2009年 大人の足サイズ計測から
足にまつわる“靴売り場のうわさ”
実は、靴売場や靴製造現場では、「最近の日本人の足は、形が変わってきている」と囁かれるようになって久しいのです。具体的には、長さの割に幅が狭い、厚みのない細長い足になってきた、かかとが細い、扁平化している・・・などですが、誰もそれを証明する大規模な数値データを持っていませんでした。そこで、我々皮革産業連合会が実に20年ぶりに「日本人の足サイズ大規模調査」に着手することとなりました。その結果、ここ20年間で日本人の足に驚くべきサイズやプロポーションの変化が起こっていることがわかりました。
変化
- 殆どの長径項目(図1)は30年前(1977年)データとの比較では勿論のこと、20年前(1987年)から今回(2008年)にかけても、男女とも有意に長くなっています。
- 幅径項目(図2)について。足幅は20年前と比べて男性はやや広くなった程度ですが、女性は明らかに広くなっています。一方、踵幅は20年前と比べて、男女とも殆ど変わっていません。
- 周径項目(図3)について。足囲は男女とも30年前から殆ど変化しておらず、インステップ囲は20年前から現在にかけて、逆に有意に細くなっています。
- 高径項目(図4)について。インステップ高、第一趾高ともに20年前から現在にかけて有意に低くなっています。
- 角度項目について。30年前と20年前の比較、20年前と現在の比較において、男性では0.1%有意という結果で、顕著な変化はみられません。
一方、女性は30年前と20年前の比較では、全く変化がみられないのに対し、20年前と現在とを比較すると有意な差が多く出現するので、女性の足にはサイズの変化だけではなく明らかに形状の変化も生じていることがわかりました。
足長は長くなっているのに、足囲には全く変化が見られない。踵幅も殆ど変化していない反面、インステップ囲やインステップ高は逆に小さくなっています。したがって、日本人の足のプロポーションは昔と比べると、長さの割りに太さが細くなり、相対的に幅が狭く甲の厚みも薄い足へと変化していることがわかります。
特に女性については、踵幅が変わらないまま足幅が広くなっているにも関わらず、足囲は太くなっていないので、甲が薄くなり、インステップ高の低下に伴い内側角度、第一趾側角度がともに大きくなっていることから、ローアーチで開張足の傾向が強まっている可能性が示唆されます。