欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2016年2月 の記事

カテゴリー: トレンド


合同展示会「rooms(ルームス) 32」が、
国立代々木競技場第一体育館で2月17日(水)から3日間行われました。

国内外のファッション&カルチャーをリードする、
「rooms」でしか見ることができない演出、
「rooms」でしか出会うことができないブランド、
クリエイター、アイテムが盛りだくさんで毎回楽しみにしています。

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出展ブランド約500、来場者2万人と世界でも有数の展示会、
「rooms」に参加したジャパンレザー関連ブランドからピックアップし、
その一部をレポート。

第一弾として、注目のカテゴリー、<財布>をご紹介します。




アート感覚あふれるポップなテイストが特徴的な<carmine(カーマイン)>。

「Enjoy Accessory!」をコンセプトに展開しています。

アクセサリーを中心に革製品を数多く手がけ、
ニューヨークのミュージアムショップで取り扱いがスタートするなど

海外でも高く評価されています。当日は女子中学生が見学していましたよ。

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レザー、バッグ、小物の生産のほとんどはイースト東京。

加工技術に優れたつくり手とのコラボレーションにより、
グラフィカルなパターンでカラフルなコレクションを発表。


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<森の切り株>をモチーフにした新作が好評でした。

木目調というだけではなく、
樹皮の表面感、凹凸感を再現しているところがいいですね。




人気ブランド<SAN HIDEAKI MIHARA(サン ヒデアキ ミハラ)>の
新作財布は、星を散りばめたようなデザイン。エキゾチックレザーを配しています。

上質な素材をカジュアルに落とし込むことで新たな表情に。

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エキゾチックレザーは商品づくりのプロセスで生じてしまった端革を

ムダにすることなく利活用。

ラグジュアリーでありながらも、買いやすいプライスを実現しました。




伝統工芸・印伝にフォーカスした<YASHIMA(ヤシマ)>。

新旧の技術を組合せ、これまでになかったプロダクトを開発。

モノグラム調のパターンへモダナイズし、
モード感あふれる財布、小物へと昇華しています。

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漆で装飾する技法、印伝には鹿革を使用。

中国人にとって鹿は金運アップの象徴とされているそうです。

中国語で<鹿>は<ルー>と発音され、
給料を意味する<禄>と発音が同じなのだとか。

日本らしいプロダクトとして中華圏のユーザーへ提案したいものですね。




自転車マニアのつくり手による自転車を愛するすべてのひとに向けた
<Decibell BY SATOH SHOTEN(デシベル バイ サトウショウテン)では、
サドル、サドルバッグ、U字ロックなど、
さまざまな関連レザーグッズをリリースするほか、財布もラインナップ。

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自転車柄のプリントレザーを使用するなど、遊び心いっぱい。

イースト東京・墨田エリアで1956年に創業された
財布メーカーのプライベートブランドだけに、本格的な仕上がりです。


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地場産業である、ピッグスキンを使用したアイテムもそろいます。

「2020年に開催される東京オリンピックに向け、新たなおみやげをつくりたい。
メイドイン東京、メイドインイースト東京の革製品をアピールすべく準備しています」
と、
代表 内田潤さん。意欲的な取り組みに注目が集まります。




財布を本格的に始動した<comma(カンマ)>。

女性デザイナーが立ち上げた新進バッグブランドらしく、リアリティを追求。

「ざくざくといろいろなものを入れたい」というニーズに
対応した大きめサイズが目をひきます。

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預金通帳はもちろん、パスポート、母子手帳などもすっぽり収納可能。

ストラップはありませんが、このところ、ヒット中の財布ポーチや
クラッチバッグに近い感覚で使えそう。シボ感がユニークなレザーを使用。

異なるニュアンスが響き合うミックス感がいいですね。


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同じアイテムの素材違いには、アクセントとしてオリジナルのパーツをプラス。

雰囲気がかなり変わりますね。シンプルななかにも、

さり気なく個性を表現されて。

バイヤーやジャーナリストからも高評価でした。




財布といえば、ライセンスブランドの画一的な商品ばかりでしたが、
独自のスタンスを反映したアイテムが次々と発表され、
バリエーションも多様化。

ライフスタイルのキーアイテムとして存在感を高め、売れ行きも好調です。


ファッショントレンドがこれまでのように機能せず、
定番アイテムに支持が広がるなか、
<ファッション>から<エモーション>へと移行する
ユーザーのニーズを
象徴しているようですよね。


風水の影響などで<縁起もの>としての認知度がアップし、
買い替えサイクルも年々短くなっているよう。

気分のリフレッシュや運気をリセットすべく、
一年に一度以上、新調するかたも増えています。


年始から4月くらいまでがハイシーズン。

春に取り換える財布は
<春財布=張る(お金がたくさん入ってくる)財布>として
おなじみになりました。

「3月12日は、サイフの日」と制定され、キャンペーンも行われています。


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また、<SAN HIDEAKI MIHARA>がプロデュースするバッグ職人育成学校

<アトリエフォルマーレバッグクラフトマスタースクール>では、

この春、4月より革小物コースがスタート。

革小物の職人が不足する現状を危惧し、立ち上げたそうです。

同スクールは安倍首相夫人が学校見学に来訪し話題になっています。

つくり手を目指すかたにはおすすめですよ。


商品開発だけでなく、人材育成も進む財布、革小物カテゴリー。

今後、さらに盛り上がっていきそうですね。




レポートは次回に続きます。




■ 参考URL ■


 rooms

 <http://www.roomsroom.com/>


カテゴリー: 国内革事情


前回に続き、
「第81回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2016」の
レポートをお届けします。




合同展示会「manicolle tokyo(マニコレ トウキョウ)」がジョイント。

若手クリエイター、新進ブランドが出展しています。


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<HIRAMEKI.(ヒラメキ)>では<シャーク>シリーズが好評です。

財布や小物をリリースしています。


古くは日本刀のつばや鞘、鎧の装飾に使われていたサメ革は、
筋繊維が密集していて、しなやかで丈夫。

細かい帯縄状のシボが特長。

海の生物だけに耐水性にも優れています。


歴史ある革にふさわしく、
カラーバリエーションは<浅葱>をはじめ、日本の伝統色で展開。

なつかしく新しいプロダクトに仕上げました。


サメ革のなかでも最高品質と称される<ヨシキリザメ>を使用。

食用ヨシキリザメの漁獲量日本一、宮城県気仙沼市産です。

被災地の雇用創出にもつながる取り組みですね。




職人を育成し、ネットとイベントで販売を手がける
<PRIMAVERA(プリマベーラ)>が出品。


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"口金をこよなく愛す"<sachi(サチ)>では、手帳カバーが人気。

大阪の口金メーカーの協力のもと、
つくられた同ブランドのアイコン的なアイテムです。

2010年に試作を開始。発売後も改良を重ね、2012年からはECで販売。

ロングヒットを続けています。


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その育成部門、LeatherWorksCollaborations(レザーワークスコラボレーションズ)は

2011年設立。小物塾もスタート。

一年4名限定とし、型紙~裁断、組立まで
現役の量産(請負)小物職人がていねいに指導しています。

鞄メーカーの若手をはじめ、すでにオーダーなどの仕事に携わるかたも受講。

毎年定員オーバーしてしまうそう。


「バッグの量産職人の主力は70歳代となり、高齢化が止まりません。
 慢性的な若手職人不足により、国内生産の行く末を憂慮しています。
 学校ではなく、職人として訓練ができるような環境を整えていく
 必要性を痛感し小物塾を立ち上げました」と、代表の橋本 みずえさん。

現役職人の技術をもっと多くのかたに知ってほしいと
自社ECのほか、百貨店での販売など意欲的に活動。

熱い想いと確かなクオリティ―に支持が広がっています。




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<アクティブクリエイターズ>ゾーンからは、<紗蔵(さくら)>をご紹介。


著名なプロダクトデザイナーと熟練職人とのコラボレーションにより、
これまでになかったアイテムを発表しています。

イースト東京・墨田区にゆかりのある葛飾北斎の作品をモチーフに
レザーにプリントし、東京のおみやげとして開発。

ロングセラーとなり、定番シリーズへと成長しました。


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新ライン<TOKYO-GAMA(トーキョーガマ)>を始動。

ブラックでクールにまとめたメンズラインが目をひきます。

男性用のがまぐち、新鮮です!

有力セレクトショップのバイヤーから引き合いがあったそうです。


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そのほか、グラフィカルなプリントを施したレザーでカラフル小物をラインナップ。


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なかでも注目したいのはフェイスマスク。

近年、盛り上がるハロウィンの新提案となりそう。

2015年のハロウィンの市場規模は1,220億円とも推定され、
同年のバレンタイン市場(約1,080億円)を上回ったことが話題になりました。

コスプレやメイクが中心で
バッグ、靴などへの波及効果は軽微でしたが、
ファッションとは異なるこうした切り口で
ジャパンレザーの魅力を訴求したいものです。




小物・雑貨の売り上げが伸び、存在感を高めるなか、
ユーザーの関心はトレンドから
付加価値、ソーシャル性へと変わっているよう。

そんなニーズを反映した
ジャパンレザーがますます増えていきそうですね。




■ 参考URL ■

 「東京インターナショナル・ギフト・ショー」
 <http://www.giftshow.co.jp/tigs/81tigsinvitation/index.htm>


カテゴリー: 国内革事情


東京・有明 東京ビッグサイトで2月3日(水)~5日(金)、
「第81回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2016」が行われました。

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国内外あわせ 2,528社(うち海外からは25か国・地域 286社/
グルメ&ダイニングスタイルショー 205社は含まず)が出展。

194,764人(うち海外から 3,651人)が来場。前回より微増しているそうです。

「グローバリゼーションのモノ作りで成功」をテーマに
優れたプロダクトが数多く集まりました。

そのなかからジャパンレザー製品をピックアップしご紹介します。




アクティブデザイン&クラフトフェア

アクティブデザインコーナーに、
東京都産業労働局・東京製革業産地振興協議会がブース出展。

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東京都の地場産業である皮革産業の活性化を狙い事業者、クリエイターが出品。

墨田区でつくられるピッグスキンを用いた意欲的なアイテムが目をひきます。



インキュベーション施設 台東デザイナーズビレッジ(デザビレ)
入居ブランド<comma(カンマ)>が初参加。

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エキゾチックレザー風のニュアンスを表現したレザーでガムケース、
ミントタブレットケースなどのデイリーでカジュアルな小物をリリースしました。

イメージにギャップがある、組合せの妙にハッとさせられます。




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同じくデザビレ卒業生ブランド<atelier65(アトリエロクゴー)>。

大人の女性に向け、履きやすく歩きやすいシューズを展開しています。

スモールアイテムのバリエーションが増えました。


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ルームシューズが好評。

放湿性があり、軽量でソフトなピッグスキンの特性を生かしています。

コンパクトに折りたたむことができるので、トラベルニーズが高い
アクティブシニア層にもマッチしそうです。



老舗タンナー<三恵産業>のオリジナルファクトリーブランド
<Cetra(チェトラ)>から、ゴルフラインがローンチしました。

プロデュースを手がける同社 石田美和さん自身も
ゴルフが好きなことから「こんなデザインのグッズがあったら」との想いを具現化。

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リーマンショック後、ゴルフ系ブランドが減少してしまい停滞傾向。

マーケットに新風を吹き込むニューカマーとして百貨店のバイヤーの反応も上々です。


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注目ブランド<TERAI craftment(テライ クラフトメント)>
とのコラボレーションによる帽子も好評でした。




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地場のタンナー<ティグレ>が立ち上げたオリジナルブランド
<leatheria(レザリア)>は、<ウォッシャブルレザー>シリーズが
テレビ番組をきっかけにヒット商品に。


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自宅で水洗いできる機能が人気。

富裕層ユーザーがエコバッグとして購入することが多いそうです。

染料もオイルもこのために開発し、
洗濯後、型崩れがしにくいよう仕立てにも工夫がいっぱい。


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コーヒー、醤油、焼き肉のタレなど
さまざまな汚れと洗濯による変化をサンプルで展示。

そのビフォーアフターがわかりやすくアイキャッチになっていました。




レポートは次回に続きます。




■ 参考URL ■

 「東京インターナショナル・ギフト・ショー」
 <http://www.giftshow.co.jp/tigs/81tigsinvitation/index.htm>


カテゴリー: 国内革事情

 

「MICAM ジャパンブース参加 6ブランド キックオフレセプション」が、

1月29日(金)に行われました。

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イタリア・ミラノで開催される世界的な靴の展示会
「MICAM(ミカム)」に、この春もジャパンブースが出展決定。

そのキックオフとなるイベントです。


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6組の出品ブランドが新作を披露しました。その一部をご紹介します。




REGAL


日本を代表するシューズブランド REGALが、

日本独自の価値観をもった<Japan Luxury>として新しい世界観を表現。

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オーセンティックな価値観に裏付けされた最高品質のものづくりを目指すラインを出品。

回帰的なデザインの復刻だけでなく、新しい現代の定番を提案しています。



Chaka


ベーシックで普遍的なデザインに独特のカラーリングと斬新な素材使いが特長。

<見たことがないけれど なつかしい>、

パワフルで新しい、それでいて、どこかノスタルジックなコレクションです。

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今回、メイドインジャパンの新ライン<レッドソール>をローンチ。

地下足袋をモチーフにしたデザインがユニーク。海外で注目されそうですね。




Johnny & Jessy


ドラマティックなチェンジアラブルシューズが好評。

トラベルニーズにマッチし、メディアでも数多く取り上げられています。

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「ジョニーはジェシーに首ったけ。彼女を振り向かせようと

あの手この手で日々奮闘中。二人をアナタの手で一つにしてやってください」

とブランドストーリーもとてもユニークです!





UMAFULLER


<酷美>(残酷なまでに美しいさま)を根源とし、

靴の知覚的感覚美をデザインに投影されたクリエイション。

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女性の足もとをより美しく見せるように計算されたラインと、
履きやすさを考慮したデザインとのバランス感覚が絶妙でした。





Flower MOUNTAIN


<質感>をテーマに素材の表情や色彩をさまざまな手法で引き立たせ、
靴というキャンバスに「質感」という個性と可能性を落とし込んだカジュアルシューズ。

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ブランドネームを配したフラワーモチーフのレザーパーツが目をひきます。

ハイテク感のあるソールにぬくもりを添えて。





HIROSHI TSUBOUCHI



日本を代表するシューズデザイナー、
坪内 浩さん自身が<履きたい靴をつくる>をコンセプトに展開。

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ひげとリップをあしらったシューズほか、クラシックながらも
遊び心のあるデザインワーク。

ファッション業界のみならず、高感度ユーザーから支持を獲得しています。



人気デザイナーから老舗メーカーまで幅広いラインナップですね。


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著名なジャーナリスト、スタイリスト、業界紙記者などのプレス関係者、
大手百貨店のバイヤー、流通関係者が続々と来場。


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降雪の予報を控えた週末でしたが、熱気にあふれて。

クールジャパン代表シューズは海外での高評価が期待されますね。




■ 参考URL ■


 Chaka / DJB CO.,LTD.

 <http://djb.jp/>


 HIROSHI TSUBOUCHI / ORIENTAL SHOES CO.,LTD.

 <http://www.oriental-shoes.co.jp/index.html>


 Johnny & Jessy / Jay Jay Japan Inc.

 <http://www.united-f.com/items/>


 REGAL / REGAL CORPORATION

 <http://www.regal.co.jp/shoes/>


 UMAFULLER / UMAFULLER

 <http://umafuller.com/>


 Flower MOUNTAIN / FIVE STAR CO.,LTD

 <http://fivestar-fivestar.jp/>


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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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