欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2012年5月16日 の記事

カテゴリー: 国内革事情

 

 

 

前回に続きまして、老舗革小物メーカー 
ミヤ・レザークラフトが日本国内の生産拠点としている
山形県新庄 山形ファーレのレポートです。

 

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まず、おじゃまして気になったのが、ユニフォーム。
いかにもワークウェアというデザインでなく
私服に近い感覚のタイプが支給され、
2色から自由に選んで着用しているそうです。

随所にスタッフの意見が
反映されていることを肌で感じつつ、
みなさんにお話を伺いました。

 


ゼネラルマネジャー的存在 
矢口みどりさんは作業全行程を習得し、
人事・生産管理を兼任する勤続20年のベテラン。

 

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「まず、働きやすさに気を遣っています。
 既婚・子育て中のスタッフも多いので学校の行事、
 子どもの病気などの場合も
 ケアしながらお互いにフォローしあって。

 作業は不良個所がないよう、ひとつひとつていねいに。
 常に買っていただくことを意識して
 仕上げています。

 検品も厳しく行い、B級品や返品が少ないのも、
 当社の特徴。

 つくることが、この仕事が好きだから
 続けていける、
 私もスタッフも同じ想いです」

 

“仕事は厳しく、普段は仲良く”を
モットーに、コミュニケーションをとって、
チームワークを重視。

そんなアットホームな雰囲気に
魅力を感じているのは新入社員の松田礼子さん。
入社して3か月とは思えないほど、
すっかり溶け込んでいます。

 

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「わからないことばかりですが、
 みなさんが教えてくださるので、ほんとうに
 働きやすい職場です。


 革って、発見がたくさんありますね。


 見るたび、触れるたび、
 色合い、質感がちがうということさえ
 こちらで働く前は
 まったく知りませんでした。

 1枚1枚、表情があるので、その個性を見極めて
 生命の証に感謝して つくっています。

 

 まだ見習いなので、覚えることがいっぱい…。
 1日も早く、自分ひとりで
 財布をつくれるようになりたいです」


担当している“抜き”の作業では、1ミリのズレが
大きいズレにつながってしまうので
「ミスをなくし、完璧なものをつくれるよう、
 がんばります」と語ってくれました。

 


出産、子育てを経て、
5年のブランクから復帰したのは、
佐藤直子さん。
栗田工場長のオファーに応えてのことだそう。

 

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「19歳から、この仕事に就いて
 10年くらい。身体が覚えていたというか。
 わりとスムーズでした。
 なんといっても、栗田さんをはじめ
 スタッフみなさんの
 フォローがあったからこそです」


技術力が高く評価され、
現在配信中の『JLIA TV』では
革漉きの実演をレポート。必見ですよ。


こちらから

 http://www.jlia.or.jp/enjoy/jliatv/

 

 

最後にミヤ・レザークラフト 宮社長、
山形ファーレ 栗田工場長から熱いメッセージを
いただきました。

 

「つくり手が高齢化している今、
 世代交代ができないと伝統の技術が途絶えてしまう。
 日本国内での生産を守るため、
 この地でものづくりを続けていきたい」(宮社長)

 

「心を込もった いい皮革製品を
 1本でも多くつくり、たくさんのかたへ届けたい。
 使ってくださるかたに
 夢を与えることができるよう、
 この新庄の地から
 日本へ、世界へものづくりを発信します」(栗田工場長)

 

 

日本のものづくりを守り、発信したい、という
宮社長、栗田工場長の想い、
「つくることが好き」という純粋な想いをひとつにして
取り組む みなさんの姿勢に感激しました。

ユーザーとしての感覚をもつ、
女性のつくり手たちの能力を最大限に生かす
山形ファーレのものづくり、今後の動向に注目です。

 

 


■ 参考URL ■

 

ミヤ・レザークラフト 

http://www.miya-lc.com/


『JLIA TV』

 http://www.jlia.or.jp/enjoy/jliatv/

 

 

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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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