欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2011年2月 の記事

カテゴリー: 国内革事情

「2011-12秋冬コレクション 第83回東京レザーフェア」
1月27日~28日 東京・浅草
都立産業貿易センター台東館で開催されました。

58社・7団体が出展、
協同組合資材連 主催、東京都 共催、
経済産業省、台東区、
社団法人日本皮革産業連合会 後援
リネアペッレ 協賛のもと行われ、2日間で
計5,701名の来場者がありました。

 

会場で展示されているレザーの方向性を指し示す

協同組合資材連 発表
「2011-12年秋冬の資材トレンド」は・・・

革が本来もっている
シンプルでベーシックな素材感に立ち返り
クオリティを高めることで
低価格志向に歯止めをかけようという

動きが見られる。


全体傾向としては透明感やナチュラル感をベースに

軽さやソフト感もプラス。


シープやラムを使いフィルムのようにやわらかくした
エナメルも復活。
アリニン加工やアンチック加工を施すことで
透明感と奥行きがある印象に。


エコレザーなど
環境に配慮した技術や加工によるレザーは
ますます注目されています。
顔料を使わず、透明感のある革として
トレンドを牽引。

色はグレーを基調に赤系のバリエーション、
茶に黄色を加えたバリエーション
が増えており、深くあたたかみがある色調が主流だそう。

 

ラボラトリー.JPG

情報発信コーナー、「トレンドラボラトリー」では
[TLFトレンドセレクション]として
[伝統を超えるタッチ(オーソドックス×ナチュラル)]、
[語りかける革感(多彩に変化する艶)]、
[ウォームレリーフ(立体感で訴求する表面効果)]
といったテーマに分け、展示。

 

ほかにも各社の得意ワザを生かした素材を
来場者による人気投票で個性を競う「極めのいち素材」や
アーカイブに眠る[型]を発掘、さまざまな皮革にスタンプし表現する
プチミュージアム「EMBOSS HIKAKU」などにより、
多彩な表情づくりの可能性を追求。

林きょうこさん.JPG

会場で出会った人気デザイナー 林きょうこさん(コケット)も
オレンジから赤にかけての色合いに注目していました。

冨田さんブース.JPG

リーディングカンパニー 富田興業でも同様のトーンで
コーディネートし、ディスプレイ。

http://www.tomita.co.jp/

 

 

松岡さん.JPG

松岡商店では、赤みのある色合いのムラ染めが好評。

http://www.jlia.or.jp/506

 

 

吉比さんファー.JPGのサムネール画像
老舗企業 吉比産業では、プリントし、さらに型押しがされた
表面効果にこだわったファーが。

http://www.kibi-1882.co.jp/
 

 

ほかにも、新しい潮流が感じられるレザーがいっぱい。
レポートは次回に続きます。

 

 

 

 

カテゴリー: 国内革事情

 

 

1月26日~28日、東京・有明 東京ビッグサイトで
IFF(JFW INTERNATIONAL FASHION FAIR) 2011年01月展が開催。
日本、中国、韓国、インド、
アメリカ、イギリス、イタリアほか22か国から約700社が出展。
3日間で2万6605人と、来場者が前回を上回ったそうです。


IFF(JFW INTERNATIONAL FASHION FAIR)
http://www.senken-ex.com/iff/index.php

 

[バッグゾーンはここ数年、
減少傾向にあったが、新規出展社が倍増。
全体数も大きく増加。
バッグの市況全体も変わり目にあることを予感させた]と
「繊研新聞」(1月31日 7面)が
報じているとおり、
レザー関連ブースは国内外のバイヤーが多数訪れ、
とても活気がありました。


今回は、伝統的なアイテム、歴史のある産地、
老舗企業の新たなチャレンジが
多く見られましたので、ご紹介します。

 


進化形雪駄の新プロジェクト「Re:休」(りきゅう)。

鼻緒の位置を変更し、足のはみ出しを解消。
構造的なクッションで足ズレ防止。
衝撃吸収の機能を付加したり・・・改善を重ね、
いまのライフスタイルに合う
履き心地を追求したオリジナルデザイン。
 

 

リキュウ.JPGのサムネール画像
和装以外にも、デニム、ソックスとのコーディネート、
ルームシューズとしての提案など
性別、年齢を問わず、
枠にとらわれない発想でアピールしていました。



奈良・大和工房
http://www.kabusaka-shop.jp/hpgen/HPB/entries/1.html

 

 

 

「西播磨のレザーコンシェルジュ」と冠した
西播地域地場産業振興センターのブースが出展。

レリップ1102.JPGのサムネール画像 

ジェアトリエ千異多、レリップ株式会社(写真)、
革工房BAIMO、和装工房 匠が参加。
日本有数の産地らしく、歴史と伝統を生かしつつ、
新たな息吹を感じる皮革製品を展示。

「ブース全照明のLED化」による
省エネ、環境負荷低減への貢献も話題に。


西播地域地場産業振興センター
http://www.jibasan.or.jp/

 

 

生産の90%を占め、日本唯一といわれるほど
ファクトリーが集積した産地 
香川県を拠点とする福田手袋。創業92年を迎えた老舗です。

福田手袋2.JPGのサムネール画像

トレンドとマーケットのニーズをいち早く取り入れつつ、
蓄積されたノウハウに基づく、繊細な仕上げ。
OEMでは海外のコレクションブランドからのオーダーが堅調。

暖冬にもおしゃれとして身につけやすい
フィンガーレスタイプをはじめ、
日本の風土、生活に合う、
オリジナルラインも人気を集めています。

 ▼

福田手袋

http://www.fukudaglove.co.jp/

 

 

 

爬虫類皮革製品を手がける老舗企業、サンバッグ坂本、太閤。
バッグ、ウォレットほか、
大人の女性に支持されるエレガントな定番アイテムだけでなく、
雑貨感覚のプロダクトが注目されていました。

ハンドバッグ坂本さん3.JPGのサムネール画像のサムネール画像

太閤さん3.JPGのサムネール画像

スマートフォンカバー(写真/サンバッグ坂本)、タブレットケース、
バッグチャーム(写真/太閤)をラインナップ。
上質なレザーになじみのない
若年層のユーザーにはエントリーアイテムでもありますね。

 


サンバッグ坂本
http://www.sunbag-sakamoto.co.jp/

 


太閤(レザージュエルズ)
http://www.taikohnet.com/press/index.html

 

 

 

2011年 パリ プレフォールコレクションでは
イヴ・サンローランが
ヘビ柄、ヘビ革をメーンにしたスタイリングを発表。
エキゾチックレザーを中心に
高級皮革が再び注目されそうですね。

 

 

秀逸なジャパンレザーによって
ファッションへの憧れ、
装う楽しみが復活する兆しが感じられました。

 

 

カテゴリー: 国内革事情

 

 

 

 

 

 

東京・有明 東京ビッグサイトにて
第71回 東京インターナショナル・ギフト・ショー 春2011」が開催。
2月1日・火曜から4日・金曜までの4日間に
前回を上回る202,348人(うち海外からの来場者は2,202人)来場。


[新しい世界との交流“創造と発見!”] をテーマとし、
40のフェアで構成、約2,400社が参加しました。

 


合同展示会「manicolle tokyo」ブースから。
こちらは「SHINYA」
帽子やバッグをメーンにしつつ、
エントリーアイテムとしてブレスレットを発表。
 

ブレスレット.JPGのサムネール画像

 マニファニ.JPGのサムネール画像

 

 

人気ブランド 「マニファニ」の蝶のアクセサリー。
ピッグスキンに施したプリントが秀逸。
インパクトがある標本のような展示もいいですね。


東京・表参道 マルメロなど、セレクトショップを中心に展開する
「a Linden:tree 」のフラワーモチーフのバッグがヒット中。
 

フラワーバッグ.JPGのサムネール画像

 

加工しやすいピッグスキンの特長を生かしたデコラティブなデザイン。
A4ファイルが入る大きめよりも小さめサイズが人気。
きものやゆかたとコーディネートする大人の女性も多いそうです。

 

 

 

神戸レザークロスの新ブランド「COLECO」

 

 

 

神戸レザークロスさん新ブランド.JPG 

 


コンフォートシューズにいままでにない魅力が。
なんとシークレットソールに。
ナチュラルなスタイリングで脚長効果も期待できます。
独自の進化を続ける
“神戸系ナチュラル”から生まれた1足。
全国的に人気を集めそう。

 ▼

http://www.kobe-leather.co.jp/

 

 


自転車を中心としたライフスタイルを表現した
「OUTDOOR LIFE with BICYCLE」に出展していた「Hide&MC」。

 

アウトドア バイシクル.JPG

 

 


オリジナルのプレートかな?と思いきや、
解体した自転車のパーツ。
トータルでコーディネートできるのがうれしいですね。

 

 

 

 


ブランドのネームバリューに頼らない、楽しいアイディアと、
質の高いものづくりを提案するジャパンレザー。
たくさんのバイヤーに注目されていました。
もうすぐ、いろいろなショップの店頭を彩りますよ。
どうぞお楽しみに。


 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー: 国内革事情

 

       

 

 


1月27日~28日の2日間
東京・原宿 JR原宿駅ほど近いレンタルスペース「さくら」にて、
ノンクロムレザーPRイベント
『エコへの一歩、ノンクロムレザーを知る』展が開催されました。
 

ノンクロム会場外観.JPG

ノンクロム会場内観.JPG

 


このイベントは社団法人 日本タンナーズ協会が開催。
各地にある皮革産地ごとに支部を置き、
大部分のタンナーが会員。
日本で唯一の製革業者による全国団体として
時代のニーズに応え、
喜ばれる革づくりを目指す活動の一環となる提案です。

試作品と文化服装学院 服装科を中心とした
学生による作品の展示、セミナー、トークショーなどで構成。

 

会場で配布されたパンフレット巻頭には
社団法人 日本タンナーズ協会からのメッセージが。
すばらしいので全文ご紹介します。


「経済産業省のご指導・ご協力のもと、環境に対して
 正面から取り組んでいる姿を
 製造技術の一つであるノンクロム鞣製法を通して
 皆様にご披露したいと考え、このたび展示会を開催致しました。
 現在、地球規模で「環境にやさしい」とか
 「エコ」という言葉がマスコミに登場しておりますが、
 我々日本の製革業界は昔から
 地球に優しく、エコロジーな革づくりに向けて
 日々取り組んでおります。
 この展示会を通して安全で高品質な日本製の革で作られる
 革製品を消費者の皆様に提供したい との
 我々の思いをお届けできたら幸いであります」
 (社団法人 日本タンナーズ協会  会長  徳永 耕造さん)

 

「今回は、これまで本事業で試験製作した
 ノンクロム鞣し革とその革製品を一堂に展示しております。
 ノンクロム革とは全くクロムを使用しない製法の革のことですが、
 独特の風合いがあります。
 ご覧頂くだけでなく、どうぞ手で触れ、肌で感じていただきたいと思います。
 この展示会で日本の革鞣し業者が作った
 日本産革の安全性や品質の良さを知って頂き、
 日本の天然皮革を使った革製品を更にご愛用頂けますようお願い致します」
 (社団法人 日本タンナーズ協会
  ノンクロム実用化試験実証事業  委員長  金田 浩一さん)
 

 

ノンクロム 来場者2.JPGノンクロム会場内観2.JPG

 

この情熱に共感するように会場にはたくさんのかたがたが来場。
セミナー、トークショーともに満席でした。

 

 

東京都立皮革技術センター  専門技術指導員・農学博士
寶山 大喜さんによる「非クロム鞣し」セミナーは

なめしと、ノンクロムなめしの違い、
皮革の耐熱性、なめしの製法ごとの比較、
日本エコレザーとその基準、制定までのプロセス、
これらの認定業務を行う
社団法人 日本皮革産業連合会についてなど・・・くわしく解説なさっていました。

 


続いてトークショーは東京ファッションデザイナー協議会 
議長  大塚 陽子さんを司会に
第一線で活躍するデザイナー  荒川 眞一郎さん、澤柳 直志さんが出席。
セミナー.JPG トークショー.JPGのサムネール画像のサムネール画像  

 

ホンダとの取り組みが企業コラボレーションブームの先駆けとなり

この日もバイクで会場にかけつけた荒川さん。
ライダースジャケットなどのバイカーズファッションとしても
レザーには関心が高いそう。
革ジャンを私服として着ることも商品として
手がけることも多いのだとか。
「墨田区にあるタンナーと東京都立皮革技術センターへ見学(澤柳さんとともに)。
 革に息づいている[手]の感覚、職人たちの存在、
 ものづくりの重要性を再認識しました。
 今後どのようなノンクロムレザーが取り組みをしていくのか、
 とても気になります」と発言。

 

東京ピッグスキンがポイントとなる
自身のブランドのストールを身につけた澤柳さんは
「部分使いが中心だったが、もっといろいろなものをつくりたい。
 ノンクロムなめしはもちろん、
 エコを意識し、ものづくりの現場を支えているひとたちと
 よく話し、取り組んでいきたい」。
これからのおふたりの活動に注目したいですね。

 

1階 会場では、会員企業であるタンナーを試作品とともに紹介。

兵庫・姫路  株式会社 金田製革所
兵庫・たつの 株式会社 モリヨシ
東京・墨田  株式会社 ニシノレザー
長野・飯田  メルクス 株式会社  飯田本部
兵庫・姫路  前實製革所

各社の担当者の顔写真とともにコメントも掲出。
レザー、エコへのスタンスほか、
それぞれの取り組みについて伝えていました。

さらに、これまでに協力したタンナーの試作品もあり、
たくさんのノンクロムレザーが展示されていました。

 

 

「エコがキーワードになっている昨今ですが、消費者の皆様には
 製革産業そのもの自体が非常にエコに基づいた産業
 であることを理解して頂きたいと思います。
 なぜなら製革産業は、
 食肉産業の副産物である原皮を加工し、
 利用できるところまでもっていくことを職業としております。


 [何もしなければ廃棄物として処理されていく原皮を素材にする]


 このこと自体が既にエコであると判断できないでしょうか。
 ただし、製造時に生じてしまう環境負荷に対しては
 今後も配慮していくべきであると考えます」
 (メルクス 株式会社  飯田本部
  生産部  製造第一課  生産技術課  チーフ  髙島 順一さん)

 

現場の苦労、体験、今後の抱負などがリアルに書かれ、
じっくり読んでいた来場者も多く、新たな[気づき]となったようです。

 

作品は、平成20年度試作品とその革を使用した
会員有志企業による商品、
平成21年度試作品と、その革を使用した作品を交えて展示。

学生による作品展示スペースには
現在、活躍中のデザイナーからのコメントが掲出されました。

 

 
朝月 真次郎さん、安達 稔さん、荒井 沙羅さん、
荒川 眞一郎さん、小野原 誠さん、周布 歩美さん(五十音順)

「正直自分はエコに対する意識というものが
 薄かったのだが、日本の技術者により
 ノンクロムレザーのような新しい加工技術が
 どんどん生み出されていると知り、
 今まで以上にエコへの意識が芽生えていくと思う。
 僕のブランドでは服とは別に
 靴のデザイン展開にも力を入れており、
 革は日本で加工したものを使っています。
 今後は靴の他にバッグやレザーを使った洋服の展開も
 もっと広げられたらアイテムの奥行きが
 増えるので是非挑戦していきたい」(小野原 誠さん)

ノンクロムレザーを通して[エコ]の必要性、
[日本のものづくり]、[ジャパンレザー]のすばらしさを実感。
みなさんのクリエーションが
多くのユーザーの共感へとつながり、ひろがる・・・
そのきっかけとなりますね。


タンナー、クリエーター、学生、企業が一体となった
素敵なイベントでした。

 


 

 

 

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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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