欧米ブランドに「負けていないぞ!」

April 12, 2017

「スーベニール バイ トーキョーレザー」レポート

カテゴリー: 国内革事情

恒例イベント「Souvenir by TOKYO LEATHER(スーベニール バイ トーキョーレザー)」が、4月7日(金)からスタートしました。

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東京・押上 東京スカイツリータウンの商業施設、東京ソラマチ内の墨田区産業観光プラザ すみだ まち処で開催しています。

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東京都墨田区の鞣製業者を中心とした5団体で構成された東京製革業産地振興協議会が中心となり、区内で生まれた素材、企画・製造されたプロダクトやオリジナルブランドやクリエイターとのコラボレーション製品などを出品。その一部をご紹介します。


<墨田革漉工業 株式会社>


各種加工のエキスパートとして知られる<墨田革漉工業 株式会社>。社名の革を漉く(厚さを調整する)加工では日本における元祖です。優れた加工技術を有し、その組合せにより、多様で新鮮な素材を開発。2016年度の「東京レザーフェア」ではデザイナーとのコラボレーション・プロジェクトの事業者に選出。アイドルユニット でんぱ組.incの衣装デザインほかジャンルを超えた活動が人気の坂部三樹郎さんとのコラボレーションが話題に。イタリアの展示会「リネアペッレ」でも発表し、海外でも高く評価されました。

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このほか、クリエイターとの取り組みが多く、今回はインキュベーション施設<台東デザイナーズビレッジ>入居ブランド<comma(カンマ)>の製品が登場。バッグをはじめ、革小物が充実。ガムケースなどのアイテムが高感度ユーザーに人気です。


<三恵産業 株式会社>


ナチュラルでカジュアルなイメージが強い、ピッグスキンのイメージを覆し、女性らしくエレガントなテイストのものづくりを展開する<Cetra(チェトラ)>。<三恵産業 株式会社>のオリジナルブランドです。

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家業を継いだ、石田美和さんが立ち上げ、ディレクションを担当。航空会社勤務時代から世界の一流商品を見てきたセンスと国際感覚、そして、ママとしての感性が反映されています。昨年は個人の活動も強化し、同ブランドのコレクションをメインとした個展を開催し、注目されました。ゴルフグッズも登場。石田さん自身が好きなことから、ユーザー目線の感覚が生かされて。

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また、同社からは端革を大放出。手づくり派のかたに大好評です。なくなり次第終了となりますので、お早めに。


<墨田キール>


優れた加工技術に信頼が寄せられる<墨田キール>では、新たな取り組みにチャレンジ。東京でつくられたピッグスキンを使用し、革の染色から製品までを一貫して製造する<カラフルキールボックス>を27色で展開。

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<フラミンゴ>、<クリームメロンソーダ>といったユニークなネーミングとともに、カラーバリエーションに圧倒されます。


<長坂染革 株式会社>


革らしさを追求する長坂染革 株式会社。タンニンなめしのヌメ革で染色、オイル、ワックス...と多様な技法を駆使。革本来の味わいと感触を重視し、繊細なハンドワークでつくり上げています。

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2017年秋冬のトレンドとして注目される、ヴィンテージ感のある加工が好評。

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シンプルな着こなしのポイントとなるバッグや革小物たちは、存在感抜群です。


<ティー・ワイ・エムズ>


フィルム・箔貼り、塗装、オイル入れ、ワックス、パール加工などさまざまな仕上げ加工が注目される<ティー・ワイ・エムズ>。海外の展示会への出張をはじめ、業界のネットワークを通じたトレンド分析による鮮度の高い企画を提案。

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若い世代のスタッフが加入し、チョーカーをはじめとしたアクセサリー、雑貨も増えています。


<兼子皮革染色工場>


社名の通り、染色のエキスパート。年間1,000色もの染色を手がけているファクトリー。

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加工にも定評があり、アリニン、パール、オイル、ワックスに加え、グレージング加工など、多様な技術を有しています。微妙な違いの再現を極めた、奥深い色合いに目を奪われました。


<藤豊工業所>


出店社唯一のクロコダイルタンナー<藤豊工業所>。爬虫類を扱う他のファクトリーも減少傾向にあり、ピッグスキンのものづくりが盛んな東墨田エリアでも異彩を放ちます。

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近年、オリジナル製品を製造販売。有力百貨店などでも展開しています。センターどりの贅沢なハンドバッグがひと際目をひきます。

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鮮やかで上品な色合いが素敵。初日から富裕層の顧客を中心に購入が相次ぎヒット中です。

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そして、タイトルに冠した<スーベニール(おみやげ)>に相応しい革小物も充実。イヤフォンなどのコードをまとめるもの、ミントタブレットケース、リップスティックケース、ヘアアクセサリーなどなど、どれもプチプライスで買いやすいものばかりです。


日本で唯一自給自足できる素材、ピッグスキン。食肉の副産物としての皮革に加え、惣菜用揚げ油(ラード)から石鹸づくりに用いられる油脂、コラーゲンを含め、無駄のない利活用がなされ、循環型のビジネスモデルが確立しています。皮ごと豚肉を食べることが多い海外ユーザーへ、日本らしい食文化、ものづくりとしてアピールしたいですね。


ピッグスキンは国内の約80%をこのすみだエリアで製造されています。東京みやげとして、さらなる商品開発に期待が寄せられます。なお、イベントの会期は4月19日(水)まで。魅力いっぱいの東京レザーに出会ってみてはいかがでしょうか?



■ 参考URL ■

 Souvenir by TOKYO LEATHER」
 <http://machidokoro.com/event.html>


プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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