欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2022年12月 の記事

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。
今回は、皮革業界はAIで「革に役立つものを作る」という夢は見られるのか?という話。AIによるイラスト生成についてレクチャーしてくれます。ぜひ、ご覧ください。

*   *   *

通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしていますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。

人気イベント「本日は革日和♪」および関連イベントが明日から東京で開催されます。このほか、今後のスケジュールなどは下記のリンク先をチェックしてください。

  「本日は革日和♪」

*   *   *

毎度です!「確か中学生の頃にブレードランナーの原作は読んでいるはずなんだよ。ただ、読みづらくて内容覚えきれていないな」村木です。

まぁ、SFなりが一番おもしろいのって小学生高学年や中学生の頃じゃないかなぁ、と思います。SFは「こういう技術があれば社会にどういう影響が及ぼされて、どういう商売が出るか」という想定が行われているので読んでいて勉強になります。

で。今回の話は、

・まさかAIによるイラスト生成がこの4か月でこれだけ進歩するとは・・・
・AIイラスト生成で鞄や靴のデザインはできるのか?
・でも高額なパソコンが必要なんでしょ?いえいえ!そうでもないのよ
・じゃぁ、それがどのように革業界に影響を及ぼせられるのか

という話をします。

いつものごとくオチから話しておくと、

「玉石混交のデザイン100点は作りやすくなる。そこから玉に磨くのが人間の仕事かな」

というものとなります。

さて、今年も終わりで1年振り返ると・・・

今年もコロナは解決しませんでした。

前回のスペイン風邪が終結に5年の年月を要しましたが、今回もやっぱり5年かかりそうだなぁ、と。
スペイン風邪はちょうど第1次世界大戦時のパンデミックでした。今回はインターネットやら、世界も進歩したし、3年くらいでパンデミック終結かな、と思いましたけど無理そうですね!


スペイン風邪、というけどスペインは悪くないのに、疫病に名前つけれているのはほんとにかわいそう。

AIによるイラスト生成がこんなに進歩するとは・・・

今年前半ではテレビでVRがよく取り上げられていました。「あー、VRゴーグル買うかなぁ」「でもやりたいこといまいちないんだよな。でも新技術は体験したいしなぁ」「日本タンナーズ協会の360度VR動画はほんとに面白いんだがなぁ」「VR動画なり写真の記録はやっておきたいな」とウダウダと見守っていました。ThetaVを買って、360度写真撮影は以前からちょこちょことはしていました。



が、VR新年(記憶している限り3回くらいは言われているなぁ)になるかと思った矢先、発表されたのがAIによるイラスト自動生成。これが毎週ごとに進歩進化していきました。見ていてぞっとするレベル。

AIによる画像自動生成の流れ、が突然動き始めた8月

AIによるイラスト生成ソフトはStable Diffusionが8月に発表したのがスタートかな、と思います。ここから急速に進歩進化していきました。


プロンプト、と呼ばれる呪文を入れると自動でイラストなり写真を生成する、というものです。
どんなものでもOK!ということはなく、「自動生成は指が6本になる」などの問題があったのですが、急激な進歩や進化でどんどんと発達していっています。

AIによる画像自動生成の面倒くささと、パソコンのスペックと、突然楽になった10月
AIによる画像生成に要求されるパソコンスペックは結構重ためでした。性能が足りていないと生成するのに時間がかかったり、作られるイラストの大きさが小さかったり。わかりやすくいうと「最低でも10万くらい、、できれば15万円以上お金かけないとちょっときつい」というものでした。

また、導入もパソコンにプログラム入れるなり、1か月20$なり10$なりの費用もかかりました。まぁ、ちょこっと遊んだりしましたが、10月に「Web上で無料でできるよ!」というシステム「Mage」が発表されました。えっ!マジで!と叫んだものです。


2212jliaprompt001.jpg

こちら、Web上で完結するため、画像生成に30秒ほどの時間はかかりますが、私のパソコン(8年前くらいに買っていて、1万円くらいのGPU放り込んでいるもの)でも動いてくれました。

実際に自動生成でバッグや靴や財布のデザインを作ってみよう!

このMageのおかげでAIによる自動生成は格段に楽になりました。実際にやってみましょう。


バッグのデザインを作ってみる

使い方は簡単。Mageのサイトを開いて単語を英語で入れていくだけ。


2212jliaprompt002.jpg

イラスト生成のコツはひたすら、トライ and エラー and リトライ!

漠然とした単語を入れるよりも限定すればするほど狙ったものは出やすいかな、と思います。下は「bag alien」と入れたものです。

2212jliaprompt003.jpg

なんだこりゃ。「エイリアン+バッグ」だとこうなるのかぁ。もうちょっと細かく「Bag alien space」と入れると・・・

2212jliaprompt004.jpg

2212jliaprompt005.jpg

「バッグの外側に宇宙かけばいいだろ!」的になっているな、これ。「bag alien shape」と入れると・・・

2212jliaprompt007.jpg

2212jliaprompt008.jpg

違うなぁ・・・バッグの外側にエイリアンかけばいいんだろ!的に考えていやがるなこいつ。エイリアンのイメージが古いな、これまた。

「alien bag green shape」と入れると・・・

2212jliaprompt009.jpg

お!ちょっと良くなってきたな。やはり限定すればするほど良いように思えます。

AIに指示することを「呪文を入れる」と表現しますが、呪文をどのように入れるか、などは試行錯誤していくしかありません。いろいろ試してみました。

AIで作ったバッグや靴や財布

バッグ

2212jliabag007.png

2212jliabag008.png

bag alien系列で生成。

2212jliashoes009.png

2212jliashoes010.png

「shoes doraemon」で生成。あぁ、なるほど。色合いか・・・

財布

2212jliawallet011.png

2212jliawallet015.png

「space+wallet」や「doraemon+wallet」

2212jliawallet009.png

AI 自動生成の仕組みを考えると何が得意で何が苦手かわかってくる

AIによる自動生成は単語を突っ込んで、Web上に出てくる検索結果を組み合わせている、というだけのものです。AIさんはspaceやらbagやらを明確に区別しているわけじゃありません。

正直、AIはそれほど賢いわけじゃありません。ただ、彼らはこの検索して組み合わせてアウトプットする、という作業を何十回、何百回、何千回繰り返して、どんどんと蓄積して賢くなっていきます。


AIでデザインをする際に何が苦手なのか?

例えば、doraemon+shoesを見るとわかるのですが、「こちらの求める具体的なキャラクター」を「靴に移す」という場合、キャラクター画像を載せておけばいいんだろ!ではなく、「キャラクターを構成する色彩を靴に載せれば良いんだろ」と考えているんでしょうね。doraemonのフォルムを靴で表現するというのは、私の呪文では難しいわけです。

2212jliashoes012.png

ただ、画期的な形や機能性を生み出すのは苦手です。財布あたりを見ればそれがよく分かるかと。

2212jliawallet007.png

既存品の財布の形を組み合わせたり、色合い変えただけですな。「コインしまうのにこんな画期的な方法があったのか!」というようなものは、できないわけです。
AIでデザインするうえで得意なのは?
2212jliabag006.png

上のバッグは「alien+bag+shape+black」を延々と行いました。20点くらいやったかな。その上で「おっ!エイリアンっぽいね!」と思ったものです。

AIが得意なのは「何度も何度も何度も何度も同じ作業を繰り返す」ということです。
玉石混交、と言われる中で、石みたいな結果を100点1000点出すのが得意なわけです。その中から「これはいいやん!」と玉を取り出すのが人間じゃないとできない役割なわけです。

上記サイトのMageは、いちいち「単語入れる>駄目だったのでブラウザーバックする>再度クリックする」という手作業が必要となります。

ですが、これもこの数か月で「高性能なパソコンなら1クリックで10点以上のAI画像を出す」というものも出てきました。

AI画像は法律的に問題はないのか?


先に書いておくと、未だにグレーゾーンで喧々諤々やられています。

AI画像は「ネット上にある画像を勝手に拾って、無断で組み合わせて作り出す」というシステムです。素となる画像が絶対に存在するわけです。

自動生成AIの中には、「こちらで用意した画像を100点なり放り込んでそこから組み合わせを延々と出させる」というものも存在します。この際に用意した画像・・・例えば手塚治虫の漫画なり画像を100点用意して学ばせる。そのうえで、「手塚治虫風のバッグを出して」などとやれば格段にそれっぽいものができあがります。これは著作権的に間違いなくブラックとなります。

では、「ネット上にある画像を特定せずに勝手に使ったらどうなるか」というのがグレーゾーンで、現在、喧々諤々言われている最中です。


革業界はAIを使えるのか?

今回は画像自動生成AIの話をしましたが、この4か月くらいでイラスト以外も急激に増えています。多分1年後にこのblogを見ると大笑いするくらいに進化が急激すぎます。

文字を入れると3Dデータ作れる、というのはものすごいですね。


じゃぁこれらがあるなら今後デザイナーや文章を書く人はいらなくなるのでしょうか?答えはもちろんNOです。

AIで生成されたものには手を加えないと、まだ現実的じゃない


2212jliasf.jpg

上はSFマガジン2023年2月号の表紙ですが、下記のnoteはこの表紙を作った人の作業の紹介です。


見ていただいたらわかりますが、「なんか単語入れてポンッ、でできるんでしょ?」と言えないくらいに作業と時間をかけています。

結局、人間が「これは良くてこれはダメ」という作業が絶対に必要なわけです。上記ならば「SFマガジンの表紙としてふさわしいものは」というジャッジを下せるのは人間だけです。

「新しいもの」というのは無から生み出すのではなく、既存のデザインなり考え方の組み合わせです。それをどう良いかor悪いか、と判断するのは人間がやることですね。

画像生成AI「Stable Diffusion」を使って新しいインテリアデザインを作成しまくる試み - GIGAZINE

今月のまとめ:玉石混交の中から玉を見出して磨くのは人間じゃないと無理

AIによるイラスト生成は、ほんとにこの4か月でとんでもなく変化しています。

ですが、「これはいいものだよ」というのは人間がやるしかありません。

このblogでも何度も何度も書いていますが、「企画・デザイナーがいないと売れる商品は作れない」です。
AIはこのデザイナーを助けてくれるとは思うツールです。その一方で個人レベルでも無限にある石(=箸にも棒にもかからないような雑多なもの)を手に入れやすくなり、そこから玉(=実際に金に変えられるレベルのもの)に磨きやすくなった、とは思います。

AIって大仰そう!なんて思わずに、今回取り上げMageで単語を入れるだけでも結構遊べますので気楽にいじってみてください。AIは革業界でも今後役立つ知識で技術だと思います。



2212jliaprompt002.jpg

今年も一年ありがとうございました。
また来年も取り留めもなく書いていくと思いますので、読んでいただけたら幸いです。

・先月のJLIAblogの裏側、というか、文字数調整のため掲載見送りとなったテキストを完全版として下記に書いておきました。


カテゴリー: ジャパンレザー トピック&イベント まとめ

2022年も残りわずか。年内最後のまとめ記事の更新です(次週は村木さんの連載)。一年ご覧いただきありがとうございました。年始は1月11日(水)からの更新となります。
今回も動画配信やイベントほか、さまざまなトピックをまとめました。参考にしていただけますように。


【イベント情報】「ぱりっせーる 2022」
ぱりっせフライヤー.png
皮革産地としてお馴染みの埼玉県草加市の伝統産業展示室「ぱりっせ」(最寄り駅:東武スカイツリーライン 獨協大学前駅 下車徒歩約5分)が、恒例の年末セールの概要を同施設公式ウェブサイトで発表。今年はリニューアルオープン記念特別セール「ぱりっせーる 2022」がスタートしました。
ぱりっせ30240.jpg
「そうか革職人会」参加事業者による革製品が20%オフとなっています。
ぱりっせ3038.jpg
ぱりっせ3034.jpg
ぱりっせ3029.jpg
地域ブランドの新作をはじめ、定番アイテムもズラリ。

草加せんべい食べ比べセット(限定の3店舗)もお求めいただけます。12月17日(土)~19日(月)、22日(木)~25日(日)の期間中、景品プレゼント(各日先着100名)、豪華景品が当たる! 福引コーナーなども好評です。
ぱりっせ3028.jpg
「タイムアンドエフォート」「レザーワールド」などでお馴染みのレザーベアがサンタクロース風の装いで登場。
ぱりっせ3037.jpg
会場には小さなテディベアも出品されていますので、あわせてチェックしてください。

一般社団法人日本タンナーズ協会のプロジェクトの一環で制作された「ザ レザー スクラップ キモノ(THE LEATHER SCRAP KIMONO)」が国際的な広告賞、第101回ニューヨークADC賞(THE ADC ANNUAL AWARDS)でシルバーキューブとブロンズキューブの2冠を達成! 篠原ともえさんがデザイン・ディレクションを手がけた、この作品をお披露目。
ぱりっせ3032.jpg
草加の腕利き職人たちのコラボレーションによりつくり上げられた作品がいよいよ凱旋展示となりました。こちらもお見逃しなく。


【メディア情報】「ジャパンレザーVOICE」
07_img_01.jpgのサムネイル画像
インターネットラジオ×YouTubeハイブリッド型動画コンテンツ配信「ジャパンレザーVOICE」(#レザボイ)第7回は、12月21日16:00からアズーリFM公式サイトよりライブ配信(生放送)予定です。今回は3つのコーナーでジャパンレザーと革のものづくりの魅力が発信されます。

07_img_02.jpg
■キーパーソンインタビュー
「ジャパンレザーアワード 2022」グランプリ受賞者 野沢浩道さん

07_img_03.jpg
■「ジャパンレザー 旬暦」製品紹介
受験勉強をがんばる学生の皆さまへの応援グッズとして贈りたい日本製革製品(ペンケース)をセレクト

07_img_04.jpg
■ジャパンレザー「最新トピック紹介」
エキゾチックレザー関連トピック

同じくフェイスブックライブ配信では、番組のオープニングコーナー終了後、第一特集「キーパーソンインタビュー」配信中の20分ほど休止となります。今回のフェイスブックライブでは「キーパーソンインタビュー」(「ジャパンレザーアワード 2022」グランプリ受賞者 野沢浩道さん)はご視聴できません。第2特集「ジャパンレザー 旬暦」から再開となりますので、ご注意ください。

ライブ配信終了後は、アーカイブでご視聴可能ですので、お時間があわないかたはぜひご利用ください。


【イベント情報】「Oh! Some shop! 2022」

期間限定アウトレットショップ「Oh! Some shop! 2022」が香川県丸亀町グリーン西館 1Fで開催中です。手袋産地 東かがわ市の職人たちが手がけた手袋とファッション小物をハッピープライスで大放出! 会期は12月25日(日)まで。


【WEB情報】「革市通信」

「日本革市」公式ウェブサイトの人気コンテンツ「革市通信」<ちょっといいモノを毎日に>最新回が公開されました。スペシャリティストア出身の鎌倉泰子さんが日本中から集めた本革製品をバイヤー目線、ユーザー目線で厳選!

今回はギフト提案(日本革市choice/レザーアイテム特集)。クリスマスのギフト、年末年始のおでかけにも便利なアイテムをピックアップしています。なかには本革の御朱印帳入れと、お守りケースも。18歳が成人となり、「成人の日」のお祝いは、受験生へのエールとなるものがよろこばれそう。そんな応援ギフトにぴったりですね。このほか、バッグ、財布ほか上質な日本製革製品が充実。ジャパンレザーとの新しい出会いにどうぞ。


【セミナー情報】「JLIA国際戦略セミナー」
セミナー3044.jpg
一般社団法人日本皮革産業連合会 海外展開促進委員会がJLIA国際戦略セミナー「皮革産業の海外展開 ―現状と課題」を12月14日(水)、東京・駒形 皮革健保会館 6F 会議室で開催しました。

株式会社リーガルコーポレーション 青野元一さん、栃木レザー株式会社 遅澤敦史さん、ルボア株式会社 林周二さん、株式会社アートフィアー 森下拓磨さん、株式会社和田商会 和田良彦さん(以上50音順)が登壇。各社の会社概要、歴史とともに海外戦略についてプレゼンテーション。海外展示会への出展時の成功事例に加え、ご苦労なさったこと、ネガティブな事例もリアルに紹介。
セミナー3041.jpg
例えば、輸出については、バイイングしてくれる店舗を探すことも大事ですが、展示会出展時に海外の販売代理店を募集(「販売代理店を募集」と目立つように明記したポップなどをブースに設置するとよいそうです)し、その国に合わせたローカライズ施策で展開するとスムーズだったケースがあるそうです。そんなノウハウを惜しげもなく披露してくださり、とても満足度の高いセミナーとなりました。次回開催にも期待が寄せられます。

カテゴリー: ジャパンレザー トピック&イベント まとめ

クリスマスイブまであと10日。指折り数えて待つ聖夜。ギフトシーズンに相応しい日本製革製品を紹介するイベントやキャンペーンが各地で行われています。今回も動画配信やイベントほか、さまざまなトピックをまとめました。参考にしていただけますように。


【メディア情報】「JLIAtv」
美咲さん03d_img_03.jpg
当連合会の公式YouTubeチャンネル「JLIAtv」で、「ジャパンレザーVOICE」の新着動画公開されました。

美咲さん03d_img_02.jpg
皮革業界の第一線でご活躍のキーパーソンにご登場いただき、いま注目の話題をお聞きするコーナー「キーパーソンインタビュー」三回目のゲストとして、有限会社清川商店 企画・営業担当 松村美咲さんが登場。

松村さんは、国内最大の革製品コンテスト「ジャパンレザーアワード」で2年連続 部門賞を受賞するなど、ご活躍の、新進気鋭の女性バッグクリエイター。前半では日々の業務や働き方について語りました。
JLA21受賞作品.jpg
後半は、「ジャパンレザーアワード2021」でバッグ部門ベストプロダクト賞を受賞した作品、「Laura」についてご紹介しています。「手仕事だからこそ扱える素材」にこだわりデザイン・制作されたこちらのバッグは、ハンドルには土佐の「黒竹」を、パーツごとに染色したガラスレザー、デザインのアクセントにもなっている真鍮金具はハンドルに合わせたオリジナル。熟練した職人たちの手仕事によって生まれた素材を解説してくださいました。


【イベント情報】東日本バッグ工業組合
工組さん会見2212.jpg
東京都を中心に東日本エリア138社の袋物製造事業者が加盟する東日本バッグ工業組合の新プロジェクトの記者発表が12月8日(木)に行われました。

2021年度より東京都中小企業団体中央会の支援を得て、伝統ある東京のものづくりの一角をなす業界全体の活性化に取り組むなか、2022年度、東京都の中小企業新戦略支援事業に係る特別支援「デジタル技術活用による業界活性化プロジェクト」対象事業に選定され、東日本バッグ工業組合と株式会社博報堂のコンソーシアムが中心となり組成したチームが「東日本バッグ工業組合デジタルブランディングプロジェクト」を推進しています。

数年前から袋物製造業界の業績が伸び悩み、事業者の廃業に歯止めがかからず、業界全体の底上げを図ることが急務。職人の高齢化と後継者不足により企画・販売力の低下、バッグ専門店や百貨店の売り場の減少、さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響で、袋物製造業界は大きな打撃を受けています。こうした背景と現状を踏まえて、「業界全体のブランディング化」と「デジタル技術を用いた情報発信力の強化」の2つの柱で取り組んでおります。

組合員の高い技術力や、高品質な袋物製品の製造・販売を行っている東京という地を強くアピールすべく、外国産とは一線を画する「東京産のバッグ」のブランディング強化策として、ブランドネームを「BAG MAKERS TOKYO」に決定。ブランドロゴの開発、コンセプトムービーとコンセプトブックが発表されます。

デジタル技術を用いた情報発信力を強化すべく、ブランドサイトの開設、組合サイトのリニューアルおよび、SNSを活用し情報発信が行われるそうです。

同プロジェクトの集大成として、次世代につなぐ展覧会「TOKYO嚢物展」が2023年1月27日(金)~28日(土)、東京・銀座 伊東屋 B1F Inspiration Hallで開催。袋物製造業界のルーツをみつめ、現代の感覚で袋物を再定義。貴重なアーカイブの展示とともにクリエイティブディレクター・デザイナー 寺内ユミさんによるプレゼンテーションがお披露目されます。


【イベント情報】「したまち小粋マーケット
上野ポップアップDM_web1-1271x1536.jpg
恒例イベント「したまち小粋マーケット」が12月15日(木)~18日(日)、JR上野駅 中央改札前のグランドコンコースで開催されます。バッグ、シューズ、財布、革小物など、台東区周辺エリアを拠点とするつくり手たちのとっておきの逸品を紹介する販売イベントとしてお馴染みに。

また、台東区・荒川区・足立区・葛飾区の4区合同プロジェクト「東京TASK」が行う「ものづくりアワード」で過去に大賞などを受賞したメーカーも出店し、ライフスタイル雑貨を販売。天井が高く広々とした駅構内は開放的な空間で常時換気されているので、安心してショッピングが楽しめます。
 

【イベント情報】「草加ぱりっせーる」

皮革産地 埼玉県草加市の伝統産業展示室「ぱりっせ」が、恒例の年末セールの概要を同施設公式ウェブサイトで発表。今年はリニューアルオープン記念特別セール「ぱりっせーる 2022」と題して12月17日(土)からスタートします。

「そうか革職人会」参加事業者による革製品が20%オフとなるほか、草加せんべい食べ比べセット(限定の3店舗)も販売。12月17日(土)~12月19日(月)、22日(木)~25日(日)の期間中、景品プレゼント(各日先着100名)、豪華景品が当たる! 福引コーナーなどもお見逃しなく。


【展示会情報】皮革関連企業各社

皮革関連企業各社の2023年~24年秋冬コレクション個展が東京・浅草周辺エリアで開催されます。
画像は、「東京レザーフェア」会期中に撮影させていただきました。

TOMITA様2845.jpgのサムネイル画像
「富田興業」

日程:12月14日(水)~16日(金) 
場所:富田興業株式会社 本社 2F ショールーム(台東区今戸1-3-12)

KIBI様2844.jpg
「吉比産業」

日程:12月14日(水)~16日(金) 
場所:吉比産業株式会社 東京支社 ショールーム(台東区東浅草1-2-2)

会期終了後もショールームで継続して展示されるようです。来場ご希望の場合は各社にアポイントを入れてみてはいかがでしょうか?


【WEB情報】「革市通信」

「日本革市」公式ウェブサイトの人気コンテンツ「革市通信」<ちょっといいモノを毎日に>最新回が公開されました。スペシャリティストア出身の鎌倉泰子さんが、日本中から集めた本革製品の中から、バイヤー目線、ユーザー目線でレザーアイテムを紹介しています。


【キャンぺーン情報】12月10日は「ベルトの日」

「ベルトの日」PRプロジェクトが行われてます。12月10日の「ベルトの日」にちなんで、熟練の職人が丹精込めて作り上げた国産本革ベルトをクイズに正解した人の中から合計100名様にプレゼント。昨年は近鉄なんば線のトレインジャックが話題となりましたが、今年は大阪メトロの主要駅の構内にポスターを掲示。くわしくは下記リンク先をご覧ください。

カテゴリー: ジャパンレザー トピック&イベント まとめ

いよいよ12月ですね。2022年も残りわずか。慌ただしい師走ですが、一年の締めくくりに相応しいイベントの開催やトピックも続々。今回は動画配信やイベントほか、さまざまなトピックをまとめました。参考にしていただけますように。


【イベント情報】「ジャパンレザーアワード」
2794.jpg
国内最大のレザープロダクトコンペティション「ジャパンレザーアワード」の2022年度グランプリをはじめ、受賞作品10作品を一般公開するイベントが12月1日(木)から約5週間、「b8ta-Tokyo 新宿マルイ」(東京都新宿区)特設ブース(エクスペリエンスルーム)で行行われています。
ベータ2796.jpg
8月22日(金)に本エントリーを締め切り、243点の作品が寄せられました。長濱雅彦審査委員長(東京藝術大学美術学部教授)をはじめ、ファッション、デザインの分野にて第一線で活躍中の審査員が厳正な審査を行い、各賞、グランプリを決定。
ベータ2815.jpg
11月03日の「いいレザーの日」に今年度のグランプリ作品を公式サイトで発表しました。今年度は、野沢浩道氏(個人/栃木県在住/作品名「チイサナフデバコ」/フリー部門ベストプロダクト賞)が受賞。ステイショナリーがグランプリを受賞したのは、同アワードで初となる快挙です。

独学で革製品づくりをはじめた野沢さんはこれまでに15作品を応募。企業デザイナーではなく、フリーランスで活動しているクリエイターでもなく、レザークラフトを楽しむつくり手がグランプリを受賞するのも今回が初めて。消しゴムつき鉛筆一本分の専用筆箱を絞り加工で仕上げた独創的な作品が、同アワードの歴史に新しいページを刻みます。

受賞作品・展示作品
(文頭は作品名、カッコ内は所属名、受賞者は敬称略)

・チイサナフデバコ 野沢浩道
・InTi(インティ) 宮内崇(アトリエ路地の家)
・"リム"トート 中野義夫(Wish Born)
・カスタマイズウォレット 矢内徹(株式会社吉田)
・ビスポークシューズver 2.0 ~伝統技法×最新技術で挑む世界市場~ 外林洋和(LIGHTBULB)
・千色革籠 河本静香(sunao)
・混沌 蔡弘灏(CAI芸術スタジオ株式会社)
・ハザイ×クマ 井藤憲一郎
・牛さんの爪サロン 大塲朝希(国際ファッション専門職大学)
・「ロス」から生まれた「レス」シューズ 安藤真弓(株式会社ティックワールド)

小冊子2808.jpg
上記の受賞者および受賞作品を掲載した小冊子が完成。会場に設置・配布(無料)しています。ご自由にお持ちください。
ベータ2807.jpg
また、ノベルティプレゼント企画も行われていますのでお見逃しなく。


【展示会情報】「東京レザーフェア」

第104回「東京レザーフェア」が12月8日(木)~9日(金)、東京・浅草 都立産業貿易センター 台東館で行われます。主なコンテンツは、東京レザーフェア トレンド・ラボラトリー[7F]、トレンドセミナー・リーダーズセッション開催[8F]、革コン! 革のデザインコンテスト 2022[4F]、リネアペッレ・セレクション[7F]に加え、インスタライブも充実。くわしくは下記リンク先、同ホームページをご参照ください。


【メディア情報】「JLIAtv」
06d_img_02.jpg
当連合会の公式YouTubeチャンネル「JLIAtv」で、「ジャパンレザーVOICE」の新着動画が公開されました。

今回はWeb動画配信「ジャパンレザーVOICE」プロジェクト第六回の第一特集「キーパーソンインタビュー」を再編集。皮革業界の第一線でご活躍のキーパーソンがいま注目の話題を語ります。今回のゲストは、富田興業株式会社 代表取締役社長 富田常一さん。皮革業界と浅草および東東京の街づくりに尽力し、幅広く活動なさっていることでもお馴染みですね。ぜひ、ご視聴ください。


【YouTube情報】一般社団法人日本タンナーズ協会 

一般社団法人日本タンナーズ協会の公式YouTubeチャンネルで最新動画が公開され、話題になっています。

今回は「レザークエスト ~3人の勇者とお肉と革の物語~」と題し、「皮」から「革」、職人がスキルを使って勇者たちのために「革」を靴やジャケットなどに作り変える、といったストーリーをRPG風に表現。幅広い世代にわかりやすく、革と革のものづくりを紹介する意欲作です。


【メディア情報】「LEON」
LEON1月号_表紙23.jpg
11月25日発売「LEON」2023年1月号(216~217ページ)「続・ココロ踊る LEON別注! これがシン・エキゾチックラグジュアリー」で爬虫類皮革製品の紹介記事が掲載されました。ミニトートバッグ、スマホショルダー、クラッチバッグ、長財布、キャディバッグと幅広いラインナップ。
LEON1月号_別注企画ページ.jpg
富裕層のニーズを知り尽くした「LEON」編集部とのコラボレーションに注目です。新サイト「エキゾチックレザーマーケットジャパン」で掲載ページおよび、掲載アイテムをご紹介。くわしくは下記リンク先をご参照ください。


【メディア情報】「レザーソムリエニュース」

レザーソムリエのための無料情報メディア「レザーソムリエ ニュース」最新号 Vol.19 2022年12月号が公開されました。

前号より誌面をリニューアル! 内容も刷新。革靴・革製品のメンテナンスを掘り下げる「コロンブス、究極の靴磨き」、レザーソムリエ資格試験の合格者特典 工場見学会レポートなどの独自取材、講師へのインタビューをはじめ、さまざまなトピックが盛りだくさんです。


【試験情報】「レザーソムリエ」

2022年度の「レザーソムリエ」資格試験が11月6日(日)に実施され、初級の合格者が12月6日(火)に発表されました。合格者の皆様、おめでとうございます!

講座は、2023年も実施予定です。初級合格者は、中級講座を受けることができますので、ぜひ、お申込みください。「レザーソムリエ」公式ウェブサイトにて、日程公開および受付開始予定です。どうぞお楽しみに。


【イベント情報】「TLGFC」
ミヤ様2716.jpg
東日本バッグ工業組合 組合員有志による「#TLGFC/TOKYO LEATHER GOODS  FACTORY COLLECTION」のポップアップイベントが、池袋駅構内南改札外イベントスペース(東武百貨店 B1F 6番地入り口前)で開催中です。
三和様2701.jpg
ヤマダ様2712.jpg
腕利きファクトリーがバッグ、財布などの革製品がバリエーション豊富に直販。この時季にぴったりのシープスキンバッグも好評ですよ。
2706.jpg
写真は前回開催時に撮影させていただきました。12月11日(日)まで開催予定です。イベントに関することや今後のスケジュールなどにつきましては、下記インスタグラムアカウントのダイレクトメールでご確認ください。

1

プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

最近のブログ記事

カテゴリー

月間アーカイブ

rss
facebook witter

このページの一番上へ