欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2019年2月 の記事

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。
今回は沖縄探訪編。現地に根差した革の文化とものづくりを探ります。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。
イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。
当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。

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今年1月に沖縄革日和、というイベントを行いました。

19.01.25(金)革日和 ぷち in沖縄 | 本日は革日和♪

今回は私とサンプル師中村さんによるセミナーのみ。私は展示とセミナーを行いました。

会場は沖縄県立博物館・美術館のレンタルしていただける場所を使わせてもらいました。

沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)


当日お越しいただいた皆さんありがとうございました( ´∀`)bグッ!

で、どこにいようとも革のネタ探しをするのが仕事ですので、フラフラと見に行きました。

首里城に革がない!

沖縄革日和終了後、モノレールで首里城駅からテクテクと見学。

見て驚いたのは城壁の緻密さと美しさ。曲線をここまで形成している城壁は見たことないが、調べてみると沖縄の地は石灰岩が多く、加工が容易とのこと。あぁ、なるほどなぁと納得。あれだけの曲線を描き、隙間なく作るのは通常の岩出は無理だろうなぁ、と。
写真にあるように城壁に角がたっているのは魔除けの意味もあるとか。

で、首里城。歴史的に見たら革は貴重な素材のため、展示されている品の材料に革が使われることはよくある。で、首里城というほどだからどこかしらなり展示する品に革が使われているかな、と見てみるのだが、驚くほど革が使われていない。なんせ写真のように皮弁冠と書きながら革が使われていない。

沖縄には革の文化はないのか?という考察

沖縄の地で革が使われてこなかった理由はいくつか考えられる。

昔から豚やヤギを食べる文化なのだが、料理の源流としては沖縄は中国に近いのかと思われる。そのため豚やヤギを食べる際にも皮まで食べてしまうから、皮から革への利用が行われなかったのかな、と。

また、島国だけあって水が根本的に少ない。台風などは存在していても水を貯蓄できるかどうかは別問題。昔から水不足、というほどではないが、水は貴重で大事にする土地柄だったと思われる。
皮を革にする鞣し工程には莫大な水が必要とされる。牛1頭を鞣すのに現在でも1~2トンの水が使われると言われている。実際、タンナーのそばには大きな河川が存在するのだが、沖縄ではそのレベルの大きな河川が存在しません。

下の写真はモノレール牧志駅前にあるシーサー像ですが、その隣には再生水の説明が書かれていました。

原材料としての皮を食べてしまう&水が貴重。沖縄に革を使う文化が発生していないのはここらが主因かな、と思います。

で。

「ムラキさん、知り合いの知り合いレベルなんですが、沖縄ではハブの鞣しをして製品作っているところもあるんですよ」 
へー、姫路かたつの市あたりで鞣しているのかなぁ
「いえ、そこは自分のところで鞣しもしているとか」
自分で鞣し!?そりゃ俄然面白くなってきたなぁ、ということで訪問。

ハブの革を求めてyu-i FACTORY

首里城後にテクテクテクテクテクテクと30分ほど。「タクシー使えばよかったかな」と思いつつハブの鞣しまでやっている、というyu-i FACTORYへ。

yu-i FACTORY

外から見ても小洒落た店舗、中から見ても小洒落た店舗。ほんとにここで鞣しやっているのかな?とスタッフ金城氏に挨拶。

小洒落ているけど所々に通常ではないようなものがちらほらと。
挨拶した最中にも黙々とハブ革の乾燥工程真っ最中でした。

自分の立場や目的説明が毎回一苦労します。

まぁ、革の材料店舗で働いて、請負職人していて、一種のブロガーで革の歴史など調べていて、と喋ると「で、なに?」となるわなぁ。
なんとかしどろもどろに挨拶させていただき生産工場を見学させてもらえました。

この地で鞄や財布なども全部作っているんですか?

金城さん「もちろんです。自社で裁断から漉き、縫製までやっていますよ」

沖縄の地は風に塩が含まれているので何でも錆びやすいってのはほんと?

「あ、それはほんとです。車は早いですね。幸いにもここの機械はそれほどでもないですが、沖縄はサビに気を使わないと行けないですね」

鞣しも見せてもらっていい?とお願いして見せていただきました。
(工場や鞣しの現場を見せてもらったのは特別に見せていただきましたので誰でもokということではありません)

ハブの原材料、皮はどのように?

「沖縄本島や一部の市町村では駆除の一環で1匹3,000円くらいで買い取ってくれるんですよ。で、生きた状態だったならばハブ酒などに使われるんですけど、住民から買い取るハブは殆どが死んでいる状態です。こうなると使いみちがない、と焼却処分されちゃいますね。で、当社はこれを購入して使っています。」

でも鞣しをなんで自社でやろうと思ったの?

「例えば2015年ならば年間800匹ほど買い取っています」

800匹か、、姫路やたつののタンナーさんにしたらドラムの大きさによるけど、1回で終わる仕事だねぇ。継続的に2か月に1度100匹だけ、なんて言ったら怒られるものなぁ

「全くそのとおりです。
沖縄独自の革をやりたかったんですよね。そうあんるとハブだな、と。
誰もやってくれないならば自社でやるしかないですよね。」

やるのって専用設備回してやっているの?

「そこまででもないです。下の動画でもちょろりと見れますよ。冷凍されたハブを仕入れて、解凍して、皮剥がして骨も取って、ですね。製法確立するのに2年かかりましたよ」

よくやっているなぁ、これ!!冷凍状態はコチコチやねんね

「あ、気をつけてくださいね!冷凍状態でもトゲが刺さると毒はまわりますから」

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

「またHP上でも解説していますのでぜひ見てみてください」

PROCESS - yu-i FACTORY

一通り挨拶させていただき出立。金城さん、ありがとうございました!

帰りにてくてくと店から歩いていくと、「2」「8」の数字がブラブラと揺れている。下の写真の画面中央部分ですね。

てくてくてくてく、、、、、、、、( ゚д゚)ハッ!8と2でハブか!わかりにくいネタ仕込んでくれるなぁ。

沖縄でもオンリーワンな珍しい会社かと思いますし、ハブの鞣しをやっているところもないと思われますので沖縄にお越しの際は是非に。首里城観光の後にてくてくと歩けばたどり着けます。


カテゴリー: 国内革事情

日本の靴ジャーナリズムを牽引する「シューフィル」代表 城一生さんからお知らせが届きました。
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春の訪れを告げる恒例企画としてお馴染みの「靴の記念日」メモリアルイベントが、今年も革の街・靴の街 浅草で開催されます。

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(写真は昨年開催時に撮影したものです)

明治3(1870)年3月15日、後に明治の実業家として活躍する旧佐倉藩士、西村勝三が東京・築地入舟町に我が国初めての靴工場、伊勢勝造靴場を開設。日本の靴産業の誕生日といえるその日を、先人への感謝とさらなる業界発展を祈念して昭和7(1932)年、東京靴同業組合が「靴の記念日」に制定したのだそうです。

日本では古来より室内と屋外の世界は、履物のあるなしで明確に区別されてきました。明治の文明開化から150年、衣食住すべてに欧米化された今日でも、"靴脱ぎライフスタイル"だけは変わらず続いていますね。

草や木でできた開放性の履物、下駄や草履に長年親しんできた日本人の靴に対する感覚、知識、理解は、欧米とは異質。そんな民族・地域特性を背景として国内の靴と産業は、独自の進化を続け、発展しています。

「靴の記念日メモリアルイベントは、そんな産業の歴史と特性、靴に携わる人々の想いを、多様な靴コレクションの展示やプロフェッショナルと触れ合うことによって紹介する催しです。
2020年には靴業150年の節目を迎えます。時代、社会、市場、すべてが大きく変動する中で、日本の靴と産業はどんな未来を拓くのか。――その夢と創造の一端をご覧いただきたいと思います」と城さん。

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今回は3月1日から約1か月にわたって行われます(写真は昨年開催時に撮影したものです)。
プログラムの一部をご紹介!

「Art of Kawakiriko 1 可能性展」
3月1日(金)~3日(日) 11:00~19:00(最終日は18:00まで)
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日本の伝統工芸である、切子からインスパイアされ、つくり上げた<革切子®>。バッグ、革小物に加えインテリアにまで広がる"可能性"を発表。<革切子®>のアイテムと生け花のコラボレーションが実現。
生け花のライブパフォーマンス(3月1日のみ)を実施予定。

「女性のためのセミオーダーシューズと男性のためのフルオーダーシューズ展」
3月5日(火)~7日(木) 11:00~18:00

アパレルメーカーから舞台用シューズまで幅広く製作してきた工房<マユ>。浅草伝統の職人技を生かしてハンドメイドの靴をつくる職人グループ<JSTF>。セミオーダーとフルオーダーを手がける2組のジョイント企画。
会期中には紳士靴製作実演(3月5日~7日)を披露。

「森悦子個展 革盆栽」
3月9日(土)~13日(水) 10:00~18:00
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日本独自の鑑賞鉢植え・盆栽をレザークラフト作品として再現するアート作家 森悦子の世界をお披露目。
製作デモンストレーション(3月10日)、革工芸ワークショップも予定。
協力:協進エル

昭和の名靴 手製靴と機械靴の競演」
3月15日(金)~20日(水) 10:00~18:00

昭和30~50年代の大手メーカーのヒット商品と製造小売展のオーダー靴のコレクションを対比させて紹介。戦後靴産業の歴史をパネル、資料を交え、わかりやすく伝えます。
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(写真は昨年開催時に撮影したものです)
協力:リーガルアーカイブス(機械靴)、井上諒コレクション(手製靴)

「靴郎堂本店 シュー・ピクニック at ACTIC」
3月22日(金)~27日(水) 10:00~18:00

親子で楽しめる春休み靴工作展です。靴のフォルムのテント、靴型を使ったテーブル、足あとを散りばめたシート・・・ピクニックのような楽しいコレクションを展示発表。
子ども向けDIYワークション(3月23日~24日)も。

「靴の記念日(3月15日)トークライブ」
3月15日(金) 14:00~18:00

「We Love Shoes/日本の靴の昨日今日明日」をテーマに3部構成で開催。

「日本の靴産業の歴史と靴職人の系譜」(講演)
稲川 實さん<皮革産業資料館 副館長>

「素晴らしき日本のクラフトマンシップ」(ディスカッション #1)
大手メーカー×浅草メーカー×手製靴職人/大谷知子さん(靴ジャーナリスト)

「靴オタクと日本独自の靴文化」(ディスカッション #2)
靴収集家かける靴磨きオタク×アート作家/飯野高広さん(服飾ジャーナリスト)

「シューケア&フィッティングライブ」
3月28日(金) 14:00~18:00

「Good Life, Good Shoes/靴は暮らしのパートナー」。シューケア、シューシャイナー、シューフィッター・・・靴の各ジャンルのエキスパートがていねいにわかりやすくレクチャーするライブプログラム。
ライフスタイルのなかで、より楽しく・より自分らしく、靴と向き合うノウハウがいっぱいです!

「皮革・靴種別のお手入れ方法」
修理職人&皮革のプロにきく、実践的メンテナンス技法の数々

「靴フィッティングと足の健康」
FHA(足と靴と健康協議会)認定シューフィッターに聞く、あるある靴学

「靴磨き実演会/足の計測とアドバイス」
シューシャイナー、シューフィッターの技と知識をその場で体験


卒業式、入学式、入社式、結婚式・・・とセレモニーが多い春は、ドレスアップが欠かせません。
スニーカーやスポーツサンダルを中心としたカジュアルスタイルに馴染んだかたも、革靴を履く機会も増えますね。
そんな時季にぴったりのイベントで、日本製革靴の魅力を再発見・再認識してみてはいかがでしょうか?


「靴の記念日」メモリアルイベント 2019
日程/3月1日(金)~28日(金)
場所/浅草文化観光センター 6F・7F (東京都台東区雷門2-18-9)
WEB http://www.city.taito.lg.jp/index/bunka_kanko/oyakudachi/kankocenter/index.html

カテゴリー: 国内革事情

暦のうえではもう春。ひと足早い暖かな日もあり、新しい季節が待ち遠しいですね。今年は元号も変わるため、ポジティブな空気感がいっぱいです。
そんな時季にぴったりの、ジャパンレザー関連のトピックをまとめました。講座、セミナー、スクール、ワークショップなど、新しい技術や知識を身につけることで、時代の変化をキャッチアップしてみてはいかがでしょうか?

<東京ビッグサイト>「第87回 東京インターナショナル・ギフト・ショー」~2月15日
日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市「第87回 東京インターナショナル・ギフト・ショー」がスタート。東京・有明 東京ビッグサイト全館(97,420㎡)に4,000社が出展。2月12日(火)から15日(金)までの4日間行われています。
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今回のテーマは「健康でアクティブな暮らし方への挑戦 PARTⅡ」。健康でアクティブなアウトドアライフを通じて人と人との交流を、社会貢献などを通じて人と人との信頼を、<元気で健康的なソーシャルキャピタルの構築>がキーワードに展開。
東京都/東京製革業産地振興協議会が「アクティブ&クラフトフェア」(東7-T59-33)に出展。タンナー、ファクトリーのオリジナルブランド、クリエイターとのコラボレーションによる最新作、自信作をお披露目しています。

東京・蔵前「マイスターによる皮革講座(実習)」2月24日
一般社団法人 日本皮革産業連合会は、一般社団法人 日本鞄協会と共催で、本年度第2回目の日本皮革製品マイスター(土屋達夫氏及び長江幸雄氏。鞄部門)による次世代技術者育成・指導事業として、下記皮革講座(実習)を東京で開催します(参加費無料)。
本事業は、鞄の製造に従事する方など、広く皮革産業関係者を対象とします。関心のあるかたは、別添資料をダウンロードの上、FAXでお申し込みいただき、この機会にどうぞご参加ください。
くわしくは、下記リンク先をご覧ください。

「サイフの日」キャンペーン 2月15日~
一般社団法人 日本ハンドバッグ協会による、恒例の 3月12日「サイフの日」キャンペーンが今年も2月15日からスタートします。
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一般社団法人 日本記念日協会に登録されている、3月12日「サイフの日」に向けたオープン懸賞が行われ、素敵なプレゼントが当たりますよ。このキャンペーンをきっかけに、春財布を替えてみては いかがでしょうか? 

<すみだ まち処>「まちのかばんやさん ~新墨田鞄工会~」2月15日~
東京スカイツリータウンの商業施設、東京ソラマチ内の墨田区産業観光プラザ<すみだ まち処>で、「まちのかばんやさん ~新墨田鞄工会~」が2月15日(金)からスタートします。
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「まちのかばんやさん」は「革製品のお店」をイメージした期間限定の展示販売会です。4回目となる今回は、新規出展者が加わり7社で構成されます。

横浜港大さん橋ホール「革日和ブース出展 in 素材博覧会」2月15日~
ハンドメイド素材の未知なる魅力と出会うイベント「素材博覧会 -YOKOHAMA 2019冬-」が、神奈川・横浜 横浜港大さん橋ホールで2月15日(金)から3日間行われます。
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今回も人気イベント「本日は革日和♪」がブース出展。計6社が参加します。素材、道具などの展示販売のほか、セミナー&ワークショップも充実。
当ブログでお馴染みの村木るいさんによる「人に話したくなる革セミナー 革が出来ること・革じゃないと出来ない事」もお見逃しなく!

埼玉・草加「草加レザーフェスタ2019」2月16日~
皮革産地・草加の恒例イベント「草加レザーフェスタ」が、2月16日・17日の午前10時~午後4時まで草加市文化会館にて開催予定です。お問い合わせは、草加商工会議所(tel. 048-928-8111)まで。

東京・蔵前「全国皮革振興会 皮革手芸教室」4月生募集 3月スタート予定
「全国皮革振興会 皮革手芸教室」4月生(火曜日クラス・土曜日クラス)の募集が今年も3月からスタート予定となっています。
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ひとりでも多くのかたに皮革工芸の楽しさを知っていただきたい、という思いから共用費を除いて入会金・月謝はなし(上級クラスを除く)。実費だけで学べるのがうれしいですね。現在までに延べ3,400名ものかたが参加している歴史と実績がある教室です。
詳細は3月から公式サイトでアップされます。どうぞお楽しみに。
<http://www.japanleathercraft.jp/info/index.htm>

兵庫・姫路「皮革フェア」3月10日~
兵庫・姫路の恒例イベント「皮革フェア」が3月10日(日)に行われます。見野の郷交流館を中心に計4会場で開催。
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製品・端革の販売をはじめ、手づくり体験、オーダーメード靴の相談、ゼラチン、コラーゲンの展示、など盛りだくさんです。(画像:<Leather cafe>SNSアカウントより)

カテゴリー: トレンド

革問屋各社の個展(2019年-20年秋冬)レポートの後編をお届けします。

【タテマツ】
シューズ向けを中心に多様な皮革素材がそろうタテマツではトレンドの色柄が充実。有力企業の担当者たちが次々と訪れていました。
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ブラウン~レッドにかけてのレンジでシックなトーンがズラリ。秋冬らしい色合いをテーマにしているそう。

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注目素材は、さまざまな加工を施したヌバック。高級感があり、好評です。

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ピンク系は、トレンドを超えた人気ですね。甘さがなく、自立した女性からの支持を感じさせます。

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エナメル調をはじめ、ツヤ感のあるレザーも浮上しています。

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クロコダイル調型押し、アニマル柄、パイソン調のプリントなどエレガントな素材感をクールなニュアンスでまとめて。

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このほか、同社では、クリエイター向けの展開や新たな加工ほか、精力的に準備なさっています。正式な発表が楽しみです。

【富田興業】
レポートの締めくくりはリーディングカンパニー、富田興業。
百貨店でヒット中のレディスシューズブランドを手がけ活躍中のクリエイター 吉添真千子さんほか、業界関係者が多数来場。とても賑やかでした。
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同社の今季のテーマは、ニッポンルネッサンス「革ならではの素材感」。
「東京レザーフェア」を主催する協同組合 資材連の理事長を兼務する富田常一社長が発信する「素材からニッポンを元気に」とのメッセージが。
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そんな熱い想いは、新素材にも込められて。「第99回 東京レザーフェア」でも発表され大きな話題になった「オリーブヌメ」。
国産牛×植物タンニン鞣しのヌメ革を用い、仕上げにオリーブオイルを手作業で塗布。水を弾き、厚みと弾力性もしっかり。新しい切り口が目をひきます。

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「フレンチキップ」は、同じく「第99回 東京レザーフェア」<極めのいち素材>一般投票で2位にランクイン。

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牛革では世界最高と言われるフランス産のカーフ(キップ)をグレージングで仕上げた本格的なボックスカーフ。最高の原料に日本の職人の熟練技が光ります。紳士靴にベストマッチ。ディスプレイがひと際存在感を放っていました。

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国内産の豚原皮を使ったナッパレザー「とろけるピッグスキン」(<極めのいち素材>入賞作品)。
極薄に鞣した豚革をトロトロになるまで繊維をほぐすことで、ソフトな風合いと軽さを表現しています。人気復活傾向のブーツでプレゼンテーション。素足でその秀逸な感触を楽しみたいですね。

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もうひとつのテーマは、アーカイブ。歴代のサンプル帳を書棚のようにディスプレイ。

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1992年、「バルセロナ オリンピック」開会式で選手団が身につけたユニフォーム(赤いポシェット)に採用されたレザーも同社によるもの。
デザインを担当した森英恵さんは「赤の使い方でパターンを崩す」と語ったとのことです。
そんなポイントとなるアイテムに採用された記念すべきレザー。日本の国旗、日の丸をイメージする美しい色ですね。

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これまでのDMもシャッフルしてコーディネート。カラーリングやフォント、グラフィックデザインに時代性があらわれていて興味深い展示でした。

富田興業では増加する個人間売買の潮流をとらえ、ハンドメイドマーケットプレイス<クリーマ>にEC店舗<富田常八郎商店>をオープン。クリエイターたちのアクセスが続々。さらには台湾から女性スタッフを招聘して、海外展開に向けたトライアルも準備中。中華圏、アジアマーケットを見据えたビジネスモデルに期待が寄せられます。

日EU・EPAが2月1日に発効され、日本製革製品をとりまく環境が大きく変わるなか、知恵と情熱で可能性を切り拓く、企業トップの姿に感激しました。
ピンチをチャンスに変える好機に! 浅草から発信される前向きなエナジー、新しいジャパンレザーがたくさんのかたに届きますように。


■ 参考URL ■
  タテマツ
  富田興業
   <http://www.tomita.co.jp/>
   東京レザーフェア
    <http://tlf.jp/>

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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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