欧米ブランドに「負けていないぞ!」

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日本最大級の皮革及び皮革関連資材トレードショー「東京レザーフェア」が5月22日(水)から2日間、東京・浅草 都立産業貿易センター 台東館で行われました。
100回を迎えた今回は「百人百様百レザー」、PRIDE100 ~誇りと感謝~をテーマに開催。
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2020年春夏コレクションをひと足早く提案した「トレンドラボラトリー」を中心にレポートします。
各出展社の自信作をピックアップし、集積・編集する東京レザーフェア発「トレンドラボラトリー」から最新情報をご紹介。同ブース ディレクションご担当 ジャルフィック 池田さん、岡村さんにお話を伺いました。

2020年春夏のトレンドは「進化系の自然色」
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 (画像:「第100回 東京レザーフェア」公式サイトより)

日本の麗らかな春夏の情景をベ―スに据えたカラーパレットを構成。特に今季は、発散するような「お祭り的な華やかさ」を描き出します。
ポイントとしては、「パステルカラーが基調色。まったりとゆるやかなニュアンスが特長」「ピンク、ブルー、グリーン(パステル系)に注目」「ブラウンとグレーがアソートカラー」の3点です。

4つのカラーパレットで提示しています。
パレット:1 HANA/華
ピンキッシュとレッド系で艶やかな華やかさを訴求
パレット:2 SANSUI/山水
ブルー系とグリーン系による自然の情景のイメージ
パレット:3 DAICHI/大地
さまざまなブラウン。ヌーディなニュアンスを堪能
パレット:4 KEHAI/気配
スポーティなベーシック。微妙に気配の異なるグレイ群。
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レザートレンドは、こちらの3テーマ。
テーマ:1 【輝くような華やぎ】
「夏フェスを思わせるような、情熱的なイメージ。鮮やかさに加え、自然のたおやかさとのハイブリッドで表現します」(ジャルフィック 池田さん、岡村さん)。
「イエロー、オレンジ」「ピンク、ローズ、レッド」、引き続き人気のベージュ、グリーン、19年春夏から浮上しているシルバーがピックアップ。「プルミエールビジョン」(2020年春夏)で話題のレッド、パントンが発表した2019年「カラー・オブ・ザ・イヤー(Color of the Year)」の「Living Coral(リビングコーラル/サンゴのような色合いが楽観的なマインドと楽しさの追求への人々のニーズを具現化する色合い)」とも共通する流れですね。
2020年、オリンピックイヤーでもあるので、国旗(日の丸)に配されたレッドは、来春を象徴する色のひとつになりそう。「スムースからシュリンクまでのバラエティ」、「マットとメタリックな輝きのコントラスト」などのサーフェイスも注目です。
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「エネルギッシュな華やかさ」
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「ひねりのカラーとしてのピンキッシュ」
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「眩い陽の光」
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「テラコッタの風合い」

and more...
「多様性のレインボー」「繊細な淡い煌き」「グリーンのあでやかさ」

テーマ:2 【情調のベーシック】
「ブラウンとニュートラルカラーを中心に基本的な色彩と素材感をとらえながらチャレンジングな組合せなどで来春らしく」(ジャルフィック 池田さん、岡村さん)。
革らしいブラウンを中心にヌーディなベージュからニュートラルカラーへのソフトな階調が提示されています。なかでも、スキンカラーが目をひきます。メタリックやムラ感をプラスした新鮮な印象です。
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「曖昧なニュアンスのスキンカラー」
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「革らしい黄みのブラウン」
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「深黒へのアプローチ」
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「トロピカルなナチュラル感をモダンに」

and more...
「ハプティックな表面効果」「闇に揺れる光をうつす」「タッチで魅せるニュートラル」「玉虫を思わせる神秘性の階調「影をうつすカラードブラック」

テーマ:3 【精彩に満ちたナチュラル】
「新しい季節の訪れを想起させるフレッシュ感をグリーンを意識した軽やかで多彩な中性色に託します」(ジャルフィック 池田さん、岡村さん)。
数シーズン続く、ピスタチオカラー、ターコイズブルーの勢いはまだまだ。くすみが抑えられ、ソフトかつ清々しい色合いが多いようです。対比が生かされるアースカラーは濃密に。アクセントカラーとしてパープルのバリエーションも見逃せません。
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「地中海を思わせるターコイズ」
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「新緑の瑞々しさ」
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「シックで繊細なアーシーカラー」
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「アクセントとして効果的な多様なパープル」

and more...
「ホワイティなエアリーサーフェイス」「深海の階調」「ナチュラル感の深いブルー」「苔の森のバイタリティグリーン」「ナチュラルをモダナイズ」


「ファッション・マーケティング講座」のお知らせ
台東区立産業研修センター恒例企画、「ファッション・マーケティング講座」<6月19日(水)>の開催が発表されました。2020年春夏シーズンのカラートレンド、マーケットをイタリア、日本の素材展から予測します。
講師はジャルフィック代表 池田正晴さんが登壇。前述の「東京レザーフェア」<トレンドラボラトリー>ほか、さまざまなプロジェクトを手がけ、国内のレザートレンドの分析・提案における第一人者として知られています。
Eメール(kensyuusenta@jcom.home.ne.jp)での申し込み可能です。
参加者の住所、氏名、電話番号(日中)
<在学・在勤のかたは、勤務先(団体/学校)名、所在地、電話番号>を明記してください。
受講料1,000円。定員30名(先着順)。エントリーの締め切りは6月12日(水)まで。
台東区内在住、在勤、在学以外のかたもご参加いただけるようになりました。この機会をお見逃しなく。

 「ファッション・マーケティング講座」
  日程/6月19日(水)18:30~20:00
  場所/東京都台東区橋場1-36-2 
  WEB /https://www.taito-sangyo.jp/05-kensyu/center_kouza.html

「極めのいち素材」
同じく「トレンドラボラトリー」の恒例企画「極めのいち素材」では、イマジネーションと技術が織りなす素材(皮革と布帛)・副資材(機能性素材)など、各社渾身の一点を展示し人気投票を行いました。
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こちらは、前回「第99回 東京レザーフェア」の上位入賞作品です。
早速、「第100回 東京レザーフェア」の上位入賞作品が公式サイトで発表されました。

1位:富田興業 株式会社/武州中島紺屋の藍染カーフレザー
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天保8年創業の老舗紺屋で染め上げたメイドインジャパンの藍染カーフレザーです。北海道産のカーフ原皮、徳島産の藍を原料に使い、伝統工芸士・新島大吾の手により1枚ずつ藍ガメで丁寧に染め重ねていくことで、ジャパンブルーと呼ばれる独特の藍色が現れます。
 (画像、テキスト:「第100回 東京レザーフェア」公式サイトより)

2位:株式会社 協進エル/グアンティ
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もともとは手袋用として開発され、創業の川西地区(現在は龍野地区)の時から30年以上変わらない製法でつくり続けられています。ジャージー牛特有の柔らかさによって手に馴染みやすく、革小物用としても多く使われています。
 (画像、テキスト:「第100回 東京レザーフェア」公式サイトより)

3位:坂本商店(兵庫県皮革産業協同組合連合会)/黒桟革「極」ジュエルグリーン
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緑色は誰もが好きな色だとは思いますが、皆さんはどんな緑がお好きでしょうか? 鞣しでシボとムラを起こした後、やや深めの緑に染色、さらに本漆で艶めきを加え、宝石の緑(ジュエルグリーン)に仕上げました。靴や鞄などの差し色に使えばオシャレの幅が広がります。
 (画像、テキスト:「第100回 東京レザーフェア」公式サイトより)

ファッションの流れは「エレガンス回帰」。レザーだからこそ表現できる、上質なニュアンスが欠かせない要素になると予想されます。
この春行われたパリ・コレクションでも、エキゾチックレザーのバッグやシューズがランウェイを彩りました。実際、日本のマーケットにどのように反映されるのかは不明瞭ですが、「ファッションへの憧れ」が復活し、ひとりひとりのユーザーさんがポジティブにファッションを楽しめる状況が復活することを願います。
そんなとき、日本の革と革のものづくりに何ができるのか? インポートブランドとは異なるクオリティを認知、共感していただけるような、アップデートした製品開発に期待が寄せられます。

■ 参考URL ■
 東京レザーフェア
 <http://tlf.jp/>

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バッグ・鞄業界の展示会が今週スタート。早速、お邪魔しました。ごくごく一部ですが、ご紹介いたします。

東京・浅草橋「7's COLLECTION」~5月16日
国内外の注目ブランドが集結したミニ合同展示会「7's COLLECTION」が、ヒューリック浅草橋ビル 3F ROOM3でスタート。
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タイトルの通り、7ブランドが参加しています。
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そのなかから<アトリエフォルマーレ バッグクラフトマスタースクール>卒業生ブランドをピックアップ。

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女性デザイナー たかつよしえさんが手がける<VIA>の定番シリーズは、カーピンチョのレザーを使用。カーピンチョはカピバラ、鬼天竺鼠ともいわれます。カピバラというと、癒し系の小動物、という印象ですが、意外と個体が大きく南米では食用にされているため、食肉の副産物として鞣されたレザーが出回っています。
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同シリーズのものづくりではキズだけでなく、穴も多く苦労したのだとか。そんなデメリットを個性に変換。穴を生かし、プリント柄の裏地が見えるデザインにするなど、一点もの感覚も好評です。2020年の干支は、ねずみ。干支のレザーとしても楽しめますね。

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プロダクト的なニュアンスが漂う<KUGIRI>はバッグを中心にステーショナリーも展開。丸善丸の内店やTSUTAYAブックストア岡山駅前店などイベント、ポップアップショップのオファーも続々と。

ショップ業態の際が曖昧になるなか、バッグとステーショナリーの中間領域が拡充する傾向がみられます。スマホファースト、キャッシュレス時代に対応した新しい革製品に注目が。ハンドマーケットプレイス、SNSを通してファンを増やすクリエイター、職人たちの活躍が期待されます。

東京・浅草橋「藤和商会」~5月16日
元号改元のタイミングで、経営陣の世代交代を推進する<藤和商会>。
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オリジナルブランドの完成度の高さに定評がありますが、さらなるグレードアップを目指し、コレクションラインや国内生産を強化。

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オリジナルブランド<am>の新作では、東京レザー ピッグスキンを使用したそう。豚革生産の国内シェア90%といわれる東京都墨田区の有力ファクトリー 墨田革漉とタッグ。
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墨田革漉は「東京レザーフェア」でクリエイターとのコラボレーションプロジェクトに複数回選出されるなど、加工技術とデザイン性の秀逸さでお馴染みです。ヨーロッパの古い建築の壁紙を想起させるクラシカルな柄が目をひきます。
人気継続のきんちゃく型にタッセルもプラス。2019年秋冬のトレンドのひとつ、「エレガンス回帰」の流れにもぴったりですね。

  藤和商会
  <https://www.towa-bag.com/>

東京・丸の内「豊岡鞄展示会」~5月15日
日本有数の鞄産地、兵庫・豊岡の地域ブランド<豊岡鞄>の2019年秋冬シーズン展示会は、新機軸を打ち出しました。東京・浅草橋から東京・丸の内 KITTE B1F 東京シティアイパフォーマンスゾーンに会場を変更。
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バイヤー、ジャーナリスト、関係者だけでなく、一般ユーザーの入場も可能に。オープンなスタイルにリニューアル。
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SNS映えする顔ハメグッズもいいですね。夜20:00までの開場は、忙しいビジネスパーソンによろこばれているよう。
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各社の自信作がズラリと並び、歴史、伝統が息づく ものづくりを広く公開。
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レトロなデザインの再評価とともにロングセラーのバッグが新鮮に感じられます。

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<豊岡鞄>に加え、<豊岡財布>も仲間入り。
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アップデートされた定番アイテムをはじめ、昨年からブレーク中のフラグメントケースもそろいます。キーホルダーとしての機能もプラス。ストラップもセットされ、ネックウォレットとして使用でき、若い世代からの支持も広がっています。

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KITTE 1Fには<豊岡鞄>フラッグシップショップが。先日、Yahoo!トピックスにも取り上げられ話題になっています。現在、周辺エリア 東京駅 丸の内地下南口ではポップアップストアも開催中です。会期は同じく本日5月15日(水)まで。

  豊岡鞄
  <https://www.toyooka-kaban.jp/>


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また、東京・銀座 銀座三越ではレザーイベント「JAPAN LEATHER PRIDE GINZA」が本日スタート。
日本の革に魅せられたレザークリエーターたちが、インフルエンサーとともに"革の新たな魅力"、"革のさらなる可能性"に挑む同イベントが5月15日(水)~20日(月)、銀座三越 7F 催物会場で行われます。10人のインフルエンサーと10人のレザークリエーターがタッグ。コラボレーションによるスペシャルな新作も登場予定です。


国内各地からバッグ専門店バイヤーが集結するタイミングでもあり、夜20:00までの営業はナイトタイムのミニ合同展示会的な要素も内包しています。
関係者とユーザーの垣根がないポップアップ型のスタイルは、すでにさまざまな合同展示会で導入されていますが、バッグ業界展示会週にアクセス便利な都心で開催、というのは、初の試みであり、インパクトがありました。
バッグ、バッグの存在意義、展示会のニーズが変化するなか、ユーザーを巻き込み、時代に合わせた変革がじわじわと進んでいるよう。11月展も楽しみですね。

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革問屋各社の個展(2019年-20年秋冬)レポートの後編をお届けします。

【タテマツ】
シューズ向けを中心に多様な皮革素材がそろうタテマツではトレンドの色柄が充実。有力企業の担当者たちが次々と訪れていました。
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ブラウン~レッドにかけてのレンジでシックなトーンがズラリ。秋冬らしい色合いをテーマにしているそう。

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注目素材は、さまざまな加工を施したヌバック。高級感があり、好評です。

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ピンク系は、トレンドを超えた人気ですね。甘さがなく、自立した女性からの支持を感じさせます。

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エナメル調をはじめ、ツヤ感のあるレザーも浮上しています。

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クロコダイル調型押し、アニマル柄、パイソン調のプリントなどエレガントな素材感をクールなニュアンスでまとめて。

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このほか、同社では、クリエイター向けの展開や新たな加工ほか、精力的に準備なさっています。正式な発表が楽しみです。

【富田興業】
レポートの締めくくりはリーディングカンパニー、富田興業。
百貨店でヒット中のレディスシューズブランドを手がけ活躍中のクリエイター 吉添真千子さんほか、業界関係者が多数来場。とても賑やかでした。
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同社の今季のテーマは、ニッポンルネッサンス「革ならではの素材感」。
「東京レザーフェア」を主催する協同組合 資材連の理事長を兼務する富田常一社長が発信する「素材からニッポンを元気に」とのメッセージが。
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そんな熱い想いは、新素材にも込められて。「第99回 東京レザーフェア」でも発表され大きな話題になった「オリーブヌメ」。
国産牛×植物タンニン鞣しのヌメ革を用い、仕上げにオリーブオイルを手作業で塗布。水を弾き、厚みと弾力性もしっかり。新しい切り口が目をひきます。

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「フレンチキップ」は、同じく「第99回 東京レザーフェア」<極めのいち素材>一般投票で2位にランクイン。

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牛革では世界最高と言われるフランス産のカーフ(キップ)をグレージングで仕上げた本格的なボックスカーフ。最高の原料に日本の職人の熟練技が光ります。紳士靴にベストマッチ。ディスプレイがひと際存在感を放っていました。

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国内産の豚原皮を使ったナッパレザー「とろけるピッグスキン」(<極めのいち素材>入賞作品)。
極薄に鞣した豚革をトロトロになるまで繊維をほぐすことで、ソフトな風合いと軽さを表現しています。人気復活傾向のブーツでプレゼンテーション。素足でその秀逸な感触を楽しみたいですね。

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もうひとつのテーマは、アーカイブ。歴代のサンプル帳を書棚のようにディスプレイ。

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1992年、「バルセロナ オリンピック」開会式で選手団が身につけたユニフォーム(赤いポシェット)に採用されたレザーも同社によるもの。
デザインを担当した森英恵さんは「赤の使い方でパターンを崩す」と語ったとのことです。
そんなポイントとなるアイテムに採用された記念すべきレザー。日本の国旗、日の丸をイメージする美しい色ですね。

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これまでのDMもシャッフルしてコーディネート。カラーリングやフォント、グラフィックデザインに時代性があらわれていて興味深い展示でした。

富田興業では増加する個人間売買の潮流をとらえ、ハンドメイドマーケットプレイス<クリーマ>にEC店舗<富田常八郎商店>をオープン。クリエイターたちのアクセスが続々。さらには台湾から女性スタッフを招聘して、海外展開に向けたトライアルも準備中。中華圏、アジアマーケットを見据えたビジネスモデルに期待が寄せられます。

日EU・EPAが2月1日に発効され、日本製革製品をとりまく環境が大きく変わるなか、知恵と情熱で可能性を切り拓く、企業トップの姿に感激しました。
ピンチをチャンスに変える好機に! 浅草から発信される前向きなエナジー、新しいジャパンレザーがたくさんのかたに届きますように。


■ 参考URL ■
  タテマツ
  富田興業
   <http://www.tomita.co.jp/>
   東京レザーフェア
    <http://tlf.jp/>

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皮革産業関連企業が集積している東京・奥浅草エリアの革問屋各社で、個展(2019年-20年秋冬)が1月第3週に行われました。その一部をご紹介します。

【丸喜】
皮革業界のキーマン、藤田晃成さんが新社長に就任し話題の同社。高いトレンド性でマーケットを牽引します。

「婦人靴用素材の皮革卸として46年の歴史をもつ丸喜で、このたび、まったく血縁のない私がバトンを引く継ぐことになりました。皮革素材のサプライヤーという立場ではありますが、製造メーカーや職人、卸業者、小売業者など、それぞれのプロフェッショナルが横串で連携していくシステムを構築していかなければという考えは常々抱えておりました。
問屋からメーカー、メーカーから素材業者に発注が来るという流れが一般的ですが、逆に素材業者が製造メーカーに対して発注するような、そんなことにもチャレンジしてみたいですね。
社会動向や世間の空気感を敏感にキャッチし情報収集しており、細かなニーズを吸い上げ、それにマッチした商品の企画段階から素材提案を行うなど、優れた技術をもったメーカーとともに高付加価値なものづくりをしていく素材サプライヤーでありたいですね」と藤田さん(「バガジン」1月1日号13面より)。

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そんな先進性は、ディスプレイからも感じられます。
「東京レザーフェア」の「トレンドラボラトリー」で発表された内容をさらに磨き上げています。アパレルでヒット中のオートミール、マッシュルームカラーを、レザーでいち早く集積しました。
ベージュからグレージュ、赤みのあるライトブラウンのレンジ、トレンドとして継続のレッドとのコーディネートが美しいですね。

2019年春夏シーズンに注目される、「フォークロア×アーバン」ミックス感のあるテイストを、秋冬に向けグレードアップ。裏革の起毛感のあたたかみとエレガントな表革、異なる素材のリズム、新しいハーモニーを提案。
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の秋冬ヒットしたアニマル柄も継続。充実のラインナップです。ゼブラ柄も復活傾向。
ヴィンテージ感のあるニュアンスが漂うピッグスキンも目をひきます。通常、トリミングしてしまう乳腺の部分もあえて残していて、インパクト抜群。
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TPP、日欧EPA発効により、輸入革の動向が気になりますが、逆に海外へ輸出すべく開発されたそう。ヨーロッパでは食文化の違いから豚革の生産が少なく、その希少性が認められています。
ピッグスキンを生産する東京都墨田区を中心としたタンナー、ファクトリーの技術力も秀逸。革らしさ、日本らしさ、東京らしさのハイブリッドが素晴らしい。

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人気ファクトリー、宮城興業とのコラボレーションによる靴もキャッチ―。
「豚革は、軽くて滑らか」というイメージを刷新する重厚感とファッション性。靴のライニングに用いることが多い豚革を、主役としてアッパーに、という新鮮な発想がとても好評でした。豚革は放湿性に優れているので、素足でも蒸れにくく快適に履けそうです。
企画を担当した若手スタッフ 大熊寛太さんの熱意は藤田社長譲り。周囲を巻き込み、新しいムーブメントを発信しています。

【東京都/東京製革業産地振興協議会】
同じく丸喜ショールームでは、<東京都/東京製革業産地振興協議会>による「日本の革・ピッグスキン」の特別展示が行われました。
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ピッグスキンは国内で自給自足できる日本の革。その製革技術、表面加工技術はメイドイン東京ならでは。ヨーロッパのブランドも認める、独自の素材力に磨きをかけ、幅広い生活シーンを彩る素材として進化し続けています。

1.「シンプル」:革のベーシックが際立つ
2.「精緻な加工技術」:多彩な風合いのバリエーション
3.「スエードの装飾性」:色×プリント×光沢
4.「トレンド力」:色、光沢、タッチ
これら4つの特長を生かした最新コレクションは、下記の3テーマで展開されました。

テーマ1:「ファンダメンタルズ」/ベーシック
アメ豚のリデザイン、タンニン鞣しを生かした新領域の探求などでピッグスキンらしさを再発見できる表現がそろいます。
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テーマ2:「レリーフ」/エフェクト
グラフィカルでモダンな立体感を追求し、プリーツ加工、塩縮加工・・・といった高度な加工技術のバリエーションが、クリエイターのマインドを刺激。
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テーマ3:「カラーズ」/カレイドスコープ
スエードを生かす濡れ色(エナメル)との対比や、自然を連想されるメタリック効果が浮上。プロダクトデザインにフィットするプリントへの取り組みも進んでいます。
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可塑性に優れたピッグスキンをアップデート。多様な表情の幅広いコレクションとなりました。放熱性・通気性に加え、表面の摩擦にも耐性があるので、スマートフォン関連製品に最適です。財布、バッグ、小物といった従来のカテゴリーでは語れないボーダレスなアイテムが登場しそうですね。
<東京都/東京製革業産地振興協議会>は2月開催の「東京インターナショナル・ギフトショー」にもブース出展。ご来場予定のかたはご注目を!

【吉比産業 東京支社】
続いて、革の卸売専門商社・吉比産業にお邪魔しました。
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「革の真ん中に。」をコンセプトに、タンナーとメーカー、仕入先と卸先、職人とデザイナー、日本の革と海外の革など、革にまつわる すべての真ん中にある老舗企業です。
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130年以上もの歴史があり、皮革素材を通して生活文化の向上に尽力。 皮革関連の各産地特有の個性を生かしつつ、二―ズをとらえた皮革素材を研究開発、提案に信頼が寄せられています。

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こちらは皮革産地・和歌山でつくられた星柄のエナメル。加工を組み合わせ、染色を重ねて仕上げられました。陶器のような質感、にじむような色のグラデーション、ラメの穏やかな光沢もいいですね。
同社では、このところ何シーズンも星柄をフィーチャー。個性的なデザイン、加工が見つかると、業界関係者の話題に。

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そんなPRの立役者がSNS。日本でいちばん歴史のある革の会社が、積極的にSNSを活用し、情報発信しています。
新人の女性スタッフを担当者に任命。瑞々しい感覚と写真のセンスが、若い世代のビジネスパーソンをとらえています。
先輩スタッフに名称、特長を確認しながら、投稿するなかで着実に学んでいるようすが伺えるのも素敵ですね。SNSの業務が人材育成と社内コミュニケーションにもつながって。風通しがいい社風が伝わります。
そんな同社の取り組みを語るSNSセミナーが2月に開催予定。場所は東京・奥浅草のインキュベーション施設<浅草ものづくり工房>です。トークショー形式なので、リラックスして聞けそう。詳細は、当連合会SNSでお知らせいたします。

レポートは次回(2月6日投稿分)に続きます。
なお、次週は村木るいさんの「人に話したくなる革の話」です。どうぞ、お楽しみに。

■ 参考URL ■

 東京インターナショナル・ギフト・ショー
 <https://www.giftshow.co.jp/tigs/>

 吉比産業
 <http://www.kibi-1882.co.jp/>


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前回に続き、「第99回 東京レザーフェア」レポートをお届けします。<TLF Trend Laboratory>でお披露目される恒例企画「極めのいち素材」が好評!
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協同組合 資材連からのメッセージは、「感性と機能、そして使い込める道具として、人との親和性を誇る。その素材力を信じる。クリエイションに刺激を与え、使う人に寄り添いたい。24社が開発した渾身の一点です」。
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それぞれの自信作を展示するとともに来場者による人気投票を行いました。こちらは、前回「第98回 東京レザーフェア」の上位入賞作品です。

1位:フジトウ商事(株)/オルフェ
2位:富田興業(株)/とろけるピッグスキン
3位:(株)協進エル/アスコット

革本来の持ち味、風合いを生かしながらも、時代に合わせアップデートされた、新しい付加価値が評価されたようです。
そして、今回の展示素材からピックアップしました。

相川商事(株)/Grain
「ここまでの"プリっと立った"シボを見たことがあるでしょうか? 栄養を十分に含んだ大麦の穂のように」<相川商事(株)>
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厳選した国内原皮を使用したタンニンなめしの革に、ウォッシュ加工、焦がしなどをプラス。さまざまななプロセスにより、日本伝統の技術を盛り込んでいます。

(株)碓井 /インディゴポニーレザー
「インディゴ、ネイビーの染料を併用して色合わせしている完全素上げです」<(株)碓井>
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ポニーの特長のひとつ、「軽さ」「柔らかさ」を表現。ジャパンブルーがさらに魅力を添えています。

カドヤ商店<兵庫県皮革産業協同組合連合会>/タンニンなめし小馬革
「あえて馬革独特の天然のシワやキズ、たてがみの痕などを隠すことなくタンニンなめしで仕上げています」<カドヤ商店
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「じゃじゃ馬」「暴れ馬」といった表現があるように馬革はなかなかワイルド。近年はそんな特性を生かす流れです。個体差を楽しみ、愛でるユーザーさんが増えてくださるとうれしいですね。

吉比産業(株)東京支店/イグナー
「できるだけ革のよさを消さないよう、染料のみで仕上げました。使うひとの生活に溶け込み、愛着のあるアイテムになるでしょう。ふと気がつけば、いつもあなたのそばにはイグナーがいますよ~」<吉比産業(株)東京支店>
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オイルを塗りこみ、ソフト感を引き出しています。しっくりと手のひらに馴染むコンパクト財布など、革小物にぴったり。

富田興業(株)/フレンチキップ
「牛革では世界最高といわれるフランス産のカーフ(キップ)をグレージング(めのう磨き)で仕上げた本格的なボックスカーフです」<富田興業(株)>
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日本国内の熟練職人たちの手わざが息づき、独自のエレガンスが漂います。シンプルなデザインで上質感を引き立ててほしい一枚です。

(株)ストック小島/ユーロBF
「日本原皮を使用した植物タンニンなめし革です。オイル仕上げとワックス仕上げの融合を生かした素材になっています」<ストック小島>
小島さん.jpg
使い込むほどに深まる味わいと奥行きのある色合いを追求した逸品。革好きの男性ユーザーに人気を集めそうです。

(株)久保柳商店/Botanical Sakura
「同じ色には二度と出会うことがありません。それも草木染めの魅力のひとつでしょう」<(株)久保柳商店>
久保柳さん ボタニカルサクラ.jpg
原料となる植物、木は2週間で色が変わってしまうそう。プロセスや工房、手仕事・・・複雑な組み合わせも影響し、同じ色には二度と出会うことがないのだとか。そんな草木染めによる さくら色は繊細でたおやか。持つひとの内面を反映するようなフェミニンなデザインに。

墨田革漉興業(株)<東京製革業産地振興協議会>/晩秋の比叡
「晩秋の比叡の山々と平安時代を頭に描き、イメージの表現を試みました。素材は地元産ピッグスキンを用いています」<墨田革漉興業(株)>
墨田革漉さん 晩秋の比叡.jpg
ハンドバッグ、和装小物だけでなく、海外からの観光客、海外へ赴任するビジネスパーソンやご家族のかたに向けた製品開発にも。日本の美への共感とその広がりを期待したいですね。

フジトウ商事(株)/アルト
「原皮から仕上げまですべて国産にこだわったオールジャパンレザーです。ヌメ本来の味わい、ムラ感や質感を大切にし、あえて武骨な風合いを表現しました」<フジトウ商事(株)>
フジトウさん アルト.jpg
紅に染め上げたスムースレザー。経年変化しやすく、独特のツヤ感でエイジングを楽しめそう。サンプルの帽子も存在感があり、目をひきます。

ミツワ産業(株)/ナディア
「日本で欠かすことができない防水革。そこに焦点をあて、フッ素が入っていない薬品を使用することで、ひとや環境にやさしい素材を目指しました」<ミツワ産業(株)>
ミツワさん.jpg
年々、豪雨による被害が深刻化するなか、防水加工は標準的なスペックへと拡大していきそうです。防水加工が施されたレザーというとマット、という印象がありますが、こちらはムラ感が際立ちます。フェスやアウトドア向けのサコッシュなどにも。

(株)ミヤツグ/ブラウニー
「セミアリニン仕上げの型押しですが、均一になりすぎないシボ感を出すことにより、革のよい風合いを実現しています」<(株)ミヤツグ>
ミヤツグさん.jpg
革小物からバッグ、スニーカーまで幅広く使える万能レザー。2019年注目のサックスブルーも新鮮ですね。

インバウンド需要をはじめ、2019年秋に実施予定の消費税増税にともなう駆け込み需要、2020年の東京オリンピックなどをとらえ、「革らしさ」「日本らしさ」「時代性」を意識した素材がそろいました。製品、ユーザーなども想定された提案も続々と。日本の革のものづくり、進化していますね!
ジャパンレザーだから実現できる加工、体感できる表現、クオリティーとバリエーションのさらなる充実にご期待ください。

当ブログでの「東京レザーフェア」レポートは、今回で終了ですが、引き続き、一般社団法人 日本皮革産業連合会フェイスブックで会場スナップをお届けいたします。
恒例のコラボレーション企画、ファッションショーについても投稿予定です。どうぞ、お楽しみに。

■ 参考URL ■
 東京レザーフェア
 <http://tlf.jp/>
 一般社団法人 日本皮革産業連合会フェイスブック

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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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