欧米ブランドに「負けていないぞ!」

December 19, 2018

「第99回東京レザーフェア」レポート (2)

カテゴリー: トレンド

前回に続き、「第99回 東京レザーフェア」レポートをお届けします。<TLF Trend Laboratory>でお披露目される恒例企画「極めのいち素材」が好評!
極めのいち201812.jpg
協同組合 資材連からのメッセージは、「感性と機能、そして使い込める道具として、人との親和性を誇る。その素材力を信じる。クリエイションに刺激を与え、使う人に寄り添いたい。24社が開発した渾身の一点です」。
極めのいち素材 98回.jpg
それぞれの自信作を展示するとともに来場者による人気投票を行いました。こちらは、前回「第98回 東京レザーフェア」の上位入賞作品です。

1位:フジトウ商事(株)/オルフェ
2位:富田興業(株)/とろけるピッグスキン
3位:(株)協進エル/アスコット

革本来の持ち味、風合いを生かしながらも、時代に合わせアップデートされた、新しい付加価値が評価されたようです。
そして、今回の展示素材からピックアップしました。

相川商事(株)/Grain
「ここまでの"プリっと立った"シボを見たことがあるでしょうか? 栄養を十分に含んだ大麦の穂のように」<相川商事(株)>
相川さん グレイン.jpg
厳選した国内原皮を使用したタンニンなめしの革に、ウォッシュ加工、焦がしなどをプラス。さまざまななプロセスにより、日本伝統の技術を盛り込んでいます。

(株)碓井 /インディゴポニーレザー
「インディゴ、ネイビーの染料を併用して色合わせしている完全素上げです」<(株)碓井>
碓井さん インディゴ.jpg
ポニーの特長のひとつ、「軽さ」「柔らかさ」を表現。ジャパンブルーがさらに魅力を添えています。

カドヤ商店<兵庫県皮革産業協同組合連合会>/タンニンなめし小馬革
「あえて馬革独特の天然のシワやキズ、たてがみの痕などを隠すことなくタンニンなめしで仕上げています」<カドヤ商店
カドヤさん 小馬革.jpg
「じゃじゃ馬」「暴れ馬」といった表現があるように馬革はなかなかワイルド。近年はそんな特性を生かす流れです。個体差を楽しみ、愛でるユーザーさんが増えてくださるとうれしいですね。

吉比産業(株)東京支店/イグナー
「できるだけ革のよさを消さないよう、染料のみで仕上げました。使うひとの生活に溶け込み、愛着のあるアイテムになるでしょう。ふと気がつけば、いつもあなたのそばにはイグナーがいますよ~」<吉比産業(株)東京支店>
吉比さん イグナー.jpg
オイルを塗りこみ、ソフト感を引き出しています。しっくりと手のひらに馴染むコンパクト財布など、革小物にぴったり。

富田興業(株)/フレンチキップ
「牛革では世界最高といわれるフランス産のカーフ(キップ)をグレージング(めのう磨き)で仕上げた本格的なボックスカーフです」<富田興業(株)>
富田さん キップ.jpg
日本国内の熟練職人たちの手わざが息づき、独自のエレガンスが漂います。シンプルなデザインで上質感を引き立ててほしい一枚です。

(株)ストック小島/ユーロBF
「日本原皮を使用した植物タンニンなめし革です。オイル仕上げとワックス仕上げの融合を生かした素材になっています」<ストック小島>
小島さん.jpg
使い込むほどに深まる味わいと奥行きのある色合いを追求した逸品。革好きの男性ユーザーに人気を集めそうです。

(株)久保柳商店/Botanical Sakura
「同じ色には二度と出会うことがありません。それも草木染めの魅力のひとつでしょう」<(株)久保柳商店>
久保柳さん ボタニカルサクラ.jpg
原料となる植物、木は2週間で色が変わってしまうそう。プロセスや工房、手仕事・・・複雑な組み合わせも影響し、同じ色には二度と出会うことがないのだとか。そんな草木染めによる さくら色は繊細でたおやか。持つひとの内面を反映するようなフェミニンなデザインに。

墨田革漉興業(株)<東京製革業産地振興協議会>/晩秋の比叡
「晩秋の比叡の山々と平安時代を頭に描き、イメージの表現を試みました。素材は地元産ピッグスキンを用いています」<墨田革漉興業(株)>
墨田革漉さん 晩秋の比叡.jpg
ハンドバッグ、和装小物だけでなく、海外からの観光客、海外へ赴任するビジネスパーソンやご家族のかたに向けた製品開発にも。日本の美への共感とその広がりを期待したいですね。

フジトウ商事(株)/アルト
「原皮から仕上げまですべて国産にこだわったオールジャパンレザーです。ヌメ本来の味わい、ムラ感や質感を大切にし、あえて武骨な風合いを表現しました」<フジトウ商事(株)>
フジトウさん アルト.jpg
紅に染め上げたスムースレザー。経年変化しやすく、独特のツヤ感でエイジングを楽しめそう。サンプルの帽子も存在感があり、目をひきます。

ミツワ産業(株)/ナディア
「日本で欠かすことができない防水革。そこに焦点をあて、フッ素が入っていない薬品を使用することで、ひとや環境にやさしい素材を目指しました」<ミツワ産業(株)>
ミツワさん.jpg
年々、豪雨による被害が深刻化するなか、防水加工は標準的なスペックへと拡大していきそうです。防水加工が施されたレザーというとマット、という印象がありますが、こちらはムラ感が際立ちます。フェスやアウトドア向けのサコッシュなどにも。

(株)ミヤツグ/ブラウニー
「セミアリニン仕上げの型押しですが、均一になりすぎないシボ感を出すことにより、革のよい風合いを実現しています」<(株)ミヤツグ>
ミヤツグさん.jpg
革小物からバッグ、スニーカーまで幅広く使える万能レザー。2019年注目のサックスブルーも新鮮ですね。

インバウンド需要をはじめ、2019年秋に実施予定の消費税増税にともなう駆け込み需要、2020年の東京オリンピックなどをとらえ、「革らしさ」「日本らしさ」「時代性」を意識した素材がそろいました。製品、ユーザーなども想定された提案も続々と。日本の革のものづくり、進化していますね!
ジャパンレザーだから実現できる加工、体感できる表現、クオリティーとバリエーションのさらなる充実にご期待ください。

当ブログでの「東京レザーフェア」レポートは、今回で終了ですが、引き続き、一般社団法人 日本皮革産業連合会フェイスブックで会場スナップをお届けいたします。
恒例のコラボレーション企画、ファッションショーについても投稿予定です。どうぞ、お楽しみに。

■ 参考URL ■
 東京レザーフェア
 <http://tlf.jp/>
 一般社団法人 日本皮革産業連合会フェイスブック

プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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