ブレント・ガレス・ロビンソン

11月03日はあなたにとっては何の日ですか? 日本では国民の祝日で、学校や仕事が休みとなる「文化の日」です。そして、日本のクリエイティブな産業の一つである皮革産業にとっては、日本の素晴らしい才能を披露する日でもある。

11月03日は"いいレザーの日"。どうしてこの日が選ばれたかというと、独創的な言語の特徴の組み合わせで、日本語で「いい」は「11」を、「レザー」は、日本語で「03」と発音する音に似ているからである。「の日」の部分は、「日」を意味している。それ故11月03日は、この特別な産業を代表する日となった。

ジャパンレザーアワードは、社団法人 日本皮革産業連合会(JLIA)による年間イベントで、プロだけでなく、アマチュアのレザーニストにとっても彼らの作品を展示するチャンスである。コンテストの参加条件は、日本在住であること、作品は日本でなめしされた革を使っていること。このコンテストは、業界全体の才能を示すものなのである。

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今年の審査会は、10月7日(金)・8日(土)に六本木のアークヒルズカフェで行われ、総作品エントリー数191もの作品応募があり、熱い反応があった。この皮革産業に名前を残すことを切望している、142点はプロ、残り49点はアマチュアからのものだった。100人の様々な一般審査員の一人に選ばれて、審査会で8つの部門から、僕が考えるそれぞれのトップ3を選ぶ作業は楽しかった。プロフェッショナルには、紳士靴・婦人靴・メンズバッグ・レディースバッグ・雑貨・エコレザーの6部門があった。残り2部門は、アマチュアのメンズとレディ−スだ。すべての作品に込められたハイレベルな技と、真剣な表情をした他の審査員をみながらこれは簡単にはいかない作業だと感じた。アマチュアの作品の中には何点か印象的だったものもあり、将来百貨店に並ぶのも時間の問題だろうと感じた。審査員は、作品のコンセプト・機能(使いやすさ)・デザイン(美しさ)・適正価格(アマチュアはオリジナリティ)・技術を評価基準として審査した。また、作品はファイスブックやツイッターのようなソーシャルネットワークサイトでもお披露目され、一般の方々も気に入った作品に投票する機会があった。

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アワードの表彰式は、11月03日"いいレザーの日"に開催され、それぞれの部門賞とグランプリを受賞した作品は、11月30日(水)~12月13日(火)の2週間、兵庫県にある阪急阪神百貨店 西宮阪急で、展示されるチャンスが与えられる。これはコンテストの受賞者にとって、作品を披露するだけでなく、このような競争力を必要とする産業において批評を受けることのできる素晴らしい機会でもある。またアマチュアのアーティストにとっては世間に名前を売る、またとないチャンスとなるだろう。

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僕は10月8日(土)の審査会に出席して、このイベントの主旨や取り組みに感銘を受けた。作品はよく展示されていて、審査員がいろんな角度から作品を見て、触ったりできるようにされていた。照明もうまく使われていて、作品に使われた精巧な技や素材がよくわかるようになっていた。イベントの雰囲気は、真剣ながらも快適で、会場は審査員が歩き回っても、お互いぶつからないぐらい十分に広々としていた。

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僕が興味を持った作品は数多くあったが、その中の特に二つについて書いておこう。最初の一つは、「フラソリティ」(株式会社 猪瀬)のエコレザーを使ったメンズショルダーバッグ。何に惹きつけられたかというと、この作品の透きとおるような薄い質感だ。作り手が魂をこめて製作したのがわかる見事な出来栄えであった。スタイリッシュでありながらも実用的で、それ故、きちんとした男性なら持つことに誇りを感じるだろう。

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二つ目は、他ならぬかの「吉田カバン」(株式会社 吉田)の中サイズのリュックサックだ。デザイナーは、このバッグをデザインする時に洗練されたトラベラー心を持っていたのであろう。デザインがユニークでありながら実用的、地球のあらゆる場所にふさわしいだろう。

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審査会での改善点をあげるとするなら、各作品の横にデザインを通じてアーティストが伝えたいメッセージカードのようなものが恐らくあるべきだと思った。多くの作品には、伝えられるべきストーリーがあるのはわかったが、残念ながらそれらのストーリーは審査員の想像に任せられるしかなかった。それから音楽がかかっていてもよかったかもしれない。TVレポーターのハイテンションな声には少しうんざりしたからだ。それ以外は素晴らしい審査会で、僕は参加できて光栄に思った。僕が投票した作品は果たして、今年のアワードを受賞するのだろうか? 11月03日の発表が楽しみである。

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そとからの目革思(めかくし)

日本に住む外国人や、海外に住む日本人から「日本の皮革製品」のよいところ・わるいところをご指摘いただきました。果たして「そとから」の評価 は、日本に住む日本人の方々にとって、どう映るのでしょう。「外からの目革思」は、見えないことを見せてくれるかもしれません。

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