ニラモン・ペー

こんにちは。私はタイ人のニラモンと申します。昔から日本語や日本の文化に興味を持ち、大学では日本語を専攻しました。現在は、タイにある日系企業のタイ語・日本語の通訳をしています。

私は「皮革製品」というと、牛やワニの革で作られたエレガントなハンドバッグと靴を想像してしまいます。中高年の方が好んで持っていることから「皮革製品」=「中高年のファッション」という印象がありました。

私の国、タイには世界中の有名な皮革製品のブランドが購入できますが、輸入品はとても高価です。皮革製品を好む人は多いので、タイ製の安価な皮革製品はとても人気があります。

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私の母もその一人です。母はどこに行っても皮革製品のお店をみると、すぐに入ります。店内には母と同じ年齢の方々がバッグを選ぶ姿が多く見られます。これが「皮革製品」=「中高年のファッション」の印象を強める一因かと思います。

ちなみに、タイの皮革製品は安い上に、品質もよく、いろんな国で人気があります。アメリカやデンマークなどに輸出しているタイのブランドはたくさんあります。値段は、ハンドバッグだと2,000~7,000バーツ程度です(100円=38バーツぐらいです)。比較的お手頃な値段なのですが、購入するのは中高年が多く、若者にあまり人気がないのが現実です。理由としては、中高年向けのデザインが多いため、洋服とコーディネートするのが難しいと考えられているからではないでしょうか。そのため、例え値段が同じでも、皮革製品よりも流行のファッションにあわせてビニールや布製のバッグのほうが若者には売れているようです。

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私が初めて日本に来たのは3年前。それ以後、何度か時間を見つけては日本に来ています。短い滞在の合間を縫って、買い物をするのが楽しみになっています。道をぶらぶら散歩して面白いお店をみつけては入ります。お気に入りアイテムと出会うことも多く、とても楽しいです。

ある日、横浜で散歩をしている時に、面白いお店を発見しました。環境に配慮し、エコを意識した“genten”というブランドのお店でした。最初は「きれいなお店だなぁ」と思って入っただけなのですが、店内にはいろいろなバッグが並んでいました。それぞれシンプルで、どんな服とでもコーディネートできるようなデザインだったので、とても気に入りました。

店員からすべて皮革でできたバッグだと聞き、驚いたのを覚えています。今までの私が思う「皮革のバッグのイメージ」とはまったく違うものだったのです。

迷った末、そのシンプルなデザインのハンドバッグを購入することにしました。値段は安くはなかったですが、奮発しました。

ホテルに帰ってから、改めて購入したハンドバッグを見て、やはりデザインも良く、手触りも違うと満足しました。タイに戻ってから、何人かの友達から「良いバッグだね!」と言われて、いまでは自慢の一品となっています。

そのバッグを愛用してから、もうすぐ2年が経ちます。時間が経つと古くなり、やがて捨ててしまうビニールや布製品とは違い、皮革製品は時間が経っていくと、柔らかくなり色も若干変わるなど、使う人と共に成長していくというのを、実感しています。

皮革製品を使っている人はなぜいつも皮革を求めるのか、その理由がようやく自分にもわかった気がします。「皮革」をずっと「中高年のファッション」と軽視していた私も、最近は良いバッグを見ると「それは本革ですか?」と自然に訊くようにまでなっています。

そとからの目革思(めかくし)

日本に住む外国人や、海外に住む日本人から「日本の皮革製品」のよいところ・わるいところをご指摘いただきました。果たして「そとから」の評価 は、日本に住む日本人の方々にとって、どう映るのでしょう。「外からの目革思」は、見えないことを見せてくれるかもしれません。

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