欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2018年1月31日 の記事

カテゴリー: トレンド

前回に続き、「2018年秋冬シーズンのレザートレンドを探る」レポートをお届けします。


富田興業株式会社ショールームに東京製革産地協議会の特設コーナーが登場。国内で自給自足できる唯一の素材、ピッグスキンをフィーチャーしています。精緻な製革技術、高度な表面加工技術はメイドイン東京ならでは。欧米の一流ブランドにも採用されるなど、日本の革の素材力に磨きをかけて。

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そんな東京レザー、ピッグスキンの最新コレクションのインデックスは・・・。


「シンプル:革のベーシックが際立つ」

*世界が認める精緻なクオリティーがベース
*本格的なタンニン鞣しによる革の表情
*ハイブリッド鞣し(タンニン×クロム)によるしなやかな風合い
*シュリンク技術になる革の表情の強調


「精緻な加工技術:多彩な風合いのバリエーション」

*エンボスによる立体的なサーフェイス
*艶加工・塩縮・フィルム加工
*プリント/手染め仕上げ


「新しい装飾性:色×プリント×光沢」

*高度な表面加工技術
*高度な色/プリント/光沢の表現力
*革感を生かす装飾性の探求


「トレンド力:色/光沢/タッチ」

*グローバルなレザートレンドをとらえた高感度な皮革
*伝統を再構築するトレンドカラーとサーフェイス
*布やニットにも馴染むしなやかな風合い


さらに3つのテーマが提示され、傾向とともに各社の素材を展示しています。

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テーマ:1「COMPASS/NEW BASIC」

ピッグスキンらしさの強調、基本素材の発展系を中心としたカテゴリーです。「使い込んだ光沢」「風化した銀の輝き」など、ヴィンテージ加工が進化していますね。色彩感を高めたブラウンからオレンジまでのカラーパレットに加え、透け感もポイントに。この春、PVCがトレンドとして話題となっていますが、その流れからスケルトン感覚にも注目。透け感をまとったエナメル、クロコダイル調レザーがセレクトされました。


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テーマ:2「FAIRY TALE/EFFECTS」

3D効果、モダンな凹凸をカテゴライズ。「塩縮で〇〇」「デイリーなプリーツ」・・・と、グラフィカルな感覚がユニーク。クリエイターの感性と発想を刺激します。メスカットによる独特の風合いは、可塑性の高さを反映。各事業者の高度な加工技術があるからこそ実現しました。景気浮揚に伴う大人世代の消費復活に対応できそうです。


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テーマ:3「COLORS/VISUALIZATION」

視覚効果で革の新しい表情を引き出した意欲作が続々。ゴージャスな深い多色相、ニュートラル&ブラックと、幅広いレンジでそろいました。色柄、モチーフも多彩で「カラフルツイード」「輝く石」をはじめ「幾何学柄と蛇」も。パイソン柄は財布、小物で底堅いニーズがありますね。ファッションだけでない、風水をはじめとしたエモーショナルな消費動向の定着を感じさせます。


本日1月31日(水)から東京・有明 東京ビッグサイトでスタートする「第85回東京インターナショナル・ギフト・ショー」では、東京製革産地協議会がブース出展します。(写真は前回開催時に撮影したものです)

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素材だけでなく製品でもプレゼンテーション。タンナーやファクトリーのオリジナルブランド、クリエイターとのコラボレーションをお披露目。お出かけの予定があるかたは、チェックしてみてください。

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続いて、吉比産業へ。

天然皮革のもつ「人への優しさ」、本革ならではの「肌触りの心地よさ」など皮革素材を通して生活文化の向上に尽力しています。 東京、大阪、神戸といった革製品の産地特有の個性を生かしつつ、各種ファッションや機能性に優れた皮革素材を研究開発し、素材を提案する老舗企業です。

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ウィンドーディスプレイでは製品を展示し、わかりやすく提案。丁寧な応対も好評です。若いビジネスパーソンほか、幅広い世代の関係者が訪れていました。

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海外だけでなく国内のものづくりにも注力。メイドイン東京のピッグスキンはこちらにも。

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昨秋から人気継続のチェック柄プリント。メタリックカラーも加わり、さらに洗練された印象に。


国内有数の産地、兵庫・姫路からも秀逸な皮革素材が届いていました。明るいブラウンからキャメル、グレージュまで、ベージュを中心としたカラーが充実。

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この春、べージュがトレンドとして浮上。ウェアだけでなく、シューズ、バッグ、小物まで幅広いアイテムに提案されています。


吉比社長にお話しを伺うと、姫路の革と革のものづくりを行うユーザーとをつなぐ、新たな取り組みの準備が進められているそう。タンナー、ファクトリーが切磋琢磨し、つくり上げたレザーをアピールすべく多様な可能性を検討。皮革業界をビジネス面で支えてきた企業が客観的な視点と、蓄積してきた目利き力を生かし、しっかりとサポート。ジャパンレザーをさらに活性化する一助となりそう。


訪日観光客が増加する近年、関西エリアに人気が集中しています。インバウンド消費も盛り上がるなか、日本らしさが生かされたレザー製品開発やレザーファッションの地産地消にも期待したいですね。



■ 参考URL ■

 東京インターナショナル・ギフト・ショー
 <http://www.giftshow.co.jp/tigs/>

 吉比産業
 <http://www.kibi-1882.co.jp/>


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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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