欧米ブランドに「負けていないぞ!」

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先週に続き、「第83回東京インターナショナル・ギフト・ショー」レポートをお届けします。

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手袋産地として知られる香川県東かがわ市を拠点とし、レザーファッション手袋の分野において国内シェアの約20%を占める有力メーカー<クロダ>。

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国際バッグ・雑貨見本市「MIPEL」にて、2015年にミペルイッシマ国際部門となるパノラマ部門の大賞を受賞するなど、海外でも高く評価され、展示会・見本市にも積極的に出展しています。

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ネイルチップのような煌きを添えた新作が登場しました。手袋をつけるとせっかくのネイルが・・・そんな女性にぴったり。オフィスでは、ネイル、指輪といった手もとのおしゃれが楽しめないかたにもおすすめしたいデザインですね。

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「レディスはデザインを重視して、さらにエレガントに、フェミニンに。メンズは品質を追求し、シンプルかつベーシックに。お客さまのニーズに応えて、レザー手袋の持ち味をさらに引き出しました」と株式会社クロダ 黒田俊英会長。

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防寒具というカテゴリーを超え、スタイリングのポイントとなる存在感を備えた商品開発が好評です。


ワイルドな大人の男性から支持を集める<パーリィ>からは、女性向けのカプセルコレクションがデビュー。

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このところ、人気のデコレーション、ガーランドが目を引きます。ガーランドは、つる植物や花を編んでつくったひも状の飾り。造花、旗をはじめ、思い思いのアイディアを生かして楽しむかたが多いよう。画像共有アプリ、インスタグラムなどでも注目されています。こちらではレザーでフラッグをあしらって。端革を有効活用できるのがいいですね。イベントや催事のディスプレイのヒントになりそうです。


ミニショルダーバッグや革小物など、女性目線の実用的なアイテムが続々。

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こちらのスタンディングポーチは、ペン、メガネ、メイク用品・・・とさまざまなものを収納できる便利な仕様です。

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また、他社とのコラボレーションにより、時計をリリースしヒット中。ワイルドかつラフなバンドはありそうでなかったニュアンスですね。


マーケットでは時計がヒット中。バッグ小売チェーン<東京デリカ>でも腕時計が売れているそうですよ。


コラボレーションではこちらも。

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「Japan Leather Award 2010」グランプリ受賞ブランド<NAOTO SATOH>が、<REBONALLY>との取り組みをスタート。

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軽量感あふれるネオプレンレザーを使用。鮮やかな発色も特長的です。スポーツミックスのスタイリングのキーアイテムとして注目が集まります。バッグ以外にも小物もラインナップ。新社会人へのギフトとしてもよろこばれそう。


<REBONALLY>では新作<リレザー>も出品。

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「繊研新聞」(1月20日)で報じられるなど、話題になっています。生産過程で生じてしまう商品に用いることができない残革をつなぎ合わせアップサイクル。一点ごとにオンリーワンの組合せとなり希少価値があるのも魅力です。

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<カエロウ>でも同じく、残革を利活用したものづくりが人気。百貨店などでのポップアップイベントを中心に幅広い世代のファンを獲得しています。

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レザーのえんの部分もデザインとしてそのまま使用したり、グラフィカルなスタンプを配したり・・・と個性があふれて。

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今季はシューズのトレンドとして、メタリックレザーが浮上していることもあり、その流れでメタリックのアイテムも増えています。


サステイナブル(持続可能)な価値、エシカル(倫理的)なデザインというとナチュラルなテイストでしたが、暮らしに彩りを添える、華やかな色柄、テイストも復調しているようです。


着こなしに馴染むコーディネートのバイプレーヤーから主役級のアイテムへ。
シンプル&ナチュラルなテイストから、ファッションの楽しさを体感できるデザインに。日本製革製品の潮目の変化を肌で感じました。あたらしい季節、あたらしいジャパンレザーに出会っていただけそうですね。どうぞ、お楽しみに。



■ 参考URL ■

 第83回東京インターナショナル・ギフト・ショー
 <http://www.giftshow.co.jp/tigs/>


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国内最大の見本市「第83回東京インターナショナル・ギフト・ショー」が、東京・有明 東京ビッグサイトで2月1日(水)から計10日間行われました。「日本最大から世界最大へ!」をスローガンにレベルアップ。同時開催の見本市と合わせ「ギフトショーウイーク」と称して展開。


「第83回東京インターナショナル・ギフト・ショー LIFE×DESIGN」を皮切りに、「第1回東京インターナショナルプレミアムビューティー・ヘルスショー 」、「第83回東京インターナショナル・ギフト・ショー」と「第55回東京インターナショナルプレミアム・インセンティブショー」、「第21回グルメ&ダイニングスタイルショー」と続きました。

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今までにない新しいコンセプトで「暮らし・デザイン・新時代」をテーマに「LIFE×DESIGN」を初開催。暮らし方から住まいをデザインする、洋服を着替えるように住まいをコーディネートする不動産、建築、施工、インテリア、雑貨、家電、伝統工芸、素材にアート&クラフト・・・など住まいのエレメントが一堂に会する展示会に。

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そのひとつ、「アクティブ&クラフトフェア」には東京都/東京製革業産地振興協議会が出展。東京スカイツリーのおひざもと、墨田エリアは、ピッグスキンの生産で知られています。豚革は可塑性が高く、加工技術に優れたつくり手がその実力を披露。<墨田革漉>、<墨田キール>、<三恵産業>、<ティグレ>などが最新作、自信作を出品しました。

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バッグなどの製品事業で注目される<ティグレ>はヒット中のウォッシャブルレザーシリーズをさらに強化。アイテムのラインナップを拡充しています。


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OEM、ODMのオファーが絶えない<墨田キール>。ノベルティとしてのニーズが高い革小物、フィギュアなどを紹介。

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豚革でつくられた豚を中心にさまざまな動物が仲間入り。お子さんはもちろん、幅広い世代に好評です。


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防水性に優れたピッグスエードを開発した<三恵産業>。ブースでは水を注ぐ実演も。水滴を弾くようすにビックリ。

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オリジナルブランド<チェトラ>では従来のコレクションパッカブルなバッグも発表。オファーも相次ぎ、商談も活発でした。

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<墨田革漉>はインキュベーション施設<台東デザイナーズビレッジ>入居&卒業生ブランドとコラボレーション。

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<カンマ>は新作、大きめのクラッチバッグをリリース。催事を重ねるなかで顧客からのリクエストを製品化。フリーアドレスのオフィスに勤務するビジネスパーソンやノマドワーカーにぴったりですね。

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光沢感のあるレザーをフィーチャーした<アトリエ65>。3D加工によりスティングレイ(エイ)調に仕上げたレザーではセレモニーケースを。

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ふくさとして慶事の席をスタイリッシュに彩ります。また、書類ケース、パスポートケースなど、さまざまな用途にも対応できるのがいいですね。

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クロコ調型押しレザーを使用したショルダーバッグはキラキラ光る素材感が女性に好評。着こなしの主役としてはもちろん、その煌きは写真撮影時にはレフ板替わりになりそう。写真投稿アプリ、インスタグラムが人気を集めるいまの流れにマッチしていますね。


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才能あふれるクリエイターと感度の高いバイヤーのためのビジネスの場「アクティブクリエイターズ」で出展した<DIARGE>。

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世の中に偏在する埋もれた資源と掛け合わせ、新たな価値を創出。化学変化しやすく、その変化も楽しめる銀のように、ユーザーの生活に馴染み、使用して行く過程で各々の価値に変化していくプロダクトを提供しています。海外で高く評価され、フランス・パリの著名なセレクトショップ<コレット>、台湾のライフスタイル型書店<誠品書店>をはじめ、国内では<蔦屋書店>でも展開中です。


世界各国の厳選された素材を用い、日本国内の職人の技術により精魂を込めて製造されるプロセスに意外性というエッセンスを加えて、これまでにない革小物を提案。そのひとつがこちら。

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パスケースにミラーをセットに。美容に関心が高く、自撮りをする男性も多いので、鏡は必需品。パスケースごとカードケースに収納することもできるので、さり気なくスムーズに取り出せるのがいいですね。


写真投稿アプリ、インスタグラムが急速に普及した近年では写真映えするモノ・コトを撮影・投稿し、多くのひとの共感を得たいというニーズが高まり、<インスタ映え>というキーワードも生まれ、話題となっています。スマートフォンを起点にした商品開発が進むなか、インスタグラムから派生する消費行動も見逃せません。ジャパンレザーでも、そんな時代の潮流をキャッチアップ。新たな切り口が新鮮でした。


レポートは次回に続きます。



■ 参考URL ■

 第83回東京インターナショナル・ギフト・ショー
 <http://www.giftshow.co.jp/tigs/>


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セールもひと段落。そろそろ春夏シーズンの立ち上がりですね。ファッションのロングトレンド、ノームコア(究極の普通、究極のシンプル)の終焉がさまざまなメディアで報じられ、ノームコアブームと同時期に始動したジュングループ<ル・ジュン>のブランド休止が発表されるなど、潮目の変化を実感します。そんな今シーズンのバッグと革小物の傾向を探ってみました。


■ トレンドカラーは暖色系から寒色系へ

2016年はテラコッタ、バーガンディ、レッドと暖色系に人気が集まりましたが、この春夏はアビス(深海)カラーが話題(写真:<キソラ>フェイスブックページより/<キソラ>横浜マークイズ店限定カラー)。

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深みのあるブルーに注目が。ストリートでは、その橋渡しとなるようなライトブルーのアウターや小物を取り入れているかたを見かけます。

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店頭ではライトブルー、ラベンダーといった寒色系のアイテムがローンチ(写真:ともに<エフィー>フェイスブックページより)。グレー×ホワイト、ベージュなどのコーディネートの差し色的な感覚で取り入れることが多いようです。


■ ネコモチーフに続き、フラワーモチーフにも注目

昨年、ブームとなったネコモチーフは人気継続。

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プリントを施したレザー、ネコをかたどったデザイン(写真:<高屋>/「東京ギフトショー」にて)に加え、繊細なディテールの金具使い(写真:<サクラヤマ>オフィシャルサイトより)などで個性を打ち出すなど、差別化も見られます。

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アパレルでは、花柄のワンピースがキーアイテムとして浮上していますが、バッグ、革小物でもフラワーモチーフは大注目です。

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バッグだけでなく、アップリケで立体的に表現した財布(写真:<フィオライア>オフィシャルサイトより)から花をかたどったレザーアクセサリー(写真:<セリュ>オフィシャルサイトより)まで幅広く展開されているようです。

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■ バッグ&財布の小型化

バッグと財布の傾向として顕著なのは、小さめサイズの増加。ロングヒットが続く、リュックもかなりコンパクトに(写真:<キソラ>フェイスブックページより)。

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小柄な女性も合わせやすくなり、裾野が広がりました。小さめバッグの流行にともなって、収納しやすいよう財布も小さめにシフトしています。


「全体的に(需要が)小型の商品に移っています。財布などもそうですが、数年前までカードが多く収納できる大きなサイズが主流でした。しかし、今は小ぶりになっています」とバッグ小売大手<サックスバーホールディングス>木山剛史社長(「繊研新聞」1月20日5面【トップインタビュー2017】より)。


大手メーカー<クイーポ>でも小さめ財布の流れをとらえ、新作として発売するそうです(「ワールドビジネスサテライト」1月10日(火)放映分「白熱! ランキング」より)。


iPhoneでの新決済サービス、アップルペイはもちろん、カード決済の普及によって財布に求める機能も変わりつつあります。

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それぞれの小型化だけでなく、財布機能を内包する一体型バッグ、財布ポーチ(写真:人物<キソラ>フェイスブックページより/売り場<のむら>「B.A.G.Number」より)も浸透。普段使いだけでなく、旅行、フェス...と多様なシーンで活躍する汎用性の高さも人気を後押ししているようです。


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そんなスタイルフリーな潮流は、ウエストバッグ(写真:スタイルストアより)復活にも波及。ファッショントレンドとしてのウエストマーク、ベルトマークの注目とともに再浮上しています。


2017~18年秋冬パリ・メンズコレクションでは<ルイ・ヴィトン>×<シュプリーム>のコラボレーションにより、小さめのショルダーバッグを発表。全面に配されたロゴもさることながら、ボディバッグのようなストラップの短さも気になりました。エクストリーム(極端な)シルエットやユニークなレイヤード(重ね着)と呼応する新しいバランス感も要チェックです。


■ 新決済サービス、ICカード化、電子化の影響

前述のアップルペイだけでなく、使用シーンが広がるフェリカ。<スターバックスコーヒー>と<ビームス>のコラボレーションにより、フェリカ内蔵型レザーキーホルダーの発売が発表され、話題になっています。

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スターバックス カードの非接触決済シリーズSTARBUCKS TOUCH(スターバックスタッチ)に、STARBUCKS TOUCH The Drip(スターバックスタッチザトリップ)が登場。ウェアラブルな新しい決済体験という<スターバックス>が掲げたテーマにもとづき、ビームスがデジタルとクラフトの融合をキーワードにプロデュース。かざすだけで支払いができ、使い込むほど表情を変える革の味わいも楽しめるプリペイドアイテムとなっています。国内の職人が手がけたレザーを使用し、フェリカチップというデジタルアイテムと融合。新しい感覚の革小物が生まれました(写真:STARBUCKS TOUCH The Drip オフィシャルサイトより)。


レジのない実験店舗アマゾンゴーをはじめ、国内で指紋認証、顔認証による決済サービスの実験もスタート。財布の在り方、その近未来はどうなるのか? 時代に合わせたものづくりと使い方の提案にビジネスチャンスがありそうです。


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世界的タバコメーカー<フィリップ モリス>が開発した加熱式電子タバコ アイコスの人気にともない、アイコスのレザーケースがヒット中(写真:「B.A.G.Number」より)。


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愛知県名古屋市では、2016年9月、シルバーパスをICカード化。リールつきレザーパスケースへの買い替え需要が生まれています(写真:<エフィー>フェイスブックページより)。スマートフォン以外にも技術革新に合わせた革製品の領域拡大にワクワクしますね。


■ レザーのアップサイクル

先日、「繊研新聞」(1月20日)で報じられ話題のリレザー。生産過程で生じてしまう商品に用いることができない残革をつなぎ合わせアップサイクル(写真:「繊研プラス」(1月20日更新分より)。

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サステイナブル(持続可能)な価値、エシカル(倫理的)なデザインが支持を広げそうです。

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インキュベーション施設<浅草ものづくり工房>卒業生ブランド<トートーニー>では、人気作家・曽田耕さんとのコラボレーションにより残革を利活用。ピース・2ピースでできているアイテムを中心に、その余り革をA・B・C 3種類のパーツに裁断し、それぞれをつなぎ合わせてつくるシリーズを展開しています。生産ラインでは避けざる得ない大きなキズ・スジ・検品時につけるペン跡をそのままに商品化。クッション、ボックス、カップなど、インテリア雑貨アイテムが好評です。


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雑貨ブランド<mhd>が手がけるリボンブローチ<Re:born(リボーン)>も財布やバッグなどをつくる際、どうしても出てしまう革の端切れを有効活用。クリエイターの祭典「ハンドメイドインジャパンフェス」におじゃました際も数多くのユーザーが手にとっていましたよ。


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農林業への被害軽減を目的に頭数調整された鹿の革を利活用する鳥獣被害対策レザーも大きな流れ。「日本皮革デザイン促進委員会国内展示会」で拝見して、生命の証を無駄にせず、生命のバトンをつなぐような取り組みに感激しました。


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インキュベーション施設<浅草ものづくり工房>入居ブランド、<シス・クー・ド・フードル>でも同様に野生の鹿・熊・猪などのジビエ革を使用し、エシカルでスタイリッシュなレザーアイテムを提案。特に熊の革製品化は世界的にみても非常に珍しい試み。クラウドファンディングサイト<マクアケ>では目標の2倍以上の金額を達成。ユーザーの関心の高さが感じられます。

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また、日本皮革産業連合会のキッズレザープログラム(KLP)でも残革をアップサイクル。実際に革に触れ、革製品づくりを体験できる機会を提供することで、本物の革の良さ、革に対する正しい知識、革製品づくりの楽しさ、などを知ってもらい、将来、「消費者」として、「生産者」として皮革産業とかかわることになる「こども達」に皮革文化を学び育んでもらうことを目的としています。KLPの承認を受けた全国の児童館やNPO団体などが革で遊べる場をつくり、すっかりおなじみとなりました。


トレンドや時代の変化に合わせて、革製品がますます進化しています。いまの気分に合うジャパンレザーに出会ってください。


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前回に続き、革と皮革関連資材のトレードショー「第95回東京レザーフェア 2017-18 A/W Collection」レポートの第三弾は、各ブースをご紹介。

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リーディングカンパニーとして知られる富田興業では、「Gender Bending」「Glamorus Soul」「NOCTUREN」「Urban Utility」をシーズンテーマに展開。ヨーロッパで注目される日本の革、エコレザーに加え、機能革をフィーチャー。ファッション素材として革素材にも機能性を求める要望が高まっています。

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同社では撥水、抗菌、反射に加え、軽量革(ライトウエイト)に注目。軽さを出すために、厚さを薄くする表面仕上げ層を薄くする繊維の絡みを強くするための加脂剤を軽いものにするといった手法をバランスよく設定して強度、風合い、質感を高いレベルで実現。視覚的にも艶感や発色のよさを追求しているそうです。

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購買層として見逃せない、アクティブシニア世代の女性たちは、バッグや靴のセレクトポイントとして「軽さ」を重視しています。これまでは、ナイロンなど革以外の素材が求められていましたが、その領域を切り拓くトライアル。時代をとらえた着眼点が秀逸です。


仕上げにこだわるタンナー 山陽では「100BASIC」と題した展示が目をひきました。

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同社にとっての基本中の基本。ここから、それぞれのつくり手からのリクエストに応え、革の可能性を追求するそうです。

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横軸(レザーの種類)と縦軸(仕上げの方法)でチャートをつくり、微妙な色合いの違いを巧みに表現しています。シンプルなレザーが100通りの仕上がりに。受け継がれた技術の素晴らしさに圧倒されました。

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また、レザープロジェクト第一弾として2015年に発表された「絹革」も展示。革が本来、動物の体を包むものだったということを発想の原点とし、カーフに特別なクロム鞣しを施し、布のように柔らかく「包む」ことができる革として開発され、好評です。


日本タンナーズ協会では、次世代PR事業活動の一環として、展示方法を刷新。

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コンテストで受賞するなど国内外で高く評価されたレザーをはじめ、各地のタンナーでつくられた皮革素材をそろえ、スタイリッシュに紹介。生産者とその連絡先、特長だけでなく、靴、バッグ、ベルトといった用途なども提示しています。

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絞り革(和歌山・和歌山市/藤本安一商店)

希少価値が高い鹿革をベースに、すべて手作業で絞り加工を施し、その後特殊な色付けを施すことにより、従来にない感覚の絞り革に。世界じゅうに絞り技術はありますが、この有松絞りは名古屋地域特有の絞り方法です。


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墨流し(兵庫・たつの/岡本製革所)

日本の伝統技法を皮革素材で生かせないか、というテーマで開発。京都・西陣で着物などに用いられていた伝統技法で仕上げられています。


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オルガノ II(東京・墨田/福島化学工業)

国内のピッグスキン原皮のなかから10~20%しか出ない、キズが少ない皮革を厳選し、ノンクロム、ノンホルマリンによる環境と人にやさしい製法で仕上げています。黄変しにくく、耐光性に優れており、ホワイトレザーでありながら、日やけなどに強いのも特長です。


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生産者とその連絡先、特長だけでなく、靴、バッグ、ベルトといった用途なども提示。革になじみのないアパレル業界関係者にもわかりやすく伝えています。触ることもでき、ジャパンレザーの魅力をよりよく体感できるブースでした。


吉比産業ではポップなテイストのレザーをラインナップ。

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美しい発色と独特な立体感が楽しい。TLFトレンドラボラトリーにもピックアップされたため、注目度が高く、アイキャッチに。

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学生や若い世代の来場者が数多く立ち寄っていました。


この秋、ファブリックメーカー 小松精錬が、国際見本市「プルミエール・ヴィジョン」にて新世代の素材としてフェイクレザー<KOMATSU レザー>を発表し、国内外で話題に。すでに鞄用途としてヨーロッパのラグジュアリーブランドで採用されている素材もあるとか。


フェイクレザーの評価が高まるなか、問題意識をもち、皮革だからこそできる表現、個性、機能の創造に取り組む つくり手たちが多く頼もしい限りです。さまざまな新しい挑戦、新しい価値を提案する情熱に感激しました! 「脱シンプル」傾向が強まり、トレンドの変化が顕著ないま、パワフルなジャパンレザーの潮流がピンチをチャンスに変えて。さらなる進化に期待が寄せられます。




■ 参考URL ■


 東京レザーフェア
 <http://tlf.jp>



さて、当ブログは年内の更新は終了し、次回は2017年1月11日からとなります。本年中はご愛読いただき、誠にありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。


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前回に続き、革と皮革関連資材のトレードショー「第95回東京レザーフェア 2017-18 A/W Collection」レポートの第2弾は、レザートレンドをご紹介します。

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7F TLF トレンドラボラトリーでは、2017年秋冬シーズンに向けて、グローバルな視座に立ち、日本の華、翳り、水、空などの色彩、そして、風をとらえて鮮やかに、たおやかに素材感を提示。トレンドセレクションとして参加各社の提案を3つのテーマに分類しています。

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ベーシックシーン:「伝統を継承する和のニュアンスでカラフルなベーシックを描き出す」


ポップシーン:「弾むような秋冬のポップから―はやわらかく洗練されたイメージの調和」


ニュアンスシーン:「ナチュラルな空気感のニュアンスを軽やかに楽しむ」


それぞれのテーマは・・・


ベーシックシーン:「伝統の継承」

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基本に学び、ブラッシュアップ! 今年らしさで未来につなげる「伝統の継承」。革らしさこそ、頼れる素材の決め手。革の表面にあらわれる素材の資質とその個性を堪能したいものです。ヴィンテージ的な表現も見逃せないですね。


「深いグリーン」

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2016-17年秋冬からじわじわと頭角をあらわすディープカラー。フォレストグリーンからこっくりとしたオリーブグリーンまで幅広く。


「ナチュラル感を活かすライトブラウン」

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2017年春夏シーズン、ブレークが期待されるフォークロアテイストから継続するライトブラウン。「土っぽい」色合いが人気を集めそう。


ポップシーン:「冬にポップ」

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やわらかく弾むように革らしさに新鮮さを加える「冬のポップ」。重厚になりがちな秋冬素材にフレッシュさ、軽やかさをプラスする、新味あるポップセンス。ソフトで洗練されたテイストの表現が増えています。


「グラフィカルなアニマル」

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「脱シンプル」傾向を強く打ち出す潮流が感じられます。「ファッションの楽しさ」を再確認できるデザインはインパクト抜群ですね。


「軽やかな色・パターン」

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2016-17年秋冬、トレンドとなったレオパード柄を中心に、アニマルパターンが進化。多様なバリエーションが登場しています。


ニュアンスシーン:「ニュアンス」

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オーソドックスな均衡にしなやかさをプラスする「ニュアンス」。穏やかなナチュラル感、スエードやヌバックのあたたかなタッチ。さまざまなニュアンスの変化をつくり出してくれる色と素材がフィーチャーされました。


「ソフトな布帛のように」

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イースト東京・すみだエリアで生産されるピッグスキンは、可塑性の高さが特長。そんなメイドイントーキョーの魅力を詰め込んだレザーは、工夫を凝らした表面効果と軽やかさが表現されています。


「艶感を効かせるブルーのタッチ」

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2016年冬から17年春にかけて、テラコッタ、レンガといった暖色系から、寒色系へとシフト。特にパステルブルー、パープルが先行しています。その流れでブルーが再浮上しそうです。大人っぽい艶やかさをまとって。



ポップな色柄、華やぎあふれる色合い・・・。これまでのシンプル&ベーシックのトレンドとは、大きく変化していますね。つくり手たちの想像力・創造力が最大限に生かされたジャパンレザーでファッションがもっともっと楽しくなりそうです。レポートは次回に続きます。



■ 参考URL ■


 東京レザーフェア
 <http://tlf.jp>

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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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