欧米ブランドに「負けていないぞ!」

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」 の記事

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。
新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されるなか、今月は、そんな状況の対策・予防、革製品のケアについてまとめてくださいました。ぜひ、参考になさってください。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。
当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。

人気イベント「本日は革日和♪」や村木さんの活動予定、スケジュールなどが文末にまとめられていますので、最後までご覧ください。また、下記のリンク先、をチェックしてください。

  「本日は革日和♪」
  <http://ccrui.sakura.ne.jp/kawabiyori/>


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毎度です!「時代は世紀末的だなぁ」ムラキです。

最近はどこに行ってもコロナコロナ、です。まさかこんな時代が来るとは数ヶ月前には想像もできませんでしたね。

で、facebookを見ていると、「スマホを消毒するついでに革製品も消毒スプレーしたら色が剥げた!」という話がありました。今回のblogでは「革製品にも消毒したほうがいいのか?」「コロナウィルスに対してマスクがないと駄目なのか」「予防には何をすれば良いのか」というような話を書いていきます。

※今回のblogで使う資料はネットにあげられた厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症について」・WHO、公的な医療機関の発表から引用します。Twitter・インスタ・個人blogにあがっている情報、メディア情報は確実性に欠けるためここでは紹介しません。


目次 [hide]

革のスマホカバーに消毒

革製品にアルコールをつけることは正しいのか?

革製品についたコロナウィルスが怖いので消毒したほうがいいのか?

コロナウィルスは飛沫感染と接触感染の2ルートで感染する

ビニール袋をめくるために指先につばを付けたり、鼻をほじっても、キスをしても感染リスクはある

ウィルスはどこに付着して、どれくらい生存するのか?

革だけ消毒してもあまり意味はない

マスクはコロナウィルスに対しての万能防御にはならない

感染予防は何をするべきか?

新型コロナウイルス感染症の予防

外出する際は密を避けて外出しましょう

コロナの話ばかりじゃなくて、西の革業界の話もしてください



革のスマホカバーに消毒

4年愛用してるスマホカバー!ワキシングレザーというオリジナルレザーを使ってるんですが、手の油分で艶がどんどん増してきたんですが...

コロナウイルスのニュースを見て「スマホ毎日触ってるし、不衛生かも...」→アルコールで表面を拭く→色が若干抜けて艶が曇る→焦る→手の平で思いっ切り擦りまくって油分を補う?

なんとかここまで復活しましたいや〜マジ焦りましたわ〜

レザー大好きな方々や、詳しい方々は既にご存知かと思いますが、アルコールで拭いちゃダメですからね!絶対マネしないで下さいね〜このスマホカバー、前よりもさらに良い雰囲気になったかも

という書き込みをfacebookで見かけました。投稿者に許可をもらい、写真と文章をお借りしました。
で、結論から言うと「手洗い消毒アルコールで革製品を消毒したら駄目」です。

革製品にアルコールをつけることは正しいのか?

基本的にオススメできません。

消毒用のアルコールの濃度は様々ですが、60%~90%ほどはあります。
これだけの濃度があると染料仕上げの革は染料を落としてしまいます。顔料仕上げの革でも表面保護として載っているクリア塗装を落としてしまいます。そうなるとその部分だけ艶がなくなる・くすむ、などの現象が生じます。

表面の消毒なりをしたいならば、革用のクリーナーなりをオススメします。

抗菌クリーナー | コロンブス オンラインショップレザークリスタル クリーナー | コロンブス オンラインショップ


上記以外にも「レザークリーナー」などの名前がついているものがオススメです。でも、オススメしておいてなんですが、革製品に付着しているかもしれないコロナウィルスを恐れてもあまり意味がないかもしれません。

革製品についたコロナウィルスが怖いので消毒したほうがいいのか?

回答は「それだけでは意味がない」となります。これは消毒が意味ない、というわけではなく、「革製品だけ消毒しても意味がない」という意味での回答となります。

順をおって解説してみましょう。

コロナウィルスは飛沫感染と接触感染の2ルートで感染する


飛沫感染とは?

 感染した人の咳・くしゃみ・つば・鼻水など飛沫(とびちったしぶき)の中に含まれているウイルスを口や鼻から吸い込むことにより感染することです.

接触感染とは?

 ウイルスが付着した手指で鼻や口や目に触れることで、粘膜などを通じてウイルスが体内に入り感染することです。

 感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手でドアノブ、スイッチ、手すりなど周りの物や場所に触れるとウイルスが付きます.他の人がその物や場所を触るとウイルスが手に付着し、その手で口、鼻、目を触ることで粘膜から感染します。

新型コロナウイルス感染症市⺠向け感染予防ハンドブック[第1版] より

上記にありますように

「くしゃみ、咳、つば、などでウィルスが放出され、それが口鼻などから吸い込んで感染する」
「感染者の手に付着したウィルスが、日常生活で他のものに付着し、非感染者がそれを触り、口鼻を触ると粘膜から感染」

の2つが主要な感染経路です。

ビニール袋をめくるために指先につばを付けたり、鼻をほじっても、キスをしても感染リスクはある

ドアノブ、スイッチ、手すりに触ることでウィルスが付着した場合、その後にビニール袋をめくるために指先につばを付けたり、鼻をほじっても感染する可能性があります。

また、目がかゆいから手でこする・鼻の頭がかゆいからゴシゴシと掻く際に、目鼻の粘膜に触れてしまい、そこから感染することもありえるわけです。

ウィルスはどこに付着して、どれくらい生存するのか?

これに関して厚生労働省は明確な数字をまだ出していません。2003年のSARSのときは下記にように報告されています。

実際、SARSコロナウイルスは患者の気道分泌物以外に、糞便、尿からも長期間排出されることが確認されている。既知のコロナウイルスの場合、外界での生存時間はおおむね3時間とされているが、WHOの発表によれば、SARSコロナウイルスは乾燥したプラスチックの表面で72時間生存できる。また糞便や尿中でも48時間生存が可能であり、さらに下痢患者の便はpHが高いため生存期間は4日間とかなり長い。

東京都感染症情報センター » 重症急性呼吸器症候群(SARS)について

SARSとコロナの生存時間が同じ、とは言えませんが、プラスチック表面でも72時間は生存する可能性があるわけです。米疾病対策センター(CDC)は空気中3時間、プラスチックやステンレス表面で2~3日間生存、という報告を出しています。

革だけ消毒してもあまり意味はない

ウィルスの付着はどこにでも起こりえます。

手すりドアノブは言わずもがなですが、お使いのスマホ・手帳・鞄・靴・服、などあらゆるものに付着し、数時間~72時間生存する可能性があるわけです。

だからこそ、「革製品だけ消毒してもあまり意味はない」わけです。消毒するならばありとあらゆる品を消毒し、手で目鼻口などの粘膜部分に触らないことです。

実際問題、今現在飲食店などは食器以外にも机椅子なども消毒しており、その手間隙が莫大になってきています。

また、「マスクを装備しているから大丈夫!」なんてことは全くありません。

マスクはコロナウィルスに対しての万能防御にはならない

マスクは万能防御道具ではありません。
コロナウィルスに対してマスクをつけるメリットは2つ

(1)咳・くしゃみなどの症状のある人が使用する場合

咳・くしゃみなどの症状のある人は、周囲の人に感染を拡大する可能性があるため、可能な限り外出すべきではない。
また、やむを得ず外出する際には、咳・くしゃみによる飛沫の飛散を防ぐために不織布製マスクを積極的に着用することが推奨される。これは咳エチケットの一部である。

(2)健康な人が不織布製マスクを使用する場合
マスクを着用することにより、机、ドアノブ、スイッチなどに付着したウイルスが手を介して口や鼻に直接触れることを防ぐことから、ある程度は接触感染を減らすことが期待される。

また、環境中のウイルスを含んだ飛沫は不織布製マスクのフィルターにある程度は捕捉される。

しかしながら、感染していない健康な人が、不織布製マスクを着用することで飛沫を完全に吸い込まないようにすることはできない。

よって、咳や発熱等の症状のある人に近寄らない(2メートル以内に近づかない)、流行時には人混みの多い場所に行かない、手指を清潔に保つ、といった感染予防策を優先して実施することが推奨される。

やむを得ず、新型インフルエンザ流行時に外出をして人混みに入る可能性がある場合には、ある程度の飛沫等は捕捉されるため、不織布製マスクを着用することは一つの防御策と考えられる。

ただし、人混みに入る時間は極力短時間にする。

新型インフルエンザ流行時の日常生活におけるマスク使用の考え方

・今の時期は花粉症やアレルギー反応で咳が出ることがあります。私自身が2月になると咳がでるアレルギー持ちです。最近は公共の場で咳をするとギョッとした顔で見られたりします。(´・ω・`)

私のようなアレルギー持ちはマスクをつけることで「人に移しませんよ」という咳エチケットとなります。

「咳エチケット」は、これらの感染症を他人に感染させないために、個人が咳・くしゃみをする際に、マスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえることです。

咳エチケットより


マスクがない状態で咳が出そうな際は、手で覆えばok!ではなく、下記のようにガッチリとガードすることを咳エチケットでは推奨されています。

咳エチケットより

・非感染者がマスクをするメリットは?

マスクをしたからといって感染予防100%にはなりません。マスクをすることで目鼻口などの粘膜に触れづらくなることが予防としてのメリットになります。マスクをしたからといって安全!と思うことなく、こまめな感染予防を行うべきなわけです。

感染予防は何をするべきか?

基本は手を洗う・咳エチケットを守る・"密"を避ける、です。

新型コロナウイルス感染症の予防

風邪や季節性インフルエンザ対策と同様にお一人お一人の咳エチケットや手洗いなどの実施がとても重要です。感染症対策に努めていただくようお願いいたします。
風邪症状があれば、外出を控えていただき、やむを得ず外出される場合にはマスクを着用していただくようお願いします。

まずは手洗いが大切です。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前などにこまめに石けんやアルコール消毒液などで手を洗いましょう。
咳などの症状がある方は、咳やくしゃみを手で押さえると、その手で触ったものにウイルスが付着し、ドアノブなどを介して他の方に病気をうつす可能性がありますので、咳エチケットを行ってください。

新型コロナウイルスを防ぐには より

外出する際は密を避けて外出しましょう

集団感染の共通点は、特に、「換気が悪く」、「人が密に集まって過ごすような空間」、「不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」です。
換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間に集団で集まることを避けてください。

 

コロナの話ばかりじゃなくて、西の革業界の話もしてください

「ムラキさん、新型コロナウィルスの話ばかりじゃなく、西の革業界の話もしてください」

今回、新型コロナウィルスのおかげで4/3-4予定だった「本日は革日和♪in 大阪」も延期としました。

で、それじゃなんですので、西の革屋さんをふらふらと巡り。

「ちゃーす! 

かくかくしかじかで西の革屋さんの新作革、できれば国産のを紹介したいんですけどなにかあります?」と押しかけたところ皆さん快く紹介してくれました。

革の写真はこちらです。

「ふんわり」「もっちり」という質感はレザーでも人気のようです。国内のつくり手たちが仕上げた革は、色合い・風合いに優れています。

くわしい情報などはリンク先をご覧ください。

革日和春in大阪が中止になったので各革会社の新作革などを見てきた | 本日は革日和♪


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。
今月は、靴業界における弟子システムとはどのようなものだったか、を当時を知るエキスパートのお話しや文献を基に深く掘り下げてくださいました。働き方改革が注目されるいま、改めて知っておきたい内容です。ぜひ、ご覧ください。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。
当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。

人気イベント「本日は革日和♪」や村木さんの活動予定、スケジュールなどが文末にまとめられていますので、最後までご覧ください。また、下記のリンク先、をチェックしてください。

  「本日は革日和♪」
  <http://ccrui.sakura.ne.jp/kawabiyori/>

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毎度です! 「最近TELしたら東京の方でも『毎度です』と帰ってくるようになってきた」ムラキです。大阪商人めんどくさいなぁ、とか思われているのかなぁ( ゚Д゚)y─┛~~

前回のblogでは「職人になりたい!」という人向けに職人というものの定義や職人になるために何をすればいいかを軽く紹介してみました。

「人に話したくなる革の話」/キッズレザープログラムと「職人になりたい!」という人向けの話

で、それを見た人から「弟子入り、というのは可能なの?」という相談がありましたので、いつものごとく様々に話を飛びながらこの国の革産業における弟子というものについて解説していきたいと思いますわ。



目次 

職人の定義をもう一度

弟子入り、という制度はどのようなものだったか?

本で見る日本の靴業界における徒弟制度

至高の靴職人 関信義-手業とその継承に人生を捧げた男がいた

大塚製靴百年史

日本のモノづくりをする人は「弟子」という言葉が好きすぎる

実際に当時を知っている人に話を聞いてみた

ドイツはマイスターでギルド、というシステムが有る

先日大阪でバッグメーカーさんのセミナーをしました

さて、最初の質問「弟子入り、というのは可能なの?」という回答

ムラキの今後予定。手前味噌ですが、、



職人の定義をもう一度

革業界においては職人、という定義はされていません。「この資格を持っていたら職人」「これができたら職人」ということはないわけです。基本的には「自称職人」、の世界です。

ですので、メーカーで10年働いて職人、と名乗る人もいるし、どこかの学校なり教室卒業して職人、と名乗る人もいます。メーカーからもらった仕事をひたすら行う請負職人、という人もいますし、百貨店の「日本の職人展」で接客しながら販売する職人さんもいるわけです。

職人、という言葉に対して個々人の使い方が異なるので「自分が意味する使い方と違う!だからあいつは職人じゃない!」というのはお門違いですよ、というのがこの項目の趣旨です


弟子入り、という制度はどのようなものだったか?

上記は今回のためにひっくり返した私の趣味の「革に関する蔵書」の極々一部です。

大前提として、靴業界は資料が残っています。日本の製革の歴史は明治時代からスタートであり、その際も軍需品としての靴がスタートでした。奈良時代なり、戦国時代なり江戸時代などにも革産業はあるのですが、革が大量に生産されたのは明治時代からです。

で、軍需と結びついていると記録がきっちり残ります。おかげで今現在も多数の本を読むことが出来ます。個人的に革に関する書籍を集めていますが、鞄財布などはほんとに少ないです(;・∀・) たまにあってもそれは「鞄メーカー」としての記録なりであり、「鞄職人」の記録はほとんどありません。「財布職人」に関しては現状私も見つけきれていません。

例えば鞄のエース創業者 新川柳作氏は自伝を残してくれており、読み応えがあり面白いです。ただ、それは鞄メーカーを興した人物の自伝であり、「鞄を作った職人さん」の記述は非常に少ないです。下記サイトで自伝の一部が読むことが可能です。


新川柳作記念館 Ryusaku Shinkawa Museum|エース株式会社

それに対して靴職人に関しては職人さん自身or他者なりが書いた本がそこそこの数が残っています。で、それを見てみましょう。


本で見る日本の靴業界における徒弟制度

至高の靴職人 関信義-手業とその継承に人生を捧げた男がいた

至高の靴職人 | 小学館


あらすじ

日本最高峰の靴職人の半生を追う
日本最高峰の靴職人、関信義さんが70歳を超え、いよいよ引退することを決めました。関さんの名は、ファッション業界関連の者なら知らぬ人はいないほど。その半生を振り返り、いかにして最高峰の称号を得るにいたったのか、関さんが生きた靴業界はどのようなものだったのか。大量生産の時代の終焉を迎えようとしている今、自らの命を削りながら、後継者を育てる職人の生き様を追いかけます。

私自身は関信義氏とは面識がなく、「至高」なのかどうかはここでは触れません。知りませんので。決して「わぁ、皮革産業連合会のBLOGに載っているから一番正しいんだ」と早とちりしないでくださいね。後で私がJLIA上層部から怒られますので(;・∀・)

竹川圭氏が聞き取った上で書き連ねたもののため、かなり読みやすい本です。また、戦後の靴職人の飲む打つ買うなり喧嘩っぱやさなども記録されており面白く読めます。これを読むと高齢の靴職人さんが「えっ!大学出てなんで靴職人になりたいの?」という気持ちもわかります。

で、この本では17歳の関信義氏の修行時代(1957年)が書かれています。三和、というのは靴メーカーさんの名前です。

・小僧の朝は6時。食堂ではおかみさんと姪っ子が育ち盛りのための朝食を用意して待ち構えている。いたるところで「お代わりっ」の声が飛び、女たちは「はいはい」といってどんぶりに湯気の立った飯を盛る。さながら戦場のような空間に四羽ガラスは平然と混ざり、負けじと飯をかっ込んだ。
三和はタダメシを食わせるだけでなく、月500円の小遣いもくれた。知り合いの大工の小僧に比べれば少なかったが。それでも2日に1度は銭湯に通え、月に1度は映画もみられたので文句はなかった。誰よりも早く仕事を覚えていった関がかわいかったのか、おかみさんはことあるごとにこっそりと駄賃をくれたのでなおさらだった。製靴業は猫の手も借りたいぐらい、仕事があふれていた。戦後主役の座に躍り出たサラリーマンにとって。靴はまずは手に入れなければならないひとつだった。

(至高の靴職人 関信義 p61)

そのころの日本人は大人も子どもも荒っぽかったが、職人の世界は輪をかけてひどかった。小僧は職人の仕事をみて覚える。徒弟制度のこのルールも、一筋縄ではいかない。作業台に近づこうものなら「じゃまくせえ」と一蹴され、遠巻きに眺めていても「みてんじゃねえ」とすごまれる。関はずいぷんと理不尽な育て方だと思った。

(至高の靴職人 関信義 p65)

小僧の日々に慣れてくると、合間合間にくず革を使って針を刺す練習が許されるようになる。辻が手つきをみて、あるとき、仕掛かりの靴の数針を縫わせてくれる。たいがいは口汚くののしり、この糸はよく締まっているなとごくたまに褒める。うれしくなって前のめりになる自分を冷静にみているもうひとりの自分がいて、うまいことやるもんだなと心のなかでは思っていた。

(至高の靴職人 関信義 68p)

小僧2年といわれる修行期間を、関は1年あまりで駆け抜けた。2年程度の下積みというのは素人に毛が数本生えた段階であり、予習があればもっと時間をかけたいのが経営者の本音である。しかし次から次へとやってくる仕事をこなすには職人はいくらいても足らず、また、いつまでもただ養っているわけにもいかない。半ば強引に一本立ちさせるための制度が"小僧2年"であり、関への処遇は例がなかった。

(至高の靴職人 関信義 71p)

小僧を卒業すると、奉公返しと呼ぶ2年が幕を開ける。
奉公返しとは世話になった礼に、相場の半値で靴をつくる期間を指す。

(至高の靴職人 関信義 97p)

 

関信義氏からの聞き取りによりこの当時の弟子システムが色々とわかります。


・靴職人、というのはこの場合受け取りの量産職人


・1足仕上げて~円もらう、という仕事。どれだけ早く丁寧に仕上げるかが評価基準

・弟子は衣食住は保障してくれ、お小遣いくらいがもらえた

・「靴業界は猫の手も借りたいほど忙しかった」という時代だった

・2年で独立、その後奉公返し、というお礼するシステムがあった

「1年で出す」
3ヵ月経って、作業台と椅子をつくってやった。弟子入りをみとめた証だった。
仕掛かりの靴を渡して1から叩き込んでいった。不合格ならバラしてやりなおさせた。
1回は許しても、2回目の失敗には容赦なく雷を落とした。玲子は歯を食いしばってついてきた。毎日弁当をつくってきて、朝は早くから日が暮れるまで作業に没頭した。
弁当を食べ終わると、地べたにぺたりと座り込んで、じっとしているのが印象的だった。身体の隅々へ効率よく栄養をいきわたらせるぺく、無意識にやっていたのだろう。午後からの作業に具える姿は充電中のロボ″卜を思わせた。
そのうち小遣いをやるようになった。
玲子はもち前の負けん気で一つひとつ確実に手になじませていった。関の読みを上回るペースで上達をみせ。約束の1年が経つころにはひと通りのことがこなせるようになった。
いれば学ぶことはいくらでもある。ついつい手もとにおいておきたい気持ちが勝って、ずるずると卒業を先延ばしにしていた。
(中略)
「あ、関だが。うちで面倒みた若いのがいるんだが、そっちで使ってくれないかね」
ひとり立ちさせることを決めた関は、かつて籍をおいた三田製靴に声をかけた。

(至高の靴職人 関信義 18.19p)


こちらは冒頭第1章「はじめての弟子」からの引用です。関信義氏が近年弟子を取った際の教え方が書かれています。


・お金は渡さずある程度できるようになったらお小遣いを渡していた


・住み込みではなく通い

・自分の仕事の手伝いをさせていた


これだけ見るとえげつないように見えるが、師匠は弟子が独立する際には「こいつは俺が育てた弟子だ」「だから取引先さん、よろしく見たってな」と声がけする義務的なものもあったわけで。

技術だけではなく、師匠がもつ信頼も一緒に渡していたわけです。


大塚製靴百年史

大塚製靴さんが昭和50年頃に出した百年史。この中で「職人はここまで出来たら2級」などしっかりと規定されていました。今回の弟子入り、とは違う話ですが、この当時にこれだけしっかりとした基準を定めているのはすごいですな。


日本のモノづくりをする人は「弟子」という言葉が好きすぎる

過去にも書きましたが、日本人は「職人」や「モノづくり」という言葉がすごく好きです。また、それに付随する弟子、という言葉も大好きです。

それはそれで構わないと思っています。ただ、「弟子、というのは金銭をたいして払わずに使っていい人材」というわけではありません。過去の時代でも衣食住保障+お小遣いは支払っていました。
関信義氏が近年弟子を育てた際は「通いで来てもらう」「当初は金を支払わず使う。ある程度育ったらお小遣いを支払う」「見込みなかったら早期に『お前は向かない』と引導を渡す」などをしていました。

弟子システムを師匠が取る最大のメリットは薄給で使えることではなく、育った後に下請け仕事先として依頼する協力相手を作る、ということだと私は思っています。そのためには「猫の手も借りたいほど忙しい仕事」が存在しないと弟子も取れません。

また、師匠は弟子に対して「この仕事を習得すると将来これだけ食べれる」という未来図を提示してあげるべきだと思います。まぁ、だからこそ今の時代「食っていけるわけでもないし、君をそばに置いておくほど仕事ないから弟子入りは認められない」と言われるわけですが。



実際に当時を知っている人に話を聞いてみた

大阪で靴の型紙制作・型紙講座を開いている古瀬勝一氏。先日「東京レザーフェア」(2019年12月)の際に靴の制作実演をしていただきました。

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」/豊岡鞄のセミナーを聞いたり、型紙セミナーを運営して思った 知ってもらう大切さの話

で、この古瀬氏、実家が靴メーカーでした。お父さんが師匠として弟子も多数雇っておられました。ですので当時を聞いてみました。

(★以下、「」内が古瀬氏の話です)


「当時、、、1970年代手前くらいですかねぇ。僕が小学校の頃でした。家は靴メーカーでしたね。メーカーと言っても自宅兼工房みたいなものでしたよ。父は面倒見が良い人でした。衣食住完備でお小遣いもあげていましたね。お小遣いは多くはありませんが、映画見に行くなりパン買うなりしていましたね。

当時お小遣い以外にも母が積立をしていました。独立する際に通帳と印鑑を渡して『無駄遣いするんじゃないよ』と言いながら渡して送り出していましたねぇ」


自宅兼工房、ということは弟子と一緒に暮らしていたってことですか?


「もちろんです。父は『弟子が優先』という考え方でした。

例えばすき焼きを食べるときは父と弟子が優先でした。僕と兄は弟子たちが食べたあとの残りを食べさせられていましたね。だから幼い僕にとってはすき焼きってのは鍋の底に残ったドロドロのものでしたねぇ。(^_^;)」

えっ!親方の息子だからでかい顔できた、とかなかったの?


「ありませんありませんよ!
例えばTVなんかは父が最優先でプロレスや野球見ていました。その後に弟子が見たいものを見る、みたいな。子どもたちが見たい8時だよ!全員集合、なんかはなかなか見れませんでしたね。
銭湯も弟子と父が一緒に行き、父がお金出していましたね。

父はアメとムチをきっちり使い分けられる人でした。そりゃ仕事では厳しかったですが、生活ではアメを与えていましたね。例えば、うちは扇風機やクーラー、車が家に導入されるのは遅かったんですよ」


??なんで?


「父が『独立した弟子がきちんと扇風機orクーラーor車が買えるようになったらうちも導入する!』という考え方でした。だから自転車の後ろに靴を140足入れた箱をくくりつけて納品したりしていましたね。原付き運転できる弟子が入ったときにスーパーカブを導入しました。 他にも結婚、出産などがあった際には祝い金も出していましたね。

ムラキさんが言わはる奉公返し、とかはなかったです。うちのメーカーが下請けに出す金額と同じだけ、独立した弟子に払っていました。で、お金をためて扇風機or車なり買ってがんばれよ!と言っていましたねぇ。まぁ、こういうシステムは今の時代運用は難しいですよね」


ドイツはマイスターでギルド、というシステムが有る

ドイツ靴文化論講演会 7/7 in大阪 上田安子服飾専門学校 | phoenix blog

2016年に行われたセミナーで【ドイツ靴職人の修行と労働環境の推移】というものがありました。当時から弟子システムなどについて調べていた私からしたら非常に面白い内容でした。

日本では「ドイツにはマイスターと職人が尊敬されている」「ギルド、という職人組合がある」、というくらいの認識かと思います。ですが、私個人が思ったよりも遥かにマイスターという言葉は重く、また義務もありました。


・マイスターは国家資格


・ドイツ手工業組合がある
>連邦共和国法律下で手工業領域全般の資格試験(GESELLE^MEISTER)の運営菅理
>MEISTERの労働環境や地域でのパワーバランスを管理(独立店舗を持つうえでの立地的調査・調整)
>検査機関としてマイスター試験など各種試験が公正適切に行われたか、政府に定期的にレポート
>GESELLE・MEISTERのためのスキルアップセミナーの開催
>労働法などの法的アドバイス
>MEISTERやエンドユーザー、弟子間の問題仲裁などを行う


・インヌング=職人協会が中世から存在する。
>職業別に特化した組織
>職業規定・倫理規定・同業者との地域連携、弟子の育成環境が適正かチェック・管理
>弟子に対してのケア。訓練場所のレベルや公正な修行、技術指導が行われているか定期的にチェック
>弟子や職業訓練場所との問題解決・仲裁
>協会員とエンドユーザー間で起きた問題の仲裁
>セクハラ・パワハラがあった場合の指導・仲裁


ドイツは職人の国、といわれますが、日本よりも遥かに職人に対する教育体制や法的・組合の義務が多く存在するのが印象的でした。だからこそ、国民が職人に敬意とお金を払うんだろうな、とも思います。

ここらの話に興味ある方は下記などが参考になるかと思います。

ドイツのマイスター制度 - マイスター制度を理解するためのキーワード - ドイツ生活情報満載!ドイツニュースダイジェスト

pdf:英国における皮革業の社会史:比較文化史の視点から 1 

 

先日大阪でバッグメーカーさんのセミナーをしました

大阪府皮革業界総合研修、という毎年大阪府が行ってくれる研修事業があります。大阪府さん、毎年毎年ありがとうございます!(*´ω`*) 革の解説に関してはプロ中のプロの人が来てくれたり、越境ECの話など今年も盛りだくさんでした。(新型コロナウイルスの影響で後半中止になっちゃいましたが。。。)

で、今回2つのセミナーの段取りを組んでほしい、と言われ協力。そのうちの一つが西川商店さんを呼んで「気持ちよく働ける会社作りで、人が人を呼ぶ。」という内容で話していただきました。


大阪府皮革業界総合研修 第1回が面白かった&今後の予定セミナーが濃ゆい | phoenix blog

西川商店紹介>若い世代のつくり手が生き生き働く老舗ファクトリー 爬虫類皮革製品等メーカー 工場見学(株式会社西川商店)レポート |  BLOG | ファッション雑誌『装苑』のオフィシャルサイト ファッション、ビューティ、カルチャーなどの厳選した情報をお届け! 装苑ONLINE


このセミナーでは私は黒子というか太鼓持ちというか、司会を行いました。事前に聞き取り調査をし、レジュメを作り、「当日このように質問します、でも1割ほどアドリブで聞きます」というような脚本も書きました。芸人ならばいざしらず、普通の人は「はい、セミナーしますので喋ってくださいね。あとお願いね!」と言っても出来ません。また、本音も喋れません。ですので「で、うちの主力の生産の子が独立したいと言い出しまして」「えっ!困りますやん!」「そうなんですよ!」などのツッコミ・合いの手を入れるのが私の役割でした。関西人の7割はツッコミとボケができるんですよ

気持ちよく働ける会社作りで、人が人を呼ぶ。」というタイトルだけあって、どのように働くひとに来てもらっているか、という話が中心。福利厚生もしっかりとした状態で人を募集し、弟子・師匠というシステムとは異なります。ですが、しっかりとした教育システムの下で人を育てるのがわかるセミナーでした。

ツッコミ入れつつ「なるほど、今の時代はここまで整えないとモノづくりの会社で働きたいんだ!という人を惹きつけられないんだなぁ」と冷や汗をかきました。


さて、最初の質問「弟子入り、というのは可能なの?」という回答

弟子に入りたい、という人に対しての回答です。


・技術を学びたいだけならば教室なり学校がオススメ


・昔の「猫の手も借りたいほど忙しい」時代ならばまだしも、今の時代はそこまでの仕事がない環境の師匠のもとでは教わるメリットがあるかなぁ、と。

・「どうしてもこの人に習いたいんだ!」というならば「お金払うから仕事を手伝わせてください」とお願いするのも手。

<師匠にしたら「この仕事学んでも将来食っていけるかわからんよ」「弟子とるほど仕事たくさんないんだよ」というのならば、あなたがお金払って、教わるのも手。
<ただし、弟子を育成したことがない人は教える技術が低い、と思ったほうがいいです。そもそも「教える」ことに向かない人も多々います。(ex.「見て覚えるんだよ!」「チャッとやってギュッとやるねん!」)

<知り合いメーカー曰く「月々5万も払ってくれたら仕事やってもらいつつ技術も教えるよ!ある程度いったら無料、お小遣い、給料、とレベルアップするよ!」とも。


ついでに師匠or人を雇う、という革関係の会社の方向けの提言


・「見て覚えろ」「俺の若い頃は」は今の時代通らないです


・下記の本、いいですよ


「新たな"プロ"の育て方」amazon

左官屋が若い人をどう育てたか、という内容。根性論などではなく、今の若い人向けにはこう教えないと技術は教えきれない、という内容。

作者blog>書籍を執筆した思い「新たなプロの育て方」 - 原田左官のブログ


ムラキの今後予定。手前味噌ですが、、

・2月28日(金) 16:00~18:00 とすぐですが、大阪のA´ワーク創造館googlemap)で下記セミナーを行います。

特別セミナー「人に話したくなる革の話〜新世代のモノづくりは何をどのように活用しているか」のご案内 | シューカレッジおおさか


メーカーさん向けの話となりますが「モノづくりで食べていきたい」などの人にも得るものはあるかと思います。オチを最初に言うならば「技術や新素材があるからって食っていけるわけじゃない」というものとなります。「じゃぁ何が必要なのか」というのがセミナーの流れとなります。


・4月3,4日(金,土)は革日和in大阪となります。大阪の革屋さんの感謝市や展示会を予定しています。また革日和告知ページなどで随時、最新情報を公開予定です。



カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。2020年もスタート!
今月は村木さんが委員を担当するプロジェクト「キッズレザープログラム」のご紹介と、つくり手を目指すかたにご覧いただきたいお話です。日本のものづくりの未来に希望を。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。
当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。
人気イベント「本日は革日和♪」。今後の予定、スケジュールなどは下記のリンク先をチェックしてください。
  「本日は革日和♪」
  <http://ccrui.sakura.ne.jp/kawabiyori/>
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毎度です!「今年は暖冬なので過ごしやすいですけど、商売している人は大変だな」と思いつつ、バイクで毎日通勤しているムラキです!暖冬だとバイク通勤はほんとに楽です。空気が乾燥すると大気中の水分が減り、空気が澄んでいる気がしますので運転していて気持ちいいものですな。

さて、2019年12月にキッズレザープログラムの会議があり出席してきました。

今回は下記の話を。

・キッズレザープログラムってなに?そんなことやって意味あるの?
・その場で議題にあがった「子どもさんが将来革でものを作る職人さんになりたい、という相談があった」という話と結末
・革業界は「職人」という言葉の定義が曖昧

などを書いていきます。

目次 [hide]

キッズレザープログラムってなに?

なんのためにそんなことしているの?

そんなことをするよりも今、革製品が売れないと意味がない!という声も

具体的にはなにをしているの?

お子さんから「将来革鞄や靴を作る仕事につきたい」という質問が来ました

職人仕事は早ければ早いほど良い

住み込みで働ける場所あるの?

革業界は「職人」という言葉の定義が曖昧

職人になりたい!というのは曖昧な言葉なんだよ。

鞄靴財布なりの業界に入りたいならば

で、相談のあった子はどうなった?

露骨な宣伝になるけど、そういうセミナーをやります

キッズレザープログラムってなに?

日本皮革産業連合会(JLIA)が行っている取り組みで、私、ムラキは2012年の開始当初から関わっています。えっ!もう8年!?あのとき学んだ小学生も下手すりゃ高校生とか、20歳か、、、

HP:~革を学ぼう!革で遊ぼう!~ kids' leather programs

Insta:leatherkids (@leatherkids) on Twitter

FB:Kids' Leather Programs

過去の記事

2013年 革育、もといKLPで東京出張に行ってきた: レザークラフト・フェニックス

2014年 キッズレザープログラムの出張に行ってきた報告:山ほどいるんだ、専門家は。。専門家、はね。: レザークラフト・フェニックス

2017年 皮革産業連合会のキッズレザープログラムの会議に行っている、という話 | phoenix blog

2018年 キッズレザープログラムに送る革を準備していた。こんなハギレ革でも助かっている、という話し | phoenix blog

なんのためにそんなことしているの?

革という素材を幼いときから触れてもらうためです。小さなときに触ったものは将来親しみを感じてもらえます。将来的に革製品を買ってもらうor革業界で働いてもらうためにも種まきは重要という話ですわ。

当初も現在も目的はブレていないのですが、「お子さんに革を知ってもらう」という取り組みの中で、子ども向けに革の紙芝居などを行うと同伴者の親御さんも興味深く見たりします。なるほど!お子さんにアピールするというのは親御さんにアピールするのと同義なんだな、と学ばせてもらいました。

そんなことをするよりも今、革製品が売れないと意味がない!という声も

うん、こういう種まきをしてこなかったから今、革製品が売れなかったんちゃうんかなぁ。
この取り組みは成果が出るのに10年はかかる。今、じゃなくて、将来革業界で食べていく人のためにもやっておかなくちゃいけないわけで。

具体的にはなにをしているの?

初期の頃はワークショップなどを行っていましたが、人員・費用で問題がありました。

で、考えられたのが靴、鞄、財布メーカーやタンナーさんで不要となった裁断済みの革などを1箇所に集約。で、要望があれば相手にダンボール1箱分のハギレ革を送る。それを授業や活動の中で自由に使ってください、というものです。

キッズレザープログラムを行う前のお約束ごとは下記の通り。

・もらった革でお金儲けなどをするのは厳禁

・活動報告は出してもらう

・キッズレザープログラムを採用してもらう前にきちんとJLIAから専門家を派遣して、キッズレザープログラムの意義や、「他ではこういうことをしましたよ」という説明を受けてもらう

ハギレ革などは下記のものでも十分役に立っています。

キッズレザープログラムに送る革を準備していた。こんなハギレ革でも助かっている、という話し | phoenix blog

みんなの声|~革を学ぼう!革で遊ぼう~ kids' leather programs

常時ハギレ革などはキッズレザープログラム事務局で募集しています。みかん箱1つ分くらいを寄付できるならば代引きにて送ってください。ただ、倉庫の状況などで左右されますので事前問い合わせ<メール:leatherkids@jlia.or.jp>は必須です。

※倉庫をやっている人の都合で2020年4月まで大量のハギレ革の受け入れは難しいです。「いらない革あるんだよ!」という方は、受け入れ可能になれば連絡しますので問い合わせだけでもしてあげてください。

革いいBank|~革を学ぼう!革で遊ぼう~ kids' leather programs

お子さんから「将来革鞄や靴を作る仕事につきたい」という質問が来ました

職人仕事は早ければ早いほど良い

キッズレザープログラム事務局「だから、ムラキさん、どこか良い所しらない?」

めちゃくちゃ大雑把な質問だなぁ(´・ω・`)

キッズレザープログラム事務局「キッズレザープログラムは全国の児童館や養護学校、小学校などに送っていますよね?その中でネグレクトのシェルターさんからも要望が来たので送っているんですよ」

ネグレクト、、児童虐待ってこと?

キッズレザープログラム事務局「それも含まれますが、虐待以外にも育児放棄されたお子さんなどを匿う場所があるんですよね。で、キッズレザープログラムに関わってもらい、ハギレ革を提供。工作の時間などで革を材料として工作してもらっていたんですよ。

ある時、先生から『普段勉強などをしない中学生の子がこの時間だけすごく真面目にしている。将来この子が鞄や靴制作などの道に進むことは可能なのか?』という相談がきたんですよ」

ん~、、、キッズレザープログラムは靴や鞄の組合からも理事の人が来て、会議に参加しているから聞いてみよう。鞄会社社長さん、どないなん?

「ムラキくん、中学校卒業からミシンや裁断などの仕事に来てくれるならかなり望ましいね。」

大学卒業とか高校卒業じゃなくていいの?

「大学卒業してきてもらうのはそれはそれでありがたいけど、やってもらう仕事は営業や生産管理、企画などの仕事になるね。ミシン踏んだり裁断したりをしてもらうことはないかなぁ」

なんでまた?

「理由は2つ。

1つは若いほうが成長速度が早い。大学卒業よりも高校卒業。それよりも中学卒業のほうが向いている。教室通っていた、とかはどうでもいいかなぁ。

もう1つは給料の問題。
ミシンを踏むような職人仕事って最終的には『1日いくつ作れたら~~円払う』という仕事になる。重要なのはこちらの指定する品質を納期までにきちんと仕上げられるか、という問題だよね。

大学卒業で24歳だとするよね。でもミシンを踏む仕事って別に大学卒業の学歴って関係ない。これは中学卒業した子もそうだよね。大学卒業1年生も中学卒業1年生も給料は同じになるわけだ。

で、最初の1年は1日3個ほどしか作れなかったのが、働いて5年経てば1日10個、10年経てば1日20個作れるようになる、と。大学卒業しようが、中学卒業だろうが、1日10個作ったなら同じ給料になるんだよね。『僕は大学卒業したのに給料は同じなんですか!?』と言われたら同じだよ、としか言いようがないんだよ。それに、若いほうが成長早いから、10年かかることを中学卒業した子は5年でできることもありえるしねぇ」

早ければ早いほど良いってことか。

「大学卒業が悪い、というわけではない。ただ、職人仕事するならば大学卒業という学歴を加味した給料は払えない、ってことだね」

住み込みで働ける場所あるの?

キッズレザープログラム事務局「先方から住み込みで働けるような場所がいい、と言われたんですけど、そういう場所はあるの?」

ん~、、、今の時代数は減っているんだよなぁ。
それこそ先日のJLIAblogで書いた豊岡鞄なんかはあったような。(>村木るいさんの「人に話したくなる革の話」/豊岡鞄のセミナーを聞いたり、型紙セミナーを運営して思った 知ってもらう大切さの話

地方の鞄作っているメーカーやランドセルメーカーは寮があるような場所もあるね。靴会社も大手になれば確実にある。

キッズレザープログラム事務局「関東が良いとのことなんですよ(´・ω・`)」

ん~、そこらはJLIAに相談かなぁ。私も関東のメーカー事情とかわからんよ。
まぁ、行った先が地獄だとしてもJLIAとしては仲介に入れないだろうけどね。

キッズレザープログラム事務局「ひどいところもあるってこと?」

ひどい、というか、雇う側と雇われる側、双方の認識がズレている、というケースは多いだろうね。

『自分が若い時はこうだったので今もこうしている』『職人や職人仕事という言葉の捉え方が違う』などが原因で不幸になっているケースはちょこちょこ見かけるなぁ。

革業界は「職人」という言葉の定義が曖昧

キッズレザープログラム事務局「もうちょい詳しく言うと?」

あまり詳しく書きすぎるとまた恨み買うんだけどなぁ。ん~と、、当たり障りなく書くならば、、、

革業界って「職人」という言葉の定義が定まってないんですよね。別に教室卒業した子が1年でお金積んでお店建てて「靴職人です!」と名乗っても良い。今回話したように「鞄メーカーで住み込みで働いて3年たったので職人名乗っています」というのでも良いわけで。

キッズレザープログラム事務局「問題ないの?」

だって革業界の「職人」って資格もないし、試験もないからね。
JLIAがやっている技術認定試験もあるけど、「これを取らなきゃ職人と名乗れない」ということもないし、この試験を取ったら「これをやってもいい」という技術的なこともないよね。

鞄・ハンドバッグ・小物技術認定(皮革部門)試験について | 革製品技能試験

これはあくまで「技術認定試験」だから、「技術があるかどうか」を定める試験。取れたら胸を張って良いと思うし、「取ったから給料あげてくれ」と言うべきだと思うなぁ。ただ、「取ったから独立しよう!」「お店やろう!」というのは全然違う話だよね。

「だから職人という言葉を定義しよう!」というつもりはないよ。それよりも職人という言葉は曖昧なので、『自分が思う職人という言葉の定義を他人に強制・強要するのはやめようね』というのがこの項目の本旨かな。

「職人募集!」とか「職人教育します!」というのを見たときに、「募集者が考えている職人、というのは何をさすのかな?」と疑問に思ったほうが良い。
逆に「職人募集したいなぁ」と考える人は、「当方が考える職人はこういう定義で、こういう仕事をしてもらいます」と、自分の考えを伝える努力をしたほうが良い。

ここらあたりが曖昧だと、「職人教育、というから入ったのにひたすら裁断ばかりさせられた!」とか、「職人になりたい、というから雇ったのに糸切りを2日間させたら辞めた!」というような不幸な結果になるよね。

職人になりたい!というのは曖昧な言葉なんだよ。

「職人になりたい!」と言っている人のイメージと、私が考えている職人のイメージが一致することはほぼありません。

「お店を経営して人を働かせつつモノを作って売る職人になりたい!」と考えるならば、「モノづくり」よりも「営業」「企画」「コミュニケーション」能力のほうが重要だったりする。
「オーダーを受注してモノを作って売る職人になりたい!」と考えるならば、「営業」「デザイン」能力のほうが重要だったりする。
「メーカーから請負の仕事をしたい!請負職人になりたい!」と考えるならば、「モノづくり」の技術を高めたらできる。
(>村木るいさんの「人に話したくなる革の話」/ものづくりの甘美な地獄が味わえる請負職人の世界

ここらを曖昧にして活動をすると不幸なケースになることが多いように思えます。

鞄靴財布なりの業界に入りたいならば

例えば望んだメーカーさんがあり、そこで縫製なりのモノづくり仕事をしたい、というならば。

2年ほど修理業界に行くと勉強になりますね。靴でも鞄でも。「完成品をバラしてもとに戻す」というのはものすごく勉強になります。2年間みっちりと修理業界で働いてから望んだメーカーに打診すると向こうは興味もってくれますよ。

靴業界で修理修行しておくと鞄や財布メーカーに行くときにも立派なウリ文句になるねぇ。
まぁ、そこから「修理面白いからこのまま修理業界でやっていきます!」という子も何人か見たけどね (´・ω・`)

で、相談のあった子はどうなった?

キッズレザープログラム事務局「結局関東のメーカーさんで住み込みで働ける場所があったのでそちらに面接に行ったそうですよ」

いつか会えたら幸いですな。

露骨な宣伝になるけど、そういうセミナーをやります

1/30(木)-2/1(土)の3日間、横浜で行われる素材博覧会で「しくじりハンドメイド作家さん」「お金の話をしよう!~ハンドメイドの値段の付け方」というセミナーをやります。どちらのセミナーも「結局自分がやりたいことはなにかをきちんと決めて行動しよう」「時間、一番大事!」というオチとなります。他に革セミナーなど行います。

素材博覧会 YOKOHAMA 2020 冬
素材博覧会 YOKOHAMA 2020 冬セミナー・ワークショップ一覧

2/20(木)には「大阪府皮革業界総合研修」というセミナーで、大阪の西川商店さんという爬虫類のバッグメーカーさんと「気持ちよく働ける会社作りで、人が人を呼ぶ。」というセミナーをやります。
こちらでは「西川商店に入って生産管理などもする職人さんが独立したい!と言ったときに、西川商店はどういう聞き取りをしたか」「そして彼は今現在何をしているか」なども解説します。

紹介blog:大阪府皮革業界総合研修 第1回が面白かった&今後の予定セミナーが濃ゆい | phoenix blog

西川商店紹介blog:若い世代のつくり手が生き生き働く老舗ファクトリー 爬虫類皮革製品等メーカー 工場見学(株式会社西川商店)レポート | 鈴木清之 | BLOG | ファッション雑誌『装苑』のオフィシャルサイト ファッション、ビューティ、カルチャーなどの厳選した情報をお届け! 装苑ONLINE




カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。
今月はイベント、セミナーを主催する立場でもある村木さんが、ものづくりに関する技術、知識、その魅力の奥深さを多くのかたがたに伝えること、ご理解いただくことについて、マーケットの現状とともに語ってくれました。一年の締めくくりに相応しい内容となっております。
さて、今回が2019年最後の投稿です。一年ご愛読いただき、ありがとうございます。2020年は1月8日(水)からスタートです。来年も引き続き、よろしくお願いいたします。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。
当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。
人気イベント「本日は革日和♪」。今後の予定、スケジュールなどは下記のリンク先をチェックしてください。
  「本日は革日和♪」
  <http://ccrui.sakura.ne.jp/kawabiyori/>

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毎度です!「今年の秋から冬のイベントの山場は無事終了!」のムラキです。

19年12月4・5日 水・木曜日に開催された東京レザーフェア。この9階で行われた革日和ブースの取りまとめを行いました。当日お越しいただいた方、ありがとうございました。

浅草エーラウンド主催イベント 同時開催 | TLF 東京レザーフェア - 革の展示

今回のblogでは、この革日和 in レザーフェアや豊岡鞄のセミナーを聞きに行った話を報告しつつ、思ったことなどをダラダラっと書いていきます。

 


目次 [hide]

今回のレザーフェアでエーラウンド&本日は革日和♪ということで1部屋借してもらえました

革日和は何をやったのか

ワークショップ

靴セミナー

バッグセミナー

なんでこういうセミナーを企画したか

レザーフェア次回にも同じことを革日和は行うのか?

19.11/15には大阪で特別セミナー「豊岡ブランドができるまで」を聞いてきた

内容抜粋

豊岡鞄の今後予定

この国はモノづくり&職人、という言葉が好きな割にそれらにお金を出すのは渋る

今回のレザーフェアでエーラウンド&本日は革日和♪ということで1部屋借してもらえました

レザーフェア開催中、会場である台東区民会館はレザーフェア運営である協同組合資材連が全部借り切っています。
で、9階が空いているし、ということで浅草で行われているイベント エーラウンドと私が運営している「本日は革日和♪」に、「なにかやってくれ」とお声がかかりました。
運営サイドとしては「従来レザーフェアに来ないような層を増やしてほしい」ということでしたが、なかなか難しい注文です。なんせ展示や販売は一切禁止というお達し。
結局ワークショップとセミナー主体と言うことで、知り合いなどを呼んでワークショップとセミナーを行いました。
レザーフェアは水曜・木曜日のみ行われるため、ワークショップは集客がちょっとなぁ、というものでした。ワークショップは土曜・日曜日なり絡めないと厳しいですね。

それに対して、セミナーは平日にも関わらず遠方は青森からも来られたり、靴の専門家なども来て満席に近い状況でした。

革日和は何をやったのか

大阪から靴のパタンナー 古瀬勝一氏、バッグのサンプル師 中村保義氏を呼んで型紙実演セミナーを行っていただいたり、nijigamitoolさんに来ていただきワークショップを行ってもらいました。

ワークショップ

nijigamitoolは東大阪にある木工の夫婦ユニットが主宰しています。木工による革の工具などを作ったり、ワークショップを行ってくれています。

今回は「展示販売禁止」という条件だったためワークショップのみの参加でした。下記の工具などもワークショップで使ったものです。

靴セミナー

靴のパタンナーという仕事は、「靴の木型から型紙を実際に作る」というのがお仕事です。木型から作る実演ということですので、2時間で木型から型紙を作る、という濃い内容でした。
当日は撮影環境を整えて、受講した方には復習用に後日動画もプレゼントという体制を整えました。

靴木型から型紙を作る実演 外羽根編 2019年12月4日(東京都) - こくちーずプロ
靴木型から型紙を作る実演 ニーハイブーツ編 2019年12月4日(東京都) - こくちーずプロ

古瀬氏には外羽根、ニーフットブーツ、という2つのセミナーを2時間×2回で実演。聴講者は靴メーカーの方、教室生徒さん、教室運営者さんなど多彩に聞きに来られ、充実した成果を得られたと思います。古瀬氏は専門学校の講師をしていたこともあって、「なぜこのラインはこのようになるのか」などを論理的に説明し、作業をしつつ解説する、というテクニックも有しており、このセミナーでも手と口を止めることなく解説していただきました。

バッグセミナー

翌日12/5は、大阪の「サンプル師が教えるバッグ教室」主宰の中村保義氏に来てもらいました。

サンプル師が型紙実演:つまみのついたハンドバッグ 2019年12月5日(東京都) - こくちーずプロ
サンプル師が解説『バッグメーカーの面白さ、辛さ、お金の流れ、型紙の意味を解説するセミナー』 2019年12月5日(東京都) - こくちーずプロ

型紙実演は実際のつまみのついたハンドバッグの型紙の作り方を実演してもらい、こちらも動画を後日聴講生にプレゼント、という形式で行いました。

で、2番めの「サンプル師が解説『バッグメーカーの面白さ、辛さ、お金の流れ、型紙の意味を解説するセミナー』 」は座学セミナーで、中村氏による「メーカーという仕事はどういう仕事か」を喋っていただきました。

このセミナーは1年ほど前に大阪で行ったのと同じセミナーです。

なんでこういうセミナーを企画したか

中村さん、サンプル師やメーカーってどんな仕事か教えるセミナーをやってみようよ

中村さん「そんなんやって聞きたい人いるんかなぁ?」

例えばバッグや鞄メーカーに入っても実際にミシン踏んでサンプル切る人って少ないやん?メーカーってクライアントと職人の間にたって利益を稼ぐ仕事だけど、お金の流れや苦労って理解しづらいやん?そういう利益はどこから出しており、どういう苦労があり、どういう喜びがあるか、を知ってもらえたら将来的に革業界で働きたい人の選択肢に幅が出ると思うんだよね。ネットは発達してきたけど未だに革業界や鞄業界って内部の情報発信が全然足りてないと思うんよ。だからやってみたいんだよね。

「無料でやるん?」

無料はあかんよ。無料でもらったものを人は大切にしない。だから必ずお金はもらう。その分しっかりしたものを提供する、という縛りがセミナー講師にも主宰者にも出てくるよね。だから「はい!中村さんに任せた!当日は自由に喋ってください!僕は依頼しただけです!」なんてせぇへんよ。レジュメも整えて用意するし、中村さんが必要ならば狂言まわしなり司会もするよ。だからやってくれへんかなぁ。きちんとお金も払うよ。

「そういうことならええよ、協力するよ~」

という流れで行ったセミナーです。

当日はメーカーの人や、請負職人さん、青森から来た方など満席状態でした。

レザーフェア次回にも同じことを革日和は行うのか?

多分行いません。
ワークショップはやはり平日のみでは集客できず、ワークショップをやっていただく方にメリットがありませんでした。セミナーは喜ばれるとは思いますが、もう少しターゲッティングしないと講師の方にも悪いかな、と。

多分このblogを読んで「えっ!そんなことやっていたの!行きたかった!」という声も出るかと思いますし、イベントは3回やらないと周知されないので最低あと2回やらないといけないんですけどね。

個人的には日本皮革産業連合会(JLIA)が作った「皮革の出来るまで」や「鞄の出来るまで」のDVD上映会なり、他の革関係の上映会などをやったほうが一般層へのアピールにはなるかな、と思います。その際は「動画を流した。さぁ、あとは勝手に見てくれ!」では駄目で、「この動画ではこの点が見どころです」などの解説がないと意味がないかもなぁ。下記の「出来るまで」DVDは個人的に全部購入して見ていますが、出来が良いんですよ、これ。売り切れたら再生産しないんじゃないかな、これ、、

2017/09研修用DVD「ランドセルの出来るまで」
ご購入を希望される方はこちら。
2017/04研修用DVD「手袋の出来るまで」
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2016/05研修用DVD「レザーウェアの出来るまで」
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2014/05研修用DVD「ベルトの出来るまで」
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2013/05研修用DVD「ハンドバッグ・小物の出来るまで」
ご購入を希望される方はこちら。
2013/05研修用DVD「鞄の出来るまで」
ご購入を希望される方はこちら。
2012/05研修用DVD「靴の出来るまで」
ご購入を希望される方はこちら。
2011/07日本の皮革産業の底力とJLIAの活動を
気軽な映像コンテツにして配信中 !
2011/03外国人のお客様をおもてなし !
中国語・韓国語・英語 接客会話集
2009/05研修用DVD「皮革の出来るまで」
ご購入を希望される方はこちら。

19.11/15には大阪で特別セミナー「豊岡ブランドができるまで」を聞いてきた

さて、大阪にて11/15に行われたシューカレッジおおさかによるセミナー、「特別セミナー「豊岡ブランドができるまで」を聞いてきました。

これがなかなか笑いあり涙ありの素晴らしい内容でした。

内容

このたびシューカレッジおおさかで、特別セミナーとして公開講座を開催することになりました。

2018年4月にシューカレッジおおさかを立ち上げた際に、地域の地場産業の振興の先進的な事例として、豊岡での取り組みを大きく参考にさせていただきました。人材の確保、育成(知識・技術の向上)、新規事業、地域との共生など、1つではなく、更にはお互いが絡み合う複雑さを増している課題を抱える状況の中、学校「Toyooka Kaban Artisan School」「鞄縫製者トレーニングセンター」を中心にしながら、「豊岡鞄」という地域ブランドづくりなどを展開することで好循環を作り出し、鞄の産地としての「豊岡」は内外共に輝きを見せています。

今回は数ある取り組みの中でも、「豊岡鞄」という地域ブランドについてのお話をお伺いしたいと思います。熟練の職人によって作られた高品質の鞄にしっかりとした品質保証をすることで、その価値を守り、結果として地場産業の振興や維持に大きな役割を果たしています。この地域ブランドの立ち上げに至るまでのきっかけや経緯、そして地域ブランドをどのように活用されているのかをお話しいただきます。

「豊岡鞄」「豊岡財布」「豊岡小物」オフィシャルサイト

靴に関わる方だけでなく、広くどなたでもご参加くださいませ。自社のブランディングだけでなく、業界や地域を巻き込んでのブランディング戦略を考えられている方など、新規事業づくりや企画に新しい知識や事例を知りたいという方には特にオススメの内容になっております。

■セミナ-講師

植村賢仁 氏
兵庫県鞄工業組合 副理事長
マスミ鞄嚢株式会社 代表取締役

内容抜粋

細かく書いちゃうとセミナー主宰にも講師の方にも失礼ですので抜粋だけでも。ブランド構築の苦労や、組合の苦労などが偲ばれて泣けてくる良いセミナーでした。細かい数字もバンバンと出してくれる生々しさもあり、靴鞄財布タンナーなど限らずに「ものを作って売る」という商売をしている人全員聞いて損のないセミナーでした。

・OEMの限界。ブランド構築を考える。

・商標取るのに苦労した

工業製品としては第一号の商標認定。

・ブランド構築のために苦労したこと
将来この地がどうなりたいか、子どもたちがどのように働いているか、などの未来を見据えて、その上でどのお客をターゲットにするか、など

・買う人が何を求めているかは現場にしか落ちていない。
ある程度 主 になる人は販売員として立ってもらった。

・ブランドとは続けなければならない

・組合都合を一切排除

・豊岡鞄には製品保証
自社じゃない品でも豊岡鞄として修理する

・豊岡鞄の認定
合格率5割から6割。
検査してアウト、ではなくて、アドバイスも惜しまず出す。

仲間内でそういうことをやるのは勇気がいる。

・豊岡鞄の活動について
売れるようになると展示会募集が増えるけど、見極めはバイヤーやマネージャーが熱意持ってきちんと取り組んでくれるかどうか。

・周知活動
今後を考えると消費者にアピールしないと意味がない。
消費者に知ってもらう活動を続けている。

・ふるさと納税でカバンを買おう、という人も多い。

・派手に動くと便乗して入ってくるところも多い。
組合としては周知活動はするが、儲かるかどうかは各社の仕事。

豊岡鞄の今後予定

お知らせ|兵庫県鞄工業組合「豊岡鞄」地域ブランド委員会

豊岡鞄フェア @髙島屋大阪店

毎年恒例の、大阪髙島屋でのフェアを新年早々に開催いたします!
【会期】1月3日(金)~1月7日(火)
午前10時~午後8時(最終日は午後6時閉場)
【会場】髙島屋大阪店 7階催会場

マスミ鞄嚢のオーダー受注会を始め、カバンコンシェルジュキヌガワによりますカバン・財布の修理、お手入れ相談会も開催いたします。

いつもご好評いただきます、ミニチュアボストンのワークショップも開催いたしますので、是非ご参加ください。

皆様のお越しを、心からお待ちいたしております。

この国はモノづくり&職人、という言葉が好きな割にそれらにお金を出すのは渋る

「良いものを作っていたら売れるんだ」というのは今の時代には全く即していません。

知ってもらう。理解してもらう。

それはTVに出たり、タレントが宣伝すればいい、というものではなく、作っている本人や社長、ブランドプロデューサーなどが自分自身で心からアピールしないと相手に理解してもらえないと思っています。

これは「アピールしよう!頑張れ!頑張れ!」という精神論の問題ではなく、「Youtubeだ!インスタだ!」というSNSなりの技術の問題でもありません。

生産技術を持ち、どこにターゲッティングし、それに基づいてデザインし、完成した品をどの媒体でどのようにアピールするか、という戦略戦術論になります。ここらを考えるのが社長&幹部の仕事なわけです。

今回のレザーフェアの中で行った革日和の型紙製作セミナーにせよ、座学セミナーにせよ、豊岡鞄セミナーにせよ、「ターゲットに理解してもらいたい」という思いが骨子にあります。今の時代、消費者はタレントが紹介したり、高額だから買う、というわけではなく「自分が納得したものを購入したい」「失敗したくない」という思いが強いように思えます。だからこそ「知ってもらう」「その上で買ってもらう」ことがすごく重要です。

個人的には「ものを作るよりも企画して売るほうが10倍難しい」と思っています。このblogでは「日本の革の生産の裏側にはこういう苦労がある」「こういう苦労も楽しい」なども伝えてきました。

「えっ!最終回なの、ムラキさん!」

いえ、全然。(´・ω・`) 単に年末だから挨拶として書いているだけですわ。
革業界はさらに面白い世界が広がっていますので来年も紹介していきたいものです。( ´∀`)bグッ!


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。今回は、毎年恒例の「ニューレザーコンテスト」展示イベントのレポートです。村木さんの視点で徹底解説! ぜひご一読ください。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。人気イベント「本日は革日和♪」。今後の予定、スケジュールなど、下記のリンク先をチェックしてください。

次回出展は「東京レザーフェア」! 今回のエントリの文末にも書かれていますので、最後までじっくりご覧ください。

  「本日は革日和♪」
  <http://ccrui.sakura.ne.jp/kawabiyori/>

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毎度です!「1日革に関して喋っていた」ムラキです。
バスガイドさんとしてひたすら喋っていましたね(ヽ´ω`)

毎年11月に行われる「ひょうご皮革総合フェア2019」&「第28回たつの市皮革まつり」が2019年11月16日(土)・17日(日)に開催されました。このお祭りは屋台や革素材や製品販売などがありなかなか盛況なお祭りです。

で、個人的な目玉はニューレザーコンテスト。このコンテストはタンナーさんによる腕自慢大会となっており、各種様々な革が展示されています。例年「このコンテスト面白いんだよ!」と口うるさく伝えてきたのですが、今年はより知ってもらおうと動画を作りました。まぁ、動画を作っても手触りは伝えきれないのですが、「あれ、このコンテスト見たほうがいいじゃねぇの?」と思ってもらえたら幸いです。


目次 [hide]

「ひょうご皮革総合フェア2019」&「第28回たつの市皮革まつり」はどこでやっている?

個人的に本番はニューレザーコンテスト!

リストを見たら販売してもらるかどうかがわかる。

入賞作品は12月4.5日に浅草で行われるレザーフェアにて展示されます。

革日和バスツアーって?

バスツアーの様子はこうだった

昭南皮革

オールマイティー

これだけの数のタンナーが集積し、様々な革をコンテストで見ることができるのはすごく幸せなこと

19.12/4.5のレザーフェアは革日和としてこんなことをします



「ひょうご皮革総合フェア2019」&「第28回たつの市皮革まつり」はどこでやっている?

兵庫県たつの市にある赤とんぼ文化ホールという文化会館を中心として行われます。

革製品のアウトレットセールやタンナーさんによる革の直売なども行われ、屋台も出ているにぎやかなイベントです。

個人的に本番はニューレザーコンテスト!

兵庫県たつの市と姫路市には100以上のタンナーが存在します。それぞれが得意分野が異なっていますが、このコンテストではそれぞれが腕によりをかけた革をコンテストに出しています。あくまでタンナーのコンテストなので革素材のみとなります。

 

リストを見たら販売してもらるかどうかがわかる。

このコンテストでは全ての作品の製作タンナーのリストがもらえます。リストには販売「可」「不可」も書かれています。これは「1枚からでも売るよ!」という意味ではなく、「ロットまとめてくれるならばメーカーさんなりに直接売りますよ。20枚なり50枚なりになりますが」という意味です。

入賞作品は12月4.5日に浅草で行われるレザーフェアにて展示されます。

コンテスト入賞作品は12月4日(水)・5日(木)に浅草で行われる東京レザーフェアにて陳列されます。ただ、入賞作品よりも入賞していない作品のほうが突拍子もないものが多いように思えます。

入賞作品だけではなく、入賞していない作品にも数多く面白いものが多いです

革日和バスツアーって?

毎年この皮革まつりにあわせて運営しているツアーで、このツアーの中で「ひょうご皮革総合フェア2019」&「第28回たつの市皮革まつり」に立ち寄り、お昼を食べてもらい、ニューレザーコンテストの解説を私が行います。このニューレザーコンテストは単に見るだけだと「へ~、すごいね」でしかありません。

ヌバックとはどういう加工か?色落ち検査とはなんのために行い、等級は何を意味するのか?このタンナーさんの加工はどう面白いのか、などを解説します。

その後にバスで昭南皮革・オールマイティーという2社のタンナーを訪れ、タンナーの仕事を観てもらう、というものです。

2019たつの市皮革まつり&タンナー見学バスツアー 2019年11月16日(兵庫県) - こくちーずプロ

来年なりもどこかのタイミングでバスツアーは開催しますので、興味ある方はまたメールマガジンにご登録ください。

MailMagazine | 本日は革日和♪

バスツアーの様子はこうだった

総勢21人参加。多分この人数くらいがタンナーさんに迷惑かけ無いギリギリの数じゃないかな、と思います。

昭南皮革

土曜日はタンナーさんはおやすみなのですが、このツアーにあわせて特別に見学させていただきました。(気軽に行っていい場所ではないですし、機械が動いていると危険な場所でもあります。昭南皮革様への問い合わせなどはご遠慮ください。)

ここは日本でも数少ないピットタンニンなめしをやっているタンナーさんです。40分ほどかけてじっくりと社長自ら解説していただき、様々な革を見せてもらいました。

オールマイティー

オールマイティーさんは姫路市の高木地区でタンナーさんをやっておられます。

タンナーの中でも唯一、と言えるほど珍しいことをしています。なんと1枚からでも革を作ります、というスタンスで革の制作を行っています。
「じゃぁどんな革でも作れるの!?」というとそれは違う話です。持っている設備、使う原皮、方向性などにより各タンナーは作れるものが異なります。社長により原皮から鞣し染色など事細かく解説していただきました。

これだけの数のタンナーが集積し、様々な革をコンテストで見ることができるのはすごく幸せなこと

過去現在未来において多分今が一番革素材を購入するには幸せといや幸せな時代だと思います。

過去は「ロットがまとまってもメーカーさんに革を直接売るのは嫌だ」と言われました。
現在は「ロットをまとめてくれるならば直接注文くれたら相談のるよ」とタンナーは言います。革屋さんも「別に1枚からでも定番品ならば喜んで売りますよ」と言ってくれます。

で、未来ではこれだけの数のタンナーや革屋も数が減ります。需要と供給や跡継ぎ問題など複数の要因が絡み合っています。これだけの選択肢がある「現在」が革を購入する人にとっては幸せだとすら私は思います。

姫路市とたつの市にタンナーはなぜ多いのか?世界の革の歴史は?などは下記blogをまたご覧ください。

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」姫路&たつので皮革がつくられる理由

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」皮から革へ。世界の鞣しを大阪で学ぶ

19.12/4.5のレザーフェアは革日和としてこんなことをします

東京レザーフェア会場の9Fにて靴のパタンナーさんや鞄のサンプル師を呼んでセミナーや型紙制作実演を行ってもらいます。「人に話したくなる革の話ぷち 革の買い方や歴史編」も無料で行います。
また、nijigamitoolという木工作家を呼んで革のワークショップも行います。

本日は革日和♪ in レザーフェア 12/4.5(水木) 靴・鞄の型紙制作実演やら、ワークショップやら | 本日は革日和♪

上記ニューレザーコンテスト入賞作品を見がてらお立ち寄りくださいな。


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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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