欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2017年2月 8日 の記事

カテゴリー: 国内革事情

販売スタッフの接客技術を競う「第22回SC接客ロールプレイングコンテスト全国大会」が1月27日(金)、神奈川・横浜みなとみらい パシフィコ横浜にて行われました。

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一般社団法人 日本ショッピングセンター協会が主催し、1995年度から続く歴史あるコンテスト。ショッピングセンター(SC)業界の一層の発展を願い、SC内店舗で働くテナント従業員のかたがたの資質向上を目的とし、お客さまにいつまでも支持され、愛されるSCづくりを目指して実施されています。各地の予選を勝ち抜いた精鋭、ファッション・物販部門18名と食品・飲食・サービス部門8名の合計26名が登壇しました。

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大賞・SC接客日本一及び経済産業大臣賞に輝いたのは原田 千紘さん(フラワーデコ/東京ソラマチ)。

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義理のご両親の訪問を控えた女性が玄関に歓迎の気持ちを表現すべく花を飾りたい、そんな思いをサポート。「香りが強いフリージアは、春の訪れを感じてもらえる」、「春の花は薄づきの花びらなので色を混ぜても嫌味にならない」など、豊富な知識とプロならではのアドバイスがいっぱい。このひとにアレンジをお願いしたい、このお店で買いたいと素直に感じる素敵な接客でした。


続いて、ファッション・物販部門、優勝は岩本 紗季さん(キャサリンロス/阪急西宮ガーデンズ)。

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仲のいい先輩の結婚式に出席し友だち3人で一緒に挨拶をする女性にドレスをお見立て。「花びらが舞い散るようなパープル」という色の表現に、特別な日のためのドレスを選ぶ非日常感が高まり、ショッピングをドラマティックな体験へと昇華して。


準優勝は西澤 真里沙さん(イセタン クローゼット/ルクア イーレ)。

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取引先から誘われたパーティに相応しい、上品できちんとした一着を探すキャリアウーマンに<ダイアンフォンファステンバーグ>のラップドレスをおすすめ。上質な服を長持ちさせるための日常のお手入れ方法が的確。程よい距離感で徐々に間合いを詰め朗らかな関西弁で展開する、磨き上げられたプロの接客術に魅了されました。


審査員長賞は内田 歩美さん(無印良品/ラスカ茅ヶ崎)。

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明るい声かけと抑えたトーンのアプローチのメリハリ、共感力の高いニーズチェックが際立っていた内田さん。演劇的なメソッドとも感じられるような豊かな表現が目をひきました。


総評として、「今日は(出場者の)気迫が突き刺さってきました。毎年素晴らしいが今年も素晴らしかった」と接客ロールプレイングコンテスト実行委員長の椋本 充士さん。受賞者の皆さんおめでとうございます!


皮革・バッグ関連からはサマンサタバサグループから2名が。


小島 あかねさん(サマンサベガ/イオンレイクタウンカゼ)

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普段の接客では、「パーソナルなコミュニケーションをベースにブランドの独自価値と魅力をプラスした、お客さまのこれからにつながるようなおもてなし」を心がけているそう。自信をもっておすすめする姿勢に好感がもてました。


出島 彩香さん(サマンサタバサ/天神地下街)。

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転勤で引っ越しが終わったばかりの女性に「白は新しいスタートが切れるカラー。お守り替わりになる」とおすすめ。ブランド独自の3年保証もご紹介。


2016年10月からスタートした新サービス<3YEARS GUARANTEE>は、縫製不具合(ほつれ・糸切れ) 、金具壊れ(機能不全になったもの) 、塗装(革の塗装剥がれ等々 補色実施)を保証(例外はあるそうですが)、という内容となっています。3年間の使用での不具合に対して保証するというのは画期的。もちろん、さまざまな条件や適用外となる条項もありますが、お客さまの安心感につながりますし、本革製品に不慣れなユーザーにとって、「レザーの特性とはなにか?」「レザーはどう使うのが適切か」を知る貴重なきっかけとなるはず。施行されたばかりですが、同サービスの運用・推移に注目したいですね。


そして、バッグでは寺久保 祐槙さん(マンハッタンポーテージ/金沢フォーラス)が出場。

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4泊5日のベトナム旅行のため、バッグを新調したいという男性に、スケジュールやアクティビティなどを丁寧にヒアリング。楽しみになさっているクルージングに対応すべく、防水性、ホールド力のあるリュックを提案。帰国後、お話しを聞かせてください、と再来店を促して。旅行でのリアルな使い勝手を確認するうえでも有効かもしれませんね。


今回、気になった傾向は<インスタ映え消費>へのフォロー。


グループで外出する場合、写真撮影はつきもの。女性に人気の写真共有アプリ、インスタグラムやフェイスブックで友だちと一緒に撮影する写真(比較対象がある)をどうするか、というのは大きな問題。たくさんの人に見られるうえ、削除しない限りネット上に残る存在というのも、悩ましいですよね。現在、販売スタッフの皆さんはSNSアカウントの運用・投稿するために写真を撮る・撮られることも多く、常に評価される対象であるため、その経験値の高さをフルに生かしていました。頼もしい!


今井 花奈子さん(レイカズン/サンシャインシティ アルパ)。

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ディズニーランドに行くというお客さまに実践的なアドバイスが次々と。今井さん自身も好きなことから会話が盛り上がり、アトラクションをまわりながら、ディズニーランドのなかでインスタグラムで写真を撮るという行動パターンをしっかり把握している強みが生かされて。タブレットを活用し、すばやく着用感を伝える提案に感心しました。テンポがよく元気な応対もいいですね。


松岡 麻子さん(ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング/アミュプラザ博多)。

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高校生からの友だちに6年ぶりに会い、ビュッフェに出かけるという女性にピンクとニットや花柄のスカートをおすすめ。すっかり垢抜けた友だちにちょっぴり引けめを感じているような雰囲気を察し「顔まわりに明るいカラー(のトップス)を」「(花柄の)華やかさがお客さまの笑顔につながる」と、自然な笑顔で写真を撮影できるよう、ファッションによる自信で背中をそっと押して。さり気ないやさしさが漂います。


多様化するニーズを把握するうえでも、話題のスポットや人気の施設へ実際に出かけ、自ら体験をすることの重要性を痛感。接客トークの引き出しが増えますよね。共感力・提案力を高め、お客さまの生活を豊かにするサポートをしたいものです。休暇をしっかりとって、よく遊び、よく学び、ファッションの楽しさ、その魅力を伝える存在として、販売スタッフの皆さんがもっともっと輝いてほしい! そして、次回は革製品関連企業の受賞を期待しています。



■ 参考URL ■

 一般社団法人 日本ショッピングセンター協会

 <http://www.jcsc.or.jp/>

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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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