欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2018年5月16日 の記事

カテゴリー: トレンド

今週、バッグ・鞄業界では一斉に2018年-19年秋冬シーズンの展示会を行っています。早速お邪魔してきました。ごく一部ではありますがレポートをお届けします。



ヤマニ」(~5月17日)東京・両国

ハンドバッグ、紳士革製雑貨類の企画・製造・卸を手がける<ヤマニ>の自社ブランドがそろう展示会。主力の百貨店向けライセンスブランドだけでなく、オリジナルブランドを開発。売れ筋をおさえつつ、独自性を打ち出しています。


<Dubeige(ドゥベージュ)>

「まだ何色にも染まっていない馬革の原皮の美しき色」「高貴で上品な雰囲気を纏う色」=「ベージュ」をブランド名に。「ベージュ色から出発し、持ち主の個性に合わせて美しく変化し、長く寄り添っていく」革製品の理想を託して。

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フリマアプリ<メルカリ>ユーザーに向けた対策のひとつとして、「メンテナンスフリー」をアピール。爪で引っ掻いても大丈夫」と、ダメージに強い特性をバイヤーや関係者が体験できるよう、革サンプルを設置していました。

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経年変化しない革を使用。人気を集めるタンニン鞣しレザーと比較して「革の味わいが深まらない」というデメリットを「革の状態が変わらない、買ったときと同じ状態をキープできる」というメリットに転換。上質な革製品を購入し、その魅力を堪能した後にも良好なコンディションで個人間売買できる、「バイ&リリース」を新しい付加価値に。時代が求める「リセールバリュー」への、解答のひとつですね。

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額装に見立てた展示では、お手製のマグネットカードを内側に配してディスプレイ。いつもと異なる視点で見ることができるので、とても新鮮でした。


<Peram(ぺラム)>

<ぺラム>はラテン語で「袋」。「身のまわりのものを収納する」「まとめる」「持ち運ぶ」、バッグ本来のかたち、その究極は袋。さまざまなものがあふれるなかで、原点に立ち戻り、シンプルで機能的な袋を追求。味わいのあるナチュラルなテイストに女性らしいスパイスを加えてフレッシュさのあるレザーグッズを提案しています。

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タンニン鞣しのレザーを使用したシリーズのディスプレイに、染料として使われるミモザを添えて。皮が革となるまでのプロセス、つくり手たちによる数々の手仕事・・・その象徴のひとつ、ミモザの花が ものづくりのストーリーをそっとやさしく伝えてくれますね。

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雑誌の部数を公査・認定する第三者機構、ABC協会の調査で、月刊女性ファッション誌販売部数1位(2017年下半期/7月~12月)となった「リンネル」(宝島社)との取り組みが奏功。想定読者=「暮らし系女子」と名づけた幅広いユーザー(10代~70代)にリーチし、販売好調だそうです。



豊岡鞄」(~5月17日)東京・浅草橋

日本有数の鞄産地、兵庫・豊岡の地域ブランド<豊岡鞄>の2018年秋冬シーズン展示会では、参加メーカー各社の新作、自信作のバッグ、小物がラインナップ。同じく産地ブランド<井原デニム>とのコラボレーション第2弾を発表。日本の伝統産業を掛け合わせた ものづくりは完成度がさらに高まっています。

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カラーの訴求がアイキャッチに。「イエローコレクション」として各社からピックアップしたアイテムを会場の中央に集積しました。

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レザーを使用したシリーズはこちら。シンプルでスポーティなデザインがいいですね。


<CREEZAN(クリーザン)>

ファクトリーブランド<CREEZAN>からはディープホワイトシリーズを出品。

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上質なシュリンクレザーは皮革産地、兵庫・姫路のタンナーが手がけ、ソフトな風合い。強撥水加工を施し、雨や汚れに強いのもうれしい。



アートフィアー」(~5月17日)東京・浅草橋

<豊岡鞄>参加ブランドのひとつ、<アートフィアー>は近隣のギャラリーでも個展を開催。「Japan Leather Award」歴代の特別賞受賞社としても知られています。


<フレームワークス>

クラシカルな鞄に採用される口枠(フレーム)を現代的なものづくりに取り入れたレーベル。アート作品を思わせるオンリーワンのデザイン、存在感、機能美は職人技と最新技術とのハイブリッドにより生まれました。

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イタリア・ミラノで行われる国際的な見本市「ミペル」(2017年2月展)ではトラベルラゲッジ部門最高賞を受賞。海外でも高く評価されました。

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サイズ、カラー、素材のバリエーションも圧巻ですね。

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2本、3本とそろえるリピーターも少なくないそう。リクエストに応えて、オーダー会も開催しています。



「藤和商会」(~5月17日)東京・浅草橋

創業30周年を迎え、次なるステージを目指す<藤和商会>。付加価値性が高い製品づくりに取り組み、国内生産ラインにも注力しています。

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<APPLAUSE(アプローズ)>

「進化形ナチュラル」をテーマにした同社のメインブランド。「軽さ」を重視し、500グラム以下のバッグがズラリ。ビジネスパーソン、ワーキングマザー、アクティブシニア・・・といった属性のユーザーのライフスタイルにマッチする多彩な切り口が秀逸。

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なかでも復活傾向のA4サイズのトートバッグが好評。「上質なバッグをひとつ買うなら、いろいろなシーンで使いたい」という女性たちの「コスパ意識」、断捨離ブーム後の「マルチユース志向」を反映しています。

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「お時間がないなか、ご来場くださった皆さまにご覧いただきやすくなるよう、すっきりコンパクトな展示を心がけました。特に意識したのは、写真撮影です。<インスタ映え>という流行語もすっかり定着していますので、バイヤーさん、ショップスタッフの皆さんがスマートフォンで撮影していただきやすいディスプレイにしております。撮影した写真を、社内会議・検討用に、顧客さま向けの入荷案内などSNSの投稿にもご活用いただければ」(細江典子ディレクター)。展示会の役割の変化を素早くとらえていますね。



「THE EXHIBITION」(~5月17日)東京・原宿

バッグメーカー<スパンギャルド>が中心となり、スタートした合同展示会「THE EXHIBITION」。バッグ、革小物、シューズなど、企業・事業者のつながりを生かし自主的に運営されています。回を重ねるごとに認知度が上がり、来場者も続々。夜20:00まで、という時間設定が慌ただしいバイヤー、プレス関係者からの支持を広げています。約10社のなかから革小物ブランドをピックアップ。


<minca(ミンカ)>

革好きユーザーにお馴染みの<栃木レザー>販売代理店<和宏>のオリジナルブランドが出展。ステーショナリー、バッグ、小物などといった、毎日の生活に寄り添うもの・・・これらを、厳選した素材を使用し、ひとつひとつていねいに仕上げています。

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経年変化したサンプルをまとめてコーディネート。色合い風合いに優れた多脂革の魅力全開です。

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革小物の新作が多数登場。コバ磨きを生かしたシリーズが最高です。この美しさ、ほんとうに素晴らしい! ペーパーウエイト、ペン立てなど、置くだけでデスクまわりの雰囲気がガラリと変わりそうです。終わりのない作業を黙々とこなす職人さんの情熱・心意気が息づいています。疲れたときも眺めているだけでポジティブなパワーをもらえそうですよね。独立開業、ショップオープンのお祝いにもおすすめです。


先日、公式サイト(http://www.minca-handmade.com)がリニューアルオープン! サイトではものづくりのストーリーや製品のディテールまで、しっかりチェックできますよ。スマートフォンでも閲覧しやすくなったと好評です。



今回ご紹介した展示会は、鞄・バッグの専門誌のウェブ版「Bagazine bit」の恒例企画「バッグ・鞄業界2018年5月展示会場マップ」(下記リンク先)に掲載されています。会期は明日5月17日までとなっています。このほか、バッグメーカー各社の展示会場がマップ上にまとまっていて、とても便利です。マップ上のピン(マーカー)をクリックすると、社名、場所、日程、コメント(テーマ、コンセプト、商品ラインナップなど。内容は各社によって異なる)が閲覧可能。各社とも最終日の終了時刻が異なるので併せてご確認ください。


■ 参考URL ■

 「Bagazine bit」

 <http://www.bagzn.com/bag-kaban-2018-5gatsu-tenjikai-map/>


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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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