ジェフリー ジョーサン

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 こんにちは。私はジェフリーといいます。アメリカのニュージャージー州の出身で、日本へきて最初は外国語学校で働いておりましたが、今はITの会社を経営しながら茨城で音楽活動をしています。とても幸せな日々を送っています。

 今回、革のホームページに私の文章を載せていただくということで、革についていろいろ思いつくことをあげてみました。

「お気に入りのスエードのジャケット」、「ジェームスディーン」、「革ジャン」、「野球のグローブ」など。そして最後の「野球のグローブ」については、先日子どもといっしょにキャッチボールをやったときに、このグローブの革の匂いをかいで、自分が子どもだった頃のことをたくさん思い出しました。そしてとても懐かしい気持ちになりました。

 私が子どもの頃は、ほんとうにたくさんの革に囲まれていました。両親がテキサス出身だったので、祖父母の家に行くと、そこには馬に乗るときに使う鞍、くつわ、そしてカウボーイブーツに革の帽子。実家にも普通に革のジャケット、ワークブーツ、シガーケース、動物のはく製、そして何よりも革の手袋が大好きだったことも思い出しました。

子どもの頃の記憶は不思議なもので、いまでも革の柔らかい感触や、なんとも言えない革の匂いをかぐと、子どもの頃にみたカウボーイのカッコいい姿や、楽しかった乗馬の記憶がかさなり、革についてはいい思い出ばかりが浮かんできます。

日本に来て、私はもちろんカバンや靴など革製品が好きで愛用していますが、革が生活の身近なところにあまりないことに気付きました。アメリカ、とくに私の出身地であるニュージャージー州は、衣服も含めて革をよく使う文化が昔からある場所です。私が子どもの頃、近所のお店では革製品がたくさん売っていたし、普通の布やプラスチックと同じように、衣類・小物・文具などいろいろなものに利用されていました。大人はみんな自然に革製品を使い、家の中の手の届くところにそれらは常にありました。さわるとしっとりとしていて(固いものもありましたが)、革のにおいがしていました。

 いま茨城では、買い物といえばイトーヨーカドーに行きます。そこで革製品を気にして見てみましたが、ランドセル以外で子どもが使う革製品ってほとんど売ってないですね。それに、大人が使うものとしても、靴とカバン以外はほとんど革製品がない。財布やベルトは売っていたけど、匂いが違うし、合成の革は本物の革ではないですね。アメリカと日本では、革製品の値段が日本のほうがとても高いので、気軽に誰でも買えないのでしょう。とくに子どもにとっては、革と言えば、ランドセルとグローブしかない気がしました。あらためて調べてみたら、うちにあるランドセルは本物の革ではありませんでした。自分の子どもについて言えば、革の匂いはよくわからないのかもしれません。

 いまの子どもたちは、なんの匂いで昔を思い出すのでしょう。この文章を書かせていただいて、私は革の匂いをかぐことで子どもの頃のことを思い出すということにあらためて気付きました。今日はこれから革のグローブを横に置いて、あの素晴らしかった日々を思い出しながら曲を書こうと思います。読んでくださって、ありがとうございました。

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マーガレット

私は香港生まれの中国人(=香港人)です。
大学で日本語&マネージメントを学び、卒業後は日本人に対するカスタマーサービス関連の仕事に携わっています。

まず、中国本土と日本、そして香港の間で大きな違いがあることを認識しなければなりません。
皮革製品の選び方として、香港人や日本人は個性やライフスタイルにあわせて自分に合った商品を選んでいきます。
それに対し、本土購買層の選び方は洗練されたものとはとても言えません。
彼らは自分自身のオリジナルスタイルを持つことに自信を持っていないため、流行やルイ・ビトンやプラダ、グッチといった世界的なブランドが発信する情報を鵜呑みにしています。
さらに、彼らは「一番高額な物=最高品質」という強い信念を持っています。

この信念を裏付けするような例を北京で皮革ハンドバッグやアクセサリー専門店を経営する友人から聞きました。彼女は以前、香港の有名デパートや高級ブランドで経験豊富なバイヤーとして働いていました。
ある日、こんな興味深いことが起こったのです。
一人のお客様がセールスの女性に近づき声をかけました。
「このお店で一番高価な商品が欲しいの。見せてくれない?」
もし、あなたがその場にいたらさぞかし驚いたことでしょう。
実際、尖沙咀のカントンロードにある有名ブランドのフラッグシップ店外には毎日、中国本土からの観光客による長蛇の列ができ、彼らの強力な購買力を反映していると言えます。

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現在、中国は富裕層クラスの人口がすさまじい勢いで増えています。
香港人がIFCやランドマーク、パシフィックプレイスで買い物を楽しむように、中国本土の人も巨大なショッピングモールでの買い物を楽しみます。
例えば、先程の友人のショップも「チャイナワールドモール」、「三里屯ビレッジ」といった朝陽区にある有名なショッピングモールに展開しています。
「チャイナワールドモール」はChina World Trade Centerの一部であり、北京で初めて「ショッピングモール」という概念を導入したモールです。
世界的によく知られているブランド、ルイ・ビトン、エルメス、ブルガリ、フェンディなどのフラッグシップ店もここにあります。
また、「三里屯ビレッジ」は昔、バーが建ち並ぶ小さな通りでしたが外国人駐在員、観光客、流行に敏感な中国本土富裕層に昔から人気のエリアで、現在はショッピング、レジャー、エンターテイメントを組み合わせることで斬新なアプローチを提供しています。
このように、北京には数多くの外資系ショッピングモールが建ち並び、そこには世界的に有名な企業や高級店が数多く進出しています。

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さて、このように店舗展開のために一等地を手に入れたとしても、まだ本土購買層の習慣、好みなどを理解する必要があります。
ちょっとした「ヒント」を教えましょう。

本土購買層は流行に盲目とは言え、一般的にはあまりに最先端のスタイルは受け入れられません。
彼らは茶色や黒の商品をより好み、冬は大きめのバッグを春・夏には小ぶりのバッグを持つ傾向があります。
そして、革タイプ別に商品を選ぶことも稀です。
自然なスクラッチやさまざまな色、風合いを持つ天然皮革を選択肢に入れるべきですが、彼らにはスクラッチの全くない重度の化学処理を施されたレザーがパーフェクトに映ります。
このことから、製品デザインなどの際に違った考え方が必要となってきます。

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そして、セキュリティの高さも考慮しなければなりません。
彼らはバッグの口が閉まるもの、ジッパーや長めのショルダーストラップがついたものを求めます。
なぜなら、彼らは身体の前もしくは斜め掛けしてバッグをもつのが好きだからです。
これは、中国では引ったくりやスリが多いことも関係しています。
また、多機能バッグも常にベストセラーアイテムです。
例えば、私の友人はバッグinバッグがついたハンドバッグを紹介してくれました。
このバッグがあれば、急にパーティーに参加しなくてはならなくなっても問題ありません。

男性向け市場においてはファッショナブルな男性客が増えており、女性向け市場より成長をみせています。
男性客はおしゃれで、より開放的です。
特に、若者の間では新しいものも受け入れられ始めています。
彼らはシンプルで高品質な商品を求めています。
本土の購買層にはさまざまな特性があるように見受けられますが、まだ一般的には彼らは世界の流行を追い続けています。
彼らの習慣や買い物習慣になれるにはちょっと時間がかかるかもしれません。
ですが、中国市場がアジア諸国間で一番可能性を秘めた市場であることは確かです。

マーガレット

朴 相俊

在日韓国人として、日本で生まれ育った私は、1998年から2000年まで、韓国のソウルに留学していた。
当時の韓国は、まだまだ物価が安く、特に革製品は、日本のそれに比べて、各段に安かった。

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ソウルに梨泰院(イテウォン)という街がある。
韓国でも有数のショッピング街なのだが、革を扱う店や問屋が特に多かった(少なくとも当時は..)。
アメリカ軍の基地がある街で、それに合わせたように仕立て屋が多く、必然的に革問屋も多かった。
今でも街を歩くと「オーダーメイドいかがですか?」と声をかけられるはずだ。

あるとき、私が友人と二人で梨泰院をブラブラと歩いていると、ある革問屋にぶつかった。
その店は、革製品も取り扱っているのだが、仕立て屋兼、革問屋だった。
さまざまな色の革が、カーペットのようにクルクルと丸められており、それがとても安い。

友人がなかでも、銀色に染められた革を非常に気に入った。
訊けば、その革をロールごと購入すれば、あとはちょっとした手数料だけで、いろいろと加工してくれるらしい。
いくら安いと言っても、当時のレートで1ロール4万円くらい。
一人で購入するには、学生の身分だとまだまだ高い。

友人はその後、革問屋に足繁く通うようになり、1ロールで、どれくらいの商品が取れるのかを店主と熱心に打ち合わせていた。
そのうち、共同購入者を集いはじめた。
私はその熱意に負け、その革でショートパンツをつくることにした。
ポケットの位置や、ファスナーも指定でき、何より自分のサイズに合わせた完全オーダーメイド。
加工費も含め、約1万円程度だった。
結局、その革からは、ショートパンツを2本、ロングパンツを1本つくった。
これがなかなか好評で、数人で革を購入することが、内輪でちょっとしたブームになった。

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ある日、そのショートパンツを履いて、例の革問屋を訪れると、店主がバツの悪そうな顔で、私たちのところに寄ってきた。
そして一言。「ちょっとの間だけ、日本語を使わないでくれよ」と。
見れば、革を購入しに来た日本からのバイヤーらしき3人組。
店主は値切られたフリをしながらも、私たちが購入した価格の3倍近くの値段で、バイヤーたちに革を売っていた。

そのバイヤーが「安い!日本で買ったら3倍はするぜ!」と興奮気味に言っていたのを、今でもハッキリ覚えている。
当時はまだ日本で革製品も購入したことがなかった私だが、漠然と「日本は革が高いんだな」と思ったものだ。
物価の違いはあれど、日本はやはり革製品が高いように思える。
少なくとも気軽に買えるものではない。

韓国に旅行へ出かけたことがある人ならわかるかもしれないが、日本の市場と、韓国のそれは、若干ニュアンスが違う。
日本では、問屋や専門店が仕入れのために利用するのが市場だが、韓国では一般人が、どの市場でも普通に買い物ができる。
韓国人の多くは市場を利用しているし、市場が生活に根付いている。
だから安い革製品と出会う確率が高い。
先述した梨泰院も、市場と名前はついていないが、市場のようなショッピング街なのだ。

私自身は、日本製の少々値が張る革のバッグを4年近く使っているが、品質はやはり良い。
衰えるどころか「味」が出てきて、気にいっている。
ただ、身近に韓国のように、安価で革のオーダーメイドができる店があったら、また何かつくってみたい気もする。

それぞれの国に、それぞれの文化があり、それは革にも及ぶ。
韓国は、手軽な金額で、惜しげもなく消費するものと考える。
日本では、それなりの金額を出して購入し、長く愛用するものと考える。
同じアジアの国なのに、その違いは大きい。

ちなみに、例のショートパンツは、すっかり太ってしまったため、押し入れ奥深くに眠っている。

ブレント・ガレス・ロビンソン

11月03日はあなたにとっては何の日ですか? 日本では国民の祝日で、学校や仕事が休みとなる「文化の日」です。そして、日本のクリエイティブな産業の一つである皮革産業にとっては、日本の素晴らしい才能を披露する日でもある。

11月03日は"いいレザーの日"。どうしてこの日が選ばれたかというと、独創的な言語の特徴の組み合わせで、日本語で「いい」は「11」を、「レザー」は、日本語で「03」と発音する音に似ているからである。「の日」の部分は、「日」を意味している。それ故11月03日は、この特別な産業を代表する日となった。

ジャパンレザーアワードは、社団法人 日本皮革産業連合会(JLIA)による年間イベントで、プロだけでなく、アマチュアのレザーニストにとっても彼らの作品を展示するチャンスである。コンテストの参加条件は、日本在住であること、作品は日本でなめしされた革を使っていること。このコンテストは、業界全体の才能を示すものなのである。

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今年の審査会は、10月7日(金)・8日(土)に六本木のアークヒルズカフェで行われ、総作品エントリー数191もの作品応募があり、熱い反応があった。この皮革産業に名前を残すことを切望している、142点はプロ、残り49点はアマチュアからのものだった。100人の様々な一般審査員の一人に選ばれて、審査会で8つの部門から、僕が考えるそれぞれのトップ3を選ぶ作業は楽しかった。プロフェッショナルには、紳士靴・婦人靴・メンズバッグ・レディースバッグ・雑貨・エコレザーの6部門があった。残り2部門は、アマチュアのメンズとレディ−スだ。すべての作品に込められたハイレベルな技と、真剣な表情をした他の審査員をみながらこれは簡単にはいかない作業だと感じた。アマチュアの作品の中には何点か印象的だったものもあり、将来百貨店に並ぶのも時間の問題だろうと感じた。審査員は、作品のコンセプト・機能(使いやすさ)・デザイン(美しさ)・適正価格(アマチュアはオリジナリティ)・技術を評価基準として審査した。また、作品はファイスブックやツイッターのようなソーシャルネットワークサイトでもお披露目され、一般の方々も気に入った作品に投票する機会があった。

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アワードの表彰式は、11月03日"いいレザーの日"に開催され、それぞれの部門賞とグランプリを受賞した作品は、11月30日(水)~12月13日(火)の2週間、兵庫県にある阪急阪神百貨店 西宮阪急で、展示されるチャンスが与えられる。これはコンテストの受賞者にとって、作品を披露するだけでなく、このような競争力を必要とする産業において批評を受けることのできる素晴らしい機会でもある。またアマチュアのアーティストにとっては世間に名前を売る、またとないチャンスとなるだろう。

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僕は10月8日(土)の審査会に出席して、このイベントの主旨や取り組みに感銘を受けた。作品はよく展示されていて、審査員がいろんな角度から作品を見て、触ったりできるようにされていた。照明もうまく使われていて、作品に使われた精巧な技や素材がよくわかるようになっていた。イベントの雰囲気は、真剣ながらも快適で、会場は審査員が歩き回っても、お互いぶつからないぐらい十分に広々としていた。

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僕が興味を持った作品は数多くあったが、その中の特に二つについて書いておこう。最初の一つは、「フラソリティ」(株式会社 猪瀬)のエコレザーを使ったメンズショルダーバッグ。何に惹きつけられたかというと、この作品の透きとおるような薄い質感だ。作り手が魂をこめて製作したのがわかる見事な出来栄えであった。スタイリッシュでありながらも実用的で、それ故、きちんとした男性なら持つことに誇りを感じるだろう。

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二つ目は、他ならぬかの「吉田カバン」(株式会社 吉田)の中サイズのリュックサックだ。デザイナーは、このバッグをデザインする時に洗練されたトラベラー心を持っていたのであろう。デザインがユニークでありながら実用的、地球のあらゆる場所にふさわしいだろう。

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審査会での改善点をあげるとするなら、各作品の横にデザインを通じてアーティストが伝えたいメッセージカードのようなものが恐らくあるべきだと思った。多くの作品には、伝えられるべきストーリーがあるのはわかったが、残念ながらそれらのストーリーは審査員の想像に任せられるしかなかった。それから音楽がかかっていてもよかったかもしれない。TVレポーターのハイテンションな声には少しうんざりしたからだ。それ以外は素晴らしい審査会で、僕は参加できて光栄に思った。僕が投票した作品は果たして、今年のアワードを受賞するのだろうか? 11月03日の発表が楽しみである。

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橋本 羅名

僕は23年前にバングラデシュから来日しました。現在は東京の下町、葛飾でバングラデシュ人ではめずらしい?和牛の焼肉店を経営しています。僕の故郷であるバングラデシュという国は最貧国のひとつです。そうなった原因はインドからの独立戦争や政権をめぐる内紛などによるもので、私が生まれた1964年頃が最も苦しかった時期でした。

「今日、何か食べることができたか」といった次元の生活だったので、鞄などは物を入れて持ち歩く袋であって(当然ですが)しっかりしていて丈夫であればよく、靴にしても今、履いているものがボロボロになって穴があくまで履きたおしていたので、そこに数ある有名ブランドの靴や鞄を持つことのステイタスなど入り込む余地などありませんでした。

そんな私が日本に来て、大変驚き、感動したのは日本人の高い技術に裏打ちされた「ものづくり」へのこだわりや、繊細かつ緻密な仕事をする匠の存在。100の受注を受けたらひとつたりとも不良品や欠陥品を出すまいとするその職人魂でした。

今から6年ほど前、当時、千住にあった「リーガル」の革靴工場で年に一度の革靴の直売があると友人に誘われ、私はその時4足ほど革靴を購入しました。その内の2足は今でも履いています。

「吉田カバン(ブランド名 ポーター)」もそうで、その高い品質や技術において日本が世界のマーケットで受け入れられるブランドであることはいうまでもなく、私のように貧しい国で育ち、ひとつの物を修理不可能な状態まで使うことが身にしみついている私が、「ポーター」のブリーフケースを手に入れた時は愛着を持って大切に使おうという思いがさらに強くなったのを記憶しています。

今は、消費者側もふたとおりの選択肢で物選びをしているように思います。価格は安いが靴などは1~2年履けたら良しとする。そこには「安いから」があるのだろうが、とても高い買物になってしまう場合もあります。
私も安価な靴や鞄を購入した時、大切に使用するつもりでも、すぐダメになってしまうのは否めません。革の話から少しそれてしまいますが、エコが叫ばれる今、こういった安い大量生産にすぐ飛びつき、壊れたらすぐ処分するのではなく、「良質な物」を大切にしていく精神も大事なのだと改めて痛感しています。

ブレント ガレス ロビンソン

僕は5年前、ニュージーランドから英語教師として来日した。いつもファッションには興味があり、街を歩く日本の人々の服装に関心を向けるようになった。ルイ・ヴィトンやグッチの一流ブランドに人気があることは気がついたけれど、僕が興味を魅かれたのは、シンプルでありながらスタイリッシュな、あるブランドだった。すぐにこのブランドの名前、「ポーター」に注目し、よく周りを観察してみるとほとんど全ての人がポーターの製品、ブリーフケースやキャリーバッグ、財布などを持っているようにみえた。最初は、東京でほとんどの人気の鞄ブランドがそうであるように、これはヨーロッパかアメリカの製品だと思った。いずれにしても、ポーターの商品を手に入れるのが、僕の優先事項になるのに長くはかからなかった。

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家に帰ってコンピューターをつけ、グーグルで検索し、発見したばかりのこのブランドについてできる限り調べた。すると驚いたことに、「吉田カバン」として知られる、日本の会社のブランドだった。それにすべての製品は日本で作られているという。日本製品の品質、巧みさを考えれば、自分が吉田カバンの製品を持つことに納得がいくのだった。

ウェブサイト、http://www.yoshidakaban.comから「KURACHIKA YOSHIDA」のお店が東京駅の近く、丸の内ビルあることがわかった。東京駅に向かい、お店に入ってみると、接客サービスの高さに圧倒され、並んでいる商品を買い占めたい気分になった。しかしながら、僕が呼び戻されたのは、革の2wayブリーフケースだった。ステッチのラインから革の品質にいたるまで、このスタイリッシュなレザーバッグを買わない理由を探すのは不可能だった。値段は5万円(USドル588、1ドル=85円)と僕には安いとは思えなかったが、店員さんからアフターサービスについての説明を聞き、すぐに、これから長く使うことを考えれば購入するべきだという確信を得た。その時に店員さんが教えてくれたのが、日本語の漢字で書いてある「一針入魂」という表現。英語に直訳するなら、「一針一針に魂をこめる」という意味になるだろう。これを聞いた瞬間、僕は吉田カバンの大ファンになった。

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表参道店
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言わせてもらうと、ここ日本と僕の母国ニュージーランドの接客サービスはかなり違う。ニュージーランドのショップスタッフはどちらかといえばフレンドリー、日本は一般的によく教育を受けていてそれ故知識があってプロフェッショナルだ。東京駅近くの丸の内ビルにある吉田カバンでは、店員さん達はお客さんが入出店する時には礼儀正しく挨拶をしてくれるが、商品のコレクションをみているときに話しかけることはないようだ。正直言って、商売熱心でしつこい店員に邪魔されずゆっくりみることができるのはよかった。でもスタッフが英語を話せないのか、話そうとしないようにみえ、吉田カバンは、日本に住んでいる外国人の間では成功するかもしれないが、もっと儲かるであろう外国人旅行者のマーケットで浸透するのは難しいだろうと感じた。従って、英語でポーターシリーズの説明ができるくらい、お店のスタッフは、基礎的な英会話ができるようにして欲しい。

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丸の内店
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その後2年以上このバッグを使っているが、状態は申し分ない。日本の職人魂がこもっているから、ときどき手入れをして毎日大切に使っている。現在は吉田の製品を何点か所有していることを誇らしく思っているけれど、僕のコレクションはまだ完成していない。吉田の製品は、日本の外国人コミュニティでも人気があって、友人や同僚が最新の吉田カバンの製品を持ち歩いている。僕のように世界中の人が吉田カバンの良さを発見して欲しいと思う。

ギエルモ・バスティアス

2年前、オーストラリアから英語教師として来日した。日本に来たのは日本の皮革製品目当てではなく、近代・古代日本に非常に興味があったからである。残念ながら、当初は日本に皮革産業が存在すること自体、知らなかったのである。

そんな私が日本の皮革のことを少し知るきっかけがあった。ある日本人の友達が海外のオンラインショップで革靴を購入したと聞いた。その靴は、革靴なのに非常に安く、日本で購入する金額の半額以下で販売されており、もちろん、彼女は即購入の運びとなった。待ちわびたその靴が届いた時に、非常に驚くことがあったそうだ。それは、30ドルで購入した靴に対し、45ドルもの税金がかかるという郵便局からのお知らせが届いたからだ。

この話を聞いて、日本にも皮革産業が存在し、それが非常に保護されている産業だと感じた。
私の国オーストラリアでは、自国の製品と競合する製品・産業の輸入に対しては政府が保護を行う。きっと日本も同じなんだろう。では、そのように保護されている日本の皮革産業はどの程度の規模なのか。

少し話はそれるが、南米にアルゼンチンという国がある。1800年代後半に、アルゼンチンは畜産業で巨大な経済基盤を築くこととなる。地図を見ればわかるが、国土的にも家畜が育つ広大な土地を有していることから畜産業が発展し、大量の牛肉と牛革皮を輸出することが可能となった。アルゼンチン航空のエコノミーの座席でもさえ全すべて皮革で作られていた時期があるほど、アルゼンチンという国にとって皮革製品・産業は身近であり、重要な産業である。
そういう視点で考えると、日本という国はアルゼンチン、アメリカ、そして私の国オーストラリアと比べても畜産業が盛んではないというのは明確である。元来、魚を好むという文化的背景により、畜産物への需要も、国土の広さからも、畜産業が発達するという要因は少ないと推測できる。生活に密着した視点で言えば、日本の食事を見れば一目瞭然でもある。牛丼を食べても、すきやきを食べても、肉じゃがを食べてもわかるとおり、日本の牛肉は非常に薄い。分厚いステーキを食べようものなら、オーストラリアの何倍もの値段を払わなくてはいけない。
そんな点も日本の畜産業の規模を示す一つの指標であり、畜産業に付随する皮革産業の規模も垣間みえる気がする。

日本は、世界的に「高い品質」「丁寧な作業」「高度な技術」で有名である。昨今は、それらの優位性が電化製品を中心に活かされ世界のパイオニアとしての役割を担っている。また、日本の絹や木綿の品質も有名であり、世界中からバイヤーが日本製の絹・木綿を求めていることも有名である。
では、その点、日本の皮革はどうなのだろうか。

残念ながら、日本の皮革産業は世界と競合する前に、自国の技術との競合なのではないかという気がしている。なぜなら、東レが開発しているスエード調人工皮革のエクセーヌがヨーロッパを中心とした自動車産業で利用されているのは世界的によく知られている。また、日本の伝統武道の一つである弓道の手袋として使われる‘ゆがけ’に、本来の鹿革ではなく、同じく東レのエクセーヌが使われているのに驚いたのを覚えている。

このような状況を含めて、個人的には日本の皮革産業の挑戦はまだまだ続くのではないかと思う。日本の畜産業の規模的な面からも、他国との皮革製品の価格競合という問題だけでなく、自国の技術で生み出される代替素材との競合もあるからだ。ただ、どんな状況でも市場は存在する。そのよい例が吉田カバンのPORTER(ポーター)だ。鞄に特化し、大量生産も行わないので価格も安くない。デザイン性と品質で「日本らしい」鞄を展開している。先に述べたように、日本は「高い品質」「丁寧な作業」「高度な技術」で有名である。それは日本がすでに世界で確立した日本ブランドであるゆえ、その高い評価を上手く利用して、日本の皮革製品を海外によりアピールしていくことが、日本に存在する皮革産業にとって非常に大切なのではないかと思う。世界が未だ知らない日本の優れた皮革産業を。

ところで、先に話をした海外から靴を購入した彼女。靴以上の税金を払ったわけだが、結局はサイズが合わなかったらしい。

そとからの目革思(めかくし)

日本に住む外国人や、海外に住む日本人から「日本の皮革製品」のよいところ・わるいところをご指摘いただきました。果たして「そとから」の評価 は、日本に住む日本人の方々にとって、どう映るのでしょう。「外からの目革思」は、見えないことを見せてくれるかもしれません。

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