欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2016年9月21日 の記事

カテゴリー: 国内革事情


日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市
「東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2016」のレポート後編は、
前回の姫路に続き、海外で高く評価される国内の産地のものづくり、
革製品からご紹介します。
tgs160908.jpg



<クロダ>

手袋産地として知られる、東かがわ市。
手袋の生産量が日本一の町であり、生産量は全体の90%を占め、
市の主要な産業となっています。
tgs160910.jpg
その地を拠点とする<クロダ>は、
レザーファッション手袋の分野において
国内シェアの約20%を占める有力メーカー。
tgs160911.jpg
国際バッグ・雑貨見本市「MIPEL」にて、
ミペルイッシマ国際部門となるパノラマ部門の大賞を2015年に受賞するなど、
海外でも高く評価されています。
tgs160951.jpg
こちらはその受賞作品。同社 棚次社長、企画室 田中さんとパチリ☆

「Aラインのドレスから着想したデザインです。
 上質なラムレザーを使用し、同系色をパイピングで引き締め、
 スポーティなテイストをエレガントに昇華させました。
 リボンをあえてラフなニュアンスにすることで決まりすぎず、
 大人の着こなしにも似合うと思います」と田中さん。
tgs160912.jpg
急速に普及するスマートフォンに対応し、
手袋をしたままでも操作できる製品も開発されています。
滑らかで、手に馴染むレザーは、
ニットなどの素材よりも引っかけてしまうことが少ないのも特長。
ネイルを楽しむかたにも安心です。

「このところ、手もとのおしゃれに注目する
 高感度ユーザーが増えています。
 ファッション全体では、
 まだまだシンプル&ベーシックなテイストが人気ですが、
 上質でデザイン性の高い手袋をプラスすることで、
 トータルコーディネートが洗練されると思います」(田中さん)

地球温暖化や冬季の高温の影響で
シーズンレス感覚のウェアが人気を集めるなか、
季節感を体感・体現できる
革手袋の存在感がさらに高まっていきそうですね。



<レザリア>

国内自給率100%といわれるピッグスキン(豚革)。
イースト東京・墨田区でそのほとんどがつくれており、
国内生産量の90%のシェアを獲得。
著名なラグジュアリーブランドにも採用されています。
tgs160922.jpg
そんな豚革に、ウォッシャブル加工を施すことで
機能性、付加価値性をアップ。
洗える、育つ革バッグとして提案する<レザリア>は、
地場産業の産品をテーマとしたテレビ番組で紹介され、問合せが殺到。
大ブレークを果たしました。
tgs160950.jpg
今季は、バッグに加え、エプロンを発表。
しょうゆ、ソース、焼肉のたれ...と、
さまざまな汚れで洗濯実験を重ね、完成度を高めています。
キャンプやバーベキューがブームの昨今、
洗えるという機能にマッチした製品づくりがバイヤーに好評でした。



<高屋>

今回、あえて財布・革小物に特化し、バリエーション豊富に
展示した老舗メーカー<高屋>
ファッション雑貨の産地、イースト東京・台東区を拠点としています。
tgs160930.jpg
なかでも、目をひくのが、ネコモチーフのシリーズ。
tgs160931.jpg
ポップなデザインの個性派です。
ゴールドの箔押しは高級感の演出だけでなく、
風水の縁起カラーでもあり、セールスポイントになっています。



<REVEL>

レザーブランド<REVEL>は、
ストリートカルチャーやハンドクラフトから
影響を受けたデザイナーが2006年より革小物の製作を開始。
独学で生産技術を身につけ、デザインから型紙作成、生産まで担当。
湘南の工房で一点ずつていねいにつくり上げています。
tgs160925.jpg
日本国内鞣しを中心に経年変化を楽しめる高品質な皮革を使用。
メインで使用している皮革はオリジナルカラー。
兵庫県たつの市のタンナーが染め上げているそう。
tgs160924.jpg
パッケージデザインが凝っていてギフトにぴったり。
雑貨のようにディスプレイしたい佇まいがいいですね。



<Couco>

良質な素材に染色加工を施したコレクションを
手がける<Couco(コウコー)>

染料には墨を使用し、刷毛に墨をつけ染色。
素材に直接描いた刷毛目がそのまま模様となり、
絵を描くようにつくられます。
tgs160936.jpg
ウェアを中心に展開していますが、新作として墨染めのレザーバッグをリリース。
アーティスティックな柄が素敵です。
tgs160932.jpg
このほか、武州藍染の綿と栃木レザーの牛革を組み合わせたトートバッグも。
いずれも日本の伝統と技術を生かして、モダナイズ。
大人世代の女性から支持を集めています。



<メイドインジャパン>が流行キーワード化してしまうなか、
地域に根ざしたものづくり、次世代を担うつくり手たちの取り組みも増えているようです。
単なるブームとして消費されることなく、継承・継続し、
デザイン性、機能性、付加価値性の高い提案も続々登場しています。
今後の動向も期待したいですね。



■ 参考URL ■

 東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2016」

1

プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

最近のブログ記事

カテゴリー

月間アーカイブ

rss
facebook witter

このページの一番上へ