欧米ブランドに「負けていないぞ!」

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」 の記事

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。今回はタンナーにフォーカス。皮革産地・姫路でつくり手の皆さんに現地取材した盛りだくさんのレポートです。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。
イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。
当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。
人気イベント「本日は革日和♪」次回開催は、ホームグラウンド・大阪で4月5日(金)・6日(土)。今回のエントリの文末でも村木さんからメッセージがありますので、最後までじっくりご覧ください。

 「本日は革日和♪」
  <http://ccrui.sakura.ne.jp/kawabiyori/archives/4864>

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毎度です! 「ゴージャスでブリリアントでデラックスな革も好き!」な村木です。

今回のお話は、

・タンナーのお祭りに行ってきたのでその報告
・タンナーは鞣しをしているのがタンナー
・仕上げ、という仕事の凄さと面白さ

という話の流れになります。



今回のテーマが決まるまでの流れ

で、JLIAさん、ここしばらく続けていた「革製品を作る上での周辺業種の面白さと凄さ」が一段落しましたが、次に何やります? 一応、次の2つを仕込んではいますが。

「靴や鞄メーカーってなんのためにあるの? メーカー飛ばして職人さんとちょくにやり取りすれば商品は安く作れるの?」
「革屋ってなんのためにあるの? タンナーってそもそもなに?」

JLIAさん「そりゃ話してもらいたいのは後者かなぁ」

じゃぁ、前者はその次くらいにしますか。
んと、写真がいくつか必要となりますね。それじゃ姫路でお祭りあるからそれ見に行きがてら写真と証言集めてきましょう。


3/22.23は新喜皮革のレザーフェスティバルが行われていた

2019.3/22.23は新喜皮革さんでレザーフェスティバルが開催されていました。

レザーフェスティバル2019

会期中は新喜皮革のコードバンなども販売されています。あくまでアウトレットセールですね。
私が行ったのは昼過ぎでしたが午前中に革や財布などを求める人が多数来場、昼過ぎからはまったり、とのことでしたが在庫は潤沢に残っていましたね。
「初日のほうが良いの?」と思いますが、2日目も追加で品を入れているので2日目に行っても楽しめるかと思います。

今回会場でfacebookのライブ配信という機能を使ってみました。手持ちのためブレがありますが、会場の雰囲気が伝われば幸いです。

会場内ではチャリティーオークションも開催。鞄や財布などがオークションかけられているなぁ、、と聞き流していたのですが「新喜皮革が鞣したブラックバスの革~」というので慌てて参戦。無事にget。水産革も色々と面白い話が存在しますがまたの機会に。


さて、タンナーってそもそも何?

秋のタンナー見学バスツアーで毎回ご協力頂いているオールマイティーさんを訪れ。

レザー素材オリジナル受注生産|姫路の皮革・革素材/タンナー オールマイティ

ここは革1枚から鞣しをします、というトンデモナイところで、毎回行くたびに変わったものを鞣している。今回は?


オールマイティーさんで見た変わった革

オールマイティーさん「これはな、四国の鹿革なんだけど、オイルをたっぷり含んでくれ、という依頼やねん」

触ってみるとモニョモニョとしたオイルの手触り。べったりとしています。
このスワッチ(材質見本。 見本の小片)から色を再現、っていっても水分とオイルが入って濡れた状態で同じような色合いにできるものなの?

「前回作っているから、きちんと色の処方は置いている。でもそれも原皮(革の元となる皮の状態。今回ならばハンターさんが捌いた毛皮状態でやってくる)の状態によっても変わるからな」

原皮の状態ってのは保存期間とか?

「ちゃうよ。極端な話、餌が豊富な秋と餌がなくなってきている冬では動物の栄養状態が変わるだろ。皮付近の肉や脂ってのは栄養状態でものすごく左右されるから処方をきちんとやっていても元の素材の状態が変わりすぎる。それに応じて処方を変えてやらなきゃいけない。」

大変やん(´・ω・`)

「大変だよ。でもそれが面白いのが革やんか!」

こちらはちょっと変わったもの。オーストリッチ(=ダチョウ)の足ですね。現在の学説では恐竜が進化して鳥になったと言われていますが、これを見ると確かに恐竜っぽいですよね。

ダチョウも日本でダチョウ牧場などで飼育が始まっています。肉も食べるので、革も使うし、足の部分の革も取れるならば使います。さすが最大の鳥類だけあって足まで革として使えます。興味ある方は「オーストレッグ」で調べると販売されているのを見つけられると思います。

これはもしかして、、

「熊の顔の革やな。」

やっぱり、、(゚A゚;) まぁ熊の皮も持ち込まれて革にして、という依頼もあるようで。
鞣しをすると一回り二回りは小さくなりますね。

これは鹿ですね。昨今はジビエなども知られるようになり、鹿肉やイノシシ肉も食べられるようになりました。そうなるともちろん革も使われます。

姫路やたつの市にたまに無茶な質問が来るそうな。

「私達の地方でイノシシ肉や鹿肉を加工して販売している。この革も有効活用したいんだが、自分たちで鞣し加工もしたいのだがどうやるの?」

無茶です(*´∀`)キッパリ

基本的に鞣しという工程は知識と技術と設備、それに大量の水が必要とされる産業です。趣味のものを作るならばまだしも、きちんとした「革」を作ろうと思うと知識、技術、設備、それらを習得する時間と気力が重要となります。

で、それで「確かにそりゃ無理だ!」と思った方がこのオールマイティーさんに持ち込んでくるわけです。

 

タンナーの定義ってなんだと思う?

オールマイティーさん、JLIA blogでタンナーについて書こうと思うんだけど、タンナーの定義ってなんだと思う?

「大雑把な質問やなぁ~
例えば現在、姫路市、たつの市で130~150ほどのタンナーが稼働している、と言われているけど、俺はそこまで存在しないと思う(※ここらの数字は体感です。登録数は多分もっと多いです)。

それは『あそこのタンナーは実際には動いていないで!』という意味ではなくて、『タンナー』という言葉の定義やな。」

どういうこと?

「タンナー、、、つまりはtannnerやろ?
TAN、ってのは鞣しをする、という意味や。それにerがついて、tannner、タンナーと読むわけや。
ってことは、うちのように大量の水と設備を使って皮から革に鞣しをしているのだけをタンナーというと思う。

でも実際は、鞣しではなくて、染色やスプレー吹きで色付け、型押しや仕上げ加工を得意とする加工所と言われるものも多い。それらは厳密にはタンナーとは言えないと思う。

これは、『鞣しをするタンナーがえらい!』という意味ではないんやで。仕上げ加工をしてくれるところはうちも世話になっているし、そういうところがいないとものすごく困る。ただ、厳密にいえばタンナーとは言いづらいな、と思っとる」


じゃぁ仕上げってなに?

皮革大学というのがある

姫路には兵庫県立工業技術センターの中に皮革工業技術支援センターというものがあります。

ようこそ皮革工業技術支援センターへ

で、ここで秋くらいに兵庫県中小企業支援事業の一環で、「皮革大学」というものが今のところは毎年行われています。

これは座学や実技などもありますが、後半には実際に革を鞣す講習も行われます。詳しくは過去に書いたblogをご覧ください。

平成29年度の皮革大学申し込み始まりました。昨年はすごかった。。 | phoenix blog

個人的にはものすごく面白く勉強にはなったのですが、化学用語は飛び交いますので物見遊山で行くとギャフンと驚くことになります。

で、この鞣しを勉強する皮革製造技術部門実習は次のような日程となります。

製革実習  9月 5日間(昼間30 時間)
仕上げ実習 9月 3日間(昼間18 時間)

製革は要は鞣しですね。仕上げ実習は今回説明する「仕上げ」工程となります。


「鞣し」「仕上げ」は設備も考え方も違う

鞣しは毛もついた状態の生々しく塩漬けされた「原皮」を、みなさんが日常で使う革製品で使う「革」にする工程です。

厳密に言うとこの流れはちょっと異なります。順番に見ていくと、、、

塩漬け屋...屠畜場やハンターが剥いだ皮を塩漬けにする工程を行う。
タンナー...皮を大量の水を使い鞣しを行う。革になる。
仕上げ屋...型押し、染色、エナメル加工などを行う

動物からお肉を取り、皮を取った後に、革になるのに最低でもこれだけの会社が関わります。
前出の新喜皮革さんも鞣しを行い、染色までは行いますが、型押しやエナメル加工などは外部の会社にお願いするわけです。それらの工程はそれぞれが専門の高額な設備が必要となり、専門知識が必要となるからです。


仕上げはすごく面白い工程

ムラキ個人は、皮革大学の皮革製造実習で学んで一番面白かったのは「仕上げ」工程でした。
仕上げ工程は「お化粧」だと思ってください。なめされた革の上に様々な化粧=工程をどんどんと載せていく工程です。

で、新喜皮革、オールマイティーの次は、「あれだけ手間かかることはしたくない」と同業他社からも言われるアルファレザーの革をご紹介しましょう

上の写真は、革の鱗1枚1枚にカッティングが施されています。
その上に色を染めています。蛇の模様部分も手作業で塗りの作業を行っています。
塗りの作業を手でひとつひとつ塗ると効率が悪すぎます。そこは特殊な技術が施されているわけです。

柔らかな革の上にハート型で箔押しが行われています。
見てわかりますように広いハートの面の内部がおぼろげに箔が剥がれています。
こちらはハートの縁はきっちりと箔が押され、内部がおぼろげに剥がれるように処理をしなければいけません。この剥がす作業も手作業です。

こちらもギュムっと圧縮してシワが出ています。普通にイメージするような圧縮方法では無理ですね。特殊な機械が必要となります。

こちらは型押しをした後に凸凹で凸の部分だけに染を行い、その上にエナメル加工を行っています。

こちらも型押しですが、凸凹の凸部分に色を載せて、その上にエナメル加工を行っています。
型押し加工には数百種類のパターンが存在し、極論すればそのすべての型押しの凸部分に同じような加工をし、異なる色合いで同じことができるわけです。

他にも様々な加工をアルファレザーさんは手がけています。

もちろん、「私は革らしいナチュラルさが好きなんです!」という人には全く面白くない世界だと思います。ゴージャス!デラックス!ブリリアント!が好き、という人にはものすごく面白い世界です。


仕上げの本質は

私程度の人間が「仕上げの本質はこうだ!」と書くと色々なところから「若造が!」とツッコミが入ってしまうのですが、、、それでも私が思う仕上げの本質とは「こういう加工をお客さんが望む色で、望むパターンで行うことができます」ということです。

元となる土台の革を仕上げ屋さんはタンナーから購入し、その上に様々な仕上げを施します。
土台となる革はキャンパスと同じです。その上にどのような仕上げをするかを考えるのはデザイナーさんなりの仕事であり、それを表現するのは仕上げ屋さんの仕事なわけです。


帰りは革の神様にお参りして

今回紹介した新喜皮革、オールマイティー、アルファレザーは姫路の高木と呼ばれる地域に固まっています。

ここには「高ノ木神社」という革の技術を日本にもたらした神様が祀られている神社も存在します。最後にお参りして帰宅しました。


今後の予定

ムラキが行っているイベント「本日は革日和♪」では、2019.4/5.6は大阪の革屋さん共々イベントを行います。その際に、このアルファレザーさんに来てもらいセミナーというか座談会というかトークショーを行う予定です。

詳しくは下記をご覧ください。

19.4/5.6(金土)の大阪革日和 5日は営業時間延長や展示会など | 本日は革日和♪

4月20.21の土日は東京浅草のA-ROUNDに。こちらはセミナーワークショップ予定。
4月26-28は東京のハンドメイドメーカーズにも出没予定です。


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。
今回は沖縄探訪編。現地に根差した革の文化とものづくりを探ります。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。
イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。
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今年1月に沖縄革日和、というイベントを行いました。

19.01.25(金)革日和 ぷち in沖縄 | 本日は革日和♪

今回は私とサンプル師中村さんによるセミナーのみ。私は展示とセミナーを行いました。

会場は沖縄県立博物館・美術館のレンタルしていただける場所を使わせてもらいました。

沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)


当日お越しいただいた皆さんありがとうございました( ´∀`)bグッ!

で、どこにいようとも革のネタ探しをするのが仕事ですので、フラフラと見に行きました。

首里城に革がない!

沖縄革日和終了後、モノレールで首里城駅からテクテクと見学。

見て驚いたのは城壁の緻密さと美しさ。曲線をここまで形成している城壁は見たことないが、調べてみると沖縄の地は石灰岩が多く、加工が容易とのこと。あぁ、なるほどなぁと納得。あれだけの曲線を描き、隙間なく作るのは通常の岩出は無理だろうなぁ、と。
写真にあるように城壁に角がたっているのは魔除けの意味もあるとか。

で、首里城。歴史的に見たら革は貴重な素材のため、展示されている品の材料に革が使われることはよくある。で、首里城というほどだからどこかしらなり展示する品に革が使われているかな、と見てみるのだが、驚くほど革が使われていない。なんせ写真のように皮弁冠と書きながら革が使われていない。

沖縄には革の文化はないのか?という考察

沖縄の地で革が使われてこなかった理由はいくつか考えられる。

昔から豚やヤギを食べる文化なのだが、料理の源流としては沖縄は中国に近いのかと思われる。そのため豚やヤギを食べる際にも皮まで食べてしまうから、皮から革への利用が行われなかったのかな、と。

また、島国だけあって水が根本的に少ない。台風などは存在していても水を貯蓄できるかどうかは別問題。昔から水不足、というほどではないが、水は貴重で大事にする土地柄だったと思われる。
皮を革にする鞣し工程には莫大な水が必要とされる。牛1頭を鞣すのに現在でも1~2トンの水が使われると言われている。実際、タンナーのそばには大きな河川が存在するのだが、沖縄ではそのレベルの大きな河川が存在しません。

下の写真はモノレール牧志駅前にあるシーサー像ですが、その隣には再生水の説明が書かれていました。

原材料としての皮を食べてしまう&水が貴重。沖縄に革を使う文化が発生していないのはここらが主因かな、と思います。

で。

「ムラキさん、知り合いの知り合いレベルなんですが、沖縄ではハブの鞣しをして製品作っているところもあるんですよ」 
へー、姫路かたつの市あたりで鞣しているのかなぁ
「いえ、そこは自分のところで鞣しもしているとか」
自分で鞣し!?そりゃ俄然面白くなってきたなぁ、ということで訪問。

ハブの革を求めてyu-i FACTORY

首里城後にテクテクテクテクテクテクと30分ほど。「タクシー使えばよかったかな」と思いつつハブの鞣しまでやっている、というyu-i FACTORYへ。

yu-i FACTORY

外から見ても小洒落た店舗、中から見ても小洒落た店舗。ほんとにここで鞣しやっているのかな?とスタッフ金城氏に挨拶。

小洒落ているけど所々に通常ではないようなものがちらほらと。
挨拶した最中にも黙々とハブ革の乾燥工程真っ最中でした。

自分の立場や目的説明が毎回一苦労します。

まぁ、革の材料店舗で働いて、請負職人していて、一種のブロガーで革の歴史など調べていて、と喋ると「で、なに?」となるわなぁ。
なんとかしどろもどろに挨拶させていただき生産工場を見学させてもらえました。

この地で鞄や財布なども全部作っているんですか?

金城さん「もちろんです。自社で裁断から漉き、縫製までやっていますよ」

沖縄の地は風に塩が含まれているので何でも錆びやすいってのはほんと?

「あ、それはほんとです。車は早いですね。幸いにもここの機械はそれほどでもないですが、沖縄はサビに気を使わないと行けないですね」

鞣しも見せてもらっていい?とお願いして見せていただきました。
(工場や鞣しの現場を見せてもらったのは特別に見せていただきましたので誰でもokということではありません)

ハブの原材料、皮はどのように?

「沖縄本島や一部の市町村では駆除の一環で1匹3,000円くらいで買い取ってくれるんですよ。で、生きた状態だったならばハブ酒などに使われるんですけど、住民から買い取るハブは殆どが死んでいる状態です。こうなると使いみちがない、と焼却処分されちゃいますね。で、当社はこれを購入して使っています。」

でも鞣しをなんで自社でやろうと思ったの?

「例えば2015年ならば年間800匹ほど買い取っています」

800匹か、、姫路やたつののタンナーさんにしたらドラムの大きさによるけど、1回で終わる仕事だねぇ。継続的に2か月に1度100匹だけ、なんて言ったら怒られるものなぁ

「全くそのとおりです。
沖縄独自の革をやりたかったんですよね。そうあんるとハブだな、と。
誰もやってくれないならば自社でやるしかないですよね。」

やるのって専用設備回してやっているの?

「そこまででもないです。下の動画でもちょろりと見れますよ。冷凍されたハブを仕入れて、解凍して、皮剥がして骨も取って、ですね。製法確立するのに2年かかりましたよ」

よくやっているなぁ、これ!!冷凍状態はコチコチやねんね

「あ、気をつけてくださいね!冷凍状態でもトゲが刺さると毒はまわりますから」

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

「またHP上でも解説していますのでぜひ見てみてください」

PROCESS - yu-i FACTORY

一通り挨拶させていただき出立。金城さん、ありがとうございました!

帰りにてくてくと店から歩いていくと、「2」「8」の数字がブラブラと揺れている。下の写真の画面中央部分ですね。

てくてくてくてく、、、、、、、、( ゚д゚)ハッ!8と2でハブか!わかりにくいネタ仕込んでくれるなぁ。

沖縄でもオンリーワンな珍しい会社かと思いますし、ハブの鞣しをやっているところもないと思われますので沖縄にお越しの際は是非に。首里城観光の後にてくてくと歩けばたどり着けます。


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

お待たせしました。月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」2019年第1弾の公開です。
ご好評いただいている革業界周辺の職業紹介シリーズが最終回。「刃型屋」さんで締めくくります。

通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、昨年の春から、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが加わりました。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。

★イベント開催情報★
この春も横浜で開催される人気イベント「素材博覧会」に革日和ブースの出展が決定! 2月15日(金)から3日間行われます。今回の「革日和ブース出展 in 素材博覧会 横浜」
は6社が出展。レザークラフト体験ワークショップも開催予定です。詳しくは下記リンク先をチェックしてください

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毎度です! 人生が108回あるならば8回くらいは刃型屋やりたいな、と思っているムラキです。
長々と話してきた革にまつわる加工業の話ですがとりあえず今回で最終回です。

で、トリを務める刃型屋は思い入れたっぷりに紹介します。
私が革業界で生きている理由の2割位は刃型という工具が大好きだからです( ´∀`)bグッ! 刃型はそれくらい工具として面白い!

刃型ってどんな工具?

イメージとしては巨大で頑丈なカッターナイフの刃を折り曲げて溶接したものだと思ってください。あるいは、ものすごく頑丈なクッキー型ですね。
これを以前紹介した裁断師がクリッカーという工具で裁断していきます。

「人に話したくなる革の話」 革を裁断する仕事「裁断師」の世界

クッキーの抜き型でクッキー生地を抜くことで同じ形が何個も何個もできます。
刃型で革を裁断することで同じ形が何個も何個も裁断できます。

量産に欠かせない工具、それが刃型です。

 

どうやって作られるの?

なんと手作業で1つ1つ折り曲げていきます。

コツコツと曲げていき一つひとつを溶接していきます。

完全に型紙通りに作れるの?

刃型職人の腕前と素材次第です。
難しいのは「直角」に作ることと「平行」に作ること。

例えば、下のようなドーナッツの刃型はなかなか難しいです。
円形という誰が見ても歪みがわかりやすい形&同じように平行に配置しないと狂いがわかりやすい、というドーナッツ形状は見た目以上に難しい刃型です。

大きなもの、例えばカバンの型紙などは大きい形なので、多少狂っていても製作の際にリカバリーがききます。財布などは小さいパーツだけに1mm狂っていても違和感を感じますね。

刃型に使われる鋼材は「スウェーデン鋼(すうぇーでんこう)」と呼ばれるものを使います。スウェーデン鋼にも切れ味の良いもの、悪いものなどが存在し、それは刃型会社がどれを使うかによって異なります。
スウェーデン鋼以外にも火造り用の鋼やトムソン鋼なども存在します。
これらを適材適所で使い分けていきます。

値段はいくらくらいかかるものなの?

材料費よりも職人さんの時間工賃で値段は算出されると思ってください。
そのため、「大きいから高い」よりも「手が込んでいるものであればあるほど高く」なります。単純な40cm×20cmの長方形の刃型よりも、5cm四方の桜の花型の刃型のほうがはるかに値段は高くなります。

例えば、下の桜の刃型は「全く狂いなく作ってほしい」と依頼しました。そのため手で曲げるのではなく、彫刻刃型で作っています。

彫刻刃型は、「金属の無垢の塊からCNCで削り出して先端を尖らせて刃型を作る」というものです。CNCで作るため1mmの狂いなくできます。その分値段は高めです。(3万円ほどかかるんじゃないかなぁ)


他にも、

・穴をあけるハトメ抜きが追加されると1本あたり600円ほど追加される>刃型の話をしよう:ピンと穴あけポンチの違い | phoenix blog

・外側よりも内側にえぐりこむようなカーブがあると手間賃が追加される

・長い平行の刃型を作ると高くなる

・完全な円を作ってもらうと高くなる

・溶接箇所が増えると高くなる


・ベルトのバックルにピッタリと埋め込みたいので0.2mmのズレもなく作ってほしい、と言うと高くなる


などなど、さまざまな条件で値段は高くなります。

見ているだけで大変そうなベルト穴

例えば、下の写真は「ゲタ刃型」と呼ばれているものです。


こちらの品は金属をゲタのように組みあげ、そこに刃型を埋め込んでいます。この上にベルトの端っこを置いて裁断するとベルトの端っこにつけるようにベルトバックル用の穴が空き、ホックを止めるための穴も4つ開けてくれる。さらにはベルトの端を直角ではなく、少し丸めてくれる、という大変便利な工具です。

ここで使われているベルト穴などは、下の写真右側から左側に向かって作っていきます。

 

1 必要となるベルト穴の長さを計算し、それ近い直径の金属の円柱を用意する
2 穴をあけていく
3 パイプ状にする
4 ナナメに角度をつける
5 該当するベルト穴に潰していき、焼きを入れてヤスリがけをして刃を付けていく

このように非常に手間暇がかかっています。
ですので、こういうベルト穴部分が1つ増えると問答無用で+10,000円ほどしますね。

刃型の話をしよう:穴も空けてくれる刃型は注意点がいっぱい。バックル穴はめさ高くなる | phoenix blog

裁断するためにはクリッカーが必須なの?

クリッカー以外にも手で裁断する方法も一応あります。
その場合は、ひたすらガンガン叩くよりもどれだけしっかりした土台で作業するか・きっちり保持するかのほうが重要になります。
また、対象とする革の厚みなどにも難易度は左右されます。

革以外は使えないの?

布地も裁断できますが、糸1本だけ残ることもあります。
紙や薄いプラスチック、フェルトなどは裁断できます。

布を刃型で裁断可能なのか、という話 | phoenix blog

応用性は高いの?

ご自身のアイディア次第です。
例えば、上にあげたベルト用のゲタ刃型は高くつきますが、下の写真にあるように「20mm幅のベルトの端っこを丸くするためだけの刃型」ならば、それほどお金はかかりません。数千円レベルです。

どこで頼めばいいの?

当ブログでは、「ここにあるよ」などお答えができません。私個人もできません。
ネットで検索していただくか、私が働いているレザークラフトフェニックスで代行もしています。

どれくらい高いの?頼むときに何に気をつけばいいの?

お願いする職人さんや難易度、使用する鋼材によっても異なります。
頼む際には、次の点に注意しておいてください。


・自分で切った型紙を持っていく。型紙に出ている歪みや直角のズレなども再現されます。


・刃型屋さんによってはCADやイラストレーターで作った型紙のほうがありがたい、という会社もありますし、「パソコンなんて触れないから印刷したもの持ってきて」というところもあります。


・印刷する場合は厚紙に貼って提出してください。カレンダーの裏を利用、などでは紙が薄いですね。


・裁断する革の種類や厚み。裁断する方法や機械も伝えたほうが話はスムーズに行くかもしれません。


刃型屋さんはプロ向けの専門職種です。そのため、「私は何もわかりませんから一から説明してください」という人は嫌がられます。
まぁ、刃型屋さんに限らず問屋や加工業などのプロ向けの職種はおしなべて同じ傾向が見受けられます。

表には出てこないけど、革製品を支える仕事はいろいろとある

今までのシリーズでいろいろと紹介してきました。

「人に話したくなる革の話」革業界周辺の職業紹介シリーズ 「漉き屋」

「人に話したくなる革の話」 あなたが見る革に押されたブランドロゴの影にはこんな苦労がある。箔押し屋という仕事

「人に話したくなる革の話」 革を裁断する仕事「裁断師」の世界

「人に話したくなる革の話」 革を薄くする仕事「漉き割り」の世界

紹介した仕事以外にも、靴には靴独自の専門職種や、カバンやバッグ、財布にもそれぞれ独自の工程が存在します。今後もまた折に触れて紹介していく予定です。


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。今回は、革業界周辺の職業紹介シリーズ「漉き屋」さんの仕事をご紹介。革小物、特に財布づくりに欠かせない、縁の下の力持ち。財布はパーツ、工程数が多いアイテムですが、その仕上がりをよりよくするためになくてはならないプロセスを担っています。

冬至、クリスマスが終わると、迎春ムード一色。「成人の日」のお祝いなどを探すかたのご来店で、財布売り場が活気づく時季ですね。
つくり手、つかい手のかたはもちろん、販売スタッフの皆さんにもご覧いただきたい内容です。製品づくり、手仕事をご理解いただくことで、よりよくおすすめしていただけると思います。

通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、この春から人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが加わりました。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。
なお、「本日は革日和♪」につきましては、下記リンク先をチェックしてください


なお、年内の更新は今回で終了です。新年は1月9日からスタートします。一年、ご愛読いただき、ありがとうございます。2019年もどうぞよろしくお願いいたします。

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毎度です!めっきりと寒くなりました。1か月に1回のお約束、「人に話したくなる革の話」です。

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」 | 欧米ブランドに「負けていないぞ !」 | JLIA 日本皮革産業連合会

さて、ここ数か月はタンナー話が続きました。
以前から書いていた「革業界周辺の職業紹介」シリーズも、残りはもう「漉き屋」と「刃型屋」の2つです。どちらを紹介しようかなぁ

「ムラキさん、春になると春財布ということで財布の需要が高まります。ですので漉きと財布の話をしていただけるとありがたいですね」

あぁ、なるほど。そらごもっともですわ。

それでは今回は革業界にはなくてはならない「漉き」という工程と、それを専門とする「漉き屋」という仕事を紹介しましょう。


漉きという工程

布をやっている人からみて革という素材はどうしてもハードルが高く感じられます。
値段が高い・切り売りしてもらえない・流れが複雑などもあります。その中でも、この「漉き」という工程は布業界の人が聞くと「えっ!そんなめんどくさいことしているの、革の世界は!」と驚かれることがよくあります。

どういう工程か?

革は厚みがあり、パシッとした張りがあります。
そのため端っこや真ん中部分の厚みを薄くすることで曲げやすくしてあげる工程。これが「漉き」です。

以前見た漉き割りとは違うの?

以前こちらのblogでも紹介した「漉き割り」とはまた違う工程となります。

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」 革を薄くする仕事「漉き割り」の世界 | 欧米ブランドに「負けていないぞ !」 | JLIA 日本皮革産業連合会

漉き割=全体を均一に薄くする
漉き=端っこや真ん中などを均一、もしくはイビツに薄くする

どうやるの?

高速回転している刃に入れることで上と下に分割します。

手では出来ないの?

機械でやるほうが早く、美しくできます。

漉きに違いがあるの?

漉きに使う機械を「漉き機」と言います。新品で購入しても30万円ほどで揃うのですが、こちらの品は「買えば全部できるよ」というものでもありません。

漉きの工程にはさまざまな種類が存在し、それぞれに見合ったアタッチメント=「押さえ」を使い、革に合わせて漉き機の微調整が必要となります。

(鞄・ハンドバッグ・小物 標準用語集より)


(動画あり)「鞄・ハンドバッグ・小物 標準用語集 」: レザークラフト・フェニックス

ベタ漉き...全体を均一に薄くします。


ヘリ漉き...ヘリ返し、と呼ばれる鞄や靴に多用される革の端っこ部分を薄くします。


ヘリ下漉き...ナナメ漉き、とも呼びます。バッグや袋物で内縫いをしてグルンとひっくり返す際に使います。


折れ漉き・溝漉き...中漉きとも呼ばれ、財布の外側部分の真ん中などに多用されます。これによりスムーズに曲がります。

例えば斜め漉き

上記写真で書かれている「ヘリ下漉き(別称:ナゾエ漉き)」ですが、私は普段は斜め漉きと呼んでいます。見た目通りナナメに薄く削ぎ落として薄くしています。

この斜め漉きは内縫いのハンドバッグや財布などに多様されます。
内縫いは2枚のパーツを表で貼り合わせて縫う。くるっと表にひっくり返します。単純な工程ですね。

が、革の場合は厚みと革の表面の張りやコシがあります。
ナナメ漉きをすることで内縫いをひっくり返しやすくします。

下記に2種試してみました。

・漉きをしていないもの
・端の厚み 0.5mm ナナメの幅が15mm

の2種です。
これを内縫いしてひっくり返した写真を見てましょう。

漉きをしていないものは論外ですね。
カーブがきれいに出ていません。

それに対してナナメ漉きをしたパーツは緩やかなカーブを形成しています。

このような緩やかなカーブを出すためにもナナメ漉きは重要な工程なわけです。

毎回同じ結果が出るとは限らないのが漉きという工程

問題はこのナナメ漉きという工程は非常に再現性が難しいということです。

今回使った革は合成タンニン鞣しの1.6mmの革を使いました。
が、これが鞣しや厚み、革を購入した会社が異なると、漉きを同じ設定でしたとしても、バッグにした際に同じカーブが出るとは限りません。
さらに言うなら、同じ革を購入していても春購入したものと秋購入したものでは微妙に革のコシと張りが変わる可能性があります。

毎回同じようなカーブを再現できるとは限らないわけです。

「えっ!安定性がないの!?」

そう、革という素材は品質も供給も全く安定性がないんですよ!
前回と同じ設定なんだから同じ漉きができて、バッグのカーブも同じカーブができるなんて保証は一切無い。それが革という素材の面白くて恐ろしいところです。

ここらの素材の安定性がない、という話は過去にも裁断師の話で紹介しています。

2018年7月25日の記事 | 欧米ブランドに「負けていないぞ !」 | JLIA 日本皮革産業連合会

これらの素材の不安定性さを見極めた上で、技術を必要とするのが漉きという工程です。

「そんなに難しいんですか。じゃぁどうすればいいんですか!」

そのために存在するのが今回ご紹介する漉き屋さんです。

漉き屋という仕事

漉き屋さんはこの「部分的な漉きをやる」というのがメインな仕事です。
サブの仕事としてはバンドマシンを使った幅20cm程度までの漉き割りも行います。

漉き屋という加工屋はどれくらいの数存在するのか

人づてに色々聞いていますが、東京と大阪あわせておそらく20件弱と思われます。兵庫県でおそらく数件。他の地域は難しいですね。

漉き屋という仕事は加工業です。言い方悪いですが、自分たち自身で商品を作るのではなく、商品を作っているメーカーさんから「漉き」の仕事だけをもらってお金を稼ぐ加工業です。

加工業は仕事を取ってくるメーカーさんのそばで仕事をしないとお金は稼げません。靴やカバンなどのメーカーがない地域では商売がしづらいわけです。

仮にこのblogを読んだ人が「よぅし、僕は漉きの仕事を極めて、故郷の札幌or沖縄なりで加工業をやるぞ!」と思っても、稼ぐのは難しいわけですね。

漉き機という仕事で家族を養う

漉き機という機械ですが30万円程度で新品を購入可能です。
この機械だけでも昔は家族を養えました。現在はこれ以外にもバンドマシンという機械がないとちょっと生きづらいですね。

漉き屋という機械1台購入で終わる、という仕事でもない

漉きという工程は前述しているナナメ漉きやヘリ漉きなどがありますが、機械に装着するアタッチメント=押さえは長さが異なる基本的な4種類ほどしかありません。

これを漉き屋さんは自分たちでグライダーで削って加工します。
望んだ形状にするために4種の押さえで漉き加工は可能ですが、「いちいち手作業するよりも押さえを加工したほうが手間かかるけど、安定性を維持できる」と判断したならば押さえを削っていきます。

このようにして加工した押さえが何十個もあるわけです。

「どのようにすれば望んだ形状になる」という知識と技術、両方がなければ美しい漉きはできないわけです。

漉きが一番細かい業界は財布業界

革業界の中でもこの漉きが一番細かいのは財布業界です。
カバンなどは大きいので、1mmなり2mmなり寸法が狂っていても色々な箇所で微調整や修正ができます。靴はカバンほど大きくないのですが、吊り込み工程で木型に合わせる、という作業ができますので1mmなり2mm程度の誤差は微調整が可能です。

財布はカバンと違い小さいため、微妙な誤差が目立ちます。また、靴のように吊り込み工程で木型に沿わせることができないので微調整がしづらいわけです。

「そんな1mm程度のズレなんてたいしたことないだろ?」と思われがちですが、ぶっちゃけ、一般消費者でも財布の1mmのズレは気づきます。

例えば下記写真は財布を作っている最中のパーツです。カードを入れる部分を「見込み」、土台部分を「カード台」といいますが、この見込みとカード台が3枚重ねる際に1mmナナメにずれただけで消費者は気づきます。0.5mm狂うと作り手は気づきます。人間の目ってのは結構優秀です。

漉き工程はこのような0.5mmのズレを許さない財布業界ではとても重要な工程となります。

春財布ってなに?

3月なり4月の春のシーズンに財布を買うと「お財布がパンパンに張るほどお金がはいる」という縁起担ぎですね。メーカーさんにもよりますが、今の時期くらいから春に向けて財布メーカーさんは忙しくなりますね。

漉き屋さん、行ってみたい!どこにあるか教えて!

基本的に業者さん向けの専門職種となり、気軽に見学などができる場所でもありません。そのためどこにあるのか、取引できるのか、などのお問い合わせはご遠慮ください。

漉き屋さんも皮革業界を支える縁の下の力持ち的な商売です。

皮革業界はこのような加工職種が多数存在する業界です。
専門職種ですし、現存数も少ない職種のため目立たないといや目立たない仕事ですが、なくてはならない仕事となっています。


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。今回は、「姫路城皮革フェスティバル」と「ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつり」をレポート。超充実! 盛りだくさんの内容となっています。来週、12月6日からは「東京レザーフェア」(東京・浅草 都立産業貿易センター)、そして、
TATSUNO LEATHERのPRイベント「PENET」(東京・蔵前 CAMERA)も開催予定です。村木さんのレポートを予習復習としてお役立てください。

通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、この春から人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが加わりました。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。
なお、「本日は革日和♪」では、バスツアーなど、さまざまな予定が目白押し! 詳細につきましては、本エントリ文末の近況報告および、下記リンク先をチェックしてください


*  *  *

毎度です!
職人 兼 革材料店 兼 革ブロガー 兼 今月はツアーコンダクターのムラキです。

兵庫県の姫路市とたつの市と隣り合う2つの市にはタンナーさんが100以上存在します。
毎年11月頃には姫路市・たつの市両方で皮革のお祭りが開催されています。
今回両方を訪れましたのでそれぞれの見どころなどを解説してみましょう。

また、同時開催でタンナーバスツアーというものを個人的に開催しているのでその紹介もしてみましょう。

なぜ姫路市たつの市に革を作るタンナーさんが多いのか?

過去にblogで紹介していますのでご覧くださいな。

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」姫路&たつので皮革がつくられる理由 | 欧米ブランドに「負けていないぞ !」 | JLIA 日本皮革産業連合会

また、下記サイトでも解説されています。

背景と歴史 - 兵庫県皮革産業協同組合連合会

姫路城皮革フェスティバル2018

10月31日(水)~11月4日(日)には、「姫路城皮革フェスティバル2018」が姫路城の前の公園にて開催されます。

兵庫県皮革産業協同組合連合会による開催となっています。

姫路城皮革フェスティバル2018目玉は

皮革フェスティバルでは姫路市のタンナーさんによる皮革素材の直売が行われています。
販売されている方は実際のタンナーさん自身が行っていますので、それぞれの革の特徴などを聞くこともできます。

当日は革製品の販売もありますが、体験型ワークショップも例年数多く行われています。お子様連れにもぴったりです☆

また、姫路城前公園で行われますので姫路駅から徒歩10分ほど、という行きやすい場所にあります。晴れの日には姫路城がくっきりはっきりと見えます。

同時に姫路を中心に兵庫県下の菓子が集まる「第10回姫路菓子まつり」と、全国30以上の産地から集まった選りすぐりの陶器を販売する「第31回全国陶器市」も同時開催されていました。

 

ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつり

11月16日(金)・17日(土)には、「ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつり」がたつの市で開催されます。

こちらも大きなイベントとなっています。

ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつりの目玉は

屋台が出ており地場の食べ物や農作物なども購入可能です。

もちろんタンナーさんによる革素材の直売も行われています。

ニューレザーコンテンスト、と言われるタンナーさんそれぞれの技術が惜しみなく注ぎ込まれた革素材のコンテストが開催されています。

皮革試験所などによる展示や歴史的な展示も行われています。
下記は昔の革なめしの工程で使われていた工具などの資料展示です。

下記は昨年の様子ですが、リーガルコーポレーションさんによる靴のできるまでの資料展示です。

革製品の販売も行われています。

ニューレザーコンテストはここらが面白い!

たつの市皮革祭りを見に行き、タンナーさんを訪れる、というバスツアーを開催してもう5年ほどになります。

ニューレザーコンテストとは、「加工部門」「我が社の一押し部門」などの各部門にタンナーさんそれぞれが「これは!」と思う品を出展し、賞を与える、というコンテストです。

なぜそんなコンテストがあるのか?

革素材屋にも足を突っ込んでいる立場から言うならば、各タンナーさんが技術を注ぎ込んだ面白い革、というのは革素材屋としてはちょっと仕入れづらいわけです。

「一部の人にしか理解されないほど技術の粋を注ぎ込んだ素晴らしい革」、よりも「需要が高く、無難な革」のほうが販売しやすいからです。
もちろん各革屋さんは「いや、この革は素晴らしいからぜひ売りたい!」と仕入れることもありますが、それ以上に多いのは「今年の流行色やテクスチャーはこういうものだからそれに近い革を作ってもらって仕入れよう」と考えるわけです。

で、このコンテストでは、「革素材屋にアピールする意味合いもあるけど、それ以上にうちの技術をさぁ見てくれ!」というアピールをする場でもあります。

ですので、見ていると「えっ!こんなことできるの!?」というような革も多数展示されています。

展示方法はこのように行われています。

例えば各賞を受賞されるとこのようにズラリと展示されて、「この革は~~のタンナーさんが作りました」と紹介されます。

受賞されなかった革はこのように2Fのテラスにぶら下げて展示されます。

記載されている情報は

・どの部門か
・展示番号
・色落ち検査の結果
・用途

などが書かれています。

「どのタンナーさんが作ったのか」などは書かれていません。
タンナーさんが書かれていないのは審査する時に公平性を保つためです。
審査員が「あ、この革は~~のタンナーさんが作ったのか。それじゃ、ここは昨年受賞したから今年は遠慮してもらおう」などという不公平さをなくすためですね。

また革によっては「販売可能」なども書かれています。
これは「1枚からでも売るよ!」という意味合いではなく、「当社はこういう革が作れますが、ミニマム20枚なり50枚は覚悟してね」という意味です。
入り口で展示番号と出展タンナーさんの住所なども書かれたリストが渡されます。
ですので、革素材屋なり鞄メーカーなり靴メーカーなりは見に行くとすごく面白いかと思います。

ニューレザーコンテストは前知識がないと面白さが半減されてしまう

このたつの皮革祭りを見てタンナーさんを2社巡る、というバスツアーを開催してもう5年ほどとなります。

「タンナーさんを実際に見てみたい!」という人に応えるため、というのもありますが、「ニューレザーコンテストはこういう点が見どころがある」という解説をし、知ってもらいたい、という意味合いもあります。それくらい革製品が好きな方や革製品販売、製作されている方が見ると面白いコンテストとなっています。

その一方で、このコンテストは見方がわからないと面白さが伝わりません。

例えば、、、

下記は「成牛革で我が社の一押し革」部門の徳永剛三製革所さんが作られた革です。
黒の革ですが、手袋用で防水加工を施し、導電性能も与えられています。スマホなどをいじれる手袋を作るには革素材の段階から考えなきゃいけないし、そういう工夫をしているタンナーさんもいる、ということがわかります。

例えば、、、
こちらは「高度加工成牛革」部門で受賞されたアルファレザーさんの革です。
革を作る段階で「表面に傷がある!でも何かしら加工しないと元の牛にも申し訳ないし、これでもお金稼がなきゃいけないし」というB反というものは必ず出ます。生じます。
高度加工成牛革部門とは、それらB反を手間暇かけてどのようにお金に変えるかという技術を見せる、すごく面白い部門です。

その中でもアルファレザーさんは「革の表面=吟面に汚れなり傷があるのはしょうがない。よし、それなら裏表逆に使おう!裏面を2色に染めて金箔をランダムに貼ろう!」というとても手間暇かかっている革です。

革素材屋の立場的に言うならば、「すごく手間暇かかっているし、個人的に好きだけど、素材店で売るには勇気がいるなぁ、これ。。でもすごい!」と思った革です。

例えば、、、

こちらは「高度加工・中小牛・馬・床革・その他革」部門のV.Lナカシマさんが作った革です。
ヌメ革に型押ししてアンチック、メタリックアンチックなど鮮やかに染め、型押しをしています。型押しをした後に凸凹の凸部分のみに金箔を貼っています。そのため写真で伝わらない立体感とキラキラとした鮮やかさと艶やかさが存在します。

と、このような革が50枚以上出展されています。
すべての革はどこで作られたかがわかるようになっています。

これらを見ると、「あぁ、日本のタンナーさんっていろいろな技術もっているんだな!」と感服します。写真ではだめなんです。実際に手に取らないと質感や鮮やかさはわかりません。

これらの革で受賞されたものだけは東京で12月6日(木)・7日(金)に開催される東京レザーフェアでも展示されますので興味ある方はご覧ください。

TLF 東京レザーフェア - 革の展示

受賞された革だけ、ですので、下記のような革が展示されている、はずです。

タンナーバスツアーってどんなもの?

ムラキ個人が開催しているものですが、今回は姫路市花田の新喜皮革さんと高木のオールマイティーさんの2社を訪問しました。

姫路駅集合、姫路駅解散ですので東京や山口の方も参加されていました。

「バスツアーとかあるなら情報ほしい」と思われましたら革日和メールマガジンに登録していただくか、facebookを見ておいてくださいな。

新喜皮革さん

馬革やコードバンで有名な会社さんです。当日は専務自らが解説してくださり、コードバンのグレージング加工(艶出し)も見学させていただきました。

新喜皮革さんは春には工場見学や自社製品展示販売などを行っていられます。

新喜皮革 :

オールマイティーさん

オールマイティーさんは、「1枚からオリジナル革を作ります」というとんでもないタンナーさんです。

レザー素材オリジナル受注生産|姫路の皮革・革素材/タンナー オールマイティ

当日は社長自らがどのように行っているのかを解説していただきました。
イノシシや鹿などの昨今日本列島で問題になっている鳥獣被害からの革の有効活用や、ダチョウなどの革を実際に見ながら解説していただきました。

バスツアーでは「1枚から受注というのはどういう意味か」「こういう点を気をつけて取引しましょう」などの解説も行いました。

日本のタンナーって結構すごい

日本の革の鞣し技術は結構、すごい!、です。
ただ、前述していますように、革素材屋としてはどうしても需要が高い革を優先的に仕入れて販売せざるを得ません。

ニューレザーコンテストにしても各タンナーのリストが手渡され、展示されている革には「販売可能」かどうかも書かれています。
役員の方に「販売可能、って書かれていると革屋さんは嫌な顔しないんですか?」と遠慮なく聞いたところ、「革屋さんが昔ほど買ってくれないからだよ(;´д`)」と言われました。(´・ω・`)

各タンナーさんと直接話しができたり、見聞きできる姫路城皮革フェスティバルやひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつりは、なかなか貴重な機会ですので興味ある方はぜひ行ってみてくださいな。


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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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