欧米ブランドに「負けていないぞ!」

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」 の記事

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

お待たせしました。月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」2019年第1弾の公開です。
ご好評いただいている革業界周辺の職業紹介シリーズが最終回。「刃型屋」さんで締めくくります。

通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、昨年の春から、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが加わりました。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。

★イベント開催情報★
この春も横浜で開催される人気イベント「素材博覧会」に革日和ブースの出展が決定! 2月15日(金)から3日間行われます。今回の「革日和ブース出展 in 素材博覧会 横浜」
は6社が出展。レザークラフト体験ワークショップも開催予定です。詳しくは下記リンク先をチェックしてください

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毎度です! 人生が108回あるならば8回くらいは刃型屋やりたいな、と思っているムラキです。
長々と話してきた革にまつわる加工業の話ですがとりあえず今回で最終回です。

で、トリを務める刃型屋は思い入れたっぷりに紹介します。
私が革業界で生きている理由の2割位は刃型という工具が大好きだからです( ´∀`)bグッ! 刃型はそれくらい工具として面白い!

刃型ってどんな工具?

イメージとしては巨大で頑丈なカッターナイフの刃を折り曲げて溶接したものだと思ってください。あるいは、ものすごく頑丈なクッキー型ですね。
これを以前紹介した裁断師がクリッカーという工具で裁断していきます。

「人に話したくなる革の話」 革を裁断する仕事「裁断師」の世界

クッキーの抜き型でクッキー生地を抜くことで同じ形が何個も何個もできます。
刃型で革を裁断することで同じ形が何個も何個も裁断できます。

量産に欠かせない工具、それが刃型です。

 

どうやって作られるの?

なんと手作業で1つ1つ折り曲げていきます。

コツコツと曲げていき一つひとつを溶接していきます。

完全に型紙通りに作れるの?

刃型職人の腕前と素材次第です。
難しいのは「直角」に作ることと「平行」に作ること。

例えば、下のようなドーナッツの刃型はなかなか難しいです。
円形という誰が見ても歪みがわかりやすい形&同じように平行に配置しないと狂いがわかりやすい、というドーナッツ形状は見た目以上に難しい刃型です。

大きなもの、例えばカバンの型紙などは大きい形なので、多少狂っていても製作の際にリカバリーがききます。財布などは小さいパーツだけに1mm狂っていても違和感を感じますね。

刃型に使われる鋼材は「スウェーデン鋼(すうぇーでんこう)」と呼ばれるものを使います。スウェーデン鋼にも切れ味の良いもの、悪いものなどが存在し、それは刃型会社がどれを使うかによって異なります。
スウェーデン鋼以外にも火造り用の鋼やトムソン鋼なども存在します。
これらを適材適所で使い分けていきます。

値段はいくらくらいかかるものなの?

材料費よりも職人さんの時間工賃で値段は算出されると思ってください。
そのため、「大きいから高い」よりも「手が込んでいるものであればあるほど高く」なります。単純な40cm×20cmの長方形の刃型よりも、5cm四方の桜の花型の刃型のほうがはるかに値段は高くなります。

例えば、下の桜の刃型は「全く狂いなく作ってほしい」と依頼しました。そのため手で曲げるのではなく、彫刻刃型で作っています。

彫刻刃型は、「金属の無垢の塊からCNCで削り出して先端を尖らせて刃型を作る」というものです。CNCで作るため1mmの狂いなくできます。その分値段は高めです。(3万円ほどかかるんじゃないかなぁ)


他にも、

・穴をあけるハトメ抜きが追加されると1本あたり600円ほど追加される>刃型の話をしよう:ピンと穴あけポンチの違い | phoenix blog

・外側よりも内側にえぐりこむようなカーブがあると手間賃が追加される

・長い平行の刃型を作ると高くなる

・完全な円を作ってもらうと高くなる

・溶接箇所が増えると高くなる


・ベルトのバックルにピッタリと埋め込みたいので0.2mmのズレもなく作ってほしい、と言うと高くなる


などなど、さまざまな条件で値段は高くなります。

見ているだけで大変そうなベルト穴

例えば、下の写真は「ゲタ刃型」と呼ばれているものです。


こちらの品は金属をゲタのように組みあげ、そこに刃型を埋め込んでいます。この上にベルトの端っこを置いて裁断するとベルトの端っこにつけるようにベルトバックル用の穴が空き、ホックを止めるための穴も4つ開けてくれる。さらにはベルトの端を直角ではなく、少し丸めてくれる、という大変便利な工具です。

ここで使われているベルト穴などは、下の写真右側から左側に向かって作っていきます。

 

1 必要となるベルト穴の長さを計算し、それ近い直径の金属の円柱を用意する
2 穴をあけていく
3 パイプ状にする
4 ナナメに角度をつける
5 該当するベルト穴に潰していき、焼きを入れてヤスリがけをして刃を付けていく

このように非常に手間暇がかかっています。
ですので、こういうベルト穴部分が1つ増えると問答無用で+10,000円ほどしますね。

刃型の話をしよう:穴も空けてくれる刃型は注意点がいっぱい。バックル穴はめさ高くなる | phoenix blog

裁断するためにはクリッカーが必須なの?

クリッカー以外にも手で裁断する方法も一応あります。
その場合は、ひたすらガンガン叩くよりもどれだけしっかりした土台で作業するか・きっちり保持するかのほうが重要になります。
また、対象とする革の厚みなどにも難易度は左右されます。

革以外は使えないの?

布地も裁断できますが、糸1本だけ残ることもあります。
紙や薄いプラスチック、フェルトなどは裁断できます。

布を刃型で裁断可能なのか、という話 | phoenix blog

応用性は高いの?

ご自身のアイディア次第です。
例えば、上にあげたベルト用のゲタ刃型は高くつきますが、下の写真にあるように「20mm幅のベルトの端っこを丸くするためだけの刃型」ならば、それほどお金はかかりません。数千円レベルです。

どこで頼めばいいの?

当ブログでは、「ここにあるよ」などお答えができません。私個人もできません。
ネットで検索していただくか、私が働いているレザークラフトフェニックスで代行もしています。

どれくらい高いの?頼むときに何に気をつけばいいの?

お願いする職人さんや難易度、使用する鋼材によっても異なります。
頼む際には、次の点に注意しておいてください。


・自分で切った型紙を持っていく。型紙に出ている歪みや直角のズレなども再現されます。


・刃型屋さんによってはCADやイラストレーターで作った型紙のほうがありがたい、という会社もありますし、「パソコンなんて触れないから印刷したもの持ってきて」というところもあります。


・印刷する場合は厚紙に貼って提出してください。カレンダーの裏を利用、などでは紙が薄いですね。


・裁断する革の種類や厚み。裁断する方法や機械も伝えたほうが話はスムーズに行くかもしれません。


刃型屋さんはプロ向けの専門職種です。そのため、「私は何もわかりませんから一から説明してください」という人は嫌がられます。
まぁ、刃型屋さんに限らず問屋や加工業などのプロ向けの職種はおしなべて同じ傾向が見受けられます。

表には出てこないけど、革製品を支える仕事はいろいろとある

今までのシリーズでいろいろと紹介してきました。

「人に話したくなる革の話」革業界周辺の職業紹介シリーズ 「漉き屋」

「人に話したくなる革の話」 あなたが見る革に押されたブランドロゴの影にはこんな苦労がある。箔押し屋という仕事

「人に話したくなる革の話」 革を裁断する仕事「裁断師」の世界

「人に話したくなる革の話」 革を薄くする仕事「漉き割り」の世界

紹介した仕事以外にも、靴には靴独自の専門職種や、カバンやバッグ、財布にもそれぞれ独自の工程が存在します。今後もまた折に触れて紹介していく予定です。


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。今回は、革業界周辺の職業紹介シリーズ「漉き屋」さんの仕事をご紹介。革小物、特に財布づくりに欠かせない、縁の下の力持ち。財布はパーツ、工程数が多いアイテムですが、その仕上がりをよりよくするためになくてはならないプロセスを担っています。

冬至、クリスマスが終わると、迎春ムード一色。「成人の日」のお祝いなどを探すかたのご来店で、財布売り場が活気づく時季ですね。
つくり手、つかい手のかたはもちろん、販売スタッフの皆さんにもご覧いただきたい内容です。製品づくり、手仕事をご理解いただくことで、よりよくおすすめしていただけると思います。

通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、この春から人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが加わりました。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。
なお、「本日は革日和♪」につきましては、下記リンク先をチェックしてください


なお、年内の更新は今回で終了です。新年は1月9日からスタートします。一年、ご愛読いただき、ありがとうございます。2019年もどうぞよろしくお願いいたします。

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毎度です!めっきりと寒くなりました。1か月に1回のお約束、「人に話したくなる革の話」です。

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」 | 欧米ブランドに「負けていないぞ !」 | JLIA 日本皮革産業連合会

さて、ここ数か月はタンナー話が続きました。
以前から書いていた「革業界周辺の職業紹介」シリーズも、残りはもう「漉き屋」と「刃型屋」の2つです。どちらを紹介しようかなぁ

「ムラキさん、春になると春財布ということで財布の需要が高まります。ですので漉きと財布の話をしていただけるとありがたいですね」

あぁ、なるほど。そらごもっともですわ。

それでは今回は革業界にはなくてはならない「漉き」という工程と、それを専門とする「漉き屋」という仕事を紹介しましょう。


漉きという工程

布をやっている人からみて革という素材はどうしてもハードルが高く感じられます。
値段が高い・切り売りしてもらえない・流れが複雑などもあります。その中でも、この「漉き」という工程は布業界の人が聞くと「えっ!そんなめんどくさいことしているの、革の世界は!」と驚かれることがよくあります。

どういう工程か?

革は厚みがあり、パシッとした張りがあります。
そのため端っこや真ん中部分の厚みを薄くすることで曲げやすくしてあげる工程。これが「漉き」です。

以前見た漉き割りとは違うの?

以前こちらのblogでも紹介した「漉き割り」とはまた違う工程となります。

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」 革を薄くする仕事「漉き割り」の世界 | 欧米ブランドに「負けていないぞ !」 | JLIA 日本皮革産業連合会

漉き割=全体を均一に薄くする
漉き=端っこや真ん中などを均一、もしくはイビツに薄くする

どうやるの?

高速回転している刃に入れることで上と下に分割します。

手では出来ないの?

機械でやるほうが早く、美しくできます。

漉きに違いがあるの?

漉きに使う機械を「漉き機」と言います。新品で購入しても30万円ほどで揃うのですが、こちらの品は「買えば全部できるよ」というものでもありません。

漉きの工程にはさまざまな種類が存在し、それぞれに見合ったアタッチメント=「押さえ」を使い、革に合わせて漉き機の微調整が必要となります。

(鞄・ハンドバッグ・小物 標準用語集より)


(動画あり)「鞄・ハンドバッグ・小物 標準用語集 」: レザークラフト・フェニックス

ベタ漉き...全体を均一に薄くします。


ヘリ漉き...ヘリ返し、と呼ばれる鞄や靴に多用される革の端っこ部分を薄くします。


ヘリ下漉き...ナナメ漉き、とも呼びます。バッグや袋物で内縫いをしてグルンとひっくり返す際に使います。


折れ漉き・溝漉き...中漉きとも呼ばれ、財布の外側部分の真ん中などに多用されます。これによりスムーズに曲がります。

例えば斜め漉き

上記写真で書かれている「ヘリ下漉き(別称:ナゾエ漉き)」ですが、私は普段は斜め漉きと呼んでいます。見た目通りナナメに薄く削ぎ落として薄くしています。

この斜め漉きは内縫いのハンドバッグや財布などに多様されます。
内縫いは2枚のパーツを表で貼り合わせて縫う。くるっと表にひっくり返します。単純な工程ですね。

が、革の場合は厚みと革の表面の張りやコシがあります。
ナナメ漉きをすることで内縫いをひっくり返しやすくします。

下記に2種試してみました。

・漉きをしていないもの
・端の厚み 0.5mm ナナメの幅が15mm

の2種です。
これを内縫いしてひっくり返した写真を見てましょう。

漉きをしていないものは論外ですね。
カーブがきれいに出ていません。

それに対してナナメ漉きをしたパーツは緩やかなカーブを形成しています。

このような緩やかなカーブを出すためにもナナメ漉きは重要な工程なわけです。

毎回同じ結果が出るとは限らないのが漉きという工程

問題はこのナナメ漉きという工程は非常に再現性が難しいということです。

今回使った革は合成タンニン鞣しの1.6mmの革を使いました。
が、これが鞣しや厚み、革を購入した会社が異なると、漉きを同じ設定でしたとしても、バッグにした際に同じカーブが出るとは限りません。
さらに言うなら、同じ革を購入していても春購入したものと秋購入したものでは微妙に革のコシと張りが変わる可能性があります。

毎回同じようなカーブを再現できるとは限らないわけです。

「えっ!安定性がないの!?」

そう、革という素材は品質も供給も全く安定性がないんですよ!
前回と同じ設定なんだから同じ漉きができて、バッグのカーブも同じカーブができるなんて保証は一切無い。それが革という素材の面白くて恐ろしいところです。

ここらの素材の安定性がない、という話は過去にも裁断師の話で紹介しています。

2018年7月25日の記事 | 欧米ブランドに「負けていないぞ !」 | JLIA 日本皮革産業連合会

これらの素材の不安定性さを見極めた上で、技術を必要とするのが漉きという工程です。

「そんなに難しいんですか。じゃぁどうすればいいんですか!」

そのために存在するのが今回ご紹介する漉き屋さんです。

漉き屋という仕事

漉き屋さんはこの「部分的な漉きをやる」というのがメインな仕事です。
サブの仕事としてはバンドマシンを使った幅20cm程度までの漉き割りも行います。

漉き屋という加工屋はどれくらいの数存在するのか

人づてに色々聞いていますが、東京と大阪あわせておそらく20件弱と思われます。兵庫県でおそらく数件。他の地域は難しいですね。

漉き屋という仕事は加工業です。言い方悪いですが、自分たち自身で商品を作るのではなく、商品を作っているメーカーさんから「漉き」の仕事だけをもらってお金を稼ぐ加工業です。

加工業は仕事を取ってくるメーカーさんのそばで仕事をしないとお金は稼げません。靴やカバンなどのメーカーがない地域では商売がしづらいわけです。

仮にこのblogを読んだ人が「よぅし、僕は漉きの仕事を極めて、故郷の札幌or沖縄なりで加工業をやるぞ!」と思っても、稼ぐのは難しいわけですね。

漉き機という仕事で家族を養う

漉き機という機械ですが30万円程度で新品を購入可能です。
この機械だけでも昔は家族を養えました。現在はこれ以外にもバンドマシンという機械がないとちょっと生きづらいですね。

漉き屋という機械1台購入で終わる、という仕事でもない

漉きという工程は前述しているナナメ漉きやヘリ漉きなどがありますが、機械に装着するアタッチメント=押さえは長さが異なる基本的な4種類ほどしかありません。

これを漉き屋さんは自分たちでグライダーで削って加工します。
望んだ形状にするために4種の押さえで漉き加工は可能ですが、「いちいち手作業するよりも押さえを加工したほうが手間かかるけど、安定性を維持できる」と判断したならば押さえを削っていきます。

このようにして加工した押さえが何十個もあるわけです。

「どのようにすれば望んだ形状になる」という知識と技術、両方がなければ美しい漉きはできないわけです。

漉きが一番細かい業界は財布業界

革業界の中でもこの漉きが一番細かいのは財布業界です。
カバンなどは大きいので、1mmなり2mmなり寸法が狂っていても色々な箇所で微調整や修正ができます。靴はカバンほど大きくないのですが、吊り込み工程で木型に合わせる、という作業ができますので1mmなり2mm程度の誤差は微調整が可能です。

財布はカバンと違い小さいため、微妙な誤差が目立ちます。また、靴のように吊り込み工程で木型に沿わせることができないので微調整がしづらいわけです。

「そんな1mm程度のズレなんてたいしたことないだろ?」と思われがちですが、ぶっちゃけ、一般消費者でも財布の1mmのズレは気づきます。

例えば下記写真は財布を作っている最中のパーツです。カードを入れる部分を「見込み」、土台部分を「カード台」といいますが、この見込みとカード台が3枚重ねる際に1mmナナメにずれただけで消費者は気づきます。0.5mm狂うと作り手は気づきます。人間の目ってのは結構優秀です。

漉き工程はこのような0.5mmのズレを許さない財布業界ではとても重要な工程となります。

春財布ってなに?

3月なり4月の春のシーズンに財布を買うと「お財布がパンパンに張るほどお金がはいる」という縁起担ぎですね。メーカーさんにもよりますが、今の時期くらいから春に向けて財布メーカーさんは忙しくなりますね。

漉き屋さん、行ってみたい!どこにあるか教えて!

基本的に業者さん向けの専門職種となり、気軽に見学などができる場所でもありません。そのためどこにあるのか、取引できるのか、などのお問い合わせはご遠慮ください。

漉き屋さんも皮革業界を支える縁の下の力持ち的な商売です。

皮革業界はこのような加工職種が多数存在する業界です。
専門職種ですし、現存数も少ない職種のため目立たないといや目立たない仕事ですが、なくてはならない仕事となっています。


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。今回は、「姫路城皮革フェスティバル」と「ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつり」をレポート。超充実! 盛りだくさんの内容となっています。来週、12月6日からは「東京レザーフェア」(東京・浅草 都立産業貿易センター)、そして、
TATSUNO LEATHERのPRイベント「PENET」(東京・蔵前 CAMERA)も開催予定です。村木さんのレポートを予習復習としてお役立てください。

通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、この春から人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが加わりました。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。
なお、「本日は革日和♪」では、バスツアーなど、さまざまな予定が目白押し! 詳細につきましては、本エントリ文末の近況報告および、下記リンク先をチェックしてください


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毎度です!
職人 兼 革材料店 兼 革ブロガー 兼 今月はツアーコンダクターのムラキです。

兵庫県の姫路市とたつの市と隣り合う2つの市にはタンナーさんが100以上存在します。
毎年11月頃には姫路市・たつの市両方で皮革のお祭りが開催されています。
今回両方を訪れましたのでそれぞれの見どころなどを解説してみましょう。

また、同時開催でタンナーバスツアーというものを個人的に開催しているのでその紹介もしてみましょう。

なぜ姫路市たつの市に革を作るタンナーさんが多いのか?

過去にblogで紹介していますのでご覧くださいな。

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」姫路&たつので皮革がつくられる理由 | 欧米ブランドに「負けていないぞ !」 | JLIA 日本皮革産業連合会

また、下記サイトでも解説されています。

背景と歴史 - 兵庫県皮革産業協同組合連合会

姫路城皮革フェスティバル2018

10月31日(水)~11月4日(日)には、「姫路城皮革フェスティバル2018」が姫路城の前の公園にて開催されます。

兵庫県皮革産業協同組合連合会による開催となっています。

姫路城皮革フェスティバル2018目玉は

皮革フェスティバルでは姫路市のタンナーさんによる皮革素材の直売が行われています。
販売されている方は実際のタンナーさん自身が行っていますので、それぞれの革の特徴などを聞くこともできます。

当日は革製品の販売もありますが、体験型ワークショップも例年数多く行われています。お子様連れにもぴったりです☆

また、姫路城前公園で行われますので姫路駅から徒歩10分ほど、という行きやすい場所にあります。晴れの日には姫路城がくっきりはっきりと見えます。

同時に姫路を中心に兵庫県下の菓子が集まる「第10回姫路菓子まつり」と、全国30以上の産地から集まった選りすぐりの陶器を販売する「第31回全国陶器市」も同時開催されていました。

 

ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつり

11月16日(金)・17日(土)には、「ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつり」がたつの市で開催されます。

こちらも大きなイベントとなっています。

ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつりの目玉は

屋台が出ており地場の食べ物や農作物なども購入可能です。

もちろんタンナーさんによる革素材の直売も行われています。

ニューレザーコンテンスト、と言われるタンナーさんそれぞれの技術が惜しみなく注ぎ込まれた革素材のコンテストが開催されています。

皮革試験所などによる展示や歴史的な展示も行われています。
下記は昔の革なめしの工程で使われていた工具などの資料展示です。

下記は昨年の様子ですが、リーガルコーポレーションさんによる靴のできるまでの資料展示です。

革製品の販売も行われています。

ニューレザーコンテストはここらが面白い!

たつの市皮革祭りを見に行き、タンナーさんを訪れる、というバスツアーを開催してもう5年ほどになります。

ニューレザーコンテストとは、「加工部門」「我が社の一押し部門」などの各部門にタンナーさんそれぞれが「これは!」と思う品を出展し、賞を与える、というコンテストです。

なぜそんなコンテストがあるのか?

革素材屋にも足を突っ込んでいる立場から言うならば、各タンナーさんが技術を注ぎ込んだ面白い革、というのは革素材屋としてはちょっと仕入れづらいわけです。

「一部の人にしか理解されないほど技術の粋を注ぎ込んだ素晴らしい革」、よりも「需要が高く、無難な革」のほうが販売しやすいからです。
もちろん各革屋さんは「いや、この革は素晴らしいからぜひ売りたい!」と仕入れることもありますが、それ以上に多いのは「今年の流行色やテクスチャーはこういうものだからそれに近い革を作ってもらって仕入れよう」と考えるわけです。

で、このコンテストでは、「革素材屋にアピールする意味合いもあるけど、それ以上にうちの技術をさぁ見てくれ!」というアピールをする場でもあります。

ですので、見ていると「えっ!こんなことできるの!?」というような革も多数展示されています。

展示方法はこのように行われています。

例えば各賞を受賞されるとこのようにズラリと展示されて、「この革は~~のタンナーさんが作りました」と紹介されます。

受賞されなかった革はこのように2Fのテラスにぶら下げて展示されます。

記載されている情報は

・どの部門か
・展示番号
・色落ち検査の結果
・用途

などが書かれています。

「どのタンナーさんが作ったのか」などは書かれていません。
タンナーさんが書かれていないのは審査する時に公平性を保つためです。
審査員が「あ、この革は~~のタンナーさんが作ったのか。それじゃ、ここは昨年受賞したから今年は遠慮してもらおう」などという不公平さをなくすためですね。

また革によっては「販売可能」なども書かれています。
これは「1枚からでも売るよ!」という意味合いではなく、「当社はこういう革が作れますが、ミニマム20枚なり50枚は覚悟してね」という意味です。
入り口で展示番号と出展タンナーさんの住所なども書かれたリストが渡されます。
ですので、革素材屋なり鞄メーカーなり靴メーカーなりは見に行くとすごく面白いかと思います。

ニューレザーコンテストは前知識がないと面白さが半減されてしまう

このたつの皮革祭りを見てタンナーさんを2社巡る、というバスツアーを開催してもう5年ほどとなります。

「タンナーさんを実際に見てみたい!」という人に応えるため、というのもありますが、「ニューレザーコンテストはこういう点が見どころがある」という解説をし、知ってもらいたい、という意味合いもあります。それくらい革製品が好きな方や革製品販売、製作されている方が見ると面白いコンテストとなっています。

その一方で、このコンテストは見方がわからないと面白さが伝わりません。

例えば、、、

下記は「成牛革で我が社の一押し革」部門の徳永剛三製革所さんが作られた革です。
黒の革ですが、手袋用で防水加工を施し、導電性能も与えられています。スマホなどをいじれる手袋を作るには革素材の段階から考えなきゃいけないし、そういう工夫をしているタンナーさんもいる、ということがわかります。

例えば、、、
こちらは「高度加工成牛革」部門で受賞されたアルファレザーさんの革です。
革を作る段階で「表面に傷がある!でも何かしら加工しないと元の牛にも申し訳ないし、これでもお金稼がなきゃいけないし」というB反というものは必ず出ます。生じます。
高度加工成牛革部門とは、それらB反を手間暇かけてどのようにお金に変えるかという技術を見せる、すごく面白い部門です。

その中でもアルファレザーさんは「革の表面=吟面に汚れなり傷があるのはしょうがない。よし、それなら裏表逆に使おう!裏面を2色に染めて金箔をランダムに貼ろう!」というとても手間暇かかっている革です。

革素材屋の立場的に言うならば、「すごく手間暇かかっているし、個人的に好きだけど、素材店で売るには勇気がいるなぁ、これ。。でもすごい!」と思った革です。

例えば、、、

こちらは「高度加工・中小牛・馬・床革・その他革」部門のV.Lナカシマさんが作った革です。
ヌメ革に型押ししてアンチック、メタリックアンチックなど鮮やかに染め、型押しをしています。型押しをした後に凸凹の凸部分のみに金箔を貼っています。そのため写真で伝わらない立体感とキラキラとした鮮やかさと艶やかさが存在します。

と、このような革が50枚以上出展されています。
すべての革はどこで作られたかがわかるようになっています。

これらを見ると、「あぁ、日本のタンナーさんっていろいろな技術もっているんだな!」と感服します。写真ではだめなんです。実際に手に取らないと質感や鮮やかさはわかりません。

これらの革で受賞されたものだけは東京で12月6日(木)・7日(金)に開催される東京レザーフェアでも展示されますので興味ある方はご覧ください。

TLF 東京レザーフェア - 革の展示

受賞された革だけ、ですので、下記のような革が展示されている、はずです。

タンナーバスツアーってどんなもの?

ムラキ個人が開催しているものですが、今回は姫路市花田の新喜皮革さんと高木のオールマイティーさんの2社を訪問しました。

姫路駅集合、姫路駅解散ですので東京や山口の方も参加されていました。

「バスツアーとかあるなら情報ほしい」と思われましたら革日和メールマガジンに登録していただくか、facebookを見ておいてくださいな。

新喜皮革さん

馬革やコードバンで有名な会社さんです。当日は専務自らが解説してくださり、コードバンのグレージング加工(艶出し)も見学させていただきました。

新喜皮革さんは春には工場見学や自社製品展示販売などを行っていられます。

新喜皮革 :

オールマイティーさん

オールマイティーさんは、「1枚からオリジナル革を作ります」というとんでもないタンナーさんです。

レザー素材オリジナル受注生産|姫路の皮革・革素材/タンナー オールマイティ

当日は社長自らがどのように行っているのかを解説していただきました。
イノシシや鹿などの昨今日本列島で問題になっている鳥獣被害からの革の有効活用や、ダチョウなどの革を実際に見ながら解説していただきました。

バスツアーでは「1枚から受注というのはどういう意味か」「こういう点を気をつけて取引しましょう」などの解説も行いました。

日本のタンナーって結構すごい

日本の革の鞣し技術は結構、すごい!、です。
ただ、前述していますように、革素材屋としてはどうしても需要が高い革を優先的に仕入れて販売せざるを得ません。

ニューレザーコンテストにしても各タンナーのリストが手渡され、展示されている革には「販売可能」かどうかも書かれています。
役員の方に「販売可能、って書かれていると革屋さんは嫌な顔しないんですか?」と遠慮なく聞いたところ、「革屋さんが昔ほど買ってくれないからだよ(;´д`)」と言われました。(´・ω・`)

各タンナーさんと直接話しができたり、見聞きできる姫路城皮革フェスティバルやひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつりは、なかなか貴重な機会ですので興味ある方はぜひ行ってみてくださいな。


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。
今回は、「姫路城皮革フェスティバル」と「ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつり」の徹底ガイド。ご自身が製造、皮革・素材の販売、イベント運営に携わっているので、クリエイター視点が生かされた、つくり手ファーストな内容になっています。

通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、この春から人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが加わりました。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。
なお、「本日は革日和♪」では、バスツアーなど、さまざまな予定が目白押し! 詳細につきましては、本エントリ文末の近況報告および、下記リンク先をチェックしてください。


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毎度です!

毎回毎回冒頭の挨拶は「毎度です!」ですが、普段もこの言葉を使っています。相手が大阪の人だろうが東京の人だろうが、電話でも最初に言うのは「毎度です」の一言です。色々な意味で便利な一言ですよ、「毎度です」ってのは。

さて、10月31日(水)~11月4日(日)には「姫路城皮革フェスティバル2018」、11月16日(金)・17日(土)には「ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつり」が開催されます。同時期の開催となりますが、それぞれのイベントには違いがあります。過去にはレポートを載せていますので紹介してみましょう。


姫路城皮革フェスティバル2018

 公式フェイスブックページ:姫路皮革製品推進協議会


「姫路皮革フェスティバル2018」は姫路城公園の大手前公園にて行われているイベントです。皮革をつくるタンナーさんが直接、つくった革素材を販売しています。販売しているひとたちが実際に革素材をつくっているひとたちです。もし「革がどのようにつくられているのか」などに興味をもたれましたら、直接話してみてください。

過去にブログで紹介していますので当日のようすをご覧ください

姫路城皮革フェスティバル2017に行ってきた 11/1~11/5(日) | phoenix blog

当日は各種ワークショップも行われます。

姫路城皮革フェスティバルにてワークショップをやらせていただきます❗️
今年はキーホルダー🗝
ヌメ革に刻印シートを使って、型を付けて行きます😲
ご自身のお名前や家族やお友達とお揃いで♬
オリジナルのプレゼントにも最適🎁
ペットの名前を入れても素敵ですよ🐶
刻印部分へヌメ革を使い、金具との繋ぐ部分は好きな色の革を選んで頂けます❗️
完全オリジナルのネームタグを作ってみませんか❓

昨年のようす

開催時期

10月31日(水)~11月4日(日) 10:00~17:00

開催場所

アクセス

姫路駅を降りてお城に向かってテクテクと歩ける距離です。歩いて10分弱くらいです。
周辺に駐車場もちらほらとありますが、イベント期間中は渋滞しがちです。
天気がいいならばお城を眺めつつ、ちょっと離れた駐車場に停めてテクテク歩くのもおすすめです。
当日同時開催イベント
当日は姫路城皮革フェスティバル以外にも、「 全国陶器市」「 姫路菓子まつり」が同大手前公園会場で行われています。
こちらも見学すると2時間くらいはあっという間にたってしまいますのでお気をつけください。


ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつり

 たつの市皮革まつり&ひょうご皮革総合フェアのお知らせ


こちらは11月16日(金)・17日(土)に開催されます。
こちらではニューレザーコンテストと呼ばれる革の展示会が開催されます。
これは たつの市、 姫路市のタンナーさん達が技術の粋を凝らした革をコンテスト出展しています。
革の製造は職人技以外にも美術的なセンスも要求されます。普段市場に出回る革製品に使われる革はどうしても一般的な革が多いのですが、会場を見ていると「こんなアーティステイックな革も作れるのか!」と驚きます。
会場では各コンテスト作品はどこのタンナーが作ったのかがわかるリストも配布されます。
昨年の当blogでもイベント当日の模様を紹介していますので興味ある方はぜひ見てくださいな。

「ひょうご皮革総合フェア」&「たつの市皮革まつり」レポート | 欧米ブランドに「負けていないぞ !」 | JLIA 日本皮革産業連合会

昨年の様子

開催時期

2018年11月17日(土) 10:00~17:00
     18日(日) 09:00~16:00

開催場所

アクセス

公益財団法人童謡の里龍野文化振興財団 - たつの市総合文化会館 赤とんぼ文化ホール

 車でお越しの場合
  • 山陽自動車道「龍野IC」より西へ3分
  • 国道2号太子・龍野バイパス「福田ランプ」より、国道179号を北へ約10分
  • 国道2号太子・龍野バイパス「門前西交差点」を北へ約8分
  • 中国自動車道「山崎IC」より、国道179号を南へ約40分
 電車でお越しの場合
  • JR姫新線「本竜野」駅下車、タクシーで約5分、または徒歩で約25分
  • JR山陽本線「竜野」駅下車、タクシーで約15分

当日同時開催イベント

たつの市/ひょうご皮革総合フェア2018&第27回たつの市皮革まつり

ベストレザーニスト2018「俳優 吉沢悠さん」「女優・タレント 岡田結実さん」によるトークショー
レザーファッションショー
皮革製品即売会
皮革直売会、レザークラフト教室
革細工体験コーナー
学生による皮革作品の展示

行ってみたいけど遠いなぁ、、という方は私が主催しているバスツアーなども毎年開催しています(毎年早々に満席となってしまいます)。

2018たつの市皮革まつり&タンナー見学バスツアー 2018年11月17日(兵庫県)

「遠距離だけど行ってみたいなぁ」という方はメールマガジンなどに登録しておいてください。姫路駅集合姫路駅解散で、ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつりを見学して、タンナーを2社見学する濃いツアーとなっています。姫路駅集合姫路駅解散ですと遠隔の方も参加しやすいと思いますので。

MailMagazine | 本日は革日和♪

なぜ姫路市たつの市にタンナーは多いの?

過去に下記blogで解説していますのでぜひご覧ください。

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」姫路&たつので皮革がつくられる理由 | 欧米ブランドに「負けていないぞ !」 | JLIA 日本皮革産業連合会

ムラキの近況報告

・10月は毎週3連続で革日和イベントを行っていました。昨年も3連続でイベントやってぐったりしていますね(ヽ´ω`)

・11月は上記にあげたバスツアーを行います。多分来年春も姫路たつのタンナー巡るバスツアーを開催予定です。

・イベントに出た縁で東京でもバスツアーできそうだな、という手応えも。

・この1か月ほどで家庭で使える漉き機や、家庭でレザークラフトをする際に音をたてない工具などが発表・発売されます。革細工もずいぶんと一般的になりありがたい限りです。

レザークラフトって結構気軽に始められますので広まってほしいものですね。


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。今回は、「Japan Leather Award(ジャパンレザーアワード)」に作品を応募したほうがいいし、イベントを見たほうがいいよ、とすすめる理由をズバリ提言!

日本製革製品のコンペティションとして国内最大規模を誇り、すっかりお馴染みとなった同アワード。
昨年度と今年度の変更点、比較を関西エリアはもちろん、全国各地のつくり手の皆さんからのヒアリングを交え、独自の視点で徹底解説。

ご自身が製造、皮革・素材の販売、イベント運営に携わっているからこそ、のリアルな内容です。ぜひ、ご覧ください。

通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、この春から人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが加わりました。
イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。
当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。

なお、「本日は革日和♪」は東京・新宿で10月6日(土)~8日(月・祝)に開催。ワークショップ&セミナーは日程が異なり、9月29日(土)~30日(日)となっています。詳細につきましては、下記リンク先をチェックしてください。



*  *  *


毎度です! 大阪の歌って踊れる革職人がモットーのムラキです。

毎年恒例の「Japan Leather Award」の審査会。これまでは大阪でしたが、今年は9月28日(金)~29(土)、東京・二子玉川 iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズにて開催されます。


Japan Leather Award 2018 | ジャパン レザー アワード 2018


今回は、「このイベントはなぜ行っているのか」「作り手ならば出して損ないよ」というような話をしてみましょう。
「ムラキさん、好きに書いていいよ!」と言われているので、遠慮なく書いてみましょう。



ジャパンレザーアワードってなに?

ジャパンレザーアワードは、一般社団法人 日本皮革産業連合会(JLIA)により行われている「国内最大規模のレザープロダクトコンペティション」、です。

JLIAは、「皮革および皮革製品の生産・流通・貿易に関する各種施策の総合調整・技術開発・普及啓発などを実施することにより、皮革産業の総合的な振興・発展および連帯強化を図り、もって我が国産業の発展および国民生活文化の向上に寄与することを目的に、1986年に設立された総合団体」(JLIAホームページより)。革をより知ってもらうためにもさまざまな試みを行っており、このジャパンレザーアワードはその一環ですね。



出しているのはプロばっかり?

千差万別です。
プロの人もいるし、趣味の人もいるし、アマチュアの人もいるし。

個人的にはプロだからと言って良いものができるとも限りません。
私が教わった先生なんかは「素人や趣味の人のほうがいいもの作るぞ。時間や投下資本、嫁さん子供を養う、という計算ないほうが贅沢なモノ作れるんだよ」と言っていたくらいですから。



どんな作品が並ぶの?

革を使っているならばなんでも。
靴、鞄、財布などから、ウェアやおもちゃ、美術作品まで出展されました。



参加費用は?

無料です。作品を送る送料はかかりますが、返送料はかかりません。
また、審査会・展示会で行われる作品応募者限定の「交流会」は無料で参加可能です。



生々しい話、どうせ審査員の身内とかが受かるんでしょ?

過去において受賞した方には革メーカーや職人ではなく、彫金の人が受かったこともあります。


2014年 受賞作品 | Japan Leather Award 2014 | ジャパン レザー アワード 2014


こちらの作品は革の職人ではなく、彫金の方でしたね。
受賞された本人自身が「革の職人じゃないけどいいの!?」と驚いていたのが印象的でした。

ファッション雑貨部門 吉野真由(ギャラリークレハ)


また、審査員も「皮革業界の偉い人」ではなく、アパレルなり、ブランドデザイナーなどが多いです。


今年のレザーアワードについて | Japan Leather Award 2018 | ジャパン レザー アワード 2018


そのため身内贔屓もできません。



受賞したらなにか得があるの?

・賞金が出ます。
・グランプリを受賞したら
「PR動画を作ってもらえる」「 ルミネ新宿2での2週間限定の販売サポート」「人気雑誌1誌に掲載」のどれか1つが副賞として贈呈。

これらは表に出ているメリットです。あまり表に出ていないメリットとしては下記があげられます。


・受賞後、皮革産業連合会のイベントに参加しやすくなったり、ジャパンレザーアワードのtwitterfacebookJLIA 日本皮革産業連合会のfacebookなどで告知してもらえる


このメリットですが、担当の人に「以前受賞した~~ですが、今度こういうイベントするんです。これが告知ページです。宣伝してください」といえば上記で告知してくれます。

で、上記までは受賞しないと得られないメリット。


私が常々「受賞できなくてもいいから、出しておいたほうが良いよ。こういうメリットあるから」と伝えるのが下記3点。


・作品応募すると、受賞しなくてもプロが3枚写真を撮ってくれて、ネット上で全作品紹介してくれて、しかもそれをちゃんと残してくれている。


この際に、facebook/twitter/Instagrmなどの各種SNSのアカウントも載せてもらえます。
試しに今年の応募作品一覧を見てみてください。


応募作品 | Japan Leather Award 2018 | ジャパン レザー アワード 2018


このレベルの全作品紹介をいつまでも載せていてくれます。
例えば下記は2014年の全応募作品です。


全応募作品紹介 | Japan Leather Award 2014 | ジャパン レザー アワード 2014

このメリットはなにげにデカイです。
「4年前のジャパンレザーアワードのwebでの応募作品紹介を見た人から注文が来た」という話も聞いています。


もう一つのメリットは

・交流会がある

という点です。
2時間弱しかありませんが、貴重な機会です。
普段革の作り手同士でしゃべることが少なかったり、同じようなメンツばかりで喋ることが多いかと思います。交流会では全然知らない作り手さんと喋れます。

初期は、「さぁ、交流会開いたよ。作品応募者同士で勝手に喋って」という困った交流会でした。
(まぁ、あのときに声かけた靴製作者さんとは未だに交流が個人的にもあります。)


最近は応募者ひとりひとりに応募作品番号・応募作品写真を掲載した名札を渡してくれたり、交流会出席者のPRコーナーやPR冊子を作るなど色々と出席者同士で会話ができるように工夫してくれています。


今年運営サイドに望むのは、審査員がどの応募作品を推していたかを記録し、その作品応募者が交流会に来ているならば審査員と応募者をきちんと結びつけてあげてほしいものです。
作り手って普段人から評価されることがないので貴重な機会なんですよ。


最後の一つは、

・展示会来場者のコメントをまとめて送ってくれる

です。


今回も、来場者には「お気に入りの作品にコメントをお書きいただいた方に「革の動物指人形」プレゼント」という試みを行っています。

このコメントは該当する応募者にきちんと届けてくれます。
作り手って普段人からの評価を面と向かってもらいにくいのですごくよい試みだと思います。



生々しい話「受賞したら儲かった」という話あるの?何がメリットなの?

受賞した人を捕まえて「で、儲かった?ウッシッシ」と聞くようにしています。
受賞後バンバン儲かったよ!という人はいないです。
ただ、おもしかった回答は下記のものがあります。


「こういうコンテストで受賞したって別に仕事がバンバン来ませんよ。
でもね、受賞したらジャパンレザーアワードはきちんと展示会してくれてパンフレット作ってくれるんですよ。
そうすると営業先に『今回このような賞、受賞したんですよ』と立派なパンフレット見せるんですよ。
そうすると『あ!この審査員知っているよ!そうか、すごいね』という話に繋がります。
または、授賞式で著名な審査員と一緒に写真映るとそれだけで営業の武器になります。

ジャパンレザーアワードで賞取ったからって仕事は増えません。あくまでこれは"箔"の1枚でしかありません。うちの品はいいんですよ!という 光輝かせる"箔"です。"箔"が1枚5枚10枚と増えたら より光り輝くんですよ!」(メーカー営業担当者 談)


下記はジャパンレザーアワード2016で最終的に作られた受賞作品小冊子です。


「全作品展示してくれているので、そこからfacebookで連絡とって取扱始めましたよ。それは受賞作品ではなかったですね。単純に写真を見て『あ、いいな、これ』と思ったので連絡しました」(セレクトショップ関係者 談)

 


著名な審査員って呼ぶ意味あるの?

いろいろと見てきましたが、著名な審査員はメリット・デメリットあります。
著名であればあるほどアンチファンも増えるのは事実です。テレビに露出すればするほどファンもアンチも増えますから。

デメリットもあると思いますが、それ以上にメリットは大きいかと思います。
ここらの話は過去に書いたので、興味ある方は見てみてください。

ジャパンレザーアワード授賞式を見てきた。 | 本日は革日和♪

 


展示会は応募作品全部が展示されます

昨年度の試みとして、1次・2次と2回に分けて審査されましたが、今年度の審査は1回のみ。審査会でも全作品展示に変更されました。

昨年度1次審査で審査員長、特別審査員の2人が100点を選抜し、2次審査ですべての審査員により選考したのは、

「300点以上の作品を審査するには、1日だけでは審査する時間が足りず、1次審査を行い、絞り込む必要性がある」 

「全作品展示、一般公開という条件に相応しい広さがある会場が東京には少なく、該当していても予約状況により、 使用することが困難」

などの理由があったとか。


が、これは応募者のモチベーションに大きく影響したようです。


過去出展した職人さんや作り手さんから意見を聞いてみたところ・・・

「1次審査で作品を100点に絞り込むことに違和感がある」

「審査員がアパレルなりブランドデザイナーであることはとてもいい。しかし、1次審査の必要性がわかりにくい」

「グランプリを受賞できないのはいいけど、2次審査に残れなかったら恥ずかしいから嫌だ」

などなどと。

これがあったからか、今年度は全作品をiTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズにて展示します。
二子玉川は、東京の高級住宅街にあり、話題のエリア、武蔵小杉とも、あまり離れていないそうで、 関西で例えると、阪神間の西宮西口などと似た印象。立地としてはなかなかよさそうです。



作り手でも革好きな人でも展示会は見たほうがよい

全作品展示会は是非見てもらいたい! 革でなにか作っている人でも革製品が好きな人でもぜひ!
圧巻の眺めです!

何がすごいって全作品実際に触ることが可能です。
裏を見てもokです。
ファスナーでも蓋でもあけてokです。
写真もokです!

個人的には作り手にも革が好きな人にも是非見てもらいたいし、東京方面だけではなく、大阪でも再度行ってほしいものです。

ャパンレザーアワード 2018 全作品展示審査会 9月28日~29日 東京・二子玉川

9月28日(金)~219日(土)は、共通で下記のイベントが開催されます。
革の動物指人形がいらなくても、お気に入りの作品があったらコメント書いてあげてください。コメントがすごく作品応募者の支えになります。 


  • 全応募作品255点の展示
    ※審査のため一部の作品をご覧いただけない場合があります
  • 革素材の展示、皮革・革製品の出来るまでDVDの放映
  • お気に入りの作品にコメントをお書きいただいた方に「革の動物指人形」プレゼント


[ 9月29日(土) 10:00~18:00 ]は全作品展示に加えて下記のイベントも開催されています。

  • 革素材の展示、皮革・革製品の出来るまでDVDの放映
  • お気に入りの作品にコメントをお書きいただいた方に「革の動物指人形」プレゼント
  • 靴磨き芸人 スバル奥野さんによる靴磨きの実演(11:00~/13:00~/14:30~/16:00~)
  • レザーケア相談コーナー(10:00~12:00/13:00~17:00 )
  • 革小物のワークショップ(10:00~限定50個)

 

二子玉川ライズ

 

 

過去の関連ブログ:

プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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