欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2018年11月21日 の記事

カテゴリー: 国内革事情

国内最大のレザープロダクトコンペティション「Japan Leather Award(ジャパンレザーアワード)2018」の表彰式が、11月17日(土)、東京・二子玉川 二子玉川ライズ ガレリアで行われました。
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今年で11年めを迎える「Japan Leather Award」は、レザーコンペティションイベントにとどまらない総合的なレザームーブメントの場として2008年より始動。つくり手とつかい手がコミュニケーションできる場を提供することで、ジャパンレザーの魅力を発信しています。

応募部門はフットウェア部門/バッグ部門/ウェア部門/フリー部門/学生部門の5部門。
フットウェア部門/バッグ部門/ウェア部門/フリー部門には、それぞれフューチャーデザイン賞(新奇性、新たな市場形成の可能性を評価/賞金10万円)とベストデザイン賞(優れた商業的な価値を評価/賞金10万円)の各2賞が。学生部門には最優秀賞(新奇性、発展性を評価/賞金10万円)があり、グランプリは上記9賞の中で最も優れた作品から選ばれ、賞金30万円と3つの中から選べる副賞も用意されました。


審査員長は東京藝術大学美術学部教授 長濱雅彦さん。特別審査員としてファッションデザイナー ドン小西さん。阿部浩さん(レガーレ)、天津憂さん(エーディグリーファーレンハイト)、有働幸司さん(ファクトタム)、鎌倉泰子さん(フリーランスバイヤー/ライター)、佐藤直人さん(NAOTOSATOH)、橋本太一郎さん(ノーノーイエス)、矢口真弓さん(PR・アドバイザー)、伊藤瞳さん(ウェブメディア「Fragments」編集長)、吉田 けえなさん(ライター/マーケティングディレクター)と活躍中のデザイナー、ビジネスパーソンが審査員をご担当。各ジャンルでご活躍の経験、見識を生かして、それぞれの意見を交わし、255点もの応募作品から厳正に審査されました。

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グランプリおよび各部門賞、特別賞を発表し、受賞者の皆さんを表彰。
グランプリはフットウエア部門 吉田卓巳さんに決定!
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アッパー、ソールともに使用したレザーに切込みを施し、サイズをアジャスト。革靴のきちんと感、スニーカーのカジュアル感、コンフォートシューズの快適さ、それらを内包しながらもシンプルにクールに表現した一足です。

「人の足の特徴はさまざまです。しかし、ひとりひとりの足に適応する靴は既製のものでは存在しない・・・そんな当たりまえの問題を解決すべく、どんな足にも合う靴の提案をしたいと思いました。この靴は革に切り込みを入れ、場所によって切り込みの形や素材を変えることで伸縮を可能にし、ソールにも同様に切り込みを入れることで靴全体が動き、サイズの調節を可能に。革が持つ形状記憶力を利用し、履き続けることでその人の足の形になっていき、その人のための靴に変化する。そんな、ビスポークとも違う、履くひとだけの靴、です」(吉田さん)。
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審査員長の長濱雅彦さん、特別審査員のドン小西さんがナビゲーター、プレゼンターとして登壇。締めくくりとして、おふたりが選出した審査員特別賞についてのご意見ともに総括を。「物語がにじみ出ている作品が多く、とても素晴らしかった。新しい時代のニーズをとらえ、生活をイメージできている作品を評価しました」(長濱雅彦 審査員長)。「ユニークでセンスのいい作品が増え、全体的にグレードアップしてうれしい」(ドン小西 特別審査員)。
デザイン界、ファッション界を代表するような立場から、真摯にコメント。ジャパンレザーがさらに盛り上がるように、とのあたたかな想いが込められて。来場者の胸に迫りました。

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このほか、各部門賞、特別賞は「Japan Leather Award 2018」小冊子、および公式サイトで公開。受賞作品ともに、つくり手の想い、作品の特長を紹介しています。ぜひ、ご覧ください。

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会場ではすべての受賞作品を展示。一般公開し、ユーザーさんがお気に入りを選出。会場で配布される用紙に選んだ作品のお気に入りポイントを記入し、その結果をまとめ、応募したクリエイターにフィードバック。審査会を含め、今年度の投票(ユーザー)結果は集計せず、ランクづけなどは行いません。
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投票に参加してくださったユーザーさんには、昨年度の受賞者 濱口真奈さん(2017年度 フリー部門フューチャーデザイン賞受賞)による特製・レザー指人形をプレゼント。動物(犬・猫)モチーフでナチュラルなテイストが人気。期間中、120個の準備数が各日とも約1時間でなくなりました。

参加型プログラムが盛りだくさん。
靴磨き芸人 奥野奏さんによる実演、レザーケアインストラクター いちかわたかおさんによるレザーケア相談、今年度の受賞者 小池文枝さん<ヒノホ>、歴代の受賞者 加藤光也さん<革工房アバッリ>が出展。

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牛ヌメ革を染色し葉っぱのようにするオリジナルの技術を使った小物。本物のサクラの葉っぱをモデルに鋸歯のギザギザや葉脈をつけており、裏面も同じように染色しています。
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サイズを変えて、ミニバージョンのアクセサリーづくりワークショップも好評でした。

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<革工房アバッリ>は歴代の受賞作品、2点をはじめ、定番&新作をラインナップ。
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新作、マルチキーケースが人気! 大きめサイズのスマートキーをすっぽり収納。寒冷地には欠かせない、自動車用のエンジンスターターも収納できるそうですよ。
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加藤さん自身が新潟県にアトリエを構えているので、そのリアルな体感が生かされています。

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手のひらにしっくり馴染みます。紙幣やカードの収納スペースも。キャッシュレス時代が進行するなか、現金もまだまだ使いたい・・・過渡期である現在のニーズにぴったり。ステッチをアクセントにし、ハンドワークのぬくもりもプラス。スマートフォンとの持ち合わせもよい逸品です。

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歴代のグランプリ、部門賞受賞者を輩出した杉野服飾大学ファッションプロダクトデザインコースによるレザーフェイスチャームづくりワークショップを同時開催。
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さまざまなパーツ、カラーを組み合わせて、おひとりおひとりのオリジナルをカスタム。ファミリー層を中心に大人気。お子さんも楽しそうになさっていました。

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審査会に続き、登場の奥野さん。
動画共有サイト ユーチューブやツイッターで注目のインフルエンサーです。計5回の実演に各回ファンのかたが駆けつけ、わかりやすくデモンストレーション。
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多くのひとが行き交う往来のなかから「あ~おっくんだ!」「あのユーチューブの」「チャンネル登録してるんだ」との声が。認知度、人気の高さはもちろん、その技術、トークの確かさで、来街者が立ち止まり、毎回人垣ができました。
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今回は「Japan Leather Award 2018」に合わせ、歴代の受賞作品の靴を履き、受賞ブランドの靴(ともにヒロカワ製靴/スコッチグレイン)で実演。
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そんな細かい気配りも来場者の皆さんに伝わり、靴が生き方の象徴と共感の軸に。

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レザーケアインストラクター いちかわたかおさんのレザーケア相談も大好評。国内ケア製品のトップメーカー コロンブスから独立。45年ものキャリアを生かして、多方面でご活躍です。
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今回は、幅広い世代のユーザーさんがご参加。カジュアルスタイルのかたよりも上質な製品を好むかたが「お手入れ」に関心を示し、多数お立ち寄りくださいました。

今年度の表彰式、受賞作品展示イベントは大阪から東京に変更。二子玉川での開催も初めてです。阪神間エリアの阪急沿線と並び称される、東急沿線。都心とは異なる、感度の高い国内ユーザーが居住し、なかでも、二子玉川ライズは楽天グループほか、金融機関のオフィスが入居しています。
クリスマスを控えた、ボーナス直前ということもあり、ギフトや自分へのご褒美ニーズが高まる時季。「いい靴は素敵な場所に連れて行ってくれる」というヨーロッパのことわざがありますが、ビジネスパーソンは重ねた経験でいいものを愛着することのメリットをよくご存じだ、と改めて実感しました。日本の革と革のものづくりをPRするための最高のステージとなったようです。

「Japan Leather Award」は時代の気分を反映、先取りしたジャパンレザーの「登竜門」。毎年、見直し・改善があり、つくり手・つかい手、双方にとって、より魅力的に、進化し続けます。
ジャパンレザーの新しい「スター誕生」をどうぞお楽しみに!

■ 参考URL ■
 Japan Leather Award 2018
 <http://award.jlia.or.jp/2018/>

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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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