欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2011年6月 の記事

カテゴリー: 国内革事情


前回に続きまして「2012春夏コレクション 
第84回東京レザーフェア」レポートをお届けします。

 

ほとんどの来場者が立ち寄る、
情報発信コーナートレンドラボラトリー。

「2012春夏コレクション 第84回東京レザーフェア」のテーマ、
「スタイルにとらわれない自然!」とも関連するレザー、

関連資材を参加各社から集められ、わかりやすく美しく編集された

本展のインフォメ―ション的な存在です。

トレンドラボ.JPG

ジャルフィックから発表された

「2012 spring & summer  カラートレンド」ほか

TLFトレンドセレクションをご紹介。

 


2012年春夏のトレンドは、

カラーがもつパワーと素材のテイストが決め手。
「ブラウンが際立たせる色彩の力」をキーワードに展開しています。

 


ファッションのムードが、クラシカルなテーストに向かうなか

シューズやバッグのデザインは シンプルに。
そんな傾向とバランスをとるよう
カラーや素材の表現力が問われるシーズン。


ハーモニーにより
意外性やパワフルさ、自然な情景を連想させる
ドラマティックなイメージが彩ります。

 

 


そして、「本質の鉱脈」、「植物図鑑」、「揺れる空気」と、
3つのテーマが提示されました。

 

 


「本質の鉱脈」


今シーズンならではのベースをとらえるテーマ。

 

ブラウン.JPG

皮革の基本、皮革ならではの新しい色彩世界の探求。
ブラウンをメーンに、やわらかいベージュ系とイエローも。

 

 


「植物図鑑」

 

自然を象徴化する多色相により色のパワーを訴求。
ファッションシーンの次を開花される原動力に。

植物図鑑.JPG


ピンク、グリーンほか、イングリッシュガーデンの晴れやかな色調。

 

 

「揺れる空気」


流動的に変化し続け
軽やかに、漂うように、艶やかな彩り。

濃淡がつくる風の動き.JPG


ブルー系のミックスや、爬虫類をリフレッシュする
エアリーでナチュラルなペールカラー。

 

 


キーカラーは・・・

この数シーズン継続しているイエロー。今シーズンは未来に対する
「希望の象徴」、エコロジカルなカラーとして注目。

母性や愛情、優しさ。花の色に象徴される
甘美な情感など「力を与えるカラー」としてピンクをフィーチャー。

ベースとなるブラウンは
大地や木、陶器などに見られる普遍的なカラー。
イエロー、レッド、パープル、カーキ、と多色相でカラフルさを表現。

 

色はもちろん、レザーがもつ魅力が
ユーザーのライフスタイルを彩り、ハッピーに。

時代の空気を変えていきたいですね。

 

 

 

また会期中はこちらで「Japan Leather Award 2011」パンフレットを配布し、
プロ用、学生用ともに大変ご好評いただきました。


事前エントリーは7月15日まで。
みなさんのご応募お待ちしております。

 

 

 

さて、レポートは次回に続きます。お楽しみに。

 

 

 

 

 

 

カテゴリー: 国内革事情

 

 

協同組合資材連 主催、
東京都 共催、
経済産業省、台東区、
社団法人日本皮革産業連合会 後援
リネアペッレ 協賛のもと
「2012春夏コレクション 
 第84回東京レザーフェア」が開催されました。

 

6月16日~17日の2日間
東京・浅草 都立産業貿易センター台東館に
58社・9団体が出展。

テーマに掲げた「スタイルにとらわれない自然!」にリンクする
さまざまなアプローチの
レザーと関連資材が展示発表されました。

今回も業界関係者だけでなく、学生、ユーザーも増え、
会期中には計5,399名もの来場者が。
同時開催された実演、セミナー。ワークショップにも
数多くのかたが参加し、
会場は熱気であふれていました。

 

 

 

まずは、主催・協同組合資材連から発表された
「2012年春夏の資材トレンド」から
レザーの傾向を一部ピックアップし、ご紹介します。

 

 

突出した流行がなく、多様化が進んでいますが
全体としてはシンプル、ナチュラル、
ソフト、ライトという言葉で表現されるものが継続。
ソフト感を反映して
カーフ、シープ、ラムが増加しています。 

 

レザーフェア1106兵皮連ホース.JPG

 

ホースのエコレザーも好評。

(画像は兵庫県・兵庫県製革産業協同組合連合会ブースより)

 

またツヤ感のある光沢革の人気が続いているなか、
再び、エナメルに注目が集まりました。
特に、透明感のある塗膜でソフトなタイプが多く、
なかにはスーパーソフトエナメルと
名づけられたガーメントタイプも登場しています。

レザーフェア1106和歌山.JPG

(画像は和歌山県・和歌山県製革事業協同組合ブースより)

 

 

 

3月に発生した東日本大震災を意識して、
元気の出る色、気分を明るくする色をトレンドとして提案。
ビビッドなイエロー、オレンジ、
グリーン、ブルー、ピンクなどがメインです。
春夏シーズンではありますが、
抑えめの色調で仕上げたものも見受けられました。
根強い人気に支えられた
ベージュやブラウンなどナチュラルカラーも見逃せません。

レザーフェア1106東京都.JPG

プリントでは、ドット、花柄、チェック柄が主流。

(画像は東京都・東京都製革業産地振興協議会ブースより)

 


型押しでは、爬虫類が中心。クロコダイル調が落ち着き、

2011-12年秋冬シーズン、話題となったスネーク調に移行。

レザーフェア1106東京都2.JPG

立体的な表現も増え、多彩なバリエーションで展開されました。

(画像は東京都・東京都製革業産地振興協議会ブースより)

 

 


ほかにも見どころがいっぱいのレザーフェア。
レポートは次回に続きます。

 
 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー: 国内革事情

 

 

当ホームページ プレスリリースのコーナーでもおなじみ
年間2,000名以上のかたが来場するという
大人気のレザーファクトリーに
今年度から始動する 社団法人 日本皮革産業連合会の
新プロジェクト[革育実行委員会]のメンバーとおじゃましてきました。


『革育(かわいく)』とは、次世代を担うこどもたちに
日本の皮革文化を育んでもらうことを目的とした取り組みです。

今後、正式に始動しますので、改めてお知らせします。

 

 

東京・墨田区の北東部 東墨田にある山口産業株式会社 本社工場。


広い河川敷や豊かな水があり、
皮革をなめしたり、干したりする場所として
適していたことから、このエリアに皮革産業、工場が集積。
全盛期には60社もあり、
豚革の国内生産量の約9割を占めています。

 


無機質な工場が立ち並ぶ、土手沿いに突如あらわれた
ユニークなデザインの壁面がお出迎え。

 

 

山口産業さん本社外観.JPG

 

 

東京芸術大学美術学部染織研究室の皆様との共同研究により
革トランクを横にして
RUSSETY(ラセッテー)のロゴをあしらった工場外観。
革らしい色合いの外壁、金具風モチーフ、
そして、大きな大きな[持ち手]も取りつけられて。

[革の街]のランドマークとして
地元住民のかたがたに親しまれているそうです。

 

山口専務レクチャー.JPG

 

同社 山口専務のレクチャーから はじまり
エコレザーの製造過程を拝見!

 

山口産業さん原皮.JPG

 

 


ちょうど原皮が届いていました。
埼玉や関東近県で育てられた国内豚を中心に
食肉加工所を経て、
その副産物として大切に使われます。

 

 


まず、脱毛、石灰漬け、酵解、
ピックル(浸酸)・・・といった準備工程。
季節、気温の変化に応じて
水温やドラムの回転時間など繊細に調節。
最も重要とされるプロセス。

 


続いて前なめし、1枚1枚裏削りをして
厚さを均一にするシェービング、本なめしへと。
ミモザアカシアの樹皮から抽出される
植物タンニンを主成分として なめします。

 

山口産業さんタイコ.JPG

 


樫の木でできた大きな回転ドラムに
漬けこまれ、染色。
環境基準に適合する染料のみを使用。
色によっては、一昼夜漬けこむ必要もあるのだとか。
自社工場内に排水施設を完備し、
適正に処理されているので環境面も安心です。

 

 

昔ながらの木組みの専用干し場で
1枚ずつ自然乾燥。
豚の個体は立体なので繊維方向に縮まってしまう革を
ネット張り乾燥という作業で平らに加工すると
ナチュラルバージョンが完成。

その後、アイロンがけ、スプレー仕上げの染色をプラスし、
カラーバージョンが完成となります。

 

 

 

早朝から作業をはじめ、毎日積み重ねられるプロセスによって
“皮”から“革”に。
原料皮の仕込みから革になるまで、
植物タンニンなめしの場合は、3週間もかかるそうですよ。

 

完成した革たちがショールームにいっぱい。
それぞれに違う表面感、触感に改めておどろかされました。
丁寧にご説明いただき、ありがとうございました。

 

こちらも、あわせてご覧ください。


最近では、豚や牛、馬だけでなく
農作物の鳥獣被害対策として頭数調整が行われていて、
それらの生命の証を生かすべく、皮革製品にする試みもスタート。
同社に依頼される事例も増加しているそうです。


なかでも、猪は、“山くじら”として注目されています。
くわしくは当ホームページ 
プレスリリースのコーナーをごらんください。

 

 


さて、この工場見学は予約制で定期的に行われています。

新社会人の研修や、
お子さんの夏休みの自由研究など
幅広い世代のかたがたにご参加いただき、
ジャパンレザーのものづくりの素晴らしさを体感して
いただきたく思います。

 

くわしくは同じく当ホームページ 
プレスリリースのコーナーをごらんください。

 


また明日6月16日・木曜~17日・金曜の2日間から開催される
2012春夏コレクション
第84回東京レザーフェア」会場では
総合展示「革のできるまで」ご協力なさっているそうです。
お出かけの予定があるかたは必見ですよ!

 

 

 

 

 

 

カテゴリー: 国内革事情

 

国内供給100%天然資源、ピッグスキン(豚革)は
そのほとんどが東京・墨田区産。
国内生産量の90%のシェアを獲得しているほど。
著名なラグジュアリーブランドに
採用されるなど、

海外でも高く評価されているようです。

 

食肉の副産物を

産業廃棄物にすることなく利活用してつくられるので
エコの観点からも注目されています。

 

 


そんなピッグスキンを中心に
同エリアで製造された革を使用し、区内のメーカーが
製造した純血の墨田産が集結する

イベント「革のまち すみだ」展が6月3日から開催中。


場所は すみだもの処。
「すみだブランド認証商品」をはじめとした、
区内産品を実際に見て、手にとり、
購入することもできる
墨田区観光協会のアンテナショップ的スペースです。

革のまち 外観2階.JPG

グランドオープンが来年5月22日と
発表され、話題の東京スカイツリーから
目と鼻の先にあります。

目に留まるキャッチ―なディスプレイ。
外からも目立っていますね。

店内には、

たくさんのアイテムがぎっしり。

 
革の味わいを生かしたシンプルなデザインから
クリエーティブなプロダクトまで、
バリエーション豊富。
ほかにも、セミオーダー可能なアイテムもありました。

 

革のまち ストラップ.JPG 

 
産地協賛特別プライス500円で販売されている
職人技キーホルダーが大人気。
土日限定 先着30名のみとなっていますので
お出かけはお早目に。

 


連日、たくさんのユーザーでいっぱい。
スタッフのかたによると
ワークショップも毎回満員御礼とのこと。

 

革のまち お客様.JPG

 
つくり手とつかい手との距離が近い[ファッションの地産地消]の

取り組みは、ますます盛り上がりそうです。

 

会場、アクセスなど
くわしくは当ホームページ
プレスリリースのコーナーをごらんください。

 


さて、次回は潜入レポート。
ピッグスキン生産の現場へおじゃましました。

どうぞ、お楽しみに。
 

 

 

 

カテゴリー: 国内革事情

 

前回に続きまして
東京の東側、台東区南部地域一体を
ひとつの街としてネットワーク化した地域イベント
「たいとうモノマチ」レポートです。

 

ほかにも地元企業・アトリエショップ16社
モノづくり市53組
UAMOUスタンプラリー13店
飲食店協力10店
その他協賛・協力 7社
総計130組を超える参加クリエイター・企業・ショップが
デザビレを中心に一斉にイベントやセールを開催。
たくさんのユーザーがジャパンレザーのすばらしさに魅了されました。


「ものづくりを観光資源とし、商店街振興につなげたい」と
台東デザイナーズビレッジ 鈴木村長をはじめ、
台東区の有志が参加。
初めての試みながら、2日間の来場者数は約1万人を達成。


「上野駅に近いことから群馬や栃木からの来場者も多い。
出店した15の企業では
[遊びに来たお客が、扱っているアパレル資材に興味をもち、
商談に結びついた]ケースも」・・・と

「繊研新聞」[ファッション パワースポット](5月30日 18面)でも
掲載されました。

 

 

そんな地場産業のなかには、財布を中心としたものづくりも盛ん。


ラモーダヨシダ、協賛メーカーのみなさんとの
コラボレーションで被災地への支援を目的としたチャリティーセールも好評。

IMG_6430.JPG 

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IMG_6438.JPG
 

IMG_6444.JPG

地下の「サイフのマチ」では近隣のメーカーのアイテム、
サイフのパーツ、つくりかたのプロセスの動画など
さまざまなアプローチの展示が行われました。

 


21日・土曜には日本で2番目に古いといわれる佐竹商店街で
たいとう「モノづくり市」が。
クリエーターたちによる“手づくり市”感覚のイベントには1日2000人が訪れ、
30年ぶりのにぎわいだったそうですよ。

  

JR秋葉原駅~御徒町駅間高架下の遊休スペースを
商業施設「2k540AKIOKAアルチザン」も大盛況。
MICでは店頭でワークショップを実施し、
レザーファンがクリエーターたちとの「つながり」を
楽しんでいました。

 

 


「昔から面白い技術をもちながら、消費者に知られていなかった地域。
今後ウェブサイトなどでファンをつくっていきたい」と
モノづくりのマチづくり実行委員会は、本イベントの継続を示唆。

(「繊研新聞」[ファッション パワースポット]5月30日 18面より)

 

現在のところ検討中だそうですが、秋の開催に向け、
次回の企画が進行しているようです。


楽しみですね!

 

 


また、明日から おとなりの墨田区
「すみだもの処」にて
ものづくりイベントが開催されます。
くわしくは
当サイト プレスリリースのコーナーを
ごらんください。

 

 

 

 

 

 

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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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