。

<黒桟革>を使用した財布&コインケースを
サッカー日本代表 岡崎慎司選手が愛用するなど、
国内外で高く評価され、レザーファンを魅了しています。

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3社それぞれ、クオリティが高く、たくさんの来場者がブースに立ち寄りました。



ほかにも、姫路を拠点とするブランド<UNITE(ユナイト)>が出展。

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<ナチュラルな風合いと流行にとらわれないシンプルなデザイン>
をコンセプトに3人の革職人により、2012年設立されました。

個人活動時代に培った経験と技術を生かし、
鞄、財布、革小物など幅広い製品をリリースしています。


メンバーのお三方は、皮革縫製技術者を養成する目的で
姫路皮革産業活性化研究会により設立された<革工房BAIMO>出身。

そのおひとり、中野義夫さんは
「Japan Leather Award 2013」メンズバッグ部門賞を受賞。

その実力を認められました。

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代表作のひとつ、<ボタス>が目を引きます。

中野さんご本人が背負ってくださったので、着画をパチリ。

荒野や砂漠を行きかう旅人に使われた

革水筒から着想。

身体に馴染むソフトな本体と
無骨なショルダーストラップの異なる素材感、
ニュアンスが響き合います。

ジェンダーレス感覚がいまの気分にぴったりですね。

百貨店をはじめ、ポップアップイベント、ワークショップの
オファーが絶えず、ユーザーとのコミュニケーションを通して
ものづくりにフィードバック。さらなる成長が期待されます。



革の街、姫路は、次世代の育成、
海外への発信を積極的に行い、成果が芽吹き、
新たなムーブメントが生まれています。

今後も動向に目が離せません。レポートは次回に続きます。



■ 参考URL ■

 東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2016
 <http://www.giftshow.co.jp/tigs/82tigsinvitation/index.htm>



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姫路で皮革素材の展示即売会
「第3回 姫路皮革素材マーケット」9月18日(日)開催!



皮革販売業者、タンナー、加工業者から
直接革素材を購入できるイベントが行われます。
皮革販売以外にも皮革工場見学、
ワークショップも。

併せて、人気イベント「本日は革日和♪」の同時開催も決定! 
<サンプル師が教える鞄教室><型紙講座>、に加え、
「本日は革日和♪」のプログラムとして、
つくり手のためのワークショップなども行われます。


<http://www.jlia.or.jp/index.php?pg=showcase.detail&get=1347>







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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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