欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2010年10月 2日 の記事

カテゴリー: 国内革事情

 

     

 

 

 

 


前回に続きまして
文化としての「皮革」をお聴きすべく


特定非営利活動法人 日本皮革技術協会(JALT)
監事としてもご活躍、
独自の「皮革文化論」を提唱なさっていらっしゃる
吉比産業株式会社 会長 竹内 健さんに
お話を伺いました。

 

 

 


―――― ユーザーが共感・共有できる
          レザーの魅力とはどんなものでしょうか?

 

竹内会長 「丁寧な なめしによるやわらかさ、
         染めが生み出す透明感、
         発色の美しさが楽しめる表面感・・・と
         挙げればキリがありません。

         他の素材より比較的丈夫で、
         長期間使用することもできます。

         でも、レザーは好き嫌いと
         善し悪しが表裏になっている素材
         なんです」

 


――――― どんなところですか?

 


竹内会長 「いい革は雨に弱いものがあるのも
         事実です。
         これまで日本で多く流通していたものは、
         長所よりもデメリットをカバーする
         顔料染めのものが中心で
         革の味わいを犠牲にしていました。

         欧米と比べ、
         技術的に劣るところは
         ありませんが、
         日本はプライスとコストを重視してしまい
         文化的要素が欠如して
         しまっていた傾向も否めません。

         今後は、デメリット表示を
          わかりやすく徹底し、
          販売員教育もさらに充実させ、
          ユーザーのみなさまへ長所、欠点をよりよく伝え、
          さらに浸透させたい」

 

 

――――― シューフィッターも増えていて
            靴をじっくり選び、
            しっかり買うかたも増えていますね。

 


竹内会長 「オーダーメードも支持されていますが、
          逆に200円アンダーのキャンバス地のスニーカーや、
          雑誌付録のブランドバッグも人気。
          ユーザーの感度が成熟し
          使い分けも進んでいますね。
          いいものを選んで
         手入れをして長く使う、愛着する感覚を
         知り、実感すると
         そしてまたいいものがほしくなる・・・
          いいサイクルが生まれそうです」

 

 

 

 


――――― 愛着できるレザーは、
             ほかにどんなものがありますか?

 


竹内会長  「考えられるのは、インテリア関連ですね。
            特に、革製の椅子は おすすめです。

            応接間において年何回か座り、飾っておくのではなく
            居間において毎日座って
            革のよさを知ってほしいですし、
            丈夫で味わいがあるんです。

            立体構造で織物にはない織物以上の魅力を
            肌で感じて体感してほしい。

            ヌメは色が移り変わり、
            椅子のよさは5年経ってからわかります。

            長く使えること、
            親の代から使い続けているものを
            自慢したくなる、
            誇らしい想いが心を満たします。
            それが皮革文化です」

 

―――――  暮らしのなかでレザーを楽しむ・・・
              生活のさまざまなシーンで使いたいですね。
       


竹内会長  「そんな文化としてのライフスタイル提案、
            トータル的な展開をする
            ジャパンレザーが充実しています。
            日本国内はもちろん、
           海外からも注目を集めているんですよ」

 

 

ナチュラル.JPG 


▲吉比産業株式会社で取り扱うヌメ革。使ううちに味わいが深まります。

 

 

 

 ディア ナチュラル.JPG

▲こちらはディアスキン(鹿革)。斑点が若干残っていて
生きていた証を、新しい歴史に重ね合わせられますね。

 

 

 

ディア ブラック.JPG

▲同じディアスキンを染め上げたものがこちら。
こんなに雰囲気が変わります。

 

 

ストック.JPG

 

▲いろいろなプロダクトに生まれ変わる瞬間を待つレザーたち。

 

 

 


――――― ジャパンレザーについて、
            これから情報発信すべきこととは、
            どのようなことでしょうか?

 

 

竹内会長  「専門学校などで講義していて、
           学生が驚くのは、革の大きさ。
           最近は皮革製品、皮革産業に興味がある人が
           増えている傾向がありますが
           専門的なことがわからないひとも
            少なくない。

           インターネットで検索すると情報が
           すぐに手に入る時代、
           この流れに対応することが重要です。

           できるだけ多くにかたがたに
            ジャパンレザーのよさと、
            その伝統を伝えていきたい」

 

 

―――――  ジャパンレザーのよさとは
              どんな点でしょうか?

 


竹内会長  「日本人による日本人のための
           皮革製品であり、
           海外にはない、
           他国ではつくれないもの。


           その使い方だけではなく、
            ライフスタイルも視野に入れ
            ものづくりと文化の両軸の組合せも必須です。

           生活文化に溶け込むように・・・
           それぞれの分野がコラボレーションし
           ネットワーク化させ、
           生きた情報を発信していきたい」

 

 

ジャパンレザーへの熱い想いが反映された当サイトは
レザーに関する情報と
コミュニケーションが盛りだくさんで
ユーザーのみなさまから大変ご好評いただいております。

 

東京スカイツリー建設で盛り上がる
ものづくりの街 浅草から日本中、そして世界へ発信。
つくり手とユーザーとがつながり、その輪が

次第に広がってきています。

 

ジャパンレザーはバージョンアップし、
日本の皮革文化がますます成熟していますよ。

 

 

 

 

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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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