欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2012年5月 の記事

カテゴリー: 国内革事情

 

 


小田急百貨店 新宿店 本館11階催事場
「夏の紳士服大市」内 特設ブースで
展示販売イベント
「男の雑貨  Made in Tokyoスタイル」が開催されました。
会期は5月23日(水)~28日(月)の6日間。
父の日のギフトニーズをとらえた時期ということもあり
幅広い世代のユーザーが来店しました。

 

 

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小田急百貨店が台東区役所 
産業振興課に協力を仰ぎ、プロジェクトが始動。
数々の工房へ足を運び、直接交渉。
担当バイヤーが惚れ込んだ 
つくり手たちと皮革製品がそろいました。

 


創業以来60年間自社一貫生産を貫く  革製品メーカー
猪瀬を中心に
東京下町エリアから発信される
老舗工房5社の革小物・カバン・靴を中心に販売。
 

 

 

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週末には、革小物に名入れなどの実演を行い、
つくり手と使い手のコミュニケーションの場を提供。

 


薄型PCやタブレットケースとして

開発されたアイテム(典型プロジェクト / 墨田革漉)や
人気が高まるステーショナリー関連、
オフタイム用カジュアルバッグ(ウルフ & ドッグ)など、

 

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多様化するニーズにクイックな対応ができるのも、

地場産業ならでは。
大消費地・東京のもうひとつの顔として浸透しつつあります。

 


「知られざるジャパンレザーの魅力を集積することで
 日本が誇る技術に触れてほしい」という
百貨店バイヤーの熱意が届き、
日本経済新聞をはじめ、多数のメディアに取り上げられ、
さらにソーシャルメディアから
発信・拡散したクチコミによって、大盛況。

 

昨年の大震災後、日本の文化・伝統・技術が見直され、
「日本の革、上質な日本の皮革製品を買いたい、
 よいものを長く使いたい」という
顧客の志向と、百貨店からの新たな提案がマッチ。
共感の輪がじわじわと広がっています。

 

 

 

■ 参考URL ■

 


小田急百貨店

http://www.odakyu-dept.co.jp/shinjuku/event/index.html

 

フラソリティ

http://www.flathority.com/


墨田革漉

http://www.sumidakawasuki.com/


典型プロジェクト

http://www.tenkeiproject.jp/


アンデルセン

http://www.andersenbag.com/


ウルフ&ドッグ

http://www.wolf-and-dog.com/


ガウディ

http://gaudie.jp/

 

 

カテゴリー: 国内革事情

 

職人とクリエーターによる3日間限定の雑貨マーケット
「Cipping Point」が大型連休の前半(4月28~30日)、
東トーキョー・徒蔵(カチクラ/御徒町~蔵前)エリアの
人気スポット 2k540 AKI-OKA ARTISAN内
イベントスペースで開催されました。

 

 

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Clipping Pointとは
靴の用語で甲をきれいに立ち上げる際に
使用する生産技術のひとつ。
上昇気流にのる、
アクセルを踏み出す、という意味をもつ
タイトル名にぴったりの
新進クリエーター & つくり手たちが、
"メイド・イン・ジャパン"の
プロダクトを発信。


シューズをはじめ、ステーショナリー、
アクセサリー、キャンドル…と、
ライフスタイルを彩る
レザーアイテムと雑貨が販売されました。

なかでもレザースリッパは、
手仕事を重ね、つくり上げた逸品。
足入れがよく、立ち仕事でもつかれないと
女性から支持されています。
その上質感とプライスとのバランスが
クチコミを集め、
母の日のギフトニーズにもマッチし、
ヒットしていました。

 

また、ショッピングだけでなく
アロマドレナージュなどのボディケアも。
多様なコンテンツを
ミックスすることで活気があふれて。

 

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今回、各参加ブランドが意識していたのは、
「ライブ感」。
レザーのコサージュの手染めや
毎日使用しているミシンを持ち込んでの作業など、
会場で実際につくるプロセスを公開。

 

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同じくディスプレイでも
商品を並べる什器も 作業用ラックを活用し
アトリエの雰囲気を忠実に再現。

 

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ていねいな接客も好評でリピーターも
数多くご来場。
プロダクトがつくられる場所で
実際にコミュニケーションすることにより
クリエーターの想いが伝わり、
オーダーメードの受注やまとめ買いをなさるかたも
多くおられました。

 


参加者のなかには、ブログ、
ツイッター、フェイスブックなどSNSを利活用。
リアルタイムで情報発信することで
ユーザーはもちろん、
バイヤー、取引先からも注目が集まり、
商談につながったそう。

 

つくり手が奇をてらわず、
まっすぐに、使い手と向き合い、
しっかりとつながっていく同イベント。
次回も楽しみです。

 

 


■ 参考URL ■

 

2k540 AKI-OKA ARTISAN

http://www.jrtk.jp/2k540/info/archives/3579

 

 

カテゴリー: 国内革事情

 

 

 

前回に続きまして、老舗革小物メーカー 
ミヤ・レザークラフトが日本国内の生産拠点としている
山形県新庄 山形ファーレのレポートです。

 

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まず、おじゃまして気になったのが、ユニフォーム。
いかにもワークウェアというデザインでなく
私服に近い感覚のタイプが支給され、
2色から自由に選んで着用しているそうです。

随所にスタッフの意見が
反映されていることを肌で感じつつ、
みなさんにお話を伺いました。

 


ゼネラルマネジャー的存在 
矢口みどりさんは作業全行程を習得し、
人事・生産管理を兼任する勤続20年のベテラン。

 

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「まず、働きやすさに気を遣っています。
 既婚・子育て中のスタッフも多いので学校の行事、
 子どもの病気などの場合も
 ケアしながらお互いにフォローしあって。

 作業は不良個所がないよう、ひとつひとつていねいに。
 常に買っていただくことを意識して
 仕上げています。

 検品も厳しく行い、B級品や返品が少ないのも、
 当社の特徴。

 つくることが、この仕事が好きだから
 続けていける、
 私もスタッフも同じ想いです」

 

“仕事は厳しく、普段は仲良く”を
モットーに、コミュニケーションをとって、
チームワークを重視。

そんなアットホームな雰囲気に
魅力を感じているのは新入社員の松田礼子さん。
入社して3か月とは思えないほど、
すっかり溶け込んでいます。

 

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「わからないことばかりですが、
 みなさんが教えてくださるので、ほんとうに
 働きやすい職場です。


 革って、発見がたくさんありますね。


 見るたび、触れるたび、
 色合い、質感がちがうということさえ
 こちらで働く前は
 まったく知りませんでした。

 1枚1枚、表情があるので、その個性を見極めて
 生命の証に感謝して つくっています。

 

 まだ見習いなので、覚えることがいっぱい…。
 1日も早く、自分ひとりで
 財布をつくれるようになりたいです」


担当している“抜き”の作業では、1ミリのズレが
大きいズレにつながってしまうので
「ミスをなくし、完璧なものをつくれるよう、
 がんばります」と語ってくれました。

 


出産、子育てを経て、
5年のブランクから復帰したのは、
佐藤直子さん。
栗田工場長のオファーに応えてのことだそう。

 

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「19歳から、この仕事に就いて
 10年くらい。身体が覚えていたというか。
 わりとスムーズでした。
 なんといっても、栗田さんをはじめ
 スタッフみなさんの
 フォローがあったからこそです」


技術力が高く評価され、
現在配信中の『JLIA TV』では
革漉きの実演をレポート。必見ですよ。


こちらから

 http://www.jlia.or.jp/enjoy/jliatv/

 

 

最後にミヤ・レザークラフト 宮社長、
山形ファーレ 栗田工場長から熱いメッセージを
いただきました。

 

「つくり手が高齢化している今、
 世代交代ができないと伝統の技術が途絶えてしまう。
 日本国内での生産を守るため、
 この地でものづくりを続けていきたい」(宮社長)

 

「心を込もった いい皮革製品を
 1本でも多くつくり、たくさんのかたへ届けたい。
 使ってくださるかたに
 夢を与えることができるよう、
 この新庄の地から
 日本へ、世界へものづくりを発信します」(栗田工場長)

 

 

日本のものづくりを守り、発信したい、という
宮社長、栗田工場長の想い、
「つくることが好き」という純粋な想いをひとつにして
取り組む みなさんの姿勢に感激しました。

ユーザーとしての感覚をもつ、
女性のつくり手たちの能力を最大限に生かす
山形ファーレのものづくり、今後の動向に注目です。

 

 


■ 参考URL ■

 

ミヤ・レザークラフト 

http://www.miya-lc.com/


『JLIA TV』

 http://www.jlia.or.jp/enjoy/jliatv/

 

 

カテゴリー: 国内革事情

 

 

半世紀以上の歴史を重ねる老舗革小物メーカー、
ミヤ・レザークラフト。
「ひたむきに創りつづける職人魂」をテーマに、
数々の皮革製品を手がけています。


伝統的な技術をベースに絶え間なく研究開発を行い、
そのときどきの時代のニーズをキャッチし、
半歩先を行く製品を製作。


先進性とは逆に、
受け継がれた手仕事にこだわり、
手間と時間をかけ、
1点1点ていねいに仕上げています。

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同社が日本国内の生産拠点としているのが、
山形県新庄市にある山形ファーレ。

 

新庄市は山形新幹線の終着駅であり、
JR陸羽西線、陸羽東線、国道13号と国道47号が交差。
「東北の十字路」と呼ばれる交通の要衝です。

栗駒国定公園の神室連峰、
霊峰鳥海山など周囲を山々に囲まれた城下町。

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現在では大学の研究施設が進出、自然と人間の共生を
テーマとした最上エコポリス構想が
推進されている最上地方の中心都市です。

 

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取材に伺ったのは4月下旬でしたが、
駅前にも雪が残っていましたよ。
同ファクトリーは、
そんな豊かな自然に恵まれた環境に設立。

 

女性ならではの繊細な感性・技術・品質管理に
着目した工場長 栗田さんが、
ご自身の出身地でもあり、
ネットワークがあったことから、
技術者を集め、始動。
20年経過したいまでは、国内でも有数の
女性技術者集団となっています。

 

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応接スペースには、数々の財布・バッグたちが飾られて。
凝ったデザインや複雑な構造のものなどが多く、
技術の高さが反映されていましたよ。

 

 

 


社団法人 日本皮革産業連合会ホームページ
動画コンテンツ『JLIA TV』で
 『女性技術集団の工房 山形ファーレ』レポートを
本日より配信スタート !

 

ミヤ・レザークラフト 代表取締役の宮さん、
山形ファーレ 工場長の栗田さん、
そして、女性スタッフのみなさんの
インタビューは必見です !!


こちらから

 http://www.jlia.or.jp/enjoy/jliatv/
 

 

当ブログのレポートは次回に続きます。
どうぞお楽しみに !

 

■ 参考URL ■


ミヤ・レザークラフト 

http://www.miya-lc.com/

 

 

カテゴリー: 国内革事情

 

 

 

ものづくりイベント「モノステージ」が
東京・浅草 隅田公園リバーサイドギャラリーで
4月26日~30日の5日間開催されました。

靴・バッグなどのジャパンレザー新進ブランドを中心に
さまざまなクリエーターが参加。
東京スカイツリー開業で盛り上がるエリアだけに
幅広い世代の男女がご来場。

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今回は海外のクリエーターやフォトグラファーなど
異なる文化のつくり手、
異なるジャンルで活動するクリエーターが出展したほか
さまざまなコラボレートにより
提案する新たなジャパンレザーを発表。

その一部をご紹介します。

 


日本人+イギリス人のファッションクリエーター集団
ユニオンジャップ。
イギリス留学・在住経験がある日本人と
イギリス人クリエーターが、
アートやファッションを通じて日英の文化交流の架け橋と
なっていくことを指向。
合同の展示会などの活動を行っています。


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アクセサリー、フラワーアート、リビングアートほか

きものをリメークしてつくられた靴、
歴史に基づいたヒストリカルシューズ、舞台用靴など
多様なアイテムが展示されました。

 

 

 

プロフェッショナル エコレザー部門を受賞した 
ラ・ジョイアもひと足早く、
今秋冬の新作イヤーマフを発表しています。
昨年冬、西宮阪急で実施された
「Japan Leather Award 2011」展示販売イベントでは大ヒット!

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今季はさらにバージョンアップし、
奄美大島・泥染め、京紋付染め、印伝といった
日本の伝統工芸との取り組みを
フィーチャーした
「和~なごみ~」シリーズも始動。
現在、東京・南青山にて期間限定ショールームを
運営中(6月29日まで)。
百貨店関係者、セレクトショップバイヤーから
注目されています。

 

 

 

 


埼玉県 そうか革職人会に所属する伊藤産業では
伝統技術を守り続け、
高く評価されるつくり手たちとの協業で藍染め革を実現。

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埼玉県北部(羽生・行田周辺)エリアで
天明年間から受け継がれる
武州正藍染めは微妙な色合いと独自の柄が特長。

これまでレザーでは
表現されなかった世界観、
コレクションの構築を目指します。

今後は日本国内にとどまらず、
海外での展開も視野に入れ、「クールジャパン」を意識し
製品開発をしていくとのことです。

 

 

 

 

 

ほかにも台東区が地場産業の活性化を図る事業者支援施設
浅草ものづくり工房(モノコボ)入居者からベテラン職人まで、
このエリアを支え、牽引するつくり手が参加。

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入居ブランド 靴づくり屋Chisakaは
「装苑」本誌 人気連載企画「ニューカマー」に掲載され、話題に。
千阪実木さん名義で昨年行われた個展
「あの本の主人公は 
どんな靴を履いていたんだろう」は
ブックディレクター・幅允孝さんとのコラボレーションによるもの。
本で語られるストーリーをたぐって
幅さんがセレクトした書籍をベースにつくられた靴を
その書籍とともに展示するという独自のスタイルが好評でした。

 

 


ほかにもフォトグラファーによる
無料ポートレート撮影(来場者サービス)
人気タロット占い師のリーディング・・・と
盛りだくさんのプログラムも
人気を集めました。

ベテラン職人と若い世代、新進ブランドと
熟年世代のユーザー・・・と
世代を超えたコミュニケーションが生まれ、
お互いに刺激と気づきに。

今後もパワーアップの予感。次回も楽しみですね。


 

 こちらもあわせてごらんください。

クリエーターズ・ブログ(2012年5月2日更新分)

http://fashionjp.net/creatorsblog/suzuki/

 

 

 

 

 

■ 参考URL ■

 

「シューフィルウェブ」

http://www.shoephile.co.jp/

 

 

 

★ more info ★


第3回「モノマチ」が
5月25日・金曜~27日・日曜の
3日間開催されます。

こちらもお楽しみに!


モノマチ公式サイト

http://www.monomachi.com/

 

 

 

 

 

 

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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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