欧米ブランドに「負けていないぞ!」

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」 の記事

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。
2024年第二弾は、大阪府皮革業界総合研修で、今年度も「革とものづくり」という対談を行った、という話。

恒例企画、大阪府皮革業界総合研修に村木さん自身も「革とものづくり」というテーマで登壇。村木さんのセミナーの内容についてポイント解説と、そのほかの回を受講者としてレポート。独自の視点でまとめています。ぜひ、ご覧ください。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしていますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。

今後のスケジュールなどは下のリンク先をチェックしてください。


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毎度です!「段取り8割!対談もイベントも事前準備が大事!」ムラキです。

今年度も大阪府皮革業界総合研修を見てきました。そして、登壇してきました。登壇、というか、狂言回し役ですね。

今回の話は、

・大阪府皮革業界総合研修、今年も面白かった
・こういう話をしてきた
 「革業界の専門職種 メーカーという役割」
 「人の育て方」
・対談形式、って見た目以上に準備が大変

というような話です。

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大阪府皮革業界総合研修とは

この研修は、皮革関連産業の振興のため、関連企業の経営者並びに従業員の方々に、最新の業界の動向やトレンド、あるいは実践的な経営の知識等を身につけていただけるよう、各界の著名な講師を招いて時流にあったテーマで実施されています。

大阪府と近畿経済局が毎年開催してくれる研修事業です。私が見に行くようになって10年以上になるのか・・・ほんとにありがたいな。

セミナーの内容紹介は下記でまとめています。


今回は2つ聞きに行ってきた&喋ってきた

 12月13日(水) 皮革・革製品のサステナビリティ 

 1月16日(火) 天然皮革~知っておきたい基礎知識~ 

 1月23日(火) これだけは知っておきたい革の特性 クレーム事例から学ぶ 

 2月6日(火) [講義/工場見学] 皮革のできるまで 

 2月9日(金) 「かわ」とサステナビリティ

 2月13日(火) 革とものづくり~令和時代の外注との付き合い方 

このうち、「皮革・革製品のサステナビリティ」と「『かわ』とサステナビリティ」の2つを聞きに行きました。ほかの回も聞きに行きたかったのですが、満席で聞けませんでした。

上記セミナーの最後にある「革とものづくり~令和時代の外注との付き合い方」を元メーカー勤務者・現フェニックス部長の横井さんと一緒に喋ってきました。

「かわ」とサステナビリティ、というセミナー、すごかった


2月9日に行われた『「かわ」とサステナビリティ』の登壇者は、国内の靴ジャーナリストの第一人者、大谷知子さんでした。

こちらの方は靴ジャーナリスト、というだけあって、例年、海外の靴の展示会「ミカム」のレポートや靴業界の動向分析などをなさっていますが、今年度は「サステナビリティ」という内容で話すとのこと。従来とは違った切り口ですので驚きました。

「今までとは違う切り口でを話す」ということは、違う勉強をきちんとしなきゃいけない、ということです。勉強をしてきちんとアウトプットしている、ってのは敬意を払いますわ。

内容も

・かわはどこからやってくるのか
・屠畜とは
・皮から革を作る歴史はいつから始まったか
・食肉に伴い生まれる「革」以外の主要製品
 ゼラチン、写真フィルム

などの話から

・タンナーが取り組む環境負荷の低減とサーキュラーエコノミー
・サステナビリティに対する革の意味

などと話も深くなっていき、聞いていて「最初は広く浅く」話が展開し、その後に「深く狭く」となっており、興味を持ちやすい構成になっていました。

セミナー『「かわ」とサステナビリティ』は、JLIA「TLA」と連動



私がもうひとつ受講した「皮革・革製品のサステナビリティ」は、TLA座長である川北芳弘さんによるセミナーでした。日本皮革産業連合会にせよ、日本タンナーズ協会にせよ、私にせよ、今、この「革は食肉産業の副産物ですよ」というような主張や講演などを増やしています。

川北さんのセミナーもTLAの座長だけあって面白いのですが、大谷さんの講演は「靴ジャーナリスト」という切り口から違う側面で「革のサステナビリティ」が語られていました。このようにいろいろな切り口や側面があることで、多種多様な入り口から革への知識を深めてもらえるのは面白いな、と思います。

圧倒的な専門家が一人だけ喋る、のではなく、多様な専門家が多様な切り口から革という素材を解説してもらう、という「情報提供が多様な切り口である」というのは現在の革業界の強みではあると思います。

革とものづくり~令和時代の外注との付き合い方 という話


それに対して私が段取り、組んだセミナー「革とものづくり~令和時代の外注との付き合い方」は、さっぱりサステナビリティなどと関係はありません。今回のセミナーで私がその話をしても、違う登壇者が語るならばそちらに任せます。私が大阪府から望まれているのは「他の方と違うことを毎年提供してください」というものですので、今回も違う側面から話をします。

なんと高校生が聞きに来てくれた

いろいろあって、ちょうどセミナーの前に「将来つくり手として生きたい!」という高校生に出会いまして。ちょうどいいからこのセミナー聞きにきな、と言ったところ本当に来てくれました。最近の高校生は行動力あるなぁ、と感心しました。

セミナー内容紹介

革製品づくりにおいて外注、というのは色々な面で存在します。
外注の職人や、内職さん、専門職の方々・・・昨今ではランサーズやココナラ、などのweb外注も存在しています。

・これらをお願いする上での注意点やトラブル事例。
・実際に外注ではなく内製した場合の困った点。
・さらにはSNSを外注は可能かどうか。注意点は?
・外注を依頼する人と、外注をしたい人との意識の落差とはどういうものがあるか

などを横井さんがレクチャーしてくれました。

セミナー内容抜粋

●革の外注の種類
●革の外注先はなぜ見つからないか?
●外注に頼んだら安くなるのか?
●外注はどう見つけるか?
●外注への頼み方
●外注の育て方
●SNSを自社で行う、デザイナーを自社で抱える
●仕事を頼むときの心構え
●こういうクライアントは嫌だ!
●外注の問題点
●今の時代は職人なり外注との付き合い方はどういうものか?外注との付き合い方
●外注に依頼するメリット・デメリットは?
●外注を探す、ではなく、育てることは可能か?育て方

セミナーちょっとだけ紹介:メーカーという仕事は各種加工業者を走り回るのが仕事

会場ではレジュメと一緒に、このセミナー用にまとめた限定ブログも作成しています。
そこに載せているのは当ブログへのリンクです。過去に載せたメーカーの話や各種加工会社の紹介をリンクで載せています。

現状、日本の靴なりカバンなりのメーカー仕事や加工業者の仕事を知りたいならば、動画やネットの文章、過去の文献あわせて、当ブログで過去に私が書いたブログが一番くわしいです。下記がセミナー受講生に紹介した内容です。

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メーカーは、クライアントから依頼を受けて「金具」や「革材料」などを仕入れるリスクを負って、各種加工を行って「請負職人」に縫製を依頼する。

セミナーちょっとだけ紹介:社内での人の育て方・外注の育て方

内製なり外注なりでの人の育て方は難しいです。外注は、ぶっちゃけ相性が悪い・こちらの要求するレベルに達していないならば切ればいいだけです。ある意味とても楽です。ですが、縫製にせよデザインにせよ内製する場合は、雇うコスト・首を切るコストがこの日本でもとんでもなく高いため、教育がとてもむずかしい。この前提に基づいて下記の話をしました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

もしあなたが内製でも外注でも、人に物を頼みたいならば・・・

内製するならば「育てる」覚悟がいる

・山本五十六の言葉

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、誉めてやらねば、人は動かじ」

「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」

「やっている、姿を感謝で、見守って、信頼せねば、人は実らず」

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外注するならば

・定期的にきちんと仕事を発注する

・まめなコミュニケーション

・逃げられないように

終了後高校生に感想を聞くと・・・

「ネットやYouTube動画を見ても全く載っていない情報ばかりでした!」と答えてくれました。

ビル・ゲイツでも手に入れられないのが「時間」です。私から見たら、「高校生かぁ・・・あと4、5回くらいはデカい失敗してもリカバリーできるから羨ましいな」と思ってしまいます。彼には失敗を恐れず、いろいろと経験してもらいたいものです。

対談セミナーでも段取り8割


このようなセミナーですが、事前に2時間ほど登壇者と打ち合わせをします。そのうえで、どのエピソードやどの話が今回のセミナーにふさわしいかを取捨選択します。今回は会話内容を単元ごとにまとめて、付箋紙に書いてどの順番で話すか、どのエピソードがいるかいらないか、などを判断します。内容をまとめて、付箋紙に各種話題をまとめて、それを順番に切り貼りしていきます。結構手間かかるんですよ。

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これらをもとに脚本を作ります。
脚本は、「この順番で話を進めます」「このときにこのエピソード話してほしい」「そのために話をふっかけます」というようなもの。

この脚本で全体の8割を規定します。残り2割は当日の会場に来る人の反応や来場者の事前リストをもとに話をしていきます。セミナーしているときは会場内の受講者が興味もっているか、暇そうか、などを逐一確認しつつ、適宜方向を定めていきます。結論などは変わりませんが、聞いた受講者が何を聞きたいのか、などを加減していきます。

アンケートを見せてもらいましたが、今回も受講者さんに喜んでもらえた、とは思います。

ムラキの今後予定


3月22日(金)・23日(土) 「本日は革日和♪ in 愛知県名古屋」


5月24日(金)・25日(土) 「本日は革日和♪ in 東京都浅草」
7月19日(金)・20日(土) 「本日は革日和♪ in 福岡県博多」


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。
今回は、革とイベントとインバウンドの話。
新型コロナウイルス感染症の5類移行後初の年末年始を迎えるなか、ジャパンレザーを取り巻く現状とは?
村木さんのリアルな視点と肌感覚でとらえたレポートをお届け。2023年の締めくくりに相応しい内容です。ぜひ、ご覧ください。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしていますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。

今後のスケジュールなどは下のリンク先をチェックしてください。


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毎度です!「1、3、5月の革日和は手配を進めていて、7月もどうしようかなぁ」ムラキです。

個人的にはイベントやるよりも本読んで調べ物まとめたりするほうが楽しいんですけどね。

さて、2023年も今月で終わりです。今回は次のような話をしていきます。

・阪急百貨店のジャパンレザーアワード展示を見てきた(1月4日まで)
・チャットAiはどう使っているか
・訪日外国人客の現状とそれに対して何をしておくべきか
・革とリアルの価値

オチとしては「インバウンド客はまだ本番じゃないから準備をしておこう、1日でも早く」「触らないとわからない、というのはデメリットじゃなくてメリット」です。

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「ジャパンレザーアワード2023」受賞作品の展示(大阪・梅田)を見てきた 

阪急うめだ本店 8階 b8ta Osakaにて、「ジャパンレザーアワード2023」受賞作品の展示が開催中です。グランプリ受賞作品や各部門受賞作品を実際に手に触れて見ることが可能です。実際に見て触ることで手触りや質感、重さや軽さなども感じることができます。見られる方はぜひ行ってみてください。

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会場

b8ta Osaka(阪急うめだ本店 8階)


阪急「大阪梅田」駅から徒歩約3分
JR「大阪」駅から徒歩約4分

ジャパンレザーアワード、今年の受賞作で面白いな、と思ったのは

あくまでムラキ個人の観点です。良い、とか、悪い、とかじゃなくて、「面白いな」と思った点を載せておきます。どの作品も実際に触らないと面白さがわかりづらいのでぜひ触ってみてください。

グランプリ

パンチングレザー 刺し子ライダース

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刺し子は東北地方に伝わる技法として知られています。刺繍の一形態ではあり、「ジャパンレザーアワード」歴代の部門賞受賞作品、応募作品でも取り入れている作品もあるのですが、革ジャンでここまでやった人は珍しいですし、パンチング加工のレザーを利用しているところもいいですね。ぜひ実際に手にとってもらいたい作品です。

バッグ部門 ベストプロダクト賞

トートバッグ

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こちらは応募作品情報詳細でも触れているように、マチの特徴的な形状と革全体の艶やかさが非常に色っぽいバッグになっています。こちらも写真では伝わりづらい革の良さが出ていますね。

フットウェア部門 ベストプロダクト賞

擬態

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こちらの靴は木目調に染色を施しており、見た目が木材のように見えます。ですので阪急展示でも小さな革の破片も一緒に展示しています。見たお客さんが「これは革なんだ」と知ってもらうためですね。

ウェア&グッズ部門 ベストプロダクト賞

ジビエ鹿革半纏 (見立文覚宗三郎滝行図)


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ジビエの鹿革は何種類か目にしているのですが、シボがありここまでモッチリとした感触があるものは珍しいですね。手触りもよく、「あれ?これどうやって縫ったんだろ」と縫製も面白い作品でした。

名古屋のクリエイターズマーケットへ


名古屋で行われたクリエイターズマーケットに、営業をかねて革関係のブース巡りをしていました。差し入れ(お菓子詰め合わせ)を50袋用意したのですが足りませんでしたね。これは革関係の出展者がここだけで50以上も参加していた、ということです。

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ブックオフすげぇな

会場で驚いたことにブックオフが企業ブースに出展していました。「ブックオフがなんで手作り販売イベントに!?」と驚いて見てみると、和服をハンドメイドの材料として使ってくれ、というアピールでした。すごいことするなぁ。

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・ブックオフは、同イベントに関連するような企業ではないのに、グループ企業の告知をメインに出展
・和服をリメイクに活用できる素材であることをアピール
・イベント会場で販売するのではなく、ブックオフ(同社リユース&リサイクルをしているハードオフ業態)に誘導するためのフライヤーを積極的に配布

コロナ禍を起点とした断捨離ブームで、和服を手放すユーザーが増え、買い取ったものの、販売面で苦戦しているのか、在庫が増え過ぎてしまったのか・・・需要と供給のバランスが悪いのでしょう。しかし、リメイク用の素材としてアピールするとは慧眼! これら含めて「すごいことするな」という感心しました。

チャットAiその後:ネタ出しやアイディアの壁打ち相手には最適ですね。



今年2月に書いたチャットAi。その後も使っています。

ただ、以前も書いていますが、「事実確認の場合は必ず裏付け調査必須」「ネタを出すときの壁打ちに使う」「ネーミングやブログのタイトルを20個出して」などで使っています。

事実確認はホント~~~~~~~~~に信頼に欠けますね。絶対に裏付け調査しないと不安で仕方ないです。

今回はこのように使いました。

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ここからは日本政府観光局のウェブサイトを調べ始めます。

インバウンド客はコロナ禍前に比べてどうなったか?

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上のリンク先は、日本政府観光局(JNTO) が提供してくれているサイトです。

日本を訪れる外国人旅行者の数はどのくらい?
外国人旅行者が訪れるのは日本のどの地域?
外国人旅行者は日本で何を買っている?
海外を訪れる日本人旅行者の数はどのくらい?

などがわかります。

数字を羅列するだけでなく、定期的に情報をまとめてプレリリースで発行してくれています。

これをどう活用するかは使い手次第なのですが、見ているといろいろわかって面白いです。

・関西圏はコロナ禍前ほど人が増えていない=中国人観光客がまだ戻っていない
・現状の訪日外客数を見ると韓国>台湾>中国>香港>タイなどの順位
・日本の地域によってコロナ禍前と後で訪日数が全然違う

インバウンドのために何をやっておけば良いのか

ここらへんはいろいろあるんですが、とりあえずは「相手の言語に合わせたSNS(今ならInstagramかなぁ)を用意しておく」のは最低限だと思います。SNSではバズり、とか、いいね!数を稼ぐ必要はありません。数を稼ぎはじめるのは楽な行為です。それよりも「連絡先手段としてSNSアカウントを開設しておく」のが重要なわけです。

メール、という手段はすでに伝達手段として非常に問題があります。スパムメール、迷惑メールが山程来ますので重要メールが埋もれてしまっています。

SNSは連絡手段として重要です。「どのSNSをやっておけばいいの?」と言われたら「ターゲットとしているユーザーが使っているSNSは全部やるしかない」です。

革とリアルの価値

今回は・・・

・「ジャパンレザーレザーアワード2023」受賞作品の展示を見てきた
・「ジャパンレザーレザーアワード2023」受賞作品のここが面白い!という解説
・名古屋のイベントを見てきた
・チャットAiをこう使っている
・インバウンドの現状とインバウンドの動向の調べ方
・インバウンドをターゲットにするならSNSはやっておいたほうがいい

というのが各項目です。全部バラバラに見えますので、読んでいて気持ち悪かっただろうな、と思います。
これらは一応、全部結びついているつもり、です。

・革という素材は実際に触らないとやはり面白さは伝わらない
・ネットというものがどれだけ進歩しても、この「手触り」「質感」「ツヤと艶やかさ」「匂い」「コシの強さ」etcetcなどは伝えきれない
・でも、置いておけば売れる!良いものを作れば売れる!という時代でもない
・だからこそ、SNSなりで消費者や受け手に興味をもってもらい、リアルイベントで実際に手に取ってもらうのが重要
・チャットAiにせよイベントにせよSNSにせよ、単なる手段でしかない。なんのためにその「手段」を使うか。
<着物をハンドメイドの材料として売り出し、そのためにイベントに出る、という判断はほんとにすごい。

「触らなきゃ良さがわからない革製品」という品は、非常に今の時代価値を伝えづらいものかもしれません。
だからこそ、その価値を伝えるためにありとあらゆる手段を使う。イベントにせよチャットAiにせよSNSにせよ、「伝えるための手段」です。

見て、聞いて、情報を摂取し、触ることで過去の情報を自分の中で統合させる。
「イベントに出て宣伝する」じゃなくて、「宣伝をしてイベントに来てもらい、触ることで購入」してもらう。

触らないとわからない」という特徴は、「素材としての弱さ」じゃなくて「素材の強さ」という付加価値です。

今後のムラキの予定


・1月19日(金)~20日(土) 「本日は革日和♪」(大阪)



・2月13日(火) 皮革業界総合研修

革とものづくり~令和時代の外注との付き合い方、というタイトルの研修のサポートをしています。



・3月 「本日は革日和♪」(名古屋)予定

・5月 「本日は革日和♪」(東京)予定


今年も一年ありがとうございました! 来年も革や技術やビジネス、歴史やネット技術などを食べあさりたいと思いますわ。

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。関西のイベント報告と、「革がサステナブル」という意見表明、情報発信はいろいろなところでいわれるようになってきた、という話。
11月は関西の各地でレザー関連イベントが次々と開催。村木さんが現地をレポートしてくれました。また、「革がサステナブル」であることについての発信がいろいろなところで行われていることについて、感じたことをリアルにまとめてくれました。ぜひ、ご覧ください。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしていますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。

今後のスケジュールなどは下のリンク先をチェックしてください。


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毎度です!
「この数年でほんとに5年か10年分、強制的に時代が動いている感があるなぁ」と思うムラキです!!

怒涛のイベントラッシュが終わり、残るは営業出張2つと東京での「キッズレザープログラム」の会議となりました。あとは2024年1月の「本日は革日和♪」(大阪)の準備や、3月や7月の準備です。

今回は、

・関西の革のイベント報告
・いろいろな場所で見た「革って持続可能な素材です」という意見表明や動き

を紹介していきましょう。

先月の更新分でも書いたようにイベントがほんとに多かったですね、今年は。


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11月2日(木)~6日(月)「姫路城皮革フェスティバル2023」

11月2日は平日でしたが、3日(金・祝)から6日の月曜日まで5日間続くこのイベント。陶器市なども開催されている大きめのイベントです。姫路城が見える大手前公園で行われました。

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お世辞抜きにお客さん多めですし、この「姫路城皮革フェスティバル2023」目当てで来られたお客様も多めなように思えます。外国人観光客さんも多かったですね。

・11月3日(金・祝)~4日(土)新喜皮革「2023年レザーフェスティバル」(兵庫・姫路)

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こちらは11月2日の準備している真っ最中にお邪魔しました。

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準備真っ最中。

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今後も秋だけではなく、春にもイベント開催予定だそうですので、下のインスタグラムやYouTubeをご覧ください。



11月10日(金)「Same-ol' トークセッション~革の世界でつなる人たち~」

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皮革専門卸 ミヤツグ代表・宮前健次郎氏が、名門タンナー、地元大阪の「Same-ol'」ブランドを代表する篠田英志氏とともに、それぞれの背景や歴史、自分たちの仕事にかける情熱などについてのトークセッションが阪急うめだ本店で開催されました。


宮前健次郎氏インスタ

Same-ol' HP

Same-ol' オンラインストア

海外のタンナー・日本の革屋・大阪のSame-ol'の3社合同のトークイベント。
ミヤツグさんは革屋の立場。タンナーさんは海外での立ち位置から。そして大阪の鞄メーカー数社の共同ブランドSame-ol'の立場。それぞれから革製造や革の特徴、鞄の特徴の話などをしていました。

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「Same-ol'」は参加者向けにストラップをつくる体験も行いました。


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阪急うめだ本店 8Fにて常設展示を行っており、11月21日までイベントスペースでもポップアップを出展。また、阪急との共同のイベント体験製品も販売されています。


・11月18日(土)・19日(日)「ひょうご皮革総合フェア」「たつの市皮革まつり」(兵庫・たつの)

こちらは例年どおりバスツアーを組んで行ってきました。

11月18日(土)「タンナー見学バスツアー」(「本日は革日和♪」)


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例年どおりニューレザーコンテストの動画を作成しています。

皮革まつり会場後には、例年どおり昭南皮革さんとオールマイティーさんを見学。

昭南皮革

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オールマイティー


以前も当ブログでご紹介しました。


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今回は猟師さんも来ていたので、「野山を駆け巡る鹿の原皮はこんな状態ののものもある」という原皮も見せてもらえました。

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ヒライコーポレーション

今回特別に姫路・高木のヒライコーポレーションさんにもお邪魔しました。


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ヒライコーポレーションさんでは、「当社の革はセッターで伸ばす工程を少なくしているのでシボありの革でもギュッと締まっています。そのため漉き作業などをするとやりやすい、と好評です」など説明をしていただきました。

サステナビリティについて発信する皮革業界

日本だけではなく海外タンナーも強く「サステナビリティ」を主張

前述の「Same-ol' トークセッション~革の世界でつなる人たち~」ではイタリアのタンナーが登壇していたのですが、「タンナーは食肉産業の副産物である皮を使っている」という趣旨の発言をしていました。欧州でもそんな主張を強くするんだな、と驚いたものです。

一般社団法人日本タンナーズ協会によるポスターやフライヤー

一般社団法人日本タンナーズ協会の事業である「日本革市」公式ウェブサイトをはじめ、イベントおよびショールーム型展示会会場において「本革は畜産副産物を有効活用したエコでサステナブルな天然素材」であることを発信しています。

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先日はフライヤーを分けていただき、各種イベントでも配布させてもらいました。その節はありがとうございました。



革のサステナビリティを発信していくプロジェクト、Thinking Leather Action(TLA)

皮革・革製品などのサステナビリティを発信していくプロジェクト、Thinking Leather Action(TLA)事業にて、日経新聞をはじめとした新聞に1ページの意見広告を掲載しています。

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公式ウェブサイトがオープンしました。皮革・革製品などのサステナビリティについてわかりやすく解説していますので、ぜひ、ご覧ください。


ニューレザーコンテストで環境負荷が低い製法の新しい革を出展


上記動画で紹介している嶋田悟製革所さん(目安タイム 19:17~)は新しい製法で環境負荷の低い革を開発しました。


その新しい製法による低環境負荷レザーは、今年度の「ひょうごニューレザーコンテスト」エコレザー部門を受賞。新しい製法については、兵庫県立工業技術センター皮革工業技術支援センター発行「兵皮支ニュース」(2023年No45)で紹介されています。興味ある方は兵庫県立工業技術センター皮革工業技術支援センターに連絡してみてください。


海外の薬剤を輸入し、実験的に鞣したのだそうです。この技法を採用すると次のメリットがあります

・30%の製造コスト削減
・硫酸を使用しないため作業者への劇物を扱うリスクを避けることができます
・ピックル工程を省くため通常の処方より1日以上工程を短縮できます

これらはコスト削減ではありますが、同時に環境負荷を下げていることにもつながっています。

皮革業界は日進月歩で新しい技術ができています。CO2にせよ、水質汚染にせよ、環境に負荷をかけない技法や薬品などが開発され、それらを採用しているタンナーは存在し、それらのタンナーがつくった革を使うメーカーも出てきています。

皮革のサステナビリティ、環境負荷の低さを、もっと発信するべき時代

このような活動は、「良いことをしていたら黙っていても知ってもらえる」というものではありません。逆にきちんと発信しておかないと、「主張している方に有利なように法律を変えます」となるのが今の時代です。


それどころか、きちんと反論をしておかないと、マスコミやSNSなどでのバッシングもありえます。

良い品はこういう点が良いんです、という説明はとても大事

タンナー見学バスツアーや「ひょうごニューレザーコンテスト」の紹介などをもう5年以上やっています。「ひょうごニューレザーコンテスト」の動画作成は4年目くらいかな?これらは「直接タンナーを見ることで革作りの現場や、タンナー社長の思いを知ってもらいたい」「日本のタンナーもこんな面白いことやすごいことをやっている」というのを見てもらいたいからです。「良い品なんだよ、これは」と知ってもらいたいからですね。

説明するために、SNSしましょう! 動画やりましょう! という話ではありません。

デザインが良い。革の手触りが良い。縫製技術が良い。体に良い。さまざまな「良い」点があると思いますが、それらは「なぜ」良いのかをきちんと消費者に伝える努力をしないと、今の時代はエンドユーザーも企業も購入しません。それくらい「伝える」という行為が重要になってきています。

SNSや動画が重要!というわけではなく、「ターゲットとするお客が見ている媒体は全部やるしかない」のが実情です。新聞やラジオ、テレビもそうです。ネット媒体もそうです。紙媒体であるフライヤー(チラシ)などもそうです。何よりもリアルイベントや店舗で「実際に触ってもらう」ことが重要なわけです。

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「触らないとわからない」これが革という素材の強みと弱み

「触らないとわからない」というのは、今の時代において凄い強みです。どれだけネットが発達しても触覚や嗅覚、というのは伝えられません。だからこそ、売りづらい素材ではあります。個人的には「ネットで売りづらいからこそ、競合相手が参入しづらい市場」だとは思っています。

ムラキの直近のイベント


●「東京レザーフェア」12月7日(木)・8日(金)

私は今回全く上京しないのですが、上に書いたニューレザーコンテストの受賞作が展示されています。



●「革とものづくり~令和時代の外注との付き合い方」大阪府皮革業界総合研修 12月13日(水)~

毎年開催されている大阪府皮革業界総合研修。TLAの座長 川北氏の解説や、クレーム事例集を執筆中の稲次氏によるセミナーなどが開催されます。例年どおりムラキがピエロになってインタビューセミナーも行います。



●「本日は革日和♪ in 大阪」1月19日(金)~20日(土)


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。
今回は、コロナ明けの秋は革のイベントが西や東でたくさんあるな、という話。秋はレザーの季節。冬にかけて、革づくり・ものづくり産地を中心に各地でイベントが開催予定です。そのなかから、村木さんが厳選しご紹介。参考になさってください。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしていますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。

今後のスケジュールなどは下のリンク先をチェックしてください。


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毎度です!「革のイベントが秋に溜まり過ぎじゃない?と聞いたら、その方が需要あるからでしょ」と言われたムラキですわ。ぐうの音もでないよね。そのくせ春のイベントは少ないんだよねぇ。
さて、今月は秋から冬にかけてのイベントを過去レポートや、公式HP、各種SNSで紹介しておきます。

・10月20日(金)~22日(日)「浅草エーラウンド」レポート 
 映画上映やセミナーしてきました

・いま把握している直近の革関係のイベントたくさん

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・「浅草エーラウンド」レポート 映画上映やセミナーしてきました


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「浅草エーラウンド」が開催され、「本日は革日和♪」としては映画上映やセミナーを。フェニックスのほうでは染料会社Lizedと合同で染料相談会、染められる革靴「彩り靴」ワークショップを開催していました。


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・10月28日(土)「本日は革日和♪ ぷち in 大阪」レザークラフトフェニックス


「本日は革日和♪」のミニバーションが10月28日(土)、レザークラフトフェニックス(大阪・奥なんば)で開催。セミナー(漉き機、技法、革の買い方&歴史)を行います。

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・11月2日(木)~6日(月)「姫路城皮革フェスティバル2023」「姫路菓子まつり2023」(兵庫・姫路)


11月2日(木)~6日(月)、姫路皮革製品推進協議会主催イベント「姫路城皮革フェスティバル」が大手前公園で行われます。

姫路を拠点とするタンナー、皮革関連の事業者の皆さまが出展して、つくり手、クリエイターの皆さまが手がけた革製品をはじめ、ファクトリー直送のレザー、皮革産地ならではの高品質のジャパンレザーが展示販売。

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「全国陶器市」と「姫路菓子まつり」も同時開催されます。

同時開催


過去レポート


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・11月3日(金・祝)~4日(土)新喜皮革「2023年レザーフェスティバル」(兵庫・姫路)


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・11月3日(金・祝)~4日(土)ならば、姫路城と新喜皮革両方いくぜ!というならばレンタサイクルがおすすめ


車じゃなく、電車で行く方ならば電動自転車をレンタルすることをオススメします。姫路城から新喜皮革は電動自転車ならば移動できる距離ですので。



・11月4日(土)~5日(日)「O-ROUND」(大阪・西成)


「浅草エーラウンド」と連携する新イベント「O-ROUND(オーラウンド)」がこの秋、大阪でスタート。大阪市浪速区・西成区に5つの拠点を設定し、この街の地場産業である「靴」と「革」の魅力を紹介します。


映画「ある精肉店のはなし」上映会 11月4日(土)~5日(日) 10:00~ 14:00~

会期中1日2回、映画上映後の解説をしています。


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過去ブログ(映画の紹介)


・11月18日(土)~19日(日)「ひょうご皮革総合フェア」「たつの市皮革まつり」(兵庫・たつの)


「ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつり」が11月19日(土)~20日(日)に行われます。たつのを拠点とするタンナー、皮革関連の事業者の皆さまが出展し、ファクトリー直送のレザーや、つくり手、クリエイターの皆さまが手がけた革製品を展示販売。会場では革のつくり手たちが自信作を競う恒例のコンテスト「ひょうごニューレザーコンテスト」の入賞作品も展示されます。

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過去レポート



●11月18日(土)「タンナー見学バスツアー」(「本日は革日和♪」)



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・11月28日(火)~ 令和5年度 皮革産業技術者研修「革製品の基礎知識」(東京・東京都立皮革技術センター)



東京都立皮革技術センターが主催する研修会の募集がスタートしました。皮革関連産業で働く技術者等の方を対象に、「革製品の基礎知識」と題した研修会を開催。革製品を扱う上で必要な基礎知識を広く習得できる、多様なカリキュラム構成となっています。

後述しているクレーム事例を連載している稲次さんや、一般社団法人日本皮革産業連合会の新プロジェクト、皮革・革製品のサステナビリティを発信していくTLA(Think Leather Action)事業の座長 川北さんも講師を担当します。


・12月7日(木)~8日(金)「東京レザーフェア」(東京・浅草)



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今回から事前予約方法が変わります。要プリンター

今回から、次のように事前に参加票を印刷して持参していただくことになったようです。


1.「申し込み」ボタンの申込フォームから登録
 (メールアドレスは1人1つ必要)
2.受付メール掲載のURLからマイページへ
3.申込時の情報で、マイページにログイン
4.参加票をA4用紙に印刷(カラー推奨)
5.当日、印刷した参加票を四つ折りして持参

・最近と今後のムラキ

●久々に他人様のYouTubeにでてきました


業界一 革にくわしい、ってのはこの二人が知っている業界の中で、という意味だけですので。

革にくわしい人間・・・というのは歴史にせよ、流通にせよ、海外事情にせよ、化け学的にせよ、製法にせよ、私より詳しい人間なんて業界にはまだまだいますので。

浅く広く多方面に詳しくて、人の前で喋るのが苦手じゃなくて、過去の資料を集めて、革屋で働きつつ、実際に商品量産している人間、というのは多分そうそういないとは思いますが。

今回、動画のために色々事前準備していたのですが、レザーという表記を大手会社が徐々に使い方を変え出していますね。素早いなぁ・・・ここらはもう1年くらい後にくわしく書けるかな、と思います。

●最新号の「かわとはきもの」の革の特性、が破断損傷、という非常に価値ある内容だった

東京都立皮革技術センターが機関紙として出してくれている「かわとはきもの」で、毎号連載中の「クレーム事例から学ぶ革の特性」ですが、今号がちょうど「破断、損傷」という内容でした。


「かわとはきもの」は毎回PDFで配布してくれています。毎号価値ありますので問答無用でPDFを持っておいたほうがいいです。


革のトラブル事例は多岐にわたります。特に今回の破断・損傷は、合皮と区別しづらいケースも多く、文章とカラー写真で見ることができる貴重な資料です。

●1944年の革の資料が手に入った 戦う水産皮革

5年越しでようやく入手した「子供の科学」。国立国会図書館国際子ども図書館まで行ってもなかったため、さっさと購入。日本の古本屋、バンザイ、ですわ。

1944年の終戦1年前くらいの雑誌で水産皮革の戦争利用を扱った内容。これでこのブログ1本書こうかな、と思ったのですが、今月はイベント情報まつりでした。またどこかで。

革の歴史を調べようと思うと食文化・宗教・戦争をかじらないといけないので、この記事は非常に面白いですな。

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●2024年1月18日(土)~19日(日)「本日は革日和♪」開催予定(大阪・奥なんば)

・lized、zitotoolsや他の会社を招いての展示会を大阪・大国町近辺で予定しています。展示会は事前予約制予定です。
・当日は他の革屋さんによる感謝セールも段取り中です。

今後予定は下のHPトップに載せておきます。


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。
今回は、映画「ある精肉店のはなし」から見る肉とタイコと革の関わりと、タンナー見学の話。皮革産業、ジャパンレザーについて、ユーザーの皆さまに知っていただくためのさまざまな取り組みを村木さんの視点で語ります。ぜひ、ご覧ください。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしていますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。

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毎度です!「食べ物と宗教と戦争の歴史を見るのは趣味」のムラキです。

世界史や日本史のテストはほんとに悪かったんですが、食べ物宗教戦争の歴史を見るのは好きだったのがまさかこうやって役立つとはなぁ。つくづく人生は飽きないな。

昨年に続き今年も、「ある精肉店のはなし」という映画を革のイベントで上映会をします。今回は東京のみならず大阪でもやります。

・肉屋の映画ってどんなもの? それが革と関係あるの?
・映画で屠畜を見た感想はどういうものか?
・革を知ってもらうタンナーの取り組み

などを紹介します。

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秋はイベント多くてシンドイ

なんで革のイベントは秋口に多いんだよ、とグチグチと言っていたところ「春先だとこれから暑くなる季節で革が不釣り合い」「秋口だとこれから寒くなるから革製品の需要が高くなるからでしょ」と。正論なんて聞きたくない!と泣きました。

個人的に革日和やムラキとして関わるイベントは・・・

9月30日(土)・10月1日(日)「ジャパンレザーアワード2023 応募作品展」、10月20日(金)~22日(日)「浅草エーラウンド」(映画上映+セミナー)、10月27日(金)「フェニックスナイト」(大阪・レザークラフトフェニックス 毎月最終週金曜 夜間延長営業20時まで)、11月4日(土)~5日(日)「オーラウンド」(大阪/映画上映+セミナー)、11月18日(土)「タンナー見学バスツアー」、1月18日(金)・19日(日)「本日は革日和♪」(大阪・奥なんば 大国町周辺)

ここらが決まっている内容。この合間合間に手作りイベントを視察して挨拶回りの営業活動など。イベント予定で異彩を放つのが「映画上映」ですね。上映するのは「ある精肉店のはなし」というお肉屋さんを扱ったドキュメンタリー映画です。

「ある精肉店のはなし」は配信もDVD化もしていない、上映会のみで見られる映画

こちらの映画は、「上映会をしたい個人、法人問わず映画本体を借り受けて上映会をする」というシステムになっています。上映会をして20人ほど集めて入場料とったらトントンですね。それを割り込むと大赤字になります。この秋、東京と大阪で上映会しますが、東京は私個人の自腹です。


どういう話?

大阪府貝塚市での屠畜見学会。

牛のいのちと全身全霊で向き合う
ある精肉店との出会いから、この映画は始まった。
家族4人の息の合った手わざで牛が捌かれていく。
牛と人の体温が混ざり合う屠場は、熱気に満ちていた。

店に持ち帰られた枝肉は、
丁寧に切り分けられ、店頭に並ぶ。
皮は丹念になめされ、
立派なだんじり太鼓へと姿を変えていく。

家では、家族4世代が食卓に集い、いつもにぎやかだ。
家業を継ぎ7代目となる兄弟の心にあるのは
被差別部落ゆえのいわれなき差別を受けてきた父の姿。
差別のない社会にしたいと、地域の仲間とともに部落解放運動に参加するなかで
いつしか自分たちの意識も変化し、地域や家族も変わっていった。

2012年3月。
代々使用してきた屠畜場が、102年の歴史に幕を下ろした。
最後の屠畜を終え、北出精肉店も新たな日々を重ねていく。

いのちを食べて人は生きる。
「生」の本質を見続けてきた家族の記録。

牛の飼育から屠畜解体まで、 いのちが輝いている、 前代未聞の優しいドキュメンタリー。 ーーー鎌田慧(ルポライター) - ある精肉店のはなし (seinikuten-eiga.com)

より抜粋

ムラキが革関係者に話す紹介内容

子牛を市場から買ってきて大きくするのを「肥育」というのですが、大阪府貝塚市にある肉屋はこの肥育をして、自分たちで屠畜して、肉を売る、という最後の肉屋さんです。

現在も営業されているのですが、屠畜をしていい屠畜場が2012年に終了してしまったので、このやり方を終えました。この映画は最後の1年間を記録したドキュメンタリーです。

よく聞かれる質問1 屠畜場はもうなくなったの?

各都道府県で必ず現在も存在しています。というか、人が肉を食べる限り無くなりません。
ですが、個人の肉屋さんが借りて使えるような屠畜場はこの貝塚市の屠場が最後と言われています。

一方、食肉の世界は時代の流れとともに全国的に変化してきました。屠場の統廃合と大規模化、機械化が進み、地方の小さな屠場はどんどん閉鎖されてきました。ぼくたちのムラの屠場もすでに貝塚市営となっており、市の施設として経営状態が問われるようになっていました。要するに「収益をあげられているのか」ということです。当時の市長は「歴史的な背景や地域の産業を支える観点から収益の側面だけで判断すべきでない」としていましたが、ムラでも飼育から屠畜、精肉まで一貫しておこなう家が年々減り、施設の老朽化もあって1990年代から屠場の閉鎖は時間の問題でした。そしてついに2012年3月に閉鎖が決まったのです。


より抜粋

よく聞かれる質問2 屠畜のシーンが出て怖くない?

怖い・怖くない、は個々人の感性としか言いようがないです。ただ、過去3回ほど上映会しましたが、中学生さんも見られたりしました。途中退場された方はいないですね。むしろ上映後の感想を集めると「見てよかった」「気持ち悪いなどはなかった」「技術がきれいだった」などが多かったです。

よく聞かれる質問3 この映画の上映会をするの?

このブログで何度も何度も何度も書いていますし、実際に何度も何度も何度も口にしていますが、「革は食肉産業の副産物」です。肉の需要があるからこその皮であり、革なわけです。革関係者や革が好きな人は「肉と革は地続き」であるということを知っていて損はないと思います。

「ある精肉店のはなし」ではタイコの製作工程も見られる

映画の中ではタイコ制作風景も少し紹介されます。

貝塚市というか大阪の南の地域におけるだんじり祭りや、そこにおけるタイコ、というのは少し他の地域の人から見ると特殊です。というか、異様なほど思い入れがあります。

映画の中ではタイコの皮を作る工程も紹介されています。タイコの皮はかなり特殊です。革業界とはちょっと違う世界にはなるのですが、「食肉の副産物である皮」を有効活用する、という意味合いではこちらも地続きです。

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タイコ制作は下の動画でくわしく紹介されています。


革を知ってもらうためには肉を知ってもらう

先日、某所にご挨拶に伺ったところ、「ブログ見てますよ」「こうやって革のことを伝えるのか、と見ています」と励ましになるお言葉をいただきました。

革のことを知ってもらうのに専門用語なり散りばめても初心者さんにも中級者さんにも理解されづらい。なるべく聞き手の生活に接点ある単語や事象から革を伝えるように心がけています。

タンニン、なんて言葉聞いてもわかるわけないんですよ

「濃い日本茶や紅茶、渋みの強い赤ワインに入っているのがタンニン」です、と説明すれば興味をもってもらえます。革のことを知るためには肉やタイコなど、見聞きしたことあるものから入ったほうが理解も興味ももってもらえます。


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TLA(Thinking Leather Action)という取り組み

今年から本格的に始動した一般社団法人日本皮革産業連合会(JLIA)のプロジェクト、TLAでは「実は、革 ってサステナブル。」を合言葉に革に関するメッセージを発信しています。こちらも革業界をわかりやすく考えられているな、と感心してみています。

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一般社団法人 日本タンナーズ協会の取り組み

一般社団法人日本タンナーズ協会も近年、子どもでも大人でも理解しやすいように「革は食肉の副産物」という発信を行っています。



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このPRチラシ、ふりがな付きも作ったのはすごいな!と感心したものです。

「ある精肉店のはなし」もあくまでお肉屋さんのドキュメンタリー映画です。

この映画は、2012年に屠畜場が廃場する最後の1年を扱ったお肉屋さんのドキュメンタリー映画です。
決して革業界を紹介するためものではありません。ですが見ることで「なるほど、革というのは肉と連なるんだ」「食べている肉はこのように私達の手元に来て、食べているんだ」ということが知ってもらえるかと思います。多分。

めちゃいい映画ですので是非見てもらいたいです。


映画上映後に10分ほど革と肉についてのはなしをします

映画上映後に革の話をさせていただきます。

・タイコの皮である乾皮ってどんなもの?
・映画で出てくる食べ物「かす」ってどんなもの?
・歴史で見る肉屋の立場の違い

などを話します。

また、東京・大阪でも映画の後に革の話セミナーなどを行います。

革を知ってもらう努力をしているタンナーさんの取り組み:たつのレザーのキタヤさん

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キタヤさんは、以前当ブログでも紹介した革の森、を運用されているタンナーさんです。



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大阪からの小学校見学!? よくまぁ、こんなマニアックな工場見学するなぁ。どこからどうタンナーという工場まで小学校がたどりついたのか。おもしろいので直接キタヤさんに電話して聞きました。

いつからタンナー工場見学ってやっているの?

「たつの市の小学生たちにはもう10年以上前からやっているよ。年間1,000人くらい来るかな。
うちだけで1,000人、というわけじゃなくて、龍野レザーに協力してくれているタンナーの中の株式会社キタヤ、株式会社モリヨシ、エルヴェ化成株式会社で分担して受け入れているよ」(キタヤさん)

大阪の小学校が見学って珍しくない?

「ここは2年ほど前からかな?
学校の授業でタイコづくりがあるそうで、その一環で革の工場見学、ということになったそう。

広島に修学旅行して、その帰り道で岡山で一泊。で、大阪に帰る途中にたつの市で工場見学30分。
お昼ごはんにそうめん食べるそうだよ」(キタヤさん)

あぁ、たつの市の名産は醤油とそうめんと革、という水に関わる産業だから。

何人くらい受けて入れているの?

「今回は50人くらい。これでうちの工場でギリギリだよね」(キタヤさん)

だろうなぁ。タンナーは危険なものもあるし、巨大な機械もあるのであまり気楽に行ける場所もでありません。

なんで受け入れているの?

「龍野レザーを複数のタンナーで協力してやっているけど、やっぱり知ってもらうためには工場を見てもらわないと、ということでこういうことをしているんだよ」(キタヤさん)


「本日は革日和♪」で行う映画上映やタンナー見学バスツアー

上記のタンナー「キタヤさん」に行くわけでもないタンナー見学会を紹介するのもちょっと気が引けるのですが、今後の予定のリンク先などです。


9月30日(土)・10月1日(日)「ジャパンレザーアワード2023 応募作品展」

会場では「ジャパンレザーアワード2023」の全応募作品を展示しています。初日は審査が行われていますので、一般公開は16:00(開始予定)~18:00となっています。早めに来たら、フェニックスブースで遊んでいってください。

ブースの出展メンバーは・・・
・レザークラフトフェニックス
・zittoolsによるミシン・漉き機体験
・レザクラ用CAD「leathercraft CAD」開発者を招いてのCADソフト実演解説。予約不要


10月20日(金)~22日(日)「浅草エーラウンド」(映画上映+セミナー)


・各種セミナーを開催予定。
・会場近くでは、レザークラフトフェニックスによる彩り靴ワークショップと、lizedによる染色ワークショップを開催予定。



10月27日(金)「フェニックスナイト」(大阪・レザークラフトフェニックス 毎月最終週金曜 夜間延長営業20時まで)


18:30より約1時間 技術セミナー(無料)開催予定。

11月4日(土)~5日(日)「オーラウンド」(大阪/映画上映+セミナー)


・映画「ある精肉店のはなし」+映画解説(ラスト約12分「本日は革日和♪」)
・期間中 芦原橋会場内でセミナー開催予定。

11月18日(土)「タンナー見学バスツアー」


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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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