2016年3月 2日 の記事
March 2, 2016
ファッションとデザインの合同展示会「ルームス 32」レポート (2)
カテゴリー: トレンド
合同展示会「rooms(ルームス) 32」レポート第二弾は、
新しいアプローチで表現するジャパンレザーをピックアップしました。
<革の可能性をカタチに>する<革*jacoi(カワスタリスクヤコビ)>。
革のもつステータスは保ちつつ、異素材との組み合わせや、
異なる角度からの切り口で、<いいもの>だけに終わらない
皮革プロダクトの新しい一面をユーザーに発信しています。
「東京デザイナーズウィーク 2013」Try! Market AWARDグランプリを受賞し、話題に。
今回はアイコン的なシリーズ<革切子>をフィ―チャー。
切り子から発想し、レザーに落とし込んだアイディア、
構築的な立体感もいいですよね。
老舗メーカーとのコラボレーションが実現し、
百貨店の販売イベントも続々行われるなど、活動も順調です。
出展していたイエローブースは来場者が行き過ぎるスピードが速いので、
インパクト勝負。点数を絞り込んだり、
世界観をきちんとアピールする必要があります。
プロに発注したフラワーコーディネートもパンチがありますね。
そんなセオリーを抑えたブースづくりをしていたせいか、
立ち止まってじっくり見ているかたが多かったようですよ。
デニム中心のレディスブランド
<インディマーク>がリリースした国内生産のパンプスがヒット中。
「繊研plus」(2月1日更新分)で取り上げられました。
2015年春夏シーズンに発売し、
6,000足売り上げたそう。カラーバリエーションが豊富で
小ロットで受注できる点も受けています。
<デニムに合う>というコンセプトが明快。
特にコーディネートに映えるグリーンが人気です。
こちらのアッパーにはピッグスエードを使用。
足入れのよさ、履きやすさも評判です。
オフィス164のオリジナルブランド<Sessy Noma(セシー ノーマ)>は、
エキゾチックレザーをカジュアルに表現。
こちらのナップザック、トートバッグは2WAYで使用可能。
例えば、トートバッグのハンドルを内側に収納し、
本体を二つ折りにして抱えて持つことでクラッチバッグ風に。
しかも企業努力により比較的買いやすい価格を実現。
新富裕層、インバウンド向けにぴったりですね。
人気エリア<メードインドット/ルームス地場産>には、
<台東ファッションザッカ>がブース出展。
国内有数といわれるファッションザッカの一大産地、
東京都台東区を中心に広がるものづくりをアピールしました。
今回はポップなパネル展示が登場。
自治体の担当者をガイドとしてキャラクター化し、くわしく解説。
DMとデザインが連動しているので、
わかりやすく、混雑時、応対しにくい場合も、来場者にしっかりと伝わります。
全参加ブランドをインデックス的に展示したコーナーも
時間のない来場者によろこばれました。
前回ご紹介した自転車愛あふれるレザーグッズブランド
<Decibell BY SATOH SHOTEN(デシベル バイ サトウショウテン)>とともに、
老舗メーカー 猪瀬が手がける
<Flathority(フラソリティ)>にバイヤーの視線が集中。
「長年、ジャパンクオリティを影で支え続けてきた
生産ノウハウと技術力をすべて注ぎ込み
どこにも真似の出来ない製品を生み出したい」
との想いから立ち上げたオリジナルブランドです。
現在、定番リュックがロングヒット中。立体裁断によるフィット、軽量さが人気。
キーワードとなっている<スポーティ>が
大人世代に広がって、上質な革製のリュックが選ばれているようです。
「いいものを大切に使って長く愛着したい」というニーズを反映し、
革製品のお手入れへの関心が高まっています。
老舗ケアメーカー コロンブスでは、
自社のスペシャリスト、ケアリストによるシューズ&レザーアイテムケアの
デモンストレーションを行いました。
見事な手さばきに見とれてしまいますね。ビフォーアフターの違いにも感激!
日々のひと手間ひと手間が大切なんですね。
つくり手のかたがたへの感謝の気持ちも芽生えてきます。
学校教育で習得することが少ないため、
若い世代には馴染みがなく、ファッション業界関係者、
プレス関係者からの注目度も高かったようです。
同社では、女性向け新ライン<ルミエール>を発売。
動物の皮膚でもあるレザーを
スキンケアのような感覚でシューケアを楽しめるようにと、
コスメのようなデザインのパッケージに。
玄関まわりなどに違和感がなく置くことができそう。
ホワイトデーや新社会人へのギフトとしてもおすすめです。
「rooms 32」は3日間で約1万9,800人(前年比10%増)もの来場を記録。
今季のコンセプト<ガラパゴス>は<日本のふつうを世界標準に>とのメッセージが。
エントランスで<ガラパゴスケータイ>をデコレーションするなど、
他では見られないroomsらしいアプローチでクールジャパンを表現。
日本ならではの ものづくりが多数発表されました。
「今は<口に入れるもの>にみんなの気持ちが動いていると感じて、
食に力を入れました。口に入れるものは感動がある。
服でもなんでもそうですが、ものはひとに感動を与えないといけません。
(中略)
ルームスは展示会というより媒体であり、社交場だと思う。
異業種のかたも多く訪れ、ここに来るとなにかしなくちゃと感じるみたいです。
ファッション分野の勢いはやや減っていますが、
根本のフィルターにファッションがあることは変わりません」と、
ルームスエグゼクティブプロデューサー 佐藤美加さん。
(「繊研新聞」2月24日11面より)
ファッションよりもフードにファッション性を感じるいま、
その先へと時代をリードする「ルームス」。とてもワクワクしました。
フードカルチャーが盛り上がるなか、レザーの可能性を感じています。
レザーは<ファッションとフードの架け橋>となる素材です。
食肉の副産物である皮革。
特にピッグスキンは日本の食文化の影響が色濃いですよね。
皮ごと食する国もありますが、
日本では一部地域を除き、皮を外して調理することが多いので、
豚革は国内で自給できる唯一の素材ともいわれます。
2020年に開催される東京オリンピックを控え、
<東京らしい おみやげ>としてのピッグスキン製品開発も進行中。
そんな<生命のバトンをつなぐ ものづくり>、
<ファッションとフードのハイブリッド>を表現した、
新たなプレゼンテーションへの期待がふくらみました。
■ 参考URL ■
rooms
<http://www.roomsroom.com/>
プロフィール
鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター
東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。
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