欧米ブランドに「負けていないぞ!」

October 11, 2017

「Japan Leather Award 2017」1次審査会レポート

カテゴリー: 国内革事情

日本製革製品のコンペティションとして国内最大規模を誇り、すっかりお馴染みとなった「Japan Leather Award 2017」1次審査会が、10月9日(月・祝)~10日(火)の2日間、大阪・阪急うめだ本店 9F「阪急うめだホール」で開催されました。

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ファッション産業である皮革産業に、その時々の消費者ニーズなどに即応できる新たな"発想・表現"のできる人材を発掘・育成したい。このような想いのもと、一般社団法人 日本皮革産業連合会(JLIA)が開催する「Japan Leather Award」。毎年、内容が進化し、ついに10周年を迎えました。大阪で行われる審査会も恒例となり、リピーターの来場も多いようです。

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今年度は賞が変わり、各部門の賞が「フューチャーデザイン賞」と、「ベストデザイン賞」の2つに(学生部門以外の4部門)増えました。新たな市場形成の可能性を評価する「フューチャーデザイン賞」と、優れた商業的な価値を評価する「ベストデザイン賞」と審査基準が設けられています。

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会場には全応募作品がズラリ。圧巻です(現在、オフィシャルサイトでも全応募作品が公開されています)。年々、クオリティが向上しているのが頼もしい! 傾向としては、昨年に続き、農林業への被害軽減を目的とし有害鳥獣捕獲された鹿、熊の利活用などのソーシャルな側面や、日本の伝統工芸を取り入れた作品がカテゴリーとして確立しつつありますね。注目したいのは審査基準に合わせ、マーケットを意識した作品。これらからピックアップしてご紹介します。

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まずは、大人世代にうれしい靴。左の作品は介護靴の要素を取り入れた一足。「介護靴は布製で冬は寒く足の先が痛い」とのお父さまのご意見を生かし、できるだけソフトな牛革を用い、ファッションを楽しめるデザインを目指したそうです。右のスニーカーは、40代以上の女性を意識した機能として屈曲性を強化。かかと部分が厚いインソールを使うことで脚長効果を狙います。有害鳥獣捕獲された鹿の革をアッパーに使用。銃弾の跡をデザインアクセントに仕上げました。

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続いて、雨や雪を考慮したシューズ。「雪が降っても履ける靴」(写真・左)は内側にボアを配し、保温性もしっかりと。プリントレザーが目をひく作品(写真・右)は葛飾北斎の富嶽三十六景や凱風快晴といった浮世絵をコラージュし、アッパー全体に転写印刷を施しています。

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水に濡れると絵柄がハッキリと鮮明に。浮かび上がる浮世絵が素敵ですね。雨の日が待ち遠しくなりそう。

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こちらはコーヒーを取り入れた作品たち。コーヒーで染めた豚革がいい風合いを醸し出すバッグ。金具もわざと錆びさせてから使用しています。古着人気が復活していますし、ヴィンテージ感の表現が支持を集めそうですね。スリッパは姫路の白なめし革がベース。シンプルに塩と菜種油と水のみで鞣されているため、染液を非常によく吸収する特性を生かし、コーヒー豆の出がらしを使って革を染めています。コーヒー豆を入れたお手だまもユニークです。

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ギフトとしても人気が高いベビー、キッズ向けのアイテムも多く寄せられました。知育玩具、パズルやぬいぐるみ、クリスマスオーナメント・・・とさまざま。

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「子どもたちに日本の革と革のものづくりの魅力を知ってほしい」そんなつくり手たちのあたたかな想いが伝わってきます。

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端革・残革のアップサイクルや、キズなどの目立つ革を生かした製品開発も着々。原皮が貴重になりつつある現状をとらえ、レザーを無駄なく使う試みも大きな流れですね。

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審査会場では恒例企画「LEATHER WORLD(レザーワールド)」も。さまざまなレザー素材を展示。

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レザーの魅力を実際に見て、触って、感じることができる展示に加え、皮革素材、革製品の完成までのプロセスを解説する動画を無料上映。とても好評でした。

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昨年から2段階審査を採用、1次審査の集計が終わり、約100点が選出。「Japan Leather Award 2017」オフィシャルサイトにて10月13日(金)、発表されます。

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2次審査会は10月28日(土)~29日(日)の2日間、東京・神田 マーチエキュート神田万世橋での開催です。長濱雅彦審査員長、ドン小西特別審査員にデザイナー、ディレクター、バイヤーなどで構成されたプロ審査員9名が加わり、審査後全員の協議により、各賞、グランプリを決定(なお、協議の結果、各賞を該当なしとする場合もあります)!

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2次審査会もユーザー参加型イベントとなっており、一般公開されます。来場者に好きな作品1点に投票をしていただき、東京会場人気No.1の作品を決定。

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投票に参加した先着150名のかたには特製レザーのペンケースをプレゼント(1次審査会と同様です)。上質な革を贅沢に使用し、国内の職人が今回のためだけに仕上げた特注(非売品)です。なくなり次第終了となりますので、どうぞ、お早めに。詳細につきましては、「Japan Leather Award 2017」オフィシャルサイトをご覧ください。



■ 参考URL ■

 Japan Leather Award 2017 <http://award.jlia.or.jp/2017/>


プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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