欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2010年9月 の記事

カテゴリー: 国内革事情

       

 

 


9月も最終週を迎え、過ごしやすくなってきました。

秋といえば、芸術の秋、デザインの秋。

レザーも、ファッションやインテリアに用いられる
素材、というだけでない側面があるんですよ。

 

そんな文化としての「皮革」とは?

 


特定非営利活動法人 日本皮革技術協会(JALT)監事としてもご活躍、


竹内会長.JPG

独自の「皮革文化論」を提唱なさっていらっしゃる
吉比産業株式会社 会長 竹内 健さんに
お話を伺いました。
 

 

――――― なぜ、今“文化”なのですか?

 

竹内会長  「インターネットが発達して、
         シニア世代でも活用しているといわれてます。
         しかし、情報があふれ、
         誰でも手に入るにもかかわらず
         レザーについて知らない
         若い世代が多いように思います。

         義務教育や家庭では
         学べない、伝えられないこともあって
         日本では、皮革文化が育たなかったんです」

 

 

 


そんな現状を打破すべく、積極的な講演活動を
行っていらっしゃる竹内さん。
皮革産業関連団体が主催するイベントなどのほか、
国内のファッション系専門学校で
数多く講義を行っています。
提唱なさっている「皮革文化論」を書籍化し出版。
専門家のための専門書ではなく、
エンドユーザーのみなさんにもわかりやすい内容と
高く評価されています。

 

 

 


――――― 皮革文化の変化を教えてください。

 


竹内会長  「第2次大戦前、日本にも皮革文化がありました。
         靴1足は当時のサラリーマンが得ていた
         平均的な月給の1か月分くらい。
         すべてオーダーメードに近い状態でした。

                       戦後、高度経済成長とともに
                       大量生産時代になり、
                       皮革文化は崩壊してしまったんです。
                       しかし、ヨーロッパでは父から子そして孫へ・・・
                       皮革製品、特に革靴を中心とした文化が
                       継承され、ずっと続いています」

 

 

 

皮革文化の象徴とされるアイテムは、
やはり、靴なんですね。

海外と日本では、屋内で履いたまま過ごすか 
脱いでしまうかで
全く異なりますし、その歴史の違いは圧倒的ですが
このところ日本でも靴にこだわる
ユーザーも増えています。

今後は、さらに成熟し、文化として・・・
そんな兆しも感じられます。

 

 

 


――――― 革靴がよい理由はなんでしょうか?

 

竹内会長   「まず、足にあたる部分すべて
          リアルレザーを使用した靴を履いてみて
          心地よさを実感してほしい。
                          もしライニングが合皮であれば、
                          ヌルヌルしてしまい、不快なものです。
                          この違いがわかると
                          いい靴を買いたい、と思うようになる
                          きっかけになるでしょう。

                           吸湿性放湿性、足なじみ、
                           素材感とその佇まい・・・
                           これらを共感・共有することができれば、
                           文化として形成されていくのではないでしょうか」

 

 


革のよさは使ってみて、さらに実感できるものですが、
取材におじゃました
吉比産業株式会社にも、すばらしいジャパンレザーがいっぱい。
おすすめの革を撮影させていただきました。

タンニン.JPG

 

▲タンニンなめしによる1枚。厚みがあり自然な味わい。


 

フイルム.JPG


▲フイルム加工と均一に施されたムラ感が絶妙。

 

 

シュリンク.JPG

 

▲ナチュラルなシボ感が生かされた1枚。

 

 

 

 

「皮革文化論」につきましては
次回に続きます。
 

 

 

 

カテゴリー: 国内革事情

          

 

 

前回に続きまして 合同展示会「rooms 21」の
レポートをお届けします。


グランプリ受賞 有限会社 ドゥブルビエ 佐藤 直人さんと併せ
「JAPAN LEATHER AWARD 2010」エコレザー賞受賞
株式会社 猪瀬 真船 尚さんによるコレクションもお披露目となりました。

 

3-1.JPG

3-2.JPG

 

 

50年以上の歴史をもつ老舗メーカーから、2002年よりオリジナルブランドがスタート。

継承された技術、こだわりを守りつつ、
デザインにも注力。
特にトータルコーディネートを重要視しています。


「エコレザーは スタートしたばかり。
他のブランドでもラインナップが増えてきてはいますが
まだまだこれから。
ユーザーに興味をもっていただき、
この賞をきっかけに発展と普及につながれば」と真船さん。


「立体裁断」によるパターンメイキングにもこだわりが。
バッグづくりにあまり使われていませんでしたが、人間工学に基づきデザインされています。
身体にライフスタイルに よりフィットしますね。

 

3-3.JPG

3-4.JPG

3-5.JPG

 

リュックサックやゴルフ用のトートバッグ
(底部にシューズを収納)など、新しいものづくりを提案。

 

3-6.JPG

 

ほかにもハイクオリティレザーを用いたシリーズを発表。
ロシアでの販売も内定したそうです。

スモールアイテムも好評。こちらのデジカメケースは
サイズの微調整、革の微妙な色調、ファスナーの種類、内装保護材の種類・・・
使用感やディテールにとことんこだわってつくられました。
しかも、1万円アンダー。
クオリティとプライスのバランスも 高く評価されたそう。

 


日本国内はもちろん、海外でも
ジャパンレザーがさらに支持されるべく、
今後も次世代クリエーターたちの活躍が期待されます。


このブログをごらんくださっているみなさん、
次回の「JAPAN LEATHER AWARD 2011」も どうぞお楽しみに!
 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー: 国内革事情

 

 

 

続きまして先日行われた
国内最大級の合同展示会「rooms 21」にてお披露目となった
「JAPAN LEATHER AWARD 2010」グランプリ
有限会社 ドゥブルビエ 佐藤 直人さんの最新コレクションをご紹介します。

 sn1.JPG     

2.JPG 

s n 3.JPG     

プリーツ加工にこだわり、連続性が生み出す美しさをさり気なく表現。

 

 

 

「前衛的過ぎないようデザインし、
できるだけ多くのエンドユーザーに受け入れられやすい
ものづくりを心掛けました」と佐藤さん。

sn4.JPG 

 

こちらのシリーズは、フリルのパーツにピッグスキンを使用し、

フォルムと軽さが実現。

 

 

コシノジュンコやファイナルステージを経て独立後、
伊勢丹新宿本店 解放区でブレーク。
長年ファッション業界で活躍するなかで培われた
バランス感覚も高く評価されました。

 

7.JPG

 

バッグがバッグとしてだけ機能する・・・コンテスト受賞作品にありがちな

マンネリズムに陥らず、スタイリングを構成する
さまざまなパーツのなかの1アイテムとして、ほどよく主張。

 


“雑誌&ムックの付録”ブームにより、価値観が大きく変わりつつある今、
ほんとうにほしい、買いたい、使いたい、
と思えるバッグとは何か?
プライスも含め、ユーザーのリアリティに迫るクリエーションは、
ブースにご来場してくださった
多くのバイヤー、プレス関係者からも好評でした。

 

 

 

次回に続きます。

 

 

カテゴリー: 国内革事情

 

             

 

 

 

 


東京・渋谷 国立代々木競技場第一体育館にて
8月31日・火曜から3日間、
国内最大級の合同展示会「rooms 21」が開催。

過去最高となる参加ブランドから2011年春夏の新作が発表。
「JAPAN LEATHER AWARD 2010」受賞作品もお披露目されました。

 

ロゴ.JPG

ポスター.JPG

 

グランプリ  佐藤 直人(有限会社 ドゥブルビエ)さん、

シルバー賞  土橋 勇(株式会社 ノーノーイエス)さん、

ブロンズ賞  立石 木綿子(株式会社 ラ・マーレ)さん、

エコレザー賞 真船 尚(株式会社 猪 瀬)さん、

審査員特別賞 村瀬 靖人(株式会社 村瀬鞄行)さん、

学生部門賞  大川 雅博(大阪ファッションデザイン専門学校)さん。

 

ブース ヨリ.JPG

ブース ヒキ.JPGのサムネール画像
 

それぞれの受賞作品が展示。

プレス関係者をはじめ、来場者の注目を集めていましたよ。

 

 

 

また、日本のファッション事情を紹介するフリーガイドブック
「roomservice」が会場内で配布。
日本繊維新聞さんの編集局 ファッション部 編集長
市川重人さんがテキストを手がけた
「FEATURE LEATHER」企画が10ページにわたって掲載。

 

ブース.JPG
ブック.JPG


写真は「rooms 21」会場内で撮影させていただきました。

 

 


「JAPAN LEATHER AWARD 2010」審査委員長
ビームス 南馬越一義さん インタビュー“広域で俯瞰する必要性”では
「レザー以外のことももっと見てほしい」と、
ト―タルコーディネートの重要性を問う 熱いメッセージが掲載されていました。
今後エントリーをご希望のかたには とても参考になりますよ。

 


他のコンテストと異なり、
第一線で活躍するバイヤーがリアル感ある作品を選定し、
高く評価される同アワードは

ジャパンレザーが
世界につながる・ひろがるためのファーストステージ。


クリエーターのみなさん、
チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1

プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

最近のブログ記事

カテゴリー

月間アーカイブ

rss
facebook witter

このページの一番上へ