欧米ブランドに「負けていないぞ!」

July 24, 2019

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」/「Japan Leather Award」に応募した人にメリットがあった?と聞いてみた、という話

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。
今回は、日本最大規模のレザープロダクトコンペティション「Japan Leather Award(ジャパンレザーアワード)2019」について。
歴代の受賞者や出品してきた つくり手たちに徹底取材。同アワードを通して活動がどう変わったのか? を探ります。つくり手たちとのネットワーク、コミュニケーションがある村木さんだからこそ実現した読みごたえのある内容となりました。ぜひご一読ください。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。
当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。
人気イベント「本日は革日和♪」。今後の予定、秋のビッグニュースなど、下記のリンク先をチェックしてください。また、今回のエントリの文末にも書かれていますので、最後までじっくりご覧ください。
  「本日は革日和♪」
  <http://ccrui.sakura.ne.jp/kawabiyori/>

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毎度です!月に1回のお約束のblogです。
「職業なんなんですか?と質問されると解答に困る職人」村木るいです。

わらじを4足くらいは履いていたのですが、最近もう1足増えたように感じます。(ヽ´ω`)

で、2019年7月31日まで、「Japan Leather Award(ジャパンレザーアワード)2019」<以下ジャパンレザーアワードもしくはアワードと表記>の事前エントリーとなっています。
事前エントリーは「応募する、つもりあります、という参加表明をとりあえずしておいてね」という期間となります。
「締切8月末?それまでに作品できるかなぁ」という方でも とりあえず参加申請だけしておいてよ、というものです。

過去何度か「四の五の言わずにアワード応募しておくとこれだけメリットあるよ」的なblogは書きました。

ジャパンレザーアワードに応募する8つのメリット: レザークラフト・フェニックス
ジャパンレザーアワード2018 事前締切が8/9 17時まで。出して損ないよ、あれ | phoenix blog

今回は、「過去に応募した人やアワードを有効活用した人に実際に話を聞いてきた」というblog内容となります。

アワードに応募したメリット 箔の1枚になりました

二本真氏は2015年ジャパンレザーアワード グランプリを受賞。本業がありつつ副業で靴作り。

2015年 受賞作品 | Japan Leather Award 2015 | ジャパン レザー アワード 2015

確か最初に私と会ったのがジャパンレザーアワードの審査会のあとの懇親会だったっけ?

「そうですね。多分2012年頃だったと思います」

六本木ヒルズのお膝元のホールでやったんだったなぁ。懐かしい。

10月13日にジャパンレザーアワード懇親会に行ってきた part1 : レザークラフト・フェニックス
10月13日にジャパンレザーアワード懇親会に行ってきた part2 ものごっつ面白い!: レザークラフト・フェニックス

で、2015年にあなたアワード受賞したんやったねぇ。

で、ぶっちゃけて聞くけど、アワードのおかげで注文増えました!というようなことあった?

「ん~、、、ないですね。
アワードを見て注文しました!という人はいないですよ。
ただ、アワードに出た実績から東京コレクションに出させてもらえましたね。

例えばクラウドファンディングする際などに皮革産業連合会が行っているジャパンレザーアワードで受賞しました!というのはすごく説得力があります。
お客さんも『この品がいいかどうかわからないけど、アワードというもので大賞取っているならば良いものなんだ』という判断材料の一つにしてくれていますね

って、こんなぶっちゃけた話でもいいんですか?」

あぁ、ええねんええねん。素直な話を載せたほうが信じてもらえるやろ。
実際、以前受賞した鞄メーカーの営業さんも、
「ムラキさん、アワードで受賞したって仕事増えませんよ!仕事増えるかどうかは本人の営業次第です。
僕はこの受賞を伝える立派なカラーパンフレットを追加で100部もらって営業ツールで使いました。
アワード受賞は所詮箔の1枚です。箔だけでは仕事増えないけど、営業をより輝かせることはできる!」って言っていたわ。

「あ~、それはそう思いますね。
アワードで仕事増えるわけではないですけど、増やすための営業の1ツールにはなりますね。
実際に仕事増えるかどうかは普段の営業仕事次第だと思います」

アワードでは審査会という2日間の全点展示が行われ、そこで審査員が審査をする。一般入場者も審査する。
で、初日の夜に出展者限定の懇親会あるやん?あれはどう?

「あれは価値ありますよ。
やはり作っている人同士で会話できるし、縁も広がります。
その後に一緒に共同購入したり、仕事したり、SNSでつながったり、という縁が広がりましたよ」

アワードに応募したメリット 締切がないと作品作りは後回しになりがち

松澤氏。千葉でOEM主体の請負職人やりつつ、ブランドもやりつつ、という人。

 革工房松澤 kawacoya - ホーム

出会ったのって多分2013年のジャパンレザーアワードの懇親会でナンパしたんだっけ、私が?

「そうやね。大阪でジャパンレザーアワードの懇親会あったんだけど、『懇親会のあとどうするの?空いているなら飲みに行こう!』と強引に誘われて、革関係の人らとみんなで飲んだんだよね」

あぁ、そやったような記憶が。。

レザークラフト・フェニックス ジャパンレザーアワードの2013年に関するblog 

めちゃくちゃ失礼だけど、請負職人主体の人がなんでジャパンレザーアワードに応募したの?

「僕の場合は普段使っているピッグスキンが好きだったんだよね。で、より多くの人に知ってもらいたいな、と。

でも普段請負職人でやっていたらそうそう『この革がいいんだよ!』とアピールするチャンスなかったんだよね。で、皮革産業連合会がやっているジャパンレザーアワードに出すことでより多くの人に見てもらいたいな、と思ったんだよね。

だから普段使う革を作ってくれているタンナーさんに『この革のここが良い、こうより良くならないか』という相談をして出展したんだよね」

アワードは出展すると全作品をアワード公式サイトに掲載してずっと残してくれているでしょ?そこから仕事になった、ってことはある?

「僕の場合はなかったよ」

あかんやん!

「でも懇親会はすごくありがたかったよ。
普段あまり外の情報が入らないし、人の縁が広がる仕事じゃないから、そこで知り合った人たちは財産になっている。

あと、使っている豚革は良い革だから知ってもらいたい!という思いはあったけど、普段の仕事が最優先で豚革を知ってもらう活動はどうしても後回しになっていたんだよね。
アワードがあったからこそ、締切があり、作品を提出して前に進むことができた。

残念ながら賞は取れてないけど、ほんとにアワードに出して懇親会に出れたのは良かったよ」

アワードに応募したメリット セレクトショップに置いてもらえるようになった

次はジャパンレザーアワードの2014年にメンズバッグ部門に出展した後藤優太さん。

彼はアワードに出すまでは大分県で作品作りをしていました。

で、現在は大阪にあるセレクトショップsunawachiに品を置いてもらいつつ、活動拠点を大阪に移しています。

後藤さん、なんでアワードに応募しようと思ったの?

後藤さん「それまでは地元のお店に置いてもらったりしていたんですね。
で、より多くの人に見てもらいたい、と思ってジャパンレザーアワードに応募したんですよ。」

セレクトショップの店主、前田さん、なんでそこから後藤さんと知り合ったの?

前田さん「大阪の阪急百貨店でやっていたアワードの作品審査会を見て回り、実物を見て後藤さんの作品を好きになりました。」

アワードって全作品展示でさらに出展者の名前とfacebookやtwitterへのリンク貼ってくれているからそこから連絡とったの?

全応募作品紹介 | Japan Leather Award 2014 | ジャパン レザー アワード 2014

前田さん「いえ、それが後藤さんはSNSへのリンク貼ってなかったんですよ。検索しても出てこないし」

連絡とれないやん?

前田さん「だから事務局に連絡しました。個人情報があるから教えられない、と言われたので、『では僕の連絡先を教えますので彼にお伝えください』とこちらの連絡先などを伝えました。
で、後藤さんから実際に連絡来たんですよ」

じゃぁ、実際に会ったのはそれからあと?

前田さん「はい、電話で話したあとフェリーで別府港まで行って会いに行きました。
12月のさっむい時期でしたわ。カバンを注文して、年明けにできてきて『やっぱりいいわ!』と確信した次第です」

すげぇな。。で、後藤さんはそれからあと取引したわけだ

後藤さん「そうです。そして大阪にお店作ります、と聞いたので僕から『じゃぁ僕も大阪行きます!』と」

!! えらい思い切った決断したわねぇ

後藤さん「そうですね。そういう意味ではアワードがあるおかげで今大阪で活動しています」

アワードは毎年進化しています!

今年の変更点は下記の過去JLIAblogにまとめてくれています。

「Japan Leather Award 2019」始動! 事前エントリー受付中!! | 欧米ブランドに「負けていないぞ !」 | JLIA 日本皮革産業連合会

今回のジャパンレザーアワードの審査会では革日和出展します

今回のアワードでは小スペースですが、革日和として出展します。多分革屋さん呼んでの展示会予定です。

今後予定

19.9.26(木)~28(土) 素材博覧会 YOKOHAMA 2019 秋  に出展します

19.9.26(木)~28(土) 本日は革日和♪in大阪


プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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