ロバート・ポット

私の名前はロバート・ポット、イギリス生まれの35歳です。父親が海軍勤めで外国を転々としていたため、私はイギリスの寄宿学校に入り、伝統的な英国風教育を受けました。おかげで、今では立派な英国紳士であり、立派な社会人になれたと自負しています。
よく遊んだクリケットのボール(コルクの芯を紐や革で巻きつけてできている)と、週2回の靴磨きの時間が、私の学生時代の革の記憶です。

「自分の持ち物は自分でしっかりケアする。」「高品質を重んじ、物作りに興味を持つ。」これらは、英国紳士の物に対する意識の特徴と言えるでしょう。子供に受け継ぐことのできる、高い技術によって丁寧に作られたユニークな製品。これこそが英国紳士の理想の製品です。この理想は、王室御用達と銘打つ製品によく現れています。英国の王室は、高品質の製品を作っている会社を、王室御用達と認証するのです。

例えば、王室の乗馬用のムチとグローブは「Swaine Adeney Brigg」社によって製造されています。革製品は、丈夫で、手入れをすれば長持ちするため、英国紳士にとても好まれています。
今回私は、英国紳士の代表として、日本の手作り革製品を評価させてもらいましょう。

私は家族と一緒に千葉県いすみ市の森の中のキャビンに住み、近くの高校で英語を教えています。プロフィール写真に写っている「Porter」のバッグを毎日仕事に持って出かけています。このバッグはかつて、私の妻の父親が使っていたものです。デザインも質も素晴らしく、自分の子供に譲る日を想像できるほどの丈夫さもあります。

物作りをする工芸家と会うのが好きな私は、毎年、代々木公園で開催される「Earth Day Tokyo」をいつも楽しみにしています。今年は、革製品を出しているブースを2つ発見しました。

chahat」の大竹さんは、ネパールでなめされた革を使い、頑丈かつナチュラルなデザインのバッグと財布を作っています。iPadを使って、その伝統的な革の生産工程を写真で見せてくれました。革は植物性タンニンでなめされ、柔らかくするためにマスタードシードオイルから作られたトリートメントで処理されています。
村民が天井に吊るしたロープにつかまってバランスを取りながら、足でオイルを革に揉みこむ様子は、興味深いものでした。

そして「kazoo」の桜井さん。彼が売っていたジャケットと財布には、「chahat」のものより色が濃くて柔らかい革が使われていました。彼が使っている革はニュージーランドの鹿革で、日本に輸入されてきてからクロームでなめされているそうです。

その2~3週間後、私の家の近くにあるハーブアイランドのイベントで、趣味でレザークラフトをしている立野さんの「ST!TCH」というブースを訪れました。そこでは、革のタグに好みのスタンプを押すことができます。私は15分をかけて、名字の周りに家族の干支をデザインし、キーホルダー作りを楽しみました。

「Porter」のデザインと質、「chahat」の伝統的なエコの革、「kazoo」の高品質の材料、そして「ST!TCH」のカスタマイズ性。この4つはそれぞれ、英国紳士の好きな物を特徴付けています。

その4つのうち、英国紳士として社会人となった私が最も惹きつけられたのが「chahat」の大竹さんの活動でした。継続が可能で、かつ健康的なコミュニティを育てる活動として革の製造を行なっているからです。さらに「kazoo」の桜井さんの話によれば、日本の革業界が最近エコレザーの生産に力を入れようとしているという。この嬉しい情報を簡単にオンラインで検索すると、エコレザーの規格が定められ、東京のある革工場では、その作業をツアーで見せてくれるとありました。

エコレザーを使い、技術の腕を磨き、カスタマイズに挑戦していくという日本の革工芸家。私をはじめ、日本在住英国紳士は皆、ワクワクしているだろう!

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