欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2018年1月24日 の記事

カテゴリー: トレンド

東京・浅草で、1月17日~19日、皮革関連企業が個展を開催。新作を発表しています。「東京レザーフェア」には出品されなかったものも多いため、業界関係者に注目され、数多くの方が訪れていました。その一部、数か所にお邪魔し、2018年秋冬シーズンの傾向を探ります。


26907239_1570757576306407_3910421346992845386_n.jpg
まずは、東京を代表する皮革卸として知られる富田興業株式会社から。革の街・靴の街、浅草で大正時代から続く老舗企業でありながらも、常に進化。マーケットの流れをいち早くキャッチし、レザートレンドを牽引しています。

パープル2 1801.jpg

会場で目をひいたのはパープル系の多さ。パントン社が選ぶ「パントン・カラー・オブ・ザ・イヤー 2018」としてウルトラバイオレットが選出されたほか、「プルミエールヴィジョン」でもフィーチャーされた話題のカラーです。

26904416_1575097702539061_2871768863110344963_n.jpg
「パープルは(日本人の)肌の色に合わない・・・と苦手意識をもつかたも少なくないので、弊社では、淡い色目のモーブから赤みの強い色合いまでそろえました。この春夏のトレンドカラーでもあるモーブは、幅広く扱いやすい色ですが、新しさも感じさせます。昨シーズンのトレンド、レッドからの流れもあり、パープルとレッドのブリッジとしてバーガンディも有力です」とクリエイティブディレクター 藤田さん、峠原さん。

ポスト・ワイドパンツとしてフレアパンツも浮上してきており、70年代(90年代のリバイバル時)のエッセンスと近いように感じます。同じく90年代にブームとなったバナルテイスト(モーブも大流行しました)は、グッドガール的で東京のいまの気分にマッチしますし、若い世代には新しく、大人世代(団塊ジュニアより上)には懐かしさもあり、期待できそう。

グリーン.jpg

続いて気になるのは、グリーン。

「爆発的なブームでないものの定番的な存在ですね。特にフォレストグリーンと呼ばれる深い色味が人気です。カーキを含め、グリーンは着こなしに取り入れるのが難しいとされてきましたが、ユーザーのファッション感度の成熟を感じますね。ブラックやネイビーのワントーンコーディネートの外しとして、靴やバッグだけ差し色的にプラスするようなスタイリングが増えてきました。この春からは、ベースカラ―としてベージュも注目されていますが、グリーンはポイント使いとしてもマッチするので、まだまだ継続しそうですね」(藤田さん、峠原さん)

エナメル1801.jpg

艶感のある素材のニーズも根強いよう。

「昨シーズン、ベロアがトレンドとなりましたが、エナメルなどのエレガントなニュアンスが新鮮です」(藤田さん、峠原さん)

27066760_1575097729205725_4063780188446781304_n.jpg

27336570_1575097739205724_9045640271625062912_n.jpg
クロコダイル調、パイソン柄も堅調。上質感のあるレザーはオリンピックを控えた景気浮揚、2019年に予定される消費税増税前の駆け込み需要などにも対応できそう。

19554585_1575097735872391_5963540479454952779_n.jpg

柄ものでは、花柄に新傾向が。前年からのジャポニスムからの流れもあり、オリエンタルなムードがキャッチ―。イメージを固定させない無国籍風なテイストは汎用性があっていいですね。

19554842_1575098039205694_7503269292538037124_n.jpg

そのほか、加工ものについて伺うと、「デニム調レザーが動いています。こちらは<浅草デニム>とネーミングしたシリーズ。ソフトなヤギ革にシルクスクリーン×フィルムで表現しました」(藤田さん、峠原さん)

ピッグスキンを用いたシリーズはさらに柔らかいのでウェアなどにも最適。デニムに見えて、実はレザーだった、というギミックが贅沢ですよね。

26907411_1575098019205696_4075460472944468171_n.jpg

<レザーツイード2018>も「東京レザーフェア」で高く評価された新作です。レザーを主体にウール、コットン、レイヨン等を織り合わせ、新しい素材感を表現。これまでにないアプロ―チが新鮮ですね。


原皮不足の昨今、多様なグレードのレザーを生かしながらも、付加価値の高いレザーを提案することは、大きな課題。異素材ミックスという斬新なチャレンジングが素晴らしい。日本のファッションらしさを訴求できそうです。藤田さん、峠原さん 取材ご協力ありがとうございました。

なお、富田興業では、2月1日から神戸展を開催予定。関西エリアを拠点とする事業者、つくり手の皆さまもご覧いただけますよ。


レポートは第2弾は改めてお届けします。吉比産業、東京製革業産地振興協議会の展示などをご紹介予定です。どうぞ、お楽しみに。



■ 参考URL ■

 富田興業株式会社 <http://www.tomita.co.jp/>

1

プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

最近のブログ記事

カテゴリー

月間アーカイブ

rss
facebook witter

このページの一番上へ