アリス・ゴーデンカー

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最近、ロサンゼルスの友人が私を訪ねて来日しました。彼女の東京探訪の手助けをした後に、私たちはちょうど紅葉がピークになる時期に京都に一泊旅行をしました。彼女が米国に戻る前の日に、そのお礼として贈り物をいただきました。
贈り物は黒い革で作られた小さな小銭入れでした。私はそれを手でつかみました。革はとても滑らかで手触りが柔らかだったので、品質の良いものであることが分かりました。でも、何か特別なものという訳ではありません。模様とか特徴はありませんでした。デザインはとても地味なものでした。正直に言うと、つまらないものに思えて、少しがっかりしました。

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それから小銭入れを開けて、びっくりしました。全体の外見とは対照的に、小銭入れの内側は明るく色鮮やかなのでした。内側の布には、マゼンタに黄色に青のような鮮やかな色を使って明るく複雑な模様がほどこされていたました。

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友人は笑いながらこう言いました。 「あなたにぴったりだと思ってこの小銭入れを選びました。つまり外見はおとなしそうだけど内面はワイルドだということです!」彼女の言ったことがあまりに気が利いていたので、私は思わず笑ってしまいました。まったくその通りです!その小銭入れは、「SOU・SOU」という流行の京都のファッション会社が作ったものでした。「SOU・SOU」は変わった布地で派手な地下足袋を作っていることで国際的に知られています。

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最終的には、思いを込めて選んでくれた贈り物にとても満足しました。やはり、そういうプレゼントは一番の思い出になるでしょう。
友人が荷造りしているときに、今回の日本訪問と日本の印象について話をしました。「日本の一番好きなところは、いろいろとびっくりさせられることです。どこへ行っても何か新しく面白いことに出会います。私にとって、日本は刺激的で、新しい発見があふれているところです。」と彼女は言いました。

このエッセイを書き始めたとき、私はその言葉を思い出しました。初めて来日する大半の人は、魅力的な革製品を見つけることなど期待していません。イタリアやブラジルを訪れているならともかく、革製品を求めて日本にやって来る人は絶対にいません。日本には、美しさや機能性および品質を含めて多くの定評のある物がありますが、革製品の評判は高くありません。
それでも、外国人観光客が日本で満足のいく革製品にたまたま出会うことがあれば、その魅力に惹きつけられてしまうでしょう。人は、「日本製」というだけで美しく機能的で高品質な物であることを期待してしまいます。しかし、外国人観光客を感嘆させるだけでなく、日本の革製品を買わせるためには、もう一つ必要なことがあると思います。それは意外性です。

「意外性 」とは、正確にはどういうことを言っているのでしょうか。実は、私がもらった小さな小銭入れが申し分のない見本です。その内側に予想もしない鮮やかな柄がほどこされていた意外性です。製品にユニークさや遊び心や楽しさがあると人をあっと言わすことができます。
ここで私が驚いた日本の革製品の見本をいくつかご紹介します。

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これらの美しいペンケースは、徳島県で作られたもので、通常は布だけに使用される伝統的技術の「藍染」により染められた革からできています。おそらく、この種の色は世界中どこにも見つけることができません。会社が当然にこの製品群(財布とキーホルダーも含みます)を「日本ブルーレザー」シリーズと名付けている理由がそこにあるのです(「絹や」製品)。

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このエレガントなパーティーバッグは、宝石で覆われていて非常に重そうに見えます。しかし、実際には驚くほど軽いのです。外観は頑丈そうで高級に見えても、豚革に特殊フィルムを貼ることによって作られた革だからです。金属加工は熟練した日本の職人によって行われ、ハンドバッグからクラッチバッグに変えるためにチェーンを内部に隠すことができます。伝統的な職人技、新技術、機能と美しさの完璧な組み合わせです(「平田袋物工芸」製品)。

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「銀座タニザワ」本店ショールームを訪問した際、すぐに印象的な赤い縁取りのある黒い財布に目がくぎづけになりました。思わず触れたくなるほどものすごく柔らかいラムスキンで作られていて、色のコントラストだけでなく、豊かな色使いがとてもいい感じを出しています。 ( 「銀座タニザワ」製品 )

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「銀座タニザワ」で見つけたもう一つのユニークな製品は、伝統的な漆革の技術を使用して作られたこの財布でした。京都の職人が革に漆を塗り、漆がまだ湿っている間に、上に銀の薄い切れ端を貼り付けます。その効果は大変に上品で、とても日本的なものになります。このシリーズには様々な製品や色使いがあり、「源氏香 」と呼ばれています。(「銀座タニザワ」製品)。

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最後になりますが、私は、手染めの革から作られたこの 「サビ」ハンドバッグが大好きです。 「サビ」とは「錆」を指しますが、審美的な言葉で、望ましい不完全(しばしば「わび・さび」という言葉でも表現されます)も意味します。染色工程の一部として、職人が処理された革に金属を固定し、化学反応を発生させて、色と陰影のユニークな模様を創り出します。 (「プリンセスバッグ」製品)

日本の革製品は、ちょっと違うことを提供することで、世界市場で競争できます。美しさ、機能および品質は欠かすことができません。しかし、楽しませ、驚きを与える何かを提供するときに企業が最善を尽くしたことになるのです。

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※アリス・ゴーデンカーは、15年以上日本に住んでいるアメリカ人です。ジャパンタイムズの長年にわたるコラムニストで、英語で日本についての記事を定期掲載しています。外見はおとなしそうですが、内面はワイルドな女性です。

アリダ・コッツェ

こんにちは!私は南アフリカ、ケープタウンの出身のアリダ・コッツェと申します。
私は、英語の教師として、英会話教室や大学で働いています。
私が何故日本に来たかというと、何年も前に私は南アフリカで日本の男性に会って、恋に落ちました ... そして、私はここにいます。

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南アフリカ人たちはアウトドアのライフスタイルを営み、化繊よりも天然素材の生地を好みます。私たちは、木綿の服を着てフラットなサンダルを履き、エアコンを使用せず、樹木を愛し、室内では石や自然光を利用します。

皮革製品は私たちの生活の一部であり、服だけではなく、家具にも用います。私の祖母が使っていた、革ひもを編んで作ったシートがついた木製の椅子「リンピスバンク」を思い出します。座る部分は、まるでテニスラケットのように見えますが、驚くほど快適です。

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最近では、細い革ひも「リンピ」で作られるベンチまたは椅子は骨董品と考えられています。特にイエローウッドのような南アフリカ原産の木から作られたものは、非常に高価になることもあります。

現代的な革のカウチ(長椅子)もとても人気がありますが、本当の南アフリカ人でありたいならば、本物のリンピスバンクを持たなければなりません。

典型的な南アフリカ人であると言える他のアイテムは「ヴェルスクヌ」または「ヴェリス」、つまり革から作られたブッシュシューズです。この靴は、革製の中底とゴム製の靴底にソフトなローハイド(生皮)製のアッパーが付いています。釘や鋲は使わず、接着剤と丈夫な糸だけで作られています。非常に軽くて丈夫で、南アフリカの過酷な地形を歩くのに理想的です。

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日本へ引っ越したとき、私はお気に入りのヴェリスを一足持ってきました。東京を歩いたとき、山梨でハイキングをしたとき、群馬で釣りをしたとき、そして新潟で豪雪の中を苦労して進んだときにも、私はこれを履いていました。

ここまで牛革から作られる製品についてお話ししましたが、南アフリカは突起模様が特徴的なダチョウ革でも有名です。
ダチョウ革は、専門家による複雑な製造工程を必要とするためとても高価です。私は長年使っているダチョウ革の財布を持っていますが、今でも新品のように見えます。

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さて、日本では、革は主にファッション・アイテムとして用いられているようで、より上質な柔らかい革で製品が作られています。優秀な皮革アーティストが非常にたくさんいるのですが、以下の3点をハイライトしたいと思います。

1)私は、土屋鞄という会社の製品が好きです。
土屋鞄は、シンプルでしかも美しく、さらに繊細でエレガントといった魅力があります。余計な飾りやごてごてとした要素を取り除いて革本来の良さをアピールしようとする職人魂や、それが表れた質の良い皮革製品は、本当に素敵です。
(http://www.tsuchiya-kaban.jp/)

2)日本で馬革で作られた製品を見つけて驚きました。南アフリカでは見たことがありません。私個人のお気に入りは、FLYING HORSE(フライングホース)です。
(http://flyinghorse.jp/)

3)最後に、私の夢はPatrick Labo Ginza(パトリックラボ銀座)のウォーキングシューズを持つことです。これは丈夫でおしゃれで非常に快適な革靴です。
(http://www.patrick.jp/)

私が日本の皮革製品について本当に素晴らしいと思うのは、彼らの優れた職人技であり、南アフリカの皮革製品の荒っぽいやり方よりもずっと洗練されています。日本は、細部にいたる配慮で世界的に有名であり、これが皮革製品にも及んでいることは明らかです。

最高品質の革、最高品質の仕上げ、そして...何よりも一番は...どんな店に入るときでも最高品質のサービスを受けられることです。

セシリア・マックライ

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こんにちは。私はメルボルンに住んでいるセシルです。パーマカルチャーデザイナーをしていて、何度か日本にも講演をしに行っています。パーマカルチャーとは、パーマネント(永久な)とアグリ(農業)そしてカルチャー(文化)を重ねた言葉で、「永遠に持続(循環)可能な生活をデザインする」といった考え方です。

パーマカルチャーデザイナーといったら、HANAME MORIのバッグには似合わないイメージですよね?泥だらけの長靴を履いて植物を植え、畑を耕す。実際、私もそんなイメージ通りの生活をしていますが、日本でHANAME MORIのバッグを買ったことは、とても良い決断であったと日々感謝をしています。

表参道にあるHANAME MORIの店舗でバッグを買ったのは、4年ほど前だったでしょうか。行くたびに、その贅沢な空間を楽しんでいました。映画「ティファニーで朝食を」の主人公のオードリーヘップバーンが憧れのTiffaniyの前で朝食を食べていたような感じです。実は、15年ほどHANAME MORIの店舗やギャラリーに通っていたのですが、何一つ商品を買ったことはありませんでした。ただ、写真を撮ったり、パーマカルチャーのデザイン制作のための刺激を受けたりしました。HANAEMORIの空間にはまさに女性らしい時間が流れているのです。

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HANAE MORIのショーウィンドウで見たソファーにアイデアをもらい、黒い食べ物を集めた"ゴス・ガーデン"を制作。

ふとショーウィンドウの四角くて黒いバッグが目にとまりました。昔のお医者さんのバッグのようであり、同時に1960年台のスチュワーデスが持っていたような魅力的なバッグでした。

そのバッグは、頑丈で、独自の模様が入っていました。バッグの四つ角とジッパーは、なめらかでつやのある革で補強され、持ち手の部分は斜めに繋ぎ合わせてあるので、非常に握りやすくなっていました。革はやわらかく、高級感がありながら、温かく自然な革の匂いを放っていました。

その日は、翌日にオーストラリアに戻る日で、ワークショップで頂いたお金が少しあったこともあり「自分自身へのご褒美に」と考えました。

無意味なバッグルや輝くデコレーションもないため、このバッグの全ての特色が目的(サポートすること、強化すること)にかなっていました。まさに、私がなりたいと思う「役に立つ、美しい」女性のようです。だからこそ、「これを買おう」と思ったのかもしれません。

このバッグに合うピンクのお財布もあったので、一緒に買いました。

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10日間のパーマカルチャー講義用の荷物。岐阜のMori-no-ie、農家、浜松大学。

渋谷のAppleストアの外で、友達のりこと偶然再会。彼女は私のイラストを使って、パーマカルチャーカレンダーを制作しています。私たち二人とも独身なので、子ども代わりに彼女は犬を、私は素敵なバッグを!

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バッグは黒ですが、私の着る全ての服にも合うし、黒のパラソルにもマッチするので、夏も冬にも好んで使っています。

バッグが私を代弁してくれる

6ヶ月ほどホテル暮らしをしなければいけないときがあります。そんな状況でも、仕事を成功させるためには、出会う方たちに良い印象を与えないといけません。

高級感のある新品同様のバッグを持っていることは、相手に私のことを理解してもらう手がかりにもなります。「信頼ができ、仕事ができる女性である」と。(その方たちは、ペットボトルの蓋を閉め忘れてバッグに入れたりする私のことは知らないと思いますが・・・・)「信頼性」や「気配り」は仕事上で私が日々信念としていることであり、バッグがそれを体現しているといえます。

オーストラリア人の価値観:「大丈夫、気楽にいこうよ!」

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パーマカルチャーの講義を行った松原地区(福井県)の景観を楽しむ。カバンを地面に置いているのを撮られたのは少し恥ずかしいですが・・・

HANAE MORIのカバンの内部はとても広く、物をたくさん入れても型崩れしません。私がよくやるように、着替えやらランチやら、丸一日分の大荷物を安いカバンに詰め込めば、すぐに壊れてしまうと思います。

カバンの底には金属の足が着いているため、地面に置いても汚れたり、磨り減ったりすることがないのです。日本では、地面にカバンを置くことは、良くないとされているため、私もその習慣を取り入れるようにしています。

一度、バスで立っていたことがありました。とても疲れたので、床にカバンをおいて、目をつぶっていました。すると、年配の女性が私の肩を叩き「カバンを落としましたよ」と教えてくれて、拾ってくれました。

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シドニーのレストランでの驚くべき光景

日本人には、私たちオーストラリア人が持っていない「気づき」があるような気がします。ある日、シドニーにある素敵な屋外レストランで、女性が砂だらけの地面にバッグを置いたのを見て大変驚きました。追い討ちをかけるよう、その数分後に、7、8歳位の娘さんが来て、お母さんと話すための台としてそのカバンを踏みつけたり、とんだりはねたり、ダンスをしていました。

その光景を見て、この女の子もお母さんと同じように物を大切にしないだろうと思いました。

でも、この女の子もいつか大人になり、日本に行き、「物を大切にする文化」に惹かれ、変わっていくかもしれません。私がそうなったように。が日本から学んだことは、今の仕事をするきっかけになっています。「地球を本当に大切にするには、まず自分自身を大切にすることから始める」といった事を人々に教える、私にとって、まさに夢のような仕事です。

アラン・マーフィー

こんにちは、私は日本で英語の教師と作家をしている、バンクーバー(カナダ)出身のアランといいます。バンクーバーは非常に美しい街で、横浜の姉妹都市となっています。冬は東京に比べて厳しい寒さですが、夏は25度くらいで湿気もなく過ごしやすい街です。

私が、初めて日本に来たのは、約30年前。香港、タイ、マレーシア、インドネシア、ネパールをめぐる、アジア旅行のついででした。ごちゃごちゃしているし、ベジタリアンには好意的ではなかったので、日本に留まるつもりはありませんでした。ところがいつしか、日本の長い歴史と、奥深い文化に惹かれていきました。
友人の一人が言いました。「鋼のように頑なに見えても、一皮むけば、竹の子のようにやわらかい」と。これが、私を妻や、2人のかわいい娘と共に、日本にとどめた、"wabisabi"の精神を表しているのです。

130424_1.jpg私は16歳のときに、バンクーバーとビクトリアの間の島で、夏の間大工仕事をして過ごしました。その時に、叔父が古い革の手袋をくれました。丁寧に作られた手袋は、強く、そして柔らかい肌触りでした。革の何がすごいかといえば、強度と柔軟性だと思います。大工仕事は、釘を打ったり、木を鋸で切ったり、コンクリートを流し込むといった作業が多かったので、手袋のおかげで怪我もしませんでした。一度だけ、金槌で釘ではなく自分の親指を打ったことがありましたが、その時は、革の手袋でも防げないこともあるものだと思いました。

この大工の経験によって、私は革の特質を知りました。その後、大学の考古学の授業で、古代社会において服、靴、住まい、ベルト、更には、ボートにまで革が重宝されたことを学びました。シカ革をはじめ皮革の耐久性は、確実に人間社会の発展に貢献していることを知りました。

実は、英語にはたくさんの革に関する慣用句が存在します。
"as tough as leather(革のように丈夫)"、"as tough as old boots(古い革靴のように丈夫)"や" as tough as shoe leather(革靴のように丈夫)"といった表現です。物に対してこの表現が利用される場合は、大抵、前向きな意味です。例えば、"この車は革のように丈夫だ"と言う場合は、30年経っても車の状態がよいということを意味します。

ところが、人に対して使う場合は、前向きな意味と後ろ向きな意味があります。
働いている人やスポーツ選手が"as tough as old boots(古い革靴のように丈夫)"といわれた場合、勤勉で諦めないという前向きな意味で使われます。
一方、話し合いをするのが難しい人や頑固な人が"as tough as old boots(古い革靴のように丈夫)"と表現された場合は、対処するのがとても難しい人という後ろ向きな意味として使われます。

また、1830年代のイギリスでは、山羊革の手袋が大流行しました。柔らかく、品の良い手袋は紳士達に非常に人気がありました。
そのため、繊細さが要求される話題、例えば、離婚やお金の貸し借りの場面で、"must be treated with kid gloves(山羊革の手袋のように扱われるべきだ)"と表現されたりします。更に、政治的な話、例えば領土問題を話す際にも、同じ表現をします。

叔父からもらった大工用の革手袋は、もう私の手元にはありません。
20年前、クリスマスを祝うために妻とバンクーバーへ帰省をしたときのことです。雪が降り、とても寒い冬でした。手袋を持ち合わせていなかった私のために、父が羊毛の裏地のついた革手袋をくれました。父はもう何年か前に亡くなりましたが、今もその手袋だけは残っています。
温かく、柔らかく、そして強い、まるで私の父そのままの手袋です。

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ダニエル・アディダ

フランスから来たダニエルと申します。浜松町にあるフランス語 語学学校で校長をしております。2012年の3月に来日し、日々、東京を楽しんでおります。

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フランスといえば、ルイヴィトン、エルメスといった世界的に有名なブランドが数多くあります。でも、フランス人は、そうしたブランド品はあまり購入しません。日本に来て、フランスのブランド品を非常に多く目にするようになりました(笑)。
日本の女子高生がルイヴィトンやエルメスを持っているのは不思議ですね。

フランス人は「おしゃれだ」と良く言われます。私たち自身は、特別意識はしていないのですが、何気なしに靴と鞄と帽子の色やデザインは合わせています。女性などは、新しい靴を買ったら、「靴に合わせて、鞄を買わないと!」というのが自然な消費者行動になっています。たぶん、小さい頃からそうした生活の中にあって、身についているんでしょうね。

フランスの学校には日本で普通に見かける制服のようなものがありません。親が服を選び、こども自身でも選びます。洋服だけでなく、ランドセルもこどもが色やデザインで好きなものを選び、親が「丈夫」かどうか確かめて購入しますね。素材はやはり革です。最近は、教科書が重いので、ランドセルの代わりにコロコロ転がせるトランクを持つこどもが増えているようです。

フランス人は、ブランドよりも、自分のライフスタイルにあったモノを長く大切にします。このため、ブランドでモノを選ぶのではなく、それに使われている素材をよく吟味する傾向があるように思います。
例えば、ルイヴィトンの革は、丈夫で裂けないと言われています。だからスーツケースなんです。小振りなバッグでは、そこまでの丈夫さは求められませんよね。

靴に対する思いも日本人とは違います。家でも靴を脱がない私たちにとって、靴を脱ぐということは服を脱ぐのと同じなんです。ですから、自然と毎日コーディネイトをしています。私はコードバン(馬の尻部をタンニンでなめして光沢を持つように仕上げた革)の靴を愛用しています。耐久性が高く、10年・15年以上も長持ちします。そして、何よりも、手入れが楽です。
ベルト、時計のベルトやお財布は、触り心地の良い、カーフスキン(子牛の革)が好きですが、コードバンのベルト、またはクロコダイルの時計のベルトもいいと思います。

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皮革製品の日仏の違いといえば、「バッグ」です。ヨーロッパでは、男性が女性のように「ハンドバッグ=手鞄」を持つことが少ないため、来日の際、多くの日本人男性がバッグをもっているのに非常に驚きました。しかし、私たちから見て日本人の男性はヨーロッパの男性に比べてファッションへの感度が高いというイメージがあったので(笑)、バッグを持っていることに違和感はありませんでした。

日本のバッグは、デザインが多少シンプルという印象があります。ヨーロッパのバッグは、ジッパーがついていたり、ポケットがあったり、ストラップなどがあるからでしょうか。

モノを作るという視点では、日本のレベルは非常に高いと思います。また、日本の職人さんたちの勤勉さには驚きます。実際に、バッグの縫製、皮革製造そして、馬具製造を学ぶためにヨーロッパへ行った職人さんを知っています。
フランスのブランド品も良いですが、日本の皮革製品の価値をもう一度見直してみるのも良いと思います。

アリス・ゴーデンカー

革で作られたものに初めて惚れ込んでしまったのは、東京の大学で留学していた21歳の頃でした。1981年、1982年あたりだったと思います。新宿にあるデパートの文房具売り場を歩いていました。特別に買う目的があったわけでもなく、ただ通りがかっただけでしたが、あるものが私の目に留まりました。

それは、小さな革のケースでした。長さ15センチほど、横が5センチ程度だったでしょうか。黒地に綺麗なクリーム色のトンボ柄が施してありました。私は思わず立ち止まり、ついそのケースを手に取りました。非常に軽く、柔らかい手の感触に驚きました。ひっくり返してその滑らかな手触りを楽しみました。横にファスナーがついており、それがペンケースとわかりました。 そのペンケースは高いものでした。必要に迫られない限り何も買わないような貧乏学生だった私にとって、それは本当に高価なものだったのです。ましてや、ペンを入れるものなど必要ではなかったのですが、結局、そのペンケースを購入してしまいました。

私が育った国アメリカでは、ペンをケースに入れる習慣がありません。学校では、鉛筆はみんなと共有するものであり、一日の終わりになると先生の机の上にある空の瓶に鉛筆を戻します。そのため、鉛筆箱を持つ必要がなく、家へ学校へと持ち運びすることもありませんでした。

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革のペンケースを購入して以来、私は常にペンをケースにしまう習慣になりました。日本の留学生活では、常にそれを使い、毎日手にとってはその贅沢な手触りを楽しんでいました。日本人学生がみな、ペンケースを持っていることにも気づきました。

2年の留学生活が終わり、アメリカへ戻りました。当初、ニューヨークで仕事をしている時もペンケースを持ち歩いていましたが、同僚達はデスクに置かれた安いペンをお互いに使い回していました。
しばらくすると、ペンケースを家に置いてくるようになり、その後何度かの引越しのあと、なくなってしまいました。

2000年、私は子どもと一緒に日本へ戻ってきました。子どもたちを日本の小学校へ入学させました。学校では、全ての子どもがペンケースを持つように決まっていることに、びっくりしました。

我子も、夕方、帰宅したら鉛筆箱を整理すること、3本の鉛筆、1本の赤鉛筆を必ず確認すること、そして鉛筆は翌日のために全て削っておくようにと教えてられていました。

物を丁寧に扱うことを学ぶことが日本の教育の中でも?非常に重要なことだと理解し、それが大人になっても活かされていると気づきました。なぜなら、日本の会議では、名刺入れ、眼鏡ケース、そして、ペンケースが机の上にそろわないと会議が始まらない、そんな印象さえ受けるからです。

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ある日、ずっと昔に購入したあのペンケースと似たものを見かけました。しかも、同じトンボ柄でした。それは「印傳」と呼ばれる伝統的な工芸品で、鹿革の上に漆でデザインを施したものだと店員の方が説明してくれました。また、トンボは古くから「勝虫(かつむし)」と呼ばれ、戦に勝つという願いを込めて、武士達がトンボ柄の鎧を仕立てたと聞きました。

正直、コンピューターで仕事をして、必要に応じペンを1本だけ持ち歩く私にとってペンケースは必要なものではありません。でも、それをやはり買ってしまいました。そのスムーズで柔らかい感触を楽しみながら、日本が創り出す美しい工芸品への感謝と、ものを大切にするという日本独特の文化へのありがたみを、手にする度に感じています。

ロバート・ポット

私の名前はロバート・ポット、イギリス生まれの35歳です。父親が海軍勤めで外国を転々としていたため、私はイギリスの寄宿学校に入り、伝統的な英国風教育を受けました。おかげで、今では立派な英国紳士であり、立派な社会人になれたと自負しています。
よく遊んだクリケットのボール(コルクの芯を紐や革で巻きつけてできている)と、週2回の靴磨きの時間が、私の学生時代の革の記憶です。

「自分の持ち物は自分でしっかりケアする。」「高品質を重んじ、物作りに興味を持つ。」これらは、英国紳士の物に対する意識の特徴と言えるでしょう。子供に受け継ぐことのできる、高い技術によって丁寧に作られたユニークな製品。これこそが英国紳士の理想の製品です。この理想は、王室御用達と銘打つ製品によく現れています。英国の王室は、高品質の製品を作っている会社を、王室御用達と認証するのです。

例えば、王室の乗馬用のムチとグローブは「Swaine Adeney Brigg」社によって製造されています。革製品は、丈夫で、手入れをすれば長持ちするため、英国紳士にとても好まれています。
今回私は、英国紳士の代表として、日本の手作り革製品を評価させてもらいましょう。

私は家族と一緒に千葉県いすみ市の森の中のキャビンに住み、近くの高校で英語を教えています。プロフィール写真に写っている「Porter」のバッグを毎日仕事に持って出かけています。このバッグはかつて、私の妻の父親が使っていたものです。デザインも質も素晴らしく、自分の子供に譲る日を想像できるほどの丈夫さもあります。

物作りをする工芸家と会うのが好きな私は、毎年、代々木公園で開催される「Earth Day Tokyo」をいつも楽しみにしています。今年は、革製品を出しているブースを2つ発見しました。

chahat」の大竹さんは、ネパールでなめされた革を使い、頑丈かつナチュラルなデザインのバッグと財布を作っています。iPadを使って、その伝統的な革の生産工程を写真で見せてくれました。革は植物性タンニンでなめされ、柔らかくするためにマスタードシードオイルから作られたトリートメントで処理されています。
村民が天井に吊るしたロープにつかまってバランスを取りながら、足でオイルを革に揉みこむ様子は、興味深いものでした。

そして「kazoo」の桜井さん。彼が売っていたジャケットと財布には、「chahat」のものより色が濃くて柔らかい革が使われていました。彼が使っている革はニュージーランドの鹿革で、日本に輸入されてきてからクロームでなめされているそうです。

その2~3週間後、私の家の近くにあるハーブアイランドのイベントで、趣味でレザークラフトをしている立野さんの「ST!TCH」というブースを訪れました。そこでは、革のタグに好みのスタンプを押すことができます。私は15分をかけて、名字の周りに家族の干支をデザインし、キーホルダー作りを楽しみました。

「Porter」のデザインと質、「chahat」の伝統的なエコの革、「kazoo」の高品質の材料、そして「ST!TCH」のカスタマイズ性。この4つはそれぞれ、英国紳士の好きな物を特徴付けています。

その4つのうち、英国紳士として社会人となった私が最も惹きつけられたのが「chahat」の大竹さんの活動でした。継続が可能で、かつ健康的なコミュニティを育てる活動として革の製造を行なっているからです。さらに「kazoo」の桜井さんの話によれば、日本の革業界が最近エコレザーの生産に力を入れようとしているという。この嬉しい情報を簡単にオンラインで検索すると、エコレザーの規格が定められ、東京のある革工場では、その作業をツアーで見せてくれるとありました。

エコレザーを使い、技術の腕を磨き、カスタマイズに挑戦していくという日本の革工芸家。私をはじめ、日本在住英国紳士は皆、ワクワクしているだろう!

ニラモン・ペー

こんにちは。私はタイ人のニラモンと申します。昔から日本語や日本の文化に興味を持ち、大学では日本語を専攻しました。現在は、タイにある日系企業のタイ語・日本語の通訳をしています。

私は「皮革製品」というと、牛やワニの革で作られたエレガントなハンドバッグと靴を想像してしまいます。中高年の方が好んで持っていることから「皮革製品」=「中高年のファッション」という印象がありました。

私の国、タイには世界中の有名な皮革製品のブランドが購入できますが、輸入品はとても高価です。皮革製品を好む人は多いので、タイ製の安価な皮革製品はとても人気があります。

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私の母もその一人です。母はどこに行っても皮革製品のお店をみると、すぐに入ります。店内には母と同じ年齢の方々がバッグを選ぶ姿が多く見られます。これが「皮革製品」=「中高年のファッション」の印象を強める一因かと思います。

ちなみに、タイの皮革製品は安い上に、品質もよく、いろんな国で人気があります。アメリカやデンマークなどに輸出しているタイのブランドはたくさんあります。値段は、ハンドバッグだと2,000~7,000バーツ程度です(100円=38バーツぐらいです)。比較的お手頃な値段なのですが、購入するのは中高年が多く、若者にあまり人気がないのが現実です。理由としては、中高年向けのデザインが多いため、洋服とコーディネートするのが難しいと考えられているからではないでしょうか。そのため、例え値段が同じでも、皮革製品よりも流行のファッションにあわせてビニールや布製のバッグのほうが若者には売れているようです。

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私が初めて日本に来たのは3年前。それ以後、何度か時間を見つけては日本に来ています。短い滞在の合間を縫って、買い物をするのが楽しみになっています。道をぶらぶら散歩して面白いお店をみつけては入ります。お気に入りアイテムと出会うことも多く、とても楽しいです。

ある日、横浜で散歩をしている時に、面白いお店を発見しました。環境に配慮し、エコを意識した“genten”というブランドのお店でした。最初は「きれいなお店だなぁ」と思って入っただけなのですが、店内にはいろいろなバッグが並んでいました。それぞれシンプルで、どんな服とでもコーディネートできるようなデザインだったので、とても気に入りました。

店員からすべて皮革でできたバッグだと聞き、驚いたのを覚えています。今までの私が思う「皮革のバッグのイメージ」とはまったく違うものだったのです。

迷った末、そのシンプルなデザインのハンドバッグを購入することにしました。値段は安くはなかったですが、奮発しました。

ホテルに帰ってから、改めて購入したハンドバッグを見て、やはりデザインも良く、手触りも違うと満足しました。タイに戻ってから、何人かの友達から「良いバッグだね!」と言われて、いまでは自慢の一品となっています。

そのバッグを愛用してから、もうすぐ2年が経ちます。時間が経つと古くなり、やがて捨ててしまうビニールや布製品とは違い、皮革製品は時間が経っていくと、柔らかくなり色も若干変わるなど、使う人と共に成長していくというのを、実感しています。

皮革製品を使っている人はなぜいつも皮革を求めるのか、その理由がようやく自分にもわかった気がします。「皮革」をずっと「中高年のファッション」と軽視していた私も、最近は良いバッグを見ると「それは本革ですか?」と自然に訊くようにまでなっています。

王 陽

私は、2005年に留学生として中国の大連から来日しました。今は東京で、コンピューター関連の会社に勤めています。

中国大連労働公園TV塔からの眺め

私はバッグが大好きです。ショッピングをするたびに、必ずバッグコーナーに行きます。中でも、日本製革バッグの愛用者です。最初に手に入れた日本の革製品もバッグでした。就職の内々定をもらった時、自分へのご褒美として購入したものです。

当時、軽量のナイロンバッグが流行っていましたが、革バッグを選んだ理由は、革の肌触りのよさとその高級感です。また、他の素材に比べ丈夫ですし、手入れをきちんとすれば、長く使うことができます。さらに、一番気に入っているのは、バッグを使い込むことで革の色に深みと艶が増し、使えば使うほどに味が出て、ゆっくりとバッグは表情を変えてゆき、その変化を楽しめることです。

中国にいた時には、中国製革バッグを何個も購入していました。中国製と日本製の革バッグには相違点があります。例えば、日本製のバッグの仕上げのよさや、繊細な色出しなどです。中でも、非常に感心したことが2点あります。

1点目は、革の天然性に対する追求です。日本製の革バッグは、革が持つキズ・シワ、そして、色の深さの変化は天然の証として、あえてそれを隠す表面加工はせず、素顔のままに仕上げることが多いのです。

それに対して、中国ではきれいに表面加工して、その天然の証を隠すのが普通です。天然皮革の特徴の一つであるキズ・シワ、そして色の深さの違いを持つことはありません。きれいに表面加工をした革バッグは、天然の証ががなくなり、その革の魅力も減ってしまいます。これはすごく残念なことだと思います。

2点目は、バッグとしての実用性とファッション性の両立です。日本製の革バッグは実用性を重視すると同時に、その革の柔らかさ、色などを通して、ファッション性も追求しています。

その一方、中国製の革バッグは実用性が高いけれど、ファッション性が足りません。革バッグというと、正式なスーツとしかコーディネートできないイメージが強く、熟女層に向けた商品が多いようです。

無論、革バッグの価格をくらべれば、日本製より中国製のほうが安いです。しかし近年、経済の発展とともに、中国の物価もどんどん高くなり、日本との差も少なくなっていますが。そんな状況を考慮しても、日本製のバッグは丈夫だし、デザインもおしゃれだと思います。

私のようなバッグのファンにとっては、今でも購入するバッグが日本製であることが、優先すべき選択肢であります。それくらい、日本のバッグはとても魅力的であるのです。

ジェフリー ジョーサン

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 こんにちは。私はジェフリーといいます。アメリカのニュージャージー州の出身で、日本へきて最初は外国語学校で働いておりましたが、今はITの会社を経営しながら茨城で音楽活動をしています。とても幸せな日々を送っています。

 今回、革のホームページに私の文章を載せていただくということで、革についていろいろ思いつくことをあげてみました。

「お気に入りのスエードのジャケット」、「ジェームスディーン」、「革ジャン」、「野球のグローブ」など。そして最後の「野球のグローブ」については、先日子どもといっしょにキャッチボールをやったときに、このグローブの革の匂いをかいで、自分が子どもだった頃のことをたくさん思い出しました。そしてとても懐かしい気持ちになりました。

 私が子どもの頃は、ほんとうにたくさんの革に囲まれていました。両親がテキサス出身だったので、祖父母の家に行くと、そこには馬に乗るときに使う鞍、くつわ、そしてカウボーイブーツに革の帽子。実家にも普通に革のジャケット、ワークブーツ、シガーケース、動物のはく製、そして何よりも革の手袋が大好きだったことも思い出しました。

子どもの頃の記憶は不思議なもので、いまでも革の柔らかい感触や、なんとも言えない革の匂いをかぐと、子どもの頃にみたカウボーイのカッコいい姿や、楽しかった乗馬の記憶がかさなり、革についてはいい思い出ばかりが浮かんできます。

日本に来て、私はもちろんカバンや靴など革製品が好きで愛用していますが、革が生活の身近なところにあまりないことに気付きました。アメリカ、とくに私の出身地であるニュージャージー州は、衣服も含めて革をよく使う文化が昔からある場所です。私が子どもの頃、近所のお店では革製品がたくさん売っていたし、普通の布やプラスチックと同じように、衣類・小物・文具などいろいろなものに利用されていました。大人はみんな自然に革製品を使い、家の中の手の届くところにそれらは常にありました。さわるとしっとりとしていて(固いものもありましたが)、革のにおいがしていました。

 いま茨城では、買い物といえばイトーヨーカドーに行きます。そこで革製品を気にして見てみましたが、ランドセル以外で子どもが使う革製品ってほとんど売ってないですね。それに、大人が使うものとしても、靴とカバン以外はほとんど革製品がない。財布やベルトは売っていたけど、匂いが違うし、合成の革は本物の革ではないですね。アメリカと日本では、革製品の値段が日本のほうがとても高いので、気軽に誰でも買えないのでしょう。とくに子どもにとっては、革と言えば、ランドセルとグローブしかない気がしました。あらためて調べてみたら、うちにあるランドセルは本物の革ではありませんでした。自分の子どもについて言えば、革の匂いはよくわからないのかもしれません。

 いまの子どもたちは、なんの匂いで昔を思い出すのでしょう。この文章を書かせていただいて、私は革の匂いをかぐことで子どもの頃のことを思い出すということにあらためて気付きました。今日はこれから革のグローブを横に置いて、あの素晴らしかった日々を思い出しながら曲を書こうと思います。読んでくださって、ありがとうございました。

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