カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」 の記事
December 24, 2020
村木るいさんの「人に話したくなる革の話」/実際に触らないとわからない革素材の難しさと面白さを1年振り返りつつ話してみる
カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」
新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|厚生労働省
問6 イベントを開催する際には、どのような点に注意する必要がありますか。
問7 イベントの開催には、具体的にどのような制限がなされていますか。
「イベント」という言葉は政府は「1万人規模のコンサート」から「数十人規模の展示会」まで指し示しますのでかなり大雑把な言葉と言えます。
今回の素材博覧会は押しなべて上記のガイドラインが遵守されていたように思えます。
イベント出る意味はあるのか?
あると思います。リスクはありますが、革素材などは触ってなんぼ、だと思います。
どれだけインスタなりTwitterなりYOUTUBEなりで十の写真を載せ、百の動画で伝え、千の言葉を費やしたとしても、手触り一つ伝えられません。革素材の面白さ、というのは「手触りがとても重要」「それはネットで伝えられない」、という点です。
「それはデメリットだ」という声も多いですが、私はメリットだと思っています。それだけネットで売りづらい素材だからこそ、実際に触れる機会は貴重です。
各種SNSや動画は重要だけど、最後のひと押しは「触る」こと
「Twitterやインスタ、動画、どれをやれば良いんですか?」
回答は「ターゲットとしている層がやっているものは全部やるしかない」です。
そして、SNSでもインスタでもライブでも動画でも、どれだけやっても最後に重要なのは「実際に触る」ことです。これだけはネットでは伝えきれません。
実際に触らないと情報を伝えきれない、というのが革という素材がもつ最悪のデメリットであり、最高のメリットといえます。
革屋、という素材に限らず、革の靴でもカバンでも財布でもこの「触ってもらう」のはとても重要です。だからイベントや実在店舗は重要なわけです。
今年開催されたジャパンレザーアワードではこの「手触り」が面白い作品が賞を受賞していました。
ジャパンレザーアワードの受賞作品で感じた手触り
今年秋に開催されたジャパンレザーアワード。
村木るいさんの「人に話したくなる革の話」/「ジャパンレザーアワード2020」を解説してみる | JLIA 日本皮革産業連合会
今回の大賞は個人的にとても驚いたことに小林仁太氏の小銭入れが受賞しました。
過去において財布や小物って大賞とったことないんですよ。
November 25, 2020
村木るいさんの「人に話したくなる革の話」/「ひょうごニューレザーコンテスト2020」解説&「革の森」レポート
カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」
毎度です! 「コロナの第三波で今が大変だ」のムラキです。
来年は多分無理としてもせめて3年後には笑っていたいものですねぇ、コロナ(;・∀・)
前回のスペイン風邪は、ちょうど1920年でしたが、収束に5年かかりました。今回のコロナは、せめて3年で終わってほしいものです。
さて、このコロナ禍でダメージを受けているのは各種現実世界で開催されるイベントですね。
コンサートや展示会やお祭り、コンテスト、ファッションショー、販売イベントなどは大打撃です。毎年開催されてバスツアーまでして乗り込んでいた兵庫県たつの市の「ひょうご皮革総合フェア」&「たつの市皮革まつり」も中止となってしまいました。(´・ω・`)
11月は姫路城で姫路城皮革フェスティバル+たつの市皮革まつり。 見ると行きたくなる、という話をしよう | JLIA 日本皮革産業連合会
このイベントのワタシ的に目玉である「ニューレザーコンテストも今年は中止か~。」と思っていた矢先に運営から「ムラキさん、今年もやるよ、コンテストは」との連絡が。おいおい、やるのか、マヂで!と思い見に行きました。
また、たつの市でオープンした「革の森」というレザー専門店も見てきたのでその報告も行いますね。
*
目次 [hide]
ニューレザーコンテスト、ほんとにやるんだ
会場で見かけた革の面白さは動画で御覧ください
で、会場の感想
販売可な革は買える、というわけではなくて、ハードルがいくつかある
ハードル1 最低ロットがある
ハードル2 継続性が求められる
ハードル3 ばらつきがある
革屋さんで売っている革はどうしても「売れそうだ、と判断した革」になりがち
ニューレザーコンテスト、面白いよ
革の森・アクセス・HP・SNS
革の森ってどんな店か説明が難しい
サロンってどんなものを目指すの?
*
ニューレザーコンテスト、ほんとにやるんだ (゜o゜;
「やりますよ~。従来の兵庫皮革まつり会場内では出来ないので、姫路のイーグレひめじという姫路城公園前の会館を借りてやりますよ」
すごいな!てっきりコロナで無理!と言ってやらないとばっかり思っていたのに。。
「コンテストの参加枚数は少ないのですが、それでも50枚以上は出展されましたので、ぜひ見に来てください!」
とのこと。
で、行ってきましたさ。
会場で見かけた革の面白さは動画で御覧ください
で、会場の感想
会場で知り合いの革屋さんと一緒に見たり、動画撮影していました。あ、受付のおねーさんに撮影okの許可はもらいましたし、事前にも聞いていますので。
受付では作品リストがいただけます。こちらは各作品の出展者・住所・電話番号から、用途や制作意図、販売可能かどうかまで書いてあります。
会場に来ている人の99%はタンナー関係者ばかりでしたね。実際はデザイナーなりブランドなり、革屋なり、製品屋さんも見たほうが価値あるんですけどねぇ、これは。
コロナ禍でも開催を決めた兵庫県皮革産業協同組合連合会や、実際に運営していた方々には頭が下がる思いです。
販売可な革は買える、というわけではなくて、ハードルがいくつかある
会場内で配られている出展作品一覧には各革の製造タンナーや連絡先、更には、販売可能かどうかまで書いてあります。
「おっ!じゃぁ気に入った革が1枚からでも買えるんだ!革屋なんてもういらいないんだ!」と思った方は早合点しすぎです。高いハードルがあるんですよ。
ハードル1 最低ロットがある
タンナーさんは下記の動画を見てもわかるように大きな設備と革以外のコスト(人力はもちろん、電気や水)を使って作ります。
1枚や5枚作る、という規模で動ける職業では決して有りません。最低でも10枚は頼む、もしくは1枚だけ作るにしても2枚、3枚分くらいのお金を支払う覚悟はいります。「最低20枚からだ」というタンナーさんはザラにあります。
ハードル2 継続性が求められる
タンナーによっては継続性を求められます。試験的に手間かけたものを10枚作って、再生産依頼が1年後、となると困るわけです。
中には「1年後でもいいよ」というタンナーさんもおられると思います。
「なんだ、頼めたらいけるじゃないか!じゃぁ1年後来ますね」と注文者が思い、1年5ヶ月後に再生産依頼。仕上げた革を見るとおそらく1年前と何かが異なります。それは色だったり、コシだったり、手触りだったり。。
「なんだ、このタンナーは腕が悪いのか!」 いいえ、違います。
革に限らず、ですが、「作る」という行為は1回よりも3回。3回よりも10回作ったほうが、より早く、きれいに出来上がります。1年に1回しか注文がこない品、というのは腕をあげるためのチャンスが存在しないため、品質の向上や維持が出来ないわけです。
1回だけ良いものを作るのはそれほど難しく有りません。3個以上同じものを作るのは難易度が一気にあがります。同じものを何回も作るためには手と頭が忘れない内に再生産依頼がないと、覚えられないわけです。
ましてや、動物や気候、温度、水などに左右される「革」という素材の場合はなおさら難しいわけです。
それがわかっているタンナーさんは「革を作ってくれ」と言われても「最初にどれだけいるんや?それは安定性があるのか?」と聞いてきます。
「継続性見込めないならばお断りやなぁ」というのは後々にトラブルが起こりやすいことを知っているからです。
タンナーに注文する、というのは1回だけではなく、継続性を持って付き合う覚悟を持って行ってみてください。
ハードル3 ばらつきがある
さて、ここまででお金と継続性をもつ覚悟を持ってタンナーさんに行ったとします。数ヶ月に一度注文し、それなりに安定して生産された。
よし、これでok!と思った頃に一度ドッカンと大きなトラブルが起きます。それは半年後か、1年後か2年後かはわかりませんが、いつかドッカンと来ます。
「あれ!思った色と違う!」「頼んだ手触りと微妙に違うような、、、」
タンニン鞣しだったり、染料仕上げだったり、アニリン仕上げだったりすればするほど、この手のトラブルはいつか起きます。ほぼ確実です。
タンナーさんにも必ず言い分があります。革、という自然由来なものですのでバラツキがあって当然なわけです。
でもばらつきがあるのは事実。注文者さんとしては「これでいつもどおり」と言われたら困るわけです。
再生産か、減額か。何かしらの交渉が必要です。この交渉がものすごく大変です。(;´Д`)
ここで「これは全部不良品だから引き取れない」というと次回の注文は受けてもらえないかもしれません。
でも、「じゃぁ、これは20%offで引き取ります」と言えば、次回から同じレベルのものがやってくるかもしれません。
この問題には正解がありません。タンナーが悪い or 革のことがわからない注文者が悪い、と、どっちの味方をするつもりもありません。中間の問屋である革屋を介さず直接タンナーと取引する、というのはこういうリスクがある、ということです。
革屋さんで売っている革はどうしても「売れそうだ、と判断した革」になりがち
革屋に所属する立場で言うならば、革屋さん、というのは「会社に来るお客さんが5割が欲しい!と言いそうな革」や「自社の社長や営業が売れる!と判断出来る革」しか仕入れることが出来ません。どうしても無難な革になってしまうわけです。(あぁ、たまに「これ、仕入れたんだ、、、すごいかっこいいな」と他の革屋さんで唖然とする事もあります)
今回の動画にしても、革好きの立場として「この革はここが面白い!」というのは熱を込めて解説をします。
ですが、革屋の立場として「この革は売れる!」という判断は難しいです。ましてや「これでカバン作ったら売れるよ!」とは到底言えません。
売れる・売れないは技術の高さではなく、需要と供給で決まるわけですから。
例えば、すごいけど、欲しい人を探すのが大変そうだ、ここらへんは。
例えば動画でも紹介している下記の革などは手間暇かかっているのはわかるのですが、これで消費者に売れる商品(カバンなり靴)を作るのはものすごく難しいです。
下記の革などは今回の会場内でトップクラスに手作業の手間暇がかかっていると思いますが、婦人バッグなどには到底向きません。コロナ禍でネット中心になっているならば、商品を手に取ることが出来ません。そうなると、これほど安定性がない革で製品を作るのは難しいと思います。
その一方で「いや、俺が作って、顧客にアピールすれば100万円でも売れる!」「俺ならこの革を使いこなせる!そしてレディー・●ガに買ってもらえる!」という自信があったり、「こういうのが出来るならば、私オリジナルでこういう加工が出来る?」という提案ができる人は直接タンナーさんに行ったほうが面白いことが出来るかと思います。
ニューレザーコンテスト、面白いよ
ニューレザーコンテストは「こんな革が作れるんだ」「こんな革が販売可能なんだ」というのを見る一方で「このタンナーはこういう技術あるんだ。。じゃぁ、こういうの作れるんじゃないかな?」と考えられる人が行くととてつもなく面白いです。革屋さんでは扱えないような革を色々と見ることが可能です。
まぁ、実際タンナーさんと直接付き合うならば、それなりのお金とそれなりの時間を溶かす覚悟が必要となりますがね。
たつの市にオープンした革の森に行ってきた
さて、姫路市からバイクでブルルンとたつの市へ40分ほど。
2020年10月末にオープンした、革の森に行ってきました。
革の森・アクセス・HP・SNS
HP:兵庫県たつの市 | 龍野観光・JR本竜野駅前徒歩圏内 レザーサロン「革の森」 - -革の森-
革の森(@kawa_no_mori) • Instagram写真と動画
革の森ってどんな店か説明が難しい
うわ、外に試験用のタイコ(革を鞣す際に使う道具。大きさは最小で2m弱。最大で見たことあるのは6mくらいの高さ)が置いてある。かわいいなぁ、これ。。。
店内のスペースの材料販売が2割、製品販売が5割、製品製造・教室・ワークショップスペースが3割くらいですね。
このお店はタンナーさんが直営で作ったお店です。そのためタンナーの製造したもの=革素材が販売されていますが、中を見ると革カバンや財布などの製品が多いです。
なんで?
店長さん
「ここは"たつのレザー"というものを知ってもらうために作られた工房兼サロンです。たつのレザーという素材はもちろんですが、この たつのレザーで作られた作家さんの革小物やバッグなどを展示・販売しております」
サロンってどんなものを目指すの?
「革が好きな人に来てもらい、たつのレザーを知ってもらうための場所にしたいですね。材料も端切れやアウトレット品よりもタンナーが持っている定番の革を置いています。これらの革はネットでも買えるようにしています。手に触って気に入ってもらったらネットで後日購入可能、というわけです。また、定番品ですので、1年後でも買えるようにするつもりです」
「製品の販売も行っております。これらの製品はすべて作家さんが作ったものです。たつのレザーを使っていただいています」
「ワークショップスペースもあります。現在は当店スタッフが来たお客さんがメニューにあるものから作りたいものを選んで作ることが可能です。今後は道具の販売なども行うか悩ましいところですね」
「サロンを名乗っていますので最終的には革が好きな人に来てもらえる場所にしたいし、イベントも行いたいと思っています」
どんなタンナーさんの革が定番品としておいてあるんですか?
「下記のたつの市のタンナーさんの革を現在取り扱っています」
革製品好きな人や革好きな人は行ってみたら面白いかと思います。
従来の革製品のお店、ではなくて、タンナーさんが直営で行っています。そのため今後タンナー見学会なども考えておらえるそうですので、興味ある方はとりあえずSNSなどをチェックしてみてくださいな。
HP:兵庫県たつの市 | 龍野観光・JR本竜野駅前徒歩圏内 レザーサロン「革の森」 - -革の森-
革の森(@kawa_no_mori) • Instagram写真と動画
October 28, 2020
村木るいさんの「人に話したくなる革の話」/「ジャパンレザーアワード2020」を解説してみる
カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」
「ジャパンレザーアワード」審査会が無事に開催されましたので、今回もお手伝いとして参加。
会場で見かけた興味深い作品を動画で解説してみましたので、ご覧ください。
動画の解説
応募作品 | Japan Leather Award 2020 | ジャパン レザー アワード 2020
動画で紹介した作品へのリンクをつなげておきます。
「おっ、この作品写真、よさそうだ」「動画でみたけど、どの作品?」と思ったら写真クリックしてみてくださいな。
ジャパンレザーアワードの一般展示は中止するつもりは全然なかったとか
一般社団法人 日本皮革産業連合会(JLIA)さんは今年のコロナ禍で中止、という判断をするつもりはなかったようで。
審査会とともに行われていた2日間の一般展示は1日に縮減となりました。1日は審査員のみで審査に集中。これにより3密を避けたほか、さまざまな配慮のもと開催。
啓蒙啓発活動の一環として、今年も呼ばれました。「GoTo トラベル」が始まる10/1(木)に大阪から東京に。許可をもらい、会場風景を動画で撮影。ホテルに戻り動画編集、その日のうちに上記動画をYouTubeにあげました。
あぁ! なんて未来に来たんだろうなぁ、としみじみ。
当日の様子
1日だけ一般来場okということで「例年よりも来場者数減るだろうな」と思っていましたが、例年の2日開催を上回る来場者数でした。アンケートに答えた人にお渡しするノベルティが足りなくなるくらい。
当日は私が「革の歴史」「靴と鞄の考え方の違い」「ランドセルすごいぞ!」という15分ほどのセミナーを行ったり、「革の手入れ」「コロナ禍における革の手入れ」「修理のすごさ」という内容でいちかわ氏が登壇してくださいました。
隙間を見て、facebookでも配信しました。
当日の様子を配信動画から
配信ですと迂闊な発言をしてしまいそうで怖いですね。基本的に作り手の顔を知っていたり、解説文に書かれているものから解説しています。
ジャパンレザーアワードで思ったことや、受賞するためにやったほうが良いこと
運営さん、お疲れさまでした
今回はコロナという状況にありながら、主催も事務局(運営)もよく開催したな、と心底思います。
残念だったのは例年は机の端に置かれていた出展者のリストがなかったこと。このリストは応募作品 一覧に書かれている情報が全部書かれていました。コロナ対策のため、「不特定多数の人が触るものは一切置かない」という配慮を徹底したものです。
作り手としてはwebの応募作品に書かれていた「革はどこで買ったか・仕入れたか」という情報が丸々載らなくなったのが残念な限り。例年「あ、この革良いな」と思ったらどこで買ったのかチェックしていましたので。来年度は復活してもらいたいものです。
今年のレザーアワードの特徴として、「ベストプロダクト」と「フューチャーデザイン」という2部門に全体を大別しました。これは英断だったと思います。
今年のレザーアワードについて | Japan Leather Award 2020 | ジャパン レザー アワード 2020
受賞を目指す人に
まず、作品説明用のカードは必須です。
例えば下記の作品には「どういうコンセプトで作ったのか」などを説明したカードを添付しています。
応募要項にも特記事項として明記されていますが、本エントリー(応募作品送付)の際、作品と一緒に作品説明用のカード(はがきサイズ)を同封することが認められています。
もちろん、応募作品についての情報は、各審査員に配布されたファイルで必ずチェックしていました。
それはあくまで文字情報のみです。このカードでは絵や写真を使って解説できますので、審査員や来場者の目をひきやすいですね。このカードを有効活用できるかどうかは、重要だと感じました。
「審査員は、技術についてわかっているだろう」という声も聞こえてきそうですが、審査員のかたは、皮革業界以外で活躍するエキスパートが含まれます。だからこそ、彼らの理解を手助けする手段を、ジャパンレザーアワード事務局が容認してくれているわけです。
「いいものが売れる」わけではなくて「良いものはなぜ良いのか、を説明して、納得してもらわない」と、審査員、ひいてはお客さんや利用者も良さは理解できません。
これは出展者が悪いわけではなく、運営サイドも頭抱えている問題だとは思うのですが、小物やフリー部門の展示の仕方が難しいです。
どうしてもフリーや小物作品は机の上にポン、と置かれがちになってしまいます。このためにわかりにくくみえる可能性もあります。(下記動画参照)
例えば、、、下記の時計のベルト。腕時計ベルト、という性質上展示されるのはベルトのみです。
これに時計本体をつけ、展示する台の上に載せたら全然見栄えが変わるわけです。
作品によっては、展示用の補助アイテムを認めることはできないのだろうかと思いますが、作品の印象の変化や盗難などの問題をはらんでいます。
このほか、椅子・パズル・スマホケース・マスクケースなどが混在しているため、どこまで応募作品の展示補助として認めるべきか? ウェア部門はどうするのか? 靴部門だってどうせなら足のマネキンを入れたほうが魅力的だ! という要望もあるでしょうし、審査をフラットに、厳正にし、また応募者から預かっている作品を保護するため、事務局は毎年検討を重ねているそうです。頑張ってくれ。
今回下記2点の作品の手触りが非常に良かったです。
それは革の手触りではありません。説明が難しいのですが、「稼働した部分のフィードバック感が気持ちいい」んです。えぇっと、もうちょっと詳しく書くと「ぱたんと閉じたとき。ぱたんと畳んだ時。日常動作の中で革が空気を押し返す感触がとても気持ちいい」品なわけです。
これはネットや写真では絶対に伝わらず、会場で触らないとわからない感触です。
これらの品は審査員賞や部門賞を獲得しました。
近年合皮が発達し、今後はヴィーガンレザーとも言える革的な素材が増えていきそうですが、この「使っている際のフィードバック感」というものは再現がまだまだ難しいです。これが革の強みであり、受賞を狙う人は、このあたりの表現に注目したほうが良いと思います。
ヴィーガンレザーについては下記参照
革使う人は肉を食ったほうが良いけど、大豆肉を食べてみたので代用肉や代用革の話 | phoenix blog
来年のジャパンレザーアワードは通常開催されることを切に願います
来年は無事に開催されたらいいな、と思います。無事に開催されたらまた是非会場なりでお会いできたら幸いですわ~。
今後の革日和予定
個人的に行っている革イベント「本日は革日和♪」。例年、秋は大忙しだったのですが今年は平和なものです。
・10/30(金)~31(土)「本日は革日和」
本日は革日和♪in熊本 2020年10月30.31日(金土) 出展社10社による展示会・ワークショップ・セミナーなど 要事前予約制 | 本日は革日和♪
熊本初開催。コロナのため予約者のみしか参加できませんが、過去最多の11社集合です。GoT0トラベルを活用して来る価値はあると思います。
・11/6(金)~ 8(日) 「浅草エーラウンド オンライン」
毎回参加しているA-ROUNDですが、今回は大阪からオンラインで参加予定です。
・11/26(木)~ 28(土)「素材博覧会 神戸」
【同時開催】Bead Art Show & Embroidery 素材博覧会 神戸 2020 秋
基本毎回参加の素材博覧会神戸。まぁ、セミナーなどもやる予定です。
September 30, 2020
村木るいさんの「人に話したくなる革の話」/コロナ禍での手作り販売イベントを見てきた。やってくれるだけありがたいという声を聞いてきた話
カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」
毎度です!「どう考えても来年6月までは最低限続くだろ、この騒動は」と思って行動しているムラキです。
今回の話は
・ジャパンレザーアワードもコロナ禍でもやるよ!10/3来てね!というような話
・手作り販売イベントを見てコロナ禍でみんなどう思っているか。実際売れたのか、というような話
・10/30.31に熊本で革日和イベントをコロナ禍対応してやるよ、という話
の3本ですわ~
*
目次 [hide]
「ジャパンレザーアワード」応募作品一般公開が10/3(土)に行われます。
アンケート協力のノベルティグッズとして革ひもとクリアファイルをプレゼント
10/3は15分ほどのセミナーをやります。オンライン配信も行います。
大阪アート&てづくりバザールを見てきた
入場者数はどうだったか
盛りだくさんのコロナ禍対策
出展者にリアルな話を聞いた
数じゃない質だ、という話
このイベント主催社はコロナ対策よく頑張ったなぁ、、と感心
10/30.31(金.土)に熊本で革日和開催します。過去最多の11社出展
今の時代にイベントやるのはほんとに大変
コロナと付き合う覚悟がいる
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「ジャパンレザーアワード」応募作品一般公開が10/3(土)に行われます。
「ジャパンレザーアワード」公式サイトで2020年度の全応募作品が公開中です。この特設ページは、今後も継続されます。
昨年は、この「ジャパンレザーアワード」一般公開イベントで「本日は革日和♪」ブースを出展していました。今年はコロナ禍、ということで、ワークショップや展示は見合わせ。応募作品のアンケート協力のノベルティグッズとして革ひもレースとクリアファイルをお渡ししています。
アンケート協力のノベルティグッズとして革ひもとクリアファイルをプレゼント
革ひもを使って下記のような作品を作ることが可能です。作り方は下記blogでまとめます(近日中に公開)ので、ご覧くださいな。
10/3は15分ほどのセミナーをやります。オンライン配信も行います。
当日は11時・13時・15時にはムラキによる革のセミナー、11時半・13時半・15時半には いちかわたかお さんによる革のお手入れセミナーが行われます。下記の私のyoutubeで配信予定です。
コロナ禍ですので、結構イレギュラーに動かせてもらえるので、これはこれで面白いですな。
大阪アート&てづくりバザールを見てきた
9/19-22の土曜日-火曜日の4連休に、大阪南港にあるATCホールで開催された「大阪アート&てづくりバザール」を見てきました。
これはテレビ大阪が主催で行っているイベントでもう10年やっています。大阪では一番大きな手作り品販売イベントとなります。
テレビ大阪が行っているだけあってテレビCMをガンガン流すのですが、「9月1日でも CM流している、、5日なっても流している、、ほんとにやるんだ!」と思いつつ本番当日を迎えました。
入場者数はどうだったか
今回4日間で16,778人。昨年同時期のときは3日間で2万100人弱だったので大幅減少といや大幅減少です。
初日・2日目の来場者数が圧倒的で、4日目は激減と言えます。
(このイベントは公式HPを過去分も残しており、毎回来場者数を公表しているのはほんとにすごいな、と感心します)
盛りだくさんのコロナ禍対策
HP上ではイベント開催前には文字情報で発表されていました。ただ、実際に見ると「いやほんとに頑張ったね」と感心しました。
1 入口すぐの大看板での告知&検温・除菌
入口に消毒液はまぁ当たり前。検温も行っていました。おでこ測る検温がこんなに一般的になる時代が来るとは思いませんでしたね。
この大看板で基本的なことを告知。
ちなみにポスターのキャラクターは「たこるくん」という、たこ焼きをモチーフとしたキャラクターです。
ほんとに大阪人ってやつぁ。
今回会場内ではこの「たこるくん」によるポスターがいたるところで見受けられました。キャラクターってのは、目をひくから強いですね。
2 独自の予約システムと強制的に個人情報収集
入口で「コロナの登録はされましたか?」と係員さんに。
大阪府/大阪コロナ追跡システムのことですか?
「いえ、事前にHPで予約登録が可能です。されていないのでしたらこちらをご記入ください。TELかメールアドレスをお願いします」
えっ! これって来場者の連絡先を強制的に全部収集するのか! この私の手書きで書いたTEL番号を後でいちいち登録しておいて、実際にクラスター発生したら、ひとりひとりに連絡するつもり⁉ それはコストかかることしているなぁ。
3 目鼻口に触らないで、という看板ちらほら
コロナ対策はマスクやフェイスガードをつけたら安全、というものではありません。重要なのは「コロナウィルスを目鼻口などから体内に入れてしまわないようにする」ということ。マスクは他者に移さないことももちろん重要ですが、それ以上にふとした拍子に口や鼻に触れないようにすることが肝要なわけで。
だから、以前ここのblogでも書いたように、おきれいに書くならば「みんな!目鼻口を触らないようにしようね! 」、です。
村木るいさんの「人に話したくなる革の話」/コロナウィルスと革製品の話 | | JLIA 日本皮革産業連合会
遠慮なく書くならば、「鼻をほじるな」「口を触るな」「目をこするな」「外から帰ってきてキスするな。外でキスするな」「スーパーでビニール袋あかないから、といって指を舐めるな」「札を数えるときに指舐めるな」=「とにかくウィルスを目鼻口から体内にいれるな!」という点が重要なわけです。
ですが、これをきちんと周知しているポスターはあまり見たことがなかったです。マスク付けたから安全じゃないし、手を洗っていたら安全、というわけでもないんです。それらの対策をした上で目鼻口を触らないのが重要です。
このイベントではきちんと告知していて「おぉ、えらいなぁ」と感心しました。
4 ブースとブースの間もフィジカルディスタンス
物理的な距離を取りましょう、というフィジカルディスタンスという言葉はまだそれほど一般的な言葉じゃないと思うのに積極的に使っているな、と驚き。
「社会的な距離をとるということ」と題した森津太子教授の動画では、日本でよく使われている、2メートル以上の対人距離を呼びかける「ソーシャル・ディスタンス」(社会的距離)という言葉は、「人とのつながりの減少により社会的孤立が生じる」恐れがあることから、世界保健機関(WHO)では「身体的、物理的距離」を意味する「フィジカル・ディスタンス」に言い換えるよう推奨している点を紹介。
ソーシャルではなく"フィジカル"ディスタンス 新型コロナ対応の学術知見発信、放送大学 | 株式会社共同通信社
WHOが提唱するフィジカルディスタンスは「物理的な2mの距離」であり、出展者ブースとブースの間は2mは取られておらず、所々で取られているな、と思いました。まぁ、この手のイベントでブース同士を厳密に2m離していたらイベント主催者は破綻するでしょうな。
5 通路の幅が1m大きくなっている
カーペットタイルが1つ50cm四方。これが2つなので一律に1mは広くなっていました。
そのためお客とお客が触れ合う可能性が低くなり、結果的にお客さんの回遊速度(歩く速度)がゆっくりとなり、出展者との対話時間も長くなっているように思えました。
逆に言うならば出展者数は減少しているので、主催者としては頭が痛い事態と言えますな。
6 飲食物を食べる休憩所スペースの撤去
このイベントは入場料800円なりで1日いられる、という屋内イベントです。コンビニに行こうと思うとホールを出て徒歩2分ほどの場所にあります。
屋内イベント、というのはお客さんが外に出ていくと戻ってこない、という恐怖が伴います。それを考えてこのイベントでも飲食物ブースが出店しています。
どれだけ食べ物があっても机がある休憩スペースがないと食べてもらえません。休憩することで気力体力が回復し、「さぁ、イベントをまだ見るぞ! 」と思うわけです。
その休憩スペースがコロナのために閉鎖されていました。これは飲食物ブースのみならず一般の出展者もお客さんの気力体力回復できないからダメージでかいだろうになぁ。
こんなことは主催社サイドはわかりきっていることですが、コロナだから場内で飲食は駄目だ! と割り切ったんでしょうなぁ。
7 ワークショップの減少
ワークショップスペースが明らかに減っていましたね。ワークショップって密になりやすいから嫌がったんでしょうなぁ。
出展者にリアルな話を聞いた
こういう手作りイベントではいつも出展者さん向けにこのようなお土産袋を作り配って歩いています。
裏面には私がお手伝いしているレザークラフトフェニックスのチラシを入れています。革を扱っている人ならば遠慮なく渡しています。
「フェニックスさんの革使っていませんよ?」 いえいえ、革使っていただけるだけでもありがたいですし、将来的にいつかフェニックスで買い物するかもしれませんから、と言いつつ挨拶周りをしています。
そこで大阪人らしく聞くわけです。「儲かってますか?」と。こういう質問を遠慮なくできるのが大阪人の強さとえげつなさなわけで。
で、聞いてみると。
・従来の3日間開催でもきついが、4日間はほんとにきつい(*´Д`)
・お客の入りは想像していたほど悪くはなかった。従来の売り上げの20%とか覚悟していたのに60%くらいはあった。
・通路幅が広いことでお客さんとゆったり喋れた。
・通路幅が広いが、ベビーカーの数が少ない。
(おそらく人が集まるイベントに赤ん坊を連れてくることを嫌がったんだと思います)
・初日は多くて4日目はほんとに暇だった。
・休憩所がないのでお客の滞在時間が短くなっている。
・来ている人のコロナ対策は万全な人が多い。
来ている人は「コロナでも来たい!」というモチベーション高い人が多いように思える。
・飲食業の人は押しなべて「きっついです」と泣いていたなぁ。
などなど。
数じゃない質だ、という話
どないやった~?と知り合いに聞いてみる。(下記回答は全体の話をまとめたものです)
「ムラキさん、今の時代にね、イベントやってくれるだけありがたいんですよ。だって、コロナってどうやってもまだまだ続きますよ。で、それを恐れて動かない、というわけにはいかないでしょ。
ネットで売れ行きがいい!という人はいますけど、まずネットで売れ行きよくするためには現実世界で見てもらい、そこからネットです。いきなりネットを見てもらう方が大変なんですよ。だからこそ、現実世界のイベントですよ。ほんとに主催社には感謝しきりです。
お客さんも久々のイベントだ!という本気度を感じられました。来場者数は少なくなっているかもしれませんが、通路幅が広いおかげでお客同士がぶつかることがなく、じっくり喋れました。結局本気度が高いお客が集まるイベントの方がありがたいですね」
多数の意見はこのような感じでした。
このイベント主催社はコロナ対策よく頑張ったなぁ、、と感心
個人的にいろいろなイベントを見てコロナ対策を調べていますが、このイベントはトップクラスの対応をしているな、と感心しました。問題あるところもいくつか聞いたりもしてはいるのですが、押しなべて平均点以上だったと思います。
何回か書いているように「覚悟を決めてコロナと付き合っていくしかない」と思います。それに気づくのが今なのか、1か月後なのか、半年後なのかは個々人や会社によって異なると思います。ただ、早期に動いたほうがノウハウは蓄積できるし、結果も早く出せるだろうな、と会場で購入した焼き鯖寿司を食べつつ思いましたさ。毎回出店されているこの焼き鯖寿司、おすすめですよ( ´∀`)bグッ!
10/30.31(金.土)に熊本で革日和開催します。過去最多の11社出展
10/30.31(金.土)に熊本で「本日は革日和♪」を開催します。
「革のものづくりがもうちょっと楽しくなる」がコンセプトのこのイベントは、今回11社出展による展示会やセミナーなどを行います。
本日は革日和♪in熊本 2020年10月30.31日(金土) 出展社10社による展示会・ワークショップ・セミナーなど 要事前予約制 | 本日は革日和♪
今の時代にイベントやるのはほんとに大変
全部終わったらどこかで細かく書きますが、、、
・イベント会場の定員が1/3程度まで制限される。=現在会場内にいる人数を把握しておかないといけない=カウントする人間を用意しなければいけない
・来場者の個人情報収集=クラスター発生時に連絡するため
・マスク消毒液必須=まぁ今の時代当たり前
・都会の人間が地方に行くとほんとに嫌がられる=まぁ、そうだろうなぁ、、
などということを考えると入場料500円取っての事前申込制で告知しています。
コロナと付き合う覚悟がいる
正直私がやっている革日和、というイベントは「本気の人が100人来てくれたらいい」と思っているので少人数なイベントです。それでも「万が一クラスター発生したらどないしようかな、、」「どれだけ予防対策に費用と気力注いでおけばいいんだろう」ということを考え出すと「イベントなんてやらない方がよくね?」とも思います。
ただ、1年イベントをやらないと認知度が下がり、ユーザーさんと築いてきた関係性が弱まってしまうな、と思うわけで。
コロナは冬になるとさらに活性し第3波の可能性があります。「だから何もしない」ではなく「正しく恐れて正しい対処して付き合っていこう」と思います。
JLIAでは、ツイッターなどで最新イベント情報などを告知(シェア、リツイート含め)しておりますのでぜひ、ご覧ください。
JLIA 日本皮革産業連合会さん (@JLIAtweet) / Twitter
August 26, 2020
村木るいさんの「人に話したくなる革の話」/皮革大学やイベントを見て、コロナとの付き合い方を考える、という話
カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」
毎度です!「もうさっさとwithコロナの覚悟決めて行動したほうがいいよね」と割り切れてきた村木です。
そろそろコロナと付き合う覚悟を持つべきだな、と思っていますが、周りでもそういう覚悟を決めた会社なり個人さんが増えてきました。
今回の流れは下記のとおりです。
・皮革大学、という講座に行ってきた話
・各種イベントはコロナとどう付き合っていっているか、という事例を紹介したり、イベント主催者との雑談
・コロナ状況下でも新しいことを学んだり、売り上げを伸ばしているような人の話
*
目次 [hide]
皮革大学に行ってきた
こういう講習をなぜ東京でやってくれないの?
皮革大学は座学のみなの?
皮革大学もコロナ影響下で開催した
コロナ禍でイベントはどうなるか?
大阪で行われた大規模な販売イベントなど
とある販売イベント主催者との雑談
販売イベントの規模はこれくらい
結果
雑談
twitterで見た、とある同人誌即売会イベントの対応
イベントなんてやるだけ赤字やで、と呟いた人との雑談
イベント主催者のやることは多いけど、COCOAは入れてもらおう
コロナ禍で革の講習をやって、と依頼してきた会社
コロナ禍で売り上げが伸びた人の話
withコロナでやっていくしかねぇな、と。
*
こちらで開催されている皮革大学は座学で全7回。毎年夏ごろに行われ、今年は2時間講習×7日間の濃い内容です。
「皮革概論1、2」「準備工程」「各種鞣製と鞣製法」「脱灰浸酸鞣工程」「再鞣・染色・加脂・乾燥工程」「仕上げ工程」という内容。これでも講師曰く「2時間で足りない!」「乾燥工程だけで2時間欲しいなぁ」とのこと。
こういう講習をなぜ東京でやってくれないの?
革を作る工場である「タンナー」さんは、兵庫県たつの市と姫路市の登録数で100社以上はあります。
この皮革大学はタンナーさん向けの内容となっているため、出席者の殆どがタンナーさんで働いている人ばかりです。東京や埼玉にもタンナーはあるのですが、各地域10社以下なため、これだけのセミナー開催は難しいかと思います。
内容も「アニオンカチオンが、、」「酸性値が7で、、」「硫化ソーダと水流化ソーダの比率が」などの用語がバンバンと飛んできます。革屋さんでもきつい内容ですが、タンナーと付き合うにはこれだけの土台があったほうがいいのも事実です。
私が関わっている革屋「レザークラフトフェニックス」では毎年1名は出席するようにしています。かばんを作っているメーカーです!靴職人です!という方が習うと途中できついだろうな、とは思います。
ちなみに4年前の際には静岡や北九州から通っていた方もおられました。4年前の皮革大学は10の講座で、彼らは10日間、毎回姫路まで通ってきてくれていました。遠隔からでも来る価値のある内容なのは間違いないです。
皮革大学は座学のみなの?
夏手前くらいに座学を行い、秋口には製造実習も行われます。あくまで兵庫県の中小企業支援事業の一環であり、来年も行われる、という保証が全くないため、聞けるうちに貪欲に吸収しておきたいものです。今年も製造実習が行われますので興味ある方は下記にお問い合わせください。
2016年に受講して、今年4年ぶりに受講しましたが「前回わかったと思っていたことが実際には知識として身についていない」「前回理解できなかったことがおぼろげにわかるようになってきている、と勘違いしているのかも」とは考えられるようにはなりました。人生死ぬまで勉強ですねぇ。
4年前の様子は下記Blogにて。
平成29年度の皮革大学申し込み始まりました。昨年はすごかった。。 | phoenix blog
皮革大学もコロナ影響下で開催した
今回はコロナの影響もあり、従来は全10回の講習が、タンナー向けの鞣しに関する講習のみ全7回と短い講習となっています。
今現在いろいろなイベント会場で言われているのは、「定員50名の部屋ならばその半分だけ入場可」という縛りですね。このイベントも従来は30人定員なのですが、15名になっていました。
さて、今回の主題。皮革大学に限らず、コロナ禍のイベントはどうなるのでしょうか?
コロナ禍でイベントはどうなるか?
ここしばらくの動きを見ていると、日本に限らず世界は「コロナと付き合って経済まわしていくしかないだろ」という考え方をするようになってきました。
例えば先月に紹介したJLIAによる「ジャパンレザーアワード」にしても、JLIAは「コロナ怖いから辞めとこう」という意思は関係者の間にはなかったそうです(ほんとにすげぇなぁ、感心しましたわ)。
村木るいさんの「人に話したくなる革の話」/「ジャパンレザーアワード」はコロナでもやる、という覚悟を聞いた話
ここしばらく色々見聞きしたり、ネットで見た各種イベントのコロナ対応をまとめてみましょう
百貨店や美術館など
7月あたりから随分と「検温をする」というのが一般的になってきました。美術展などでは当たり前に行われています。関西の百貨店やユニクロ、GUなどでも普通に行われるようになってきましたね。
大阪で行われた大規模な販売イベントなど
7月に行ってきた、とある販売イベントを見てみましょう。
イベント規模
・関西では結構有名な販売イベント。年2回。
・出展者は海外からも来る
・入場料無料
対策
・1日を2回にわけて、事前にオンラインで参加申請
・入場時に検温必須。その後パスケースを貰える
・1部屋ではなく4部屋ほどでイベントをやっているので、このパスケースがないと他の部屋に入れない
・各部屋では「最大収納人数」の半分までしか入れない。各部屋入り口で人員を配置。マグネットにより部屋の内部人数を常時カウント。人が多い場合は入場お断り
出展者との雑談
・いつもより来場者はもちろん少ない
・それでもイベントに出ることで自社サイトなりの宣伝になったり、熱心なファンであるお客さんと会えるので無意味ではない
とある販売イベント主催者との雑談
販売イベントの規模はこれくらい
・中規模~大規模の間くらい。関東関西両方で開催
・販売イベント
・入場無料
結果
・開催3週間前に今回は中止、の決定
これ以上食い込むとホテルや交通機関の問題があるので、主催者としてはギリギリまで粘った判断だったと思います。
雑談
中止決定1週間前の雑談
主催者「ムラキさんはどう思う?」
イベント? やらないとあかんでしょ。小さくても細くても、イベントは続けておかないとお客さんがその業界に対する興味を維持できなくなるからねぇ。
「そうなんですよねぇ~~。でも万が一にもクラスター発生するとなぁ、と思っちゃうんですよ」
私は関西の人間だから、関東の人がどう思っているかイマイチわからんのだが、関東はイベントやっても人がこないの?
「考え方が逆です、村木さん。
地方ですよ。地方の出展者さんや入場者さんが恐れているんですよ。
万が一にも関東でコロナを拾ってきて、自分の地域に持って帰る。これをやっちゃうと、もうそこで暮らしていけない。だから万が一にもコロナに罹患する可能性があるならばもう関東に行かない、です。」
あぁ! なるほどなぁ。
「関東の人間は関東内で行動移動するならば問題ない。でも、関東から他府県に出ていってそこで迷惑をかけるのはヤバいから、出ていかない、と考えています。結果的に関東でイベントやったらお客さんは来るんですよ。ただし、出展者も来場者も関東の人ばかりです」
なるほど、ガッテンだな。関西や他の地域でも「自分の県内ならば問題ないだろう」と考えているように感じますね。
twitterで見た、とある同人誌即売会イベントの対応
下記のtwitterまとめで見られますが、2つのイベントが紹介されています。それぞれで対応が異なっており、結果も異なっています。
同人イベントのコロナ対策はどうなってる?同日開催された同人誌即売会「サンクリ」「TOKYO FES」の比較 - Togetter
・参加方法
・事前周知
・ソーシャルディスタンスの維持に対して何をしているか
など学ぶべき点は多いかと思います。
上記の素晴らしい点は「主催者サイドはどう公式に告知していたか」「実際のイベントに対して参加者はどう思っていたか」が見られる、ということです。悲喜こもごもだな、と思いますので、イベント主催者や参加者はぜひご覧ください。
イベントなんてやるだけ赤字やで、と呟いた人との雑談
とあるイベント主催者との会話
「ムラキくんよ~、今の時代、イベントなんてやらなきゃ金銭的負荷は0で済むんやで。イベントをやったら赤字確定やがな。でもな、それでもイベントはやらないかんよ」
なんでですか?
「コロナでの自粛によってな、気づき始めた人がいるんや。別に好きだった~~が見れなくても生きていけるな、と。それがスポーツ観戦の人もいる。アイドルの人もいる。映画の人もいる。何かものづくりの人もそりゃいるだろう。目が覚めちゃったとか、呪いが解けた、と言えるのかもしれない。
今の時代ってスマホ経由でいくらでも誘惑が存在するんや。そうなるとイベントなりできちんと情報や刺激を与えたり、同好の士がこれだけいるんやで、と知らせないと簡単にスマホ経由で他のモノに流れてしまう。仕事じゃなくて、生活必需品じゃないものはなおさら辞めてしまう」
ネットで情報発信していたらそれでええんちゃうの?
「やっぱりイベントの空気ってあるやん。例えばサッカーや野球を見に行く。応援しているチームが勝つ。それなら記念に何か買おう、となるやろ?テレビで応援しているチームが勝ったからって『よし!応援しているチームのサイトに行ってグッズ買おう!』ってならないやん。イベントってのはネットで味わえない空気を味わえるんだよ」
なるほど、重いなぁ、と感心しました。
イベント主催者のやることは多いけど、COCOAは入れてもらおう
色々見聞きしていても、従来以上の事前告知や、検温係・消毒・換気係などの人員必要度アップなど、イベント主催者サイドによる従来以上の金銭的労働的負荷が高まっています。
とりあえず参加者には下記アプリを入れてもらいましょう。
新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) COVID-19 Contact-Confirming Application|厚生労働省
政府ではなくて、各都道府県が用意しているコロナ追跡アプリなりも存在します。コロナにかかることは特別じゃない、と言われる時がいつか来ると思います。それまでに問題なのは「どこで罹患したのか」の追跡ができないことです。
イベント参加者には上記アプリを入れてもらうことを周知していくべきかと思います。
最後にこのコロナ禍でも色々と新しいことをやっている会社や人を紹介してみましょう。
コロナ禍で革の講習をやって、と依頼してきた会社
大阪のカバンメーカーさん曽我部さん。
「ムラキさん、革の講習をしてもらえませんかね?」
そりゃ、依頼とお金いただけたらいくらでもしますが、、、よくまぁ、このご時世に講習会依頼しはりますねぇ。
「コロナ禍だからですよ(-_-;) やはり仕事の量は減っていますが、これからの時代に備えてお働いている社員さん達の勉強になってほしいですから」
OKOK。前向きでいいですな。
それじゃ、会社で働いている人の男女比率と平均年齢、何人くるか、など教えてもらえます?革の話だけで2時間でも構いませんが、カバンメーカーさん向けの話にしておいて。。。あと、12個ほどカバンメーカー向きの話を提案しますので、その中から2、3つほど聞きたい話選んでくださいな。レジュメ作りますので
「それじゃ、、日本のカバンの歴史、ランドセルの話、コロナでも売り上げを伸ばしている会社の話をお願いします」
あ~、それじゃ明治時代からの革の歴史から、学習院のランドセルや現代のランドセル会社の戦略戦術。そこからコロナでも売り上げ伸ばしている事例を話してみましょう。
当日は15名様に聞いていただきました。ありがとうございました。
コロナ禍で売り上げが伸びた人の話
曽我部さんのところで話した「コロナでも売り上げが上がっている事例」をちょっとだけ紹介してみましょう。
売り上げが上がっている会社や人はネットを効率的に使っている、ってのは確かです。
それはやみくもに「インスタグラムをやっていたから売り上げあがっているんですよ!」「~~の販売サイトを使っている!」「SEO対策をしっかりした!」「インフルエンサーが!」「ユーチューバーが!」という話ではありません。
今回話をした会社さんは自社の持っている「他社にない強み」を計算し、顧客の顔を一人一人思い浮かべて、重点顧客をリストアップしました。そのうえで自分の持っている強みを重点顧客を狙い撃ちしてアピールしていきました。
「ムラキさん、今の時代だからこそ、自分の持っている戦力を集中して行動できたんですよ。おかげで売り上げは伸びましたよ!」
この人に限らず、今の時代は「意思決定を早くし、失敗成功の見極めを早くし、Try&Errorが高速化されている」ように感じますね。
withコロナでやっていくしかねぇな、と。
ここ2週間ほどでコロナに罹患したor罹患したんじゃないかな、という話が身近になりました。
・入っているビルの2Fの端っこの会社の社長さんがコロナにかかった(顔も覚えていない人です)
・盆明けに知り合いが風邪っぽく、PCR検査を受けた
徐々に近づいては来ているのを感じます。
コロナに絶対近づかない!ではなく、コロナを正しく恐れ、付き合っていかなきゃな、とは思いますね。
プロフィール

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター
東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。
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