欧米ブランドに「負けていないぞ!」

September 27, 2010

皮革文化論 ~情報の提供と伝統の継承~(1)

カテゴリー: 国内革事情

       

 

 


9月も最終週を迎え、過ごしやすくなってきました。

秋といえば、芸術の秋、デザインの秋。

レザーも、ファッションやインテリアに用いられる
素材、というだけでない側面があるんですよ。

 

そんな文化としての「皮革」とは?

 


特定非営利活動法人 日本皮革技術協会(JALT)監事としてもご活躍、


竹内会長.JPG

独自の「皮革文化論」を提唱なさっていらっしゃる
吉比産業株式会社 会長 竹内 健さんに
お話を伺いました。
 

 

――――― なぜ、今“文化”なのですか?

 

竹内会長  「インターネットが発達して、
         シニア世代でも活用しているといわれてます。
         しかし、情報があふれ、
         誰でも手に入るにもかかわらず
         レザーについて知らない
         若い世代が多いように思います。

         義務教育や家庭では
         学べない、伝えられないこともあって
         日本では、皮革文化が育たなかったんです」

 

 

 


そんな現状を打破すべく、積極的な講演活動を
行っていらっしゃる竹内さん。
皮革産業関連団体が主催するイベントなどのほか、
国内のファッション系専門学校で
数多く講義を行っています。
提唱なさっている「皮革文化論」を書籍化し出版。
専門家のための専門書ではなく、
エンドユーザーのみなさんにもわかりやすい内容と
高く評価されています。

 

 

 


――――― 皮革文化の変化を教えてください。

 


竹内会長  「第2次大戦前、日本にも皮革文化がありました。
         靴1足は当時のサラリーマンが得ていた
         平均的な月給の1か月分くらい。
         すべてオーダーメードに近い状態でした。

                       戦後、高度経済成長とともに
                       大量生産時代になり、
                       皮革文化は崩壊してしまったんです。
                       しかし、ヨーロッパでは父から子そして孫へ・・・
                       皮革製品、特に革靴を中心とした文化が
                       継承され、ずっと続いています」

 

 

 

皮革文化の象徴とされるアイテムは、
やはり、靴なんですね。

海外と日本では、屋内で履いたまま過ごすか 
脱いでしまうかで
全く異なりますし、その歴史の違いは圧倒的ですが
このところ日本でも靴にこだわる
ユーザーも増えています。

今後は、さらに成熟し、文化として・・・
そんな兆しも感じられます。

 

 

 


――――― 革靴がよい理由はなんでしょうか?

 

竹内会長   「まず、足にあたる部分すべて
          リアルレザーを使用した靴を履いてみて
          心地よさを実感してほしい。
                          もしライニングが合皮であれば、
                          ヌルヌルしてしまい、不快なものです。
                          この違いがわかると
                          いい靴を買いたい、と思うようになる
                          きっかけになるでしょう。

                           吸湿性放湿性、足なじみ、
                           素材感とその佇まい・・・
                           これらを共感・共有することができれば、
                           文化として形成されていくのではないでしょうか」

 

 


革のよさは使ってみて、さらに実感できるものですが、
取材におじゃました
吉比産業株式会社にも、すばらしいジャパンレザーがいっぱい。
おすすめの革を撮影させていただきました。

タンニン.JPG

 

▲タンニンなめしによる1枚。厚みがあり自然な味わい。


 

フイルム.JPG


▲フイルム加工と均一に施されたムラ感が絶妙。

 

 

シュリンク.JPG

 

▲ナチュラルなシボ感が生かされた1枚。

 

 

 

 

「皮革文化論」につきましては
次回に続きます。
 

 

 

 

プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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