欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2017年6月 7日 の記事

カテゴリー: トレンド

前回に続きまして、「第96回 東京レザーフェア 2018S/S Collection」レポート第2弾をお届けします。東京・浅草 都立産業貿易センター 台東館 7Fの<トレンドラボラトリー>コーナーは、最新トピックがいっぱいでした。フロアが鮮やか! 来春、注目のモーブ(藤色、薄紫を表すフランス語)で彩られて。「プルミエールヴィジョン」でもイチ推しだったそうですが、トレンドカラーとして新鮮です。モーブ、ラベンダーのトレンドといえば、90年代の<バナル>ブームを思い出しますね。

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2018年春夏シーズンのテーマは「拡張する色彩感・変容する色」。革としての新しい色彩感を意識した24色を提案しています。色の果たす役割は重要性を増し、その存在感は、より強く。色と色が共鳴し、響きあうようなコンビネーションを実現すべく、機能的なカラーパレットを目指したそうです。特に今季は、透明感と軽やかさを感じさせる構成となっていて、注目色はレッド系(オレンジ、ピンク)、ブルー系(ターコイズ、パープル)、ニュートラル「DIGNITY RICH/伝統と革新を美しく融合」、「PLAYFUL NATURE/ナチュラルを自由に遊ぶ」、「UTILITY SPORTS/未来につなぐニュートラル」と3カテゴリーで展開されました。

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「DIGNITY RICH/伝統と革新を美しく融合」


キーワード:「継承する品格」、「伝統の美学」、「深古典派」
カラー:ブルー、オレンジ

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インディゴ藍染めによる暗い表情のブルー。ダークなカラーレンジに重厚感が漂います。

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正統かつ清廉なブルー。ブラウン、コッパーとの組合せで新鮮に。

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革味を深く味わうニュービンテージ。経年変化のようなニュアンスがシボ感を引き立てて。


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「PLAYFUL NATURE/ナチュラルを自由に遊ぶ」


キーワード:「青春のような好奇心」、「エッジ―ポップ」
カラー:ブライト×ニュートラル、イエロー、ピンク、ブルー

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弾けるように軽妙なシャンパンピンク。2017年から継続のピンクは、エレガントなテイストで変化をつけて。

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シャイ二―感で見せるライトグレイッシュ。繊細な表面変化が新しいフェミニズムを感じさせます。

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オーナメンタルなパープルの階調。本命のモーブ、ラベンダーを中心に、さまざまな色調、バリエーションがそろいます。


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「UTILITY SPORTS/未来につなぐニュートラル」


キーワード:「スポーツの新次元イメージ」、「情感に沿う機能感」、「ハイテックイメージ」
カラー:カラードニュートラルの階調、若菜色がアクセント

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ホワイティにグラフィカル効果を楽しむ。抑制が効いた表現で幅広い分野で取り入れやすい。

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中性色の深さときらめき感・シンセティックな未来感。華やぎのあるグリーン、新味がありますね。

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ジオメトリックで未来的な視覚インパクト。未来的かつスポーティな感覚は、東京オリンピックを控え、人気が出てきそうですよね。


それぞれのカテゴリー、グルーピングを通して「オーソドックスな革らしさを刷新するフレッシュな表現」、「(革と革以外の)異素材のハイブリッド感」、「スポーティな感覚のライフスタイル化」といった傾向が打ち出されていました。


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トレンドといえば、富田興業のブースも要チェックです。

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レザー、ファッションというカテゴリーを超え、ライフスタイル提案を感じさせます。従来のトレンドに加え、緻密なマーケット分析を踏まえたコレクションでした。6月第2週に開催される、自社での展示会で、バリエーション豊富に紹介される予定です。こちらもレポートさせていただきますので、どうぞ、お楽しみに。


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シューズの最新傾向はこちら、東都製靴工業協同組合による「NIPPON VALUE」で発信。

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今回は、「NIPPON VALUE×墨田革漉工業」のコラボレーション作品を発表。「東京レザーフェア」デザイナー コラボレーションに2年連続選出されるなど、優れた技術力が知られています。社名の革を漉く(厚さを調整する)加工では日本における元祖であり、各種加工のエキスパートとしてもお馴染み。デジタルパンチング、プリーツ、スペシャルドット、デジタルカッティング...と、さまざまな加工に対応し、最新鋭の3D加工も導入するなど新しい革づくり・ものづくりへのチャレンジに信頼が寄せられて。

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「NIPPON VALUE」。高い製靴技術で仕上げられた、世界に一足しかないシューズをお披露目。メタリックの多様な表現に目を奪われました。


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百貨店、セレクトショップを中心に快進撃を続ける<ユードット>を展開する<ヴァ―ブクリエイション>。

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ホワイトに絞ったプレゼンテーションでデザインの先進性が際立ちます。このほか、インソールに蛍光グリーンを効果的に配したシリーズも秀逸。若い世代のユーザーが日本製の靴の履き心地のよさを体感する、きっかけになっています。


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<パイオニア>ではオリジナルブランド<ピオネロ>の進化が止まりません。アート性が高いハンドペイントレザーと、スニーカーライクなソールを融合。履きたいと思えるコンフォートシューズがない、なかなかマッチする靴がないと悩むかたが多いようです。スニーカーだけでは満足できない大人世代のファッション感度を満たすべく、彼らのいま、そして、一歩先の暮らしにそっと寄り添って。


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墨田革漉工業が出展する東京都/東京製革業産地振興協議会ブースも大盛況。

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恒例の新進クリエイターとのコラボレーションによるカプセルコレクションや出展各社のオリジナル製品も登場し、つくり手の想いを込めたプロダクトを提案しました。


ファッショントレンドの意義、役割が変容するなか、時代に合わせたイノベーションにより、新しさを提示するジャパンレザー。つくり手とつかい手をつなぐ媒介として、もっともっと注目していただけますように。


■ 参考URL ■

 東京レザーフェア <http://tlf.jp>


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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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