October 28, 2020
村木るいさんの「人に話したくなる革の話」/「ジャパンレザーアワード2020」を解説してみる
カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」
「ジャパンレザーアワード」審査会が無事に開催されましたので、今回もお手伝いとして参加。
会場で見かけた興味深い作品を動画で解説してみましたので、ご覧ください。
動画の解説
応募作品 | Japan Leather Award 2020 | ジャパン レザー アワード 2020
動画で紹介した作品へのリンクをつなげておきます。
「おっ、この作品写真、よさそうだ」「動画でみたけど、どの作品?」と思ったら写真クリックしてみてくださいな。
ジャパンレザーアワードの一般展示は中止するつもりは全然なかったとか
一般社団法人 日本皮革産業連合会(JLIA)さんは今年のコロナ禍で中止、という判断をするつもりはなかったようで。
審査会とともに行われていた2日間の一般展示は1日に縮減となりました。1日は審査員のみで審査に集中。これにより3密を避けたほか、さまざまな配慮のもと開催。
啓蒙啓発活動の一環として、今年も呼ばれました。「GoTo トラベル」が始まる10/1(木)に大阪から東京に。許可をもらい、会場風景を動画で撮影。ホテルに戻り動画編集、その日のうちに上記動画をYouTubeにあげました。
あぁ! なんて未来に来たんだろうなぁ、としみじみ。
当日の様子
1日だけ一般来場okということで「例年よりも来場者数減るだろうな」と思っていましたが、例年の2日開催を上回る来場者数でした。アンケートに答えた人にお渡しするノベルティが足りなくなるくらい。
当日は私が「革の歴史」「靴と鞄の考え方の違い」「ランドセルすごいぞ!」という15分ほどのセミナーを行ったり、「革の手入れ」「コロナ禍における革の手入れ」「修理のすごさ」という内容でいちかわ氏が登壇してくださいました。
隙間を見て、facebookでも配信しました。
当日の様子を配信動画から
配信ですと迂闊な発言をしてしまいそうで怖いですね。基本的に作り手の顔を知っていたり、解説文に書かれているものから解説しています。
ジャパンレザーアワードで思ったことや、受賞するためにやったほうが良いこと
運営さん、お疲れさまでした
今回はコロナという状況にありながら、主催も事務局(運営)もよく開催したな、と心底思います。
残念だったのは例年は机の端に置かれていた出展者のリストがなかったこと。このリストは応募作品 一覧に書かれている情報が全部書かれていました。コロナ対策のため、「不特定多数の人が触るものは一切置かない」という配慮を徹底したものです。
作り手としてはwebの応募作品に書かれていた「革はどこで買ったか・仕入れたか」という情報が丸々載らなくなったのが残念な限り。例年「あ、この革良いな」と思ったらどこで買ったのかチェックしていましたので。来年度は復活してもらいたいものです。
今年のレザーアワードの特徴として、「ベストプロダクト」と「フューチャーデザイン」という2部門に全体を大別しました。これは英断だったと思います。
今年のレザーアワードについて | Japan Leather Award 2020 | ジャパン レザー アワード 2020
受賞を目指す人に
まず、作品説明用のカードは必須です。
例えば下記の作品には「どういうコンセプトで作ったのか」などを説明したカードを添付しています。
応募要項にも特記事項として明記されていますが、本エントリー(応募作品送付)の際、作品と一緒に作品説明用のカード(はがきサイズ)を同封することが認められています。
もちろん、応募作品についての情報は、各審査員に配布されたファイルで必ずチェックしていました。
それはあくまで文字情報のみです。このカードでは絵や写真を使って解説できますので、審査員や来場者の目をひきやすいですね。このカードを有効活用できるかどうかは、重要だと感じました。
「審査員は、技術についてわかっているだろう」という声も聞こえてきそうですが、審査員のかたは、皮革業界以外で活躍するエキスパートが含まれます。だからこそ、彼らの理解を手助けする手段を、ジャパンレザーアワード事務局が容認してくれているわけです。
「いいものが売れる」わけではなくて「良いものはなぜ良いのか、を説明して、納得してもらわない」と、審査員、ひいてはお客さんや利用者も良さは理解できません。
これは出展者が悪いわけではなく、運営サイドも頭抱えている問題だとは思うのですが、小物やフリー部門の展示の仕方が難しいです。
どうしてもフリーや小物作品は机の上にポン、と置かれがちになってしまいます。このためにわかりにくくみえる可能性もあります。(下記動画参照)
例えば、、、下記の時計のベルト。腕時計ベルト、という性質上展示されるのはベルトのみです。
これに時計本体をつけ、展示する台の上に載せたら全然見栄えが変わるわけです。
作品によっては、展示用の補助アイテムを認めることはできないのだろうかと思いますが、作品の印象の変化や盗難などの問題をはらんでいます。
このほか、椅子・パズル・スマホケース・マスクケースなどが混在しているため、どこまで応募作品の展示補助として認めるべきか? ウェア部門はどうするのか? 靴部門だってどうせなら足のマネキンを入れたほうが魅力的だ! という要望もあるでしょうし、審査をフラットに、厳正にし、また応募者から預かっている作品を保護するため、事務局は毎年検討を重ねているそうです。頑張ってくれ。
今回下記2点の作品の手触りが非常に良かったです。
それは革の手触りではありません。説明が難しいのですが、「稼働した部分のフィードバック感が気持ちいい」んです。えぇっと、もうちょっと詳しく書くと「ぱたんと閉じたとき。ぱたんと畳んだ時。日常動作の中で革が空気を押し返す感触がとても気持ちいい」品なわけです。
これはネットや写真では絶対に伝わらず、会場で触らないとわからない感触です。
これらの品は審査員賞や部門賞を獲得しました。
近年合皮が発達し、今後はヴィーガンレザーとも言える革的な素材が増えていきそうですが、この「使っている際のフィードバック感」というものは再現がまだまだ難しいです。これが革の強みであり、受賞を狙う人は、このあたりの表現に注目したほうが良いと思います。
ヴィーガンレザーについては下記参照
革使う人は肉を食ったほうが良いけど、大豆肉を食べてみたので代用肉や代用革の話 | phoenix blog
来年のジャパンレザーアワードは通常開催されることを切に願います
来年は無事に開催されたらいいな、と思います。無事に開催されたらまた是非会場なりでお会いできたら幸いですわ~。
今後の革日和予定
個人的に行っている革イベント「本日は革日和♪」。例年、秋は大忙しだったのですが今年は平和なものです。
・10/30(金)~31(土)「本日は革日和」
本日は革日和♪in熊本 2020年10月30.31日(金土) 出展社10社による展示会・ワークショップ・セミナーなど 要事前予約制 | 本日は革日和♪
熊本初開催。コロナのため予約者のみしか参加できませんが、過去最多の11社集合です。GoT0トラベルを活用して来る価値はあると思います。
・11/6(金)~ 8(日) 「浅草エーラウンド オンライン」
毎回参加しているA-ROUNDですが、今回は大阪からオンラインで参加予定です。
・11/26(木)~ 28(土)「素材博覧会 神戸」
【同時開催】Bead Art Show & Embroidery 素材博覧会 神戸 2020 秋
基本毎回参加の素材博覧会神戸。まぁ、セミナーなどもやる予定です。
プロフィール
鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター
東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。
最近のブログ記事
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