欧米ブランドに「負けていないぞ!」

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」 の記事

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。
今回は、「姫路城皮革フェスティバル」と「ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつり」の徹底ガイド。ご自身が製造、皮革・素材の販売、イベント運営に携わっているので、クリエイター視点が生かされた、つくり手ファーストな内容になっています。

通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、この春から人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが加わりました。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。
なお、「本日は革日和♪」では、バスツアーなど、さまざまな予定が目白押し! 詳細につきましては、本エントリ文末の近況報告および、下記リンク先をチェックしてください。


*  *  *

毎度です!

毎回毎回冒頭の挨拶は「毎度です!」ですが、普段もこの言葉を使っています。相手が大阪の人だろうが東京の人だろうが、電話でも最初に言うのは「毎度です」の一言です。色々な意味で便利な一言ですよ、「毎度です」ってのは。

さて、10月31日(水)~11月4日(日)には「姫路城皮革フェスティバル2018」、11月16日(金)・17日(土)には「ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつり」が開催されます。同時期の開催となりますが、それぞれのイベントには違いがあります。過去にはレポートを載せていますので紹介してみましょう。


姫路城皮革フェスティバル2018

 公式フェイスブックページ:姫路皮革製品推進協議会


「姫路皮革フェスティバル2018」は姫路城公園の大手前公園にて行われているイベントです。皮革をつくるタンナーさんが直接、つくった革素材を販売しています。販売しているひとたちが実際に革素材をつくっているひとたちです。もし「革がどのようにつくられているのか」などに興味をもたれましたら、直接話してみてください。

過去にブログで紹介していますので当日のようすをご覧ください

姫路城皮革フェスティバル2017に行ってきた 11/1~11/5(日) | phoenix blog

当日は各種ワークショップも行われます。

姫路城皮革フェスティバルにてワークショップをやらせていただきます❗️
今年はキーホルダー🗝
ヌメ革に刻印シートを使って、型を付けて行きます😲
ご自身のお名前や家族やお友達とお揃いで♬
オリジナルのプレゼントにも最適🎁
ペットの名前を入れても素敵ですよ🐶
刻印部分へヌメ革を使い、金具との繋ぐ部分は好きな色の革を選んで頂けます❗️
完全オリジナルのネームタグを作ってみませんか❓

昨年のようす

開催時期

10月31日(水)~11月4日(日) 10:00~17:00

開催場所

アクセス

姫路駅を降りてお城に向かってテクテクと歩ける距離です。歩いて10分弱くらいです。
周辺に駐車場もちらほらとありますが、イベント期間中は渋滞しがちです。
天気がいいならばお城を眺めつつ、ちょっと離れた駐車場に停めてテクテク歩くのもおすすめです。
当日同時開催イベント
当日は姫路城皮革フェスティバル以外にも、「 全国陶器市」「 姫路菓子まつり」が同大手前公園会場で行われています。
こちらも見学すると2時間くらいはあっという間にたってしまいますのでお気をつけください。


ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつり

 たつの市皮革まつり&ひょうご皮革総合フェアのお知らせ


こちらは11月16日(金)・17日(土)に開催されます。
こちらではニューレザーコンテストと呼ばれる革の展示会が開催されます。
これは たつの市、 姫路市のタンナーさん達が技術の粋を凝らした革をコンテスト出展しています。
革の製造は職人技以外にも美術的なセンスも要求されます。普段市場に出回る革製品に使われる革はどうしても一般的な革が多いのですが、会場を見ていると「こんなアーティステイックな革も作れるのか!」と驚きます。
会場では各コンテスト作品はどこのタンナーが作ったのかがわかるリストも配布されます。
昨年の当blogでもイベント当日の模様を紹介していますので興味ある方はぜひ見てくださいな。

「ひょうご皮革総合フェア」&「たつの市皮革まつり」レポート | 欧米ブランドに「負けていないぞ !」 | JLIA 日本皮革産業連合会

昨年の様子

開催時期

2018年11月17日(土) 10:00~17:00
     18日(日) 09:00~16:00

開催場所

アクセス

公益財団法人童謡の里龍野文化振興財団 - たつの市総合文化会館 赤とんぼ文化ホール

 車でお越しの場合
  • 山陽自動車道「龍野IC」より西へ3分
  • 国道2号太子・龍野バイパス「福田ランプ」より、国道179号を北へ約10分
  • 国道2号太子・龍野バイパス「門前西交差点」を北へ約8分
  • 中国自動車道「山崎IC」より、国道179号を南へ約40分
 電車でお越しの場合
  • JR姫新線「本竜野」駅下車、タクシーで約5分、または徒歩で約25分
  • JR山陽本線「竜野」駅下車、タクシーで約15分

当日同時開催イベント

たつの市/ひょうご皮革総合フェア2018&第27回たつの市皮革まつり

ベストレザーニスト2018「俳優 吉沢悠さん」「女優・タレント 岡田結実さん」によるトークショー
レザーファッションショー
皮革製品即売会
皮革直売会、レザークラフト教室
革細工体験コーナー
学生による皮革作品の展示

行ってみたいけど遠いなぁ、、という方は私が主催しているバスツアーなども毎年開催しています(毎年早々に満席となってしまいます)。

2018たつの市皮革まつり&タンナー見学バスツアー 2018年11月17日(兵庫県)

「遠距離だけど行ってみたいなぁ」という方はメールマガジンなどに登録しておいてください。姫路駅集合姫路駅解散で、ひょうご皮革総合フェア&たつの市皮革まつりを見学して、タンナーを2社見学する濃いツアーとなっています。姫路駅集合姫路駅解散ですと遠隔の方も参加しやすいと思いますので。

MailMagazine | 本日は革日和♪

なぜ姫路市たつの市にタンナーは多いの?

過去に下記blogで解説していますのでぜひご覧ください。

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」姫路&たつので皮革がつくられる理由 | 欧米ブランドに「負けていないぞ !」 | JLIA 日本皮革産業連合会

ムラキの近況報告

・10月は毎週3連続で革日和イベントを行っていました。昨年も3連続でイベントやってぐったりしていますね(ヽ´ω`)

・11月は上記にあげたバスツアーを行います。多分来年春も姫路たつのタンナー巡るバスツアーを開催予定です。

・イベントに出た縁で東京でもバスツアーできそうだな、という手応えも。

・この1か月ほどで家庭で使える漉き機や、家庭でレザークラフトをする際に音をたてない工具などが発表・発売されます。革細工もずいぶんと一般的になりありがたい限りです。

レザークラフトって結構気軽に始められますので広まってほしいものですね。


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。今回は、「Japan Leather Award(ジャパンレザーアワード)」に作品を応募したほうがいいし、イベントを見たほうがいいよ、とすすめる理由をズバリ提言!

日本製革製品のコンペティションとして国内最大規模を誇り、すっかりお馴染みとなった同アワード。
昨年度と今年度の変更点、比較を関西エリアはもちろん、全国各地のつくり手の皆さんからのヒアリングを交え、独自の視点で徹底解説。

ご自身が製造、皮革・素材の販売、イベント運営に携わっているからこそ、のリアルな内容です。ぜひ、ご覧ください。

通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、この春から人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが加わりました。
イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。
当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。

なお、「本日は革日和♪」は東京・新宿で10月6日(土)~8日(月・祝)に開催。ワークショップ&セミナーは日程が異なり、9月29日(土)~30日(日)となっています。詳細につきましては、下記リンク先をチェックしてください。



*  *  *


毎度です! 大阪の歌って踊れる革職人がモットーのムラキです。

毎年恒例の「Japan Leather Award」の審査会。これまでは大阪でしたが、今年は9月28日(金)~29(土)、東京・二子玉川 iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズにて開催されます。


Japan Leather Award 2018 | ジャパン レザー アワード 2018


今回は、「このイベントはなぜ行っているのか」「作り手ならば出して損ないよ」というような話をしてみましょう。
「ムラキさん、好きに書いていいよ!」と言われているので、遠慮なく書いてみましょう。



ジャパンレザーアワードってなに?

ジャパンレザーアワードは、一般社団法人 日本皮革産業連合会(JLIA)により行われている「国内最大規模のレザープロダクトコンペティション」、です。

JLIAは、「皮革および皮革製品の生産・流通・貿易に関する各種施策の総合調整・技術開発・普及啓発などを実施することにより、皮革産業の総合的な振興・発展および連帯強化を図り、もって我が国産業の発展および国民生活文化の向上に寄与することを目的に、1986年に設立された総合団体」(JLIAホームページより)。革をより知ってもらうためにもさまざまな試みを行っており、このジャパンレザーアワードはその一環ですね。



出しているのはプロばっかり?

千差万別です。
プロの人もいるし、趣味の人もいるし、アマチュアの人もいるし。

個人的にはプロだからと言って良いものができるとも限りません。
私が教わった先生なんかは「素人や趣味の人のほうがいいもの作るぞ。時間や投下資本、嫁さん子供を養う、という計算ないほうが贅沢なモノ作れるんだよ」と言っていたくらいですから。



どんな作品が並ぶの?

革を使っているならばなんでも。
靴、鞄、財布などから、ウェアやおもちゃ、美術作品まで出展されました。



参加費用は?

無料です。作品を送る送料はかかりますが、返送料はかかりません。
また、審査会・展示会で行われる作品応募者限定の「交流会」は無料で参加可能です。



生々しい話、どうせ審査員の身内とかが受かるんでしょ?

過去において受賞した方には革メーカーや職人ではなく、彫金の人が受かったこともあります。


2014年 受賞作品 | Japan Leather Award 2014 | ジャパン レザー アワード 2014


こちらの作品は革の職人ではなく、彫金の方でしたね。
受賞された本人自身が「革の職人じゃないけどいいの!?」と驚いていたのが印象的でした。

ファッション雑貨部門 吉野真由(ギャラリークレハ)


また、審査員も「皮革業界の偉い人」ではなく、アパレルなり、ブランドデザイナーなどが多いです。


今年のレザーアワードについて | Japan Leather Award 2018 | ジャパン レザー アワード 2018


そのため身内贔屓もできません。



受賞したらなにか得があるの?

・賞金が出ます。
・グランプリを受賞したら
「PR動画を作ってもらえる」「 ルミネ新宿2での2週間限定の販売サポート」「人気雑誌1誌に掲載」のどれか1つが副賞として贈呈。

これらは表に出ているメリットです。あまり表に出ていないメリットとしては下記があげられます。


・受賞後、皮革産業連合会のイベントに参加しやすくなったり、ジャパンレザーアワードのtwitterfacebookJLIA 日本皮革産業連合会のfacebookなどで告知してもらえる


このメリットですが、担当の人に「以前受賞した~~ですが、今度こういうイベントするんです。これが告知ページです。宣伝してください」といえば上記で告知してくれます。

で、上記までは受賞しないと得られないメリット。


私が常々「受賞できなくてもいいから、出しておいたほうが良いよ。こういうメリットあるから」と伝えるのが下記3点。


・作品応募すると、受賞しなくてもプロが3枚写真を撮ってくれて、ネット上で全作品紹介してくれて、しかもそれをちゃんと残してくれている。


この際に、facebook/twitter/Instagrmなどの各種SNSのアカウントも載せてもらえます。
試しに今年の応募作品一覧を見てみてください。


応募作品 | Japan Leather Award 2018 | ジャパン レザー アワード 2018


このレベルの全作品紹介をいつまでも載せていてくれます。
例えば下記は2014年の全応募作品です。


全応募作品紹介 | Japan Leather Award 2014 | ジャパン レザー アワード 2014

このメリットはなにげにデカイです。
「4年前のジャパンレザーアワードのwebでの応募作品紹介を見た人から注文が来た」という話も聞いています。


もう一つのメリットは

・交流会がある

という点です。
2時間弱しかありませんが、貴重な機会です。
普段革の作り手同士でしゃべることが少なかったり、同じようなメンツばかりで喋ることが多いかと思います。交流会では全然知らない作り手さんと喋れます。

初期は、「さぁ、交流会開いたよ。作品応募者同士で勝手に喋って」という困った交流会でした。
(まぁ、あのときに声かけた靴製作者さんとは未だに交流が個人的にもあります。)


最近は応募者ひとりひとりに応募作品番号・応募作品写真を掲載した名札を渡してくれたり、交流会出席者のPRコーナーやPR冊子を作るなど色々と出席者同士で会話ができるように工夫してくれています。


今年運営サイドに望むのは、審査員がどの応募作品を推していたかを記録し、その作品応募者が交流会に来ているならば審査員と応募者をきちんと結びつけてあげてほしいものです。
作り手って普段人から評価されることがないので貴重な機会なんですよ。


最後の一つは、

・展示会来場者のコメントをまとめて送ってくれる

です。


今回も、来場者には「お気に入りの作品にコメントをお書きいただいた方に「革の動物指人形」プレゼント」という試みを行っています。

このコメントは該当する応募者にきちんと届けてくれます。
作り手って普段人からの評価を面と向かってもらいにくいのですごくよい試みだと思います。



生々しい話「受賞したら儲かった」という話あるの?何がメリットなの?

受賞した人を捕まえて「で、儲かった?ウッシッシ」と聞くようにしています。
受賞後バンバン儲かったよ!という人はいないです。
ただ、おもしかった回答は下記のものがあります。


「こういうコンテストで受賞したって別に仕事がバンバン来ませんよ。
でもね、受賞したらジャパンレザーアワードはきちんと展示会してくれてパンフレット作ってくれるんですよ。
そうすると営業先に『今回このような賞、受賞したんですよ』と立派なパンフレット見せるんですよ。
そうすると『あ!この審査員知っているよ!そうか、すごいね』という話に繋がります。
または、授賞式で著名な審査員と一緒に写真映るとそれだけで営業の武器になります。

ジャパンレザーアワードで賞取ったからって仕事は増えません。あくまでこれは"箔"の1枚でしかありません。うちの品はいいんですよ!という 光輝かせる"箔"です。"箔"が1枚5枚10枚と増えたら より光り輝くんですよ!」(メーカー営業担当者 談)


下記はジャパンレザーアワード2016で最終的に作られた受賞作品小冊子です。


「全作品展示してくれているので、そこからfacebookで連絡とって取扱始めましたよ。それは受賞作品ではなかったですね。単純に写真を見て『あ、いいな、これ』と思ったので連絡しました」(セレクトショップ関係者 談)

 


著名な審査員って呼ぶ意味あるの?

いろいろと見てきましたが、著名な審査員はメリット・デメリットあります。
著名であればあるほどアンチファンも増えるのは事実です。テレビに露出すればするほどファンもアンチも増えますから。

デメリットもあると思いますが、それ以上にメリットは大きいかと思います。
ここらの話は過去に書いたので、興味ある方は見てみてください。

ジャパンレザーアワード授賞式を見てきた。 | 本日は革日和♪

 


展示会は応募作品全部が展示されます

昨年度の試みとして、1次・2次と2回に分けて審査されましたが、今年度の審査は1回のみ。審査会でも全作品展示に変更されました。

昨年度1次審査で審査員長、特別審査員の2人が100点を選抜し、2次審査ですべての審査員により選考したのは、

「300点以上の作品を審査するには、1日だけでは審査する時間が足りず、1次審査を行い、絞り込む必要性がある」 

「全作品展示、一般公開という条件に相応しい広さがある会場が東京には少なく、該当していても予約状況により、 使用することが困難」

などの理由があったとか。


が、これは応募者のモチベーションに大きく影響したようです。


過去出展した職人さんや作り手さんから意見を聞いてみたところ・・・

「1次審査で作品を100点に絞り込むことに違和感がある」

「審査員がアパレルなりブランドデザイナーであることはとてもいい。しかし、1次審査の必要性がわかりにくい」

「グランプリを受賞できないのはいいけど、2次審査に残れなかったら恥ずかしいから嫌だ」

などなどと。

これがあったからか、今年度は全作品をiTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズにて展示します。
二子玉川は、東京の高級住宅街にあり、話題のエリア、武蔵小杉とも、あまり離れていないそうで、 関西で例えると、阪神間の西宮西口などと似た印象。立地としてはなかなかよさそうです。



作り手でも革好きな人でも展示会は見たほうがよい

全作品展示会は是非見てもらいたい! 革でなにか作っている人でも革製品が好きな人でもぜひ!
圧巻の眺めです!

何がすごいって全作品実際に触ることが可能です。
裏を見てもokです。
ファスナーでも蓋でもあけてokです。
写真もokです!

個人的には作り手にも革が好きな人にも是非見てもらいたいし、東京方面だけではなく、大阪でも再度行ってほしいものです。

ャパンレザーアワード 2018 全作品展示審査会 9月28日~29日 東京・二子玉川

9月28日(金)~219日(土)は、共通で下記のイベントが開催されます。
革の動物指人形がいらなくても、お気に入りの作品があったらコメント書いてあげてください。コメントがすごく作品応募者の支えになります。 


  • 全応募作品255点の展示
    ※審査のため一部の作品をご覧いただけない場合があります
  • 革素材の展示、皮革・革製品の出来るまでDVDの放映
  • お気に入りの作品にコメントをお書きいただいた方に「革の動物指人形」プレゼント


[ 9月29日(土) 10:00~18:00 ]は全作品展示に加えて下記のイベントも開催されています。

  • 革素材の展示、皮革・革製品の出来るまでDVDの放映
  • お気に入りの作品にコメントをお書きいただいた方に「革の動物指人形」プレゼント
  • 靴磨き芸人 スバル奥野さんによる靴磨きの実演(11:00~/13:00~/14:30~/16:00~)
  • レザーケア相談コーナー(10:00~12:00/13:00~17:00 )
  • 革小物のワークショップ(10:00~限定50個)

 

二子玉川ライズ

 

 

過去の関連ブログ:

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

すっかりお馴染みとなった恒例企画、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」第5弾は、「箔押し」にフォーカス。皆さんがお使いになっている革製品の革に押されたブランドロゴ。それらを手がけるスペシャリストの仕事を徹底解説してくれます。

通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、この春から人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが加わりました。

イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにもわかりやすくお伝えすべく、ていねいな解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介。

次回の「本日は革日和♪」は9月29日~30日に開催予定です。下記のリンク先をチェックしてください。


*  *  *



毎度です、1か月に1回のお約束。


大阪の地から自由に書かせてもらっている革のブログ記事。


ここしばらくは「革業界を支えてくれているけど、あまり表に出てきていない職業の面白さ」を知ってもらいたく、書き散らかしています。そろそろ「もっとメーカーさんとか革の職人さんとかタンナーの紹介してよ! 」とツッコミが入りそうで怖いですね。


今回は「人生108回あるならば4回くらいはやってみたいな」と思っている職種、「箔押し屋」の紹介です。

これがまた奥が深く面白い仕事なのですが、箔押し屋も数が少なくなかなか表に出てきません。

最近ではヤフオクなどで安価な5万円くらいの箔押し機も出ていますが、道具を買ったら箔押しを極められるというものでもないです。

今回は箔押しがどんな仕組みで行われているか。この仕事はどう奥が深いかを解説してみましょう。

箔押しの箔ってどんなもの?

金や銀などの箔押しは金色や銀色の箔押しのフィルムがまず必要となります。
こちらを箔押し機にセットして温度・押す時間・押す力を設定したらあとはスイッチポンです。
わぁ、なんて簡単なんでしょう!

はい、もちろん大嘘ですヽ(・ω・)/
箔押しという仕事は、素材や表面処理、入れたい文字や絵柄の細かさ、使う版、使う箔の種類を見極め、手持ちの技術、設備を随時選択するという、非常に細やかな神経と技術を要求される仕事です。


箔押しの原理から

箔は銀色の箔フィルムが基本となります。この表面に黄色や茶色などのフィルムを貼れば金箔や黄銅箔などができ上がります。
で、裏面に接着剤が張り付いており、版に熱を与えて押し付けることで接着剤が溶ける。革の表面に付着する、という原理です。

言葉だけで説明したら簡単なものです。

選択肢が莫大な箔押し、という仕事


まず機械

手で押すような簡易的なものもあります。簡易といっても軽く10万弱はします。

箔押し屋さんはこのような機械は使わず、エアーの力で圧を与えるような機械を使います。重さにして300kgくらいかな?
こちらは購入すると数百万クラス。
エアー以外にも機械式の箔押し機や合皮用の箔押し機など、種類があります。

作業中に油断すると指を潰しますが、以前紹介した裁断屋さんに比べるとまだ安全な仕事です。

「じゃぁ、この機械買えば箔押し全部できるんだろ?」というほど甘くありません。


箔を買うときも選択肢が多い

前述のようにまず箔を選択します。箔はものすごく色々な種類があります。そりゃもう目移りするほど。ただ、1本が数万円します。幅が30cmほどあります。

購入時に指定すると「10cm、3cm幅に輪切りにしておいて。残りはそのまま」など幅切りして納品してくれます。

「幅30cmもいらないんだけど、、、、つぅか、こんなにあっても使い切れないんじゃないの、箔押しでは?」と思って相談したところ「この箔は本来はポテトチップスの袋の裏面などに大量に使われるんですよ。ほかは化粧品の箱とか」との回答。

なるほど!!それら容器業界が大量に使ってなんぼの素材なのか!と目から鱗が出たものです。箔押し業界のほうが使用量は格段に少ないわけですね。

購入時にはさらに裏面につける接着剤も選択します。合皮と革では接着の種類が異なるわけです。


箔を購入するだけでも、

1 色
2 幅
3 接着剤

と選択肢がこれだけあります。


版の種類、絵柄や文字の種類

文字や絵柄が書かれた版。これも値段に落差があります。
手持ちの版をお見せしますが、ちょっと見られたら困る部分もあるので拡大したものをお見せしましょう。

箔押しに使える金属版としては私が使っているのはこの3種があります。
右に行くほど高額になります。

横から見るとわかりますように安いほうが高さがありません。

重要なのは文字部分の高さです。せいぜい1mm程度しか変わらないのですが、これがものすごく変わります!
文字の高さが低いものは、強く押すと簡単に面部分が革に設置してしまいます。
文字や絵柄をがっつりと深く押すことができないわけです。

さらに写真をよく見ると亜鉛・マグネ版は文字部分が山形になっています。
これは版の制作工程で必ず生じるものです。
大きな文字や図の場合は大きな問題にならないのですが、小さな文字になるとこの山がお互いに干渉し、悪さをします。
深くガッツリと文字を入れづらくなるわけですね。

上のJLIAという版を亜鉛版で作り、横幅を2cmほどにしてしまうと、「J」と「L」の間は山が干渉してしまい文字が浅く押されてしまいます。

それに対して真鍮の版は横から見ればわかりますように垂直にストンとした崖状態。さらに他の版に比べると高さもあります。
結果的にガッツリと文字を入れることが可能となっています。お互いに干渉する山もないため小さな文字の箔押しもきれいに入ります。
その分お値段高めですね。

(これらの版は私が取引している箔押し屋さんや版屋さんで取り扱っている品です。そのため真鍮版だから日本全国これと同じです、とは到底約束できません。また、どこで頼めるのか、などのご質問は尋ねられても答えられません。)

箔押し屋さんは入れる文字や図柄の大きさ、細かさを見て「これは高い版を作らないとできませんよ」「これくらいならばちょっと安い版でも大丈夫」と判断するわけです。

もっと細かく説明すると、白や原色系の箔は入れづらいとか、細いものはそれだけ欠けやすくなるが版にお金かけたらなんとかなる、など入れる文字・図柄の模様でも左右されます

まとめると、箔押し屋さんは「この版で押してください」「こういう文字を押してください」と言われた際に次の選択をしています。

1 どれだけ細かいのか。面が多いのか。
2 使う版はどの種類か

選択はまだまだ続きます。


革の種類

押す革を受け取った際に、箔押し屋さんは次の選択肢を瞬時に行います

1 革の表面はどんなものか?

 (起毛しているか、表面に張りがあるか、エナメルなのか? などなど)


2 革のどの部位を使っているのか?

 (腹部分は繊維がゆるいのできれいに入らない。背中は繊維が密。などなど)


例えばブランドロゴを入れたいならば、繊維が密な背中部分なりを使ったほうがきれいに箔押しが可能です。お腹部分は繊維がゆるいため、きれいにできません。

上の説明ではちょっとイメージしづらいですね。


それでは「背中部分は繊維がぎっちりと詰まっている紙、お腹部分はスポンジ」だとイメージしてください。
どちらの方がハンコがきれいに入るか、という想像をしたらイメージしやすいかと思います。


技術

ここに来るまで色々と選択をしましたね。
でもまだ、機械に設置してポン! には至りません。

機械に版を設置して、箔押し屋さんは次の選択を考えます

1 版の温度
2 押す圧力
3 押す時間

クローム革などは、版の温度は低すぎると押しても文字を押し返してきます。でも、高すぎると革を痛めます。革の表面の状態によっても温度は変えなければいけません。

タンニン革の背中部分などは繊維が密集していますので弱い力だときれいに入りません。押す圧力はどれくらい強くするかを考えます。
温度が低くても押す時間を長くすることできれいに入ることもあります。でも長すぎるとやはり革を痛めます。

温度・圧力・時間。この3つはそれぞれが密接に結びついています。革と版の種類、文字や図柄の細かさでこれらは変わります。
箔押し屋は長年の経験と手先の感触、目で見る視覚情報でこれらを見極めます。

これが箔押し屋の"技術"なわけですね。

これらの設定を終えてはじめて「あとはスイッチポン」で箔を押すことができます。

もちろん押しながらも「きちんと箔は入っているかな?」「ずれていないかな?」などを常時チェックしていきます。

箔押しもやはり奥が深い仕事なわけです。


大前提として、永遠に残る箔押しというのは存在しない

箔押しは「金や銀色の箔を革の表面に貼り付けている」ということです。
そのため曲げると箔が割れてしまったり、ヒビが入り、剥がれる原因となります。
箔の裏面には接着剤がついており、熱で溶着されますが、これだっていつかは必ず剥がれます。


それでも箔を押すのは何故か?
そりゃもう、押したほうがかっこいいからです!


下の写真は同じ銀箔ですが、ツヤありとツヤなしです。
これを購入すると銀ツヤあり1本で数万、銀ツヤなし1本でさらにもう数万かかってしまいます。
この箔押し屋さんはさまざまな色の箔を持っているので、一財産ですね。

箔押し屋はどこにいる?

体感ですが、今でもそれなりの数が存在します。
ただ、「紙専門」などのところが多く、革に箔を押せる箔押し屋は数が少ないですね。
前述しているように革は部位の違い、なめしの違いが存在するため安定性に欠けます。
そのため革に箔押ししてくれる箔押し屋さんはなかなかレア職種です。


いくら位でやってくれるものなの?

過去に紹介した加工屋さんもそうですが、彼らの加工賃は1回数10円の世界です。
「じゃぁ、3か所やってもらったら200円払ったら良い?」
これをやると加工屋さんは二度と仕事をしてくれません。

彼らの工賃は安いからこそ、最低限100個は持っていくのが礼儀です。
また、1回こっきりの仕事ではなく、数か月後、1年後でもいいから同じ仕事を再度投げかけたり、毎月きちんと仕事を持っていくのがお約束です。

10個、20個くらいの数で加工屋さんにお願いしなければいけない場合はお金を積みます。
「じゃぁ3か所やったら200円のところ、3倍の600円払えばいいんか?」
これも駄目です。
最低でも1時間の時給として2000円以上はほしいです。

「えっ! 3か所押すだけで2000円もかかるの!?」
その3か所押すために箔押し屋さんは機械のセッティングに30分かかることもありえるわけです。

箔押し屋は仕事はものすごく地味。でもできたものはかっこいい!

箔押し屋は地道な仕事です。
相手の革の状態や版の種類、図柄や字の大きさなど考える要素が多くあります。その作業の殆どはすごく地味なものです。

ですが、ブランド名が刻印されたものはかっこよく、この技法は応用性が高く表現力も多彩です。

下の写真は見る人が見たら一発でわかるロゴですが、金銀、艶あり・ツヤなし、黄銅箔、黒光箔、透明箔などさまざまに押したものです。
ほら、すごくかっこいい!

革業界にとってなくてはならない職種のひとつ、箔押し屋の紹介でした。


最後にお約束

今回のような加工屋さんはどこにあるのか。版はどこで頼めばよいのか、などをJLIAに問い合わせられても対応できませんので、ご了承ください。



関連ブログ:

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」 革を薄くする仕事「漉き割り」の世界

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」 革を裁断する仕事「裁断師」の世界

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」皮から革へ。世界の鞣しを大阪で学ぶ

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」姫路&たつので皮革がつくられる理由


過去の関連ブログ:


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

お待たせしました! 月1回恒例のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」第4弾です。

今回は、革を裁断する仕事「裁断師」にフォーカス。
皮革業界のスペシャリストの仕事を、写真、動画、イラストを加え徹底解説してくれます。

通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、この春から人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが加わりました。

イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにもわかりやすくお伝えすべく、ていねいな解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介。

次回の「本日は革日和♪」は、「素材博覧会YOKOHAMA 2018・夏」(8月24日~26日)に出展決定。ブースでの物販のほか、セミナー、ワークショップも予定されています。下記のリンク先をチェックしてください。



*  *  *


毎度です。

今回は革業界になくてはならないのにいまいちすごさが伝わりづらい「裁断屋」という仕事です。


革業界では巨大なカッターを折り曲げたような「刃型」という工具をフルオーダーで作ります。


値段はピンキリですが、小さいから安い、ということはなく、基本的に作成時間に応じて値段が決められます。

150510hagata0000

巨大なカッターの刃であるスウェーデン鋼を熱して柔らかくして曲げて溶接していきます。

そのため1mm以下の精度で作るのは困難な工具です。


刃型の作成依頼をする人は薄い紙を折り曲げるかのようにスウェーデン鋼を曲げられるんでしょ、と思いがちです。実際はダンボールを曲げるようなイメージですね。



それほど大雑把な素材です。


例えば下記の刃型などは小さいですが7,000円くらいはします。
その分精度抜群できちんと平行にドーナッツの形が形成されています。

刃型の話でも1回またいつか話しましょう。



で、この刃型で革を裁断するのが裁断師という仕事


刃型を裁断するのにはクリッカーという機械を使います。

重さは1トンを越えるもので、油圧の力で動きます。

スイッチを入れると体に響く唸り声をあげてゆっくりと天板が下がり刃型を押さえつけて革を切り離します。


だいたいこの機械がピンきりですが、中古で30万くらいかな? 

移動費で10万弱は見ておいたほうが良いです。重さ1トンくらいはありますので頑張ったり、人数多くしたら運べる、というものでもありません。


また、設置する地面もきちんとコンクリ引いておかないと水平が出ません。


昔々の裁断師は

クリッカーやスウェーデン鋼、という工具が日本に出回ったのは1970年台手前くらいと聞いています。
それまでは型紙をベニヤ板などに写して、革包丁1本でベニヤ板型紙をなぞって手作業で裁断していたそうです。


手で裁断していた時代があり、さらにその後に火造りの刃型が存在し、これを手作業でガンガンと叩いていたとか。


ですので当時の靴工場などはものすごくうるさかったということも聞いたことがあります。

この頃の記録写真などがさっぱり残っていなくて探し中です。

で、70年台手前くらいにようやくスウェーデン鋼とクリッカーが来たそうな。


文献記録や証言を集めていますが、工具や機械の記録ってなかなか残っていなくて難儀しますね。┐(´д`)┌



革の特性を知ろう! 

「この機械さえあれば誰でもできるの、裁断師というやつは?」というとそんなことはありません。
まず革という素材がどれだけ気を使うものなのかから理解してみましょう。


1 革は傷があって当然

革素材は食肉を取るためにトチクした動物からいただいたもととなる皮「原皮」の段階で傷があることがあります。
それらの傷は革素材を使う以上避けられません。
また、識別のために焼印がついていることがあります。


2 革には流れがある

人間と同じですが、革素材には繊維の流れがあります。
それも一方向ではありません。


下記の図のように背中から頭、おしりに。背中からお腹に繊維の流れが走っています。


この流れが曲者です。


部位的には背中の部分が一番頑丈です。
例えば人間も幼少期に「地震が起きたら頭を抱えて背中を丸くしてうずくまってください」と言われたと思います。


これはお腹よりも背中の部位が繊維が密集し、頑丈なことも一因しています。
お腹や首の下、肩の周り部分はお腹いっぱいになると膨らんだり、可動する部分なだけあって柔らかくなっています。

基本的に革は図の真ん中にある背中のほうが頑丈であり、価値も高いです。

3 革の表面が硬いか柔らかいかで話が異なる

硬い革・柔らかい革、などと言いますが、硬い柔らかいだけでは大雑把な表現となります。


・表面にピンッ!と張りがあるから硬い


・張りがあるけど、シワシワにシボが寄せられているためふんわりとしている。でも表面はピンっとしているので硬いとも言える


・背中の部分をつまむとギュッと圧縮され固く感じる。この場合は「コシがある」と言います。


・でもお腹の部分は繊維がゆるいので柔らかく感じる。この場合は「コシがない」と言います。


硬い柔らかいでも表面状態や繊維密集地帯により異なります。


これらの特性を今回の話では是非覚えておいてください。



仕事的にはスイッチ入れてポンポンと誰でもできる仕事じゃないの?

この仕事の難しさは上記にあげた特性と、裁断して作るもの=靴やカバン、により要求される内容が異なります。
靴が得意な裁断師は手袋についてはさっぱり詳しくないこともありえます。


今回はさらに作る対象物それぞれに関して、どこに注意をしなければいけないかも解説してみましょう。


靴はとにかく数が多い

教材用DVD「靴の出来るまで」 | JLIA 日本皮革産業連合会より


今回話を聞いたのは普段からお世話になっている裁断屋さんです。
クマみたいな風体ですが、ものすごく繊細に仕事をしてくれる方です。
財布や鞄から靴までいろいろと裁断しています。


で、靴の裁断の大変さってなに?


I氏「靴の場合は繊維の流れが重要やねん。
例えば大阪は婦人靴で有名やから、その裁断が持ち込まれることもある。
AからEの5つのパーツがあるならばそれぞれのパーツにより要求される繊維の方向が異なる。


が、大変なのは靴は要求される枚数が多いんや。
例えば100足分裁断、と言われても革がきちんと足りるかどうかわからないんや」


100足で1足あたり6DSかかるならば600DS。革3枚で足りる、みたいな計算じゃないの?
(※DS=日本における革の基本的単位。1DSは10cm×10cm。革1枚あたりで220DS前後)


「傷を避けたり、繊維の流れを考えると600DSできっちりとれるとは限らないんや。
そこらは裁断してみないとわからない。


だからパーツAだけ100足分=200パーツだけ取ったらあかんのや。
まずAパーツだけ100パーツだけ様子見で裁断して、その次にBも100パーツ、Cも100パーツ、、、と50足分だけ取っていく。


で、残りの量を見て『あぁ、これだけの残りならばあとは40足分くらいだけ取っておこう』と考えるんや。
何も考えずにAパーツを200パーツだけポンポンと取れたら楽なんやけどな」


「他にもスムースレザー(※均一な色一色の革)ならば楽だけど、ムラ染め的な革は裁断が大変や。
流れと模様、両方に気を使わなければいけないからな」

 

カバンやバッグは大きさがネックに

教材用DVD「鞄の出来るまで」 | JLIA 日本皮革産業連合会より


「こちらも靴のように繊維の流れを考えなければいけないんや。
靴よりもパーツの大きさがでかいから見落とすわけにいかない。


また、持ち手部分などは革の繊維の流れに沿って裁断しないと使っていたら伸びることになるな。
そしてそういうパーツは大きいからこれまたどう取るか悩みどころや」


ランドセルは表からは傷がわからない

「ランドセルの場合は6年使うことが前提の鞄やろ。
だから表面にウレタン塗装なりが施されているから表面だけ見たら傷はほぼないんや。
その分裏側から見たら、削れている傷などが存在する。それは表部分から押すとポコンと凹んでしまう。
だから、裏から目視して、傷がないな、とチェック。表も軽く撫でて凹んでいるところがないか確認するんや」


財布などの小物は小さくて注文が細かい

教材用DVD「ハンドバッグ・小物の出来るまで」 | JLIA 日本皮革産業連合会より


「財布などの小物はあまり力がかからないからそれほど革の向きは気にしない。
それにパーツが小さい。それだけ革の取りがってはいいよな。
でも一部のパーツで『こっちは隠れる部分だから多少傷が入っても良い』など細かい注文が多いんや。
さらには『このパーツは漉きを細かくするから良い部分で取ってほしい』『こちらは漉きは細かくないから腹の部分で構わない』などパーツ1つ1つの要望が細かいな」


手袋はそもそも革が難儀

教材用DVD「手袋の出来るまで」 | JLIA 日本皮革産業連合会より


手袋は四国の香川県で生産されることが多いので香川の方に聞いてみました。


「手袋は鹿や羊などのふんわりとしつつもしなやかな革がよく使われる。
また、製造工程で手の形をしたアイロンを中に入れて革を伸ばすんや。
だから裁断する時はふんわりしているけど、なるべくピンと伸ばして裁断する。
もちろん傷があるなんてもってのほか。傷がないように確認しつつ裁断するよ」



裁断師はプロの仕事


「例えば鞄メーカーや靴メーカーにはそれぞれの会社に裁断をする人がいるもんや。
ホントはそれが一番望ましい。


この傷はいいのか? 

この部位はこのパーツに使って良いのか?というのはメーカー自身が一番よくわかっているからな。


でも人手が足りなかったり、クリッカーがない場合は俺らみたいな裁断師の出番となるわけや。
裁断師もそれぞれに得意分野が異なる。
靴の得意なやつもいれば、財布が得意などもある。
全部に通じている裁断師はそうそうおらへんやろうなぁ。


だからこそ依頼者がきちんとメモで

『この刃型はこの向きで裁断してくれ』

『このパーツはこの程度の傷はokです』など

書いてくれていると助かる。
『それくらいプロなんだからそっちで判断しろ!』とか言うような依頼者は断るな」


機械だけみたら簡単そうに見える仕事ですが、実際は繊細さが要求される仕事ですね。



裁断師はどこにいる?


基本的に裁断師に限らずですが、革の加工屋さんというのは「数で稼いでなんぼ儲けるか」という仕事です。
そのため鞄メーカーや靴メーカーと呼ばれる会社が多数あるところじゃないと儲けられません。


東京ならば浅草に靴メーカーが多いですが、こちらは紳士靴のメーカーが多いです。
大阪は西成に婦人靴メーカー。ここら近辺には裁断師なりが存在します。

神戸の長田には合皮靴メーカーが集まっています。こうなると長田の裁断師は合皮の裁断が得意となります。


鞄メーカーは東京・大阪に点在しています。
大阪ならば堺市や東大阪に多いと聞きます。
ここらを対象とする裁断師さんは革や裏地となる布地の裁断を得意とします。


兵庫県の豊岡市は鞄メーカーが100社ほどあると聞いています。
豊岡の鞄メーカーは革に限らず布地などを得意としていますので、裁断師も革以外を得意と聞いています。

香川県東かがわ市は手袋を得意とします。
前述しているように柔らかい手袋用革の裁断が得意と思われます。



じゃぁ裁断師ってどうやって探せばいいの?


基本的に「~~裁断所」などと名前をあげているところはあまり見ません。


また、タウンページやインターネットで検索してもあまり見つかりません。


加工屋さんというのは「1回やっていくら。次に注文来るのは半年後」という個人や会社さんよりも「定期的に仕事をくれる取引先」を好みます。


定期的にくれるならば個人でも気にしません。


また、きちんと細かい注意点や仕様書をくれる取引先をありがたく思います。
「プロだからそこらは任せるよ!」「電話で10分かけて説明します」「口頭で説明しますからメモ取ってくださいね」などはとても嫌がります。


彼らは手を動かしてなんぼ儲けるか、という仕事ですので、口頭のみの説明というのは時間を浪費するので嫌います。

裁断師に限らず加工屋さんや専門職種というのはタウンページやインターネットに情報を載せたがりません。


なんで載せないの? と聞いてみたことがあります。


「紹介で十分やねん。
タウンページやインターネット載せると営業電話かかってきて面倒くさい」

ということでした。


材料店舗などで継続的に購入し、信頼を重ねた上で相談すると教えてくれることもあります。



どれくらい存在するの?


さっぱりわかりません。


組合があるわけでもない職業ですので、この世にどれくらいの裁断師や加工屋がいるのかはほんとにわかりませんね。



革業界っていろいろな加工屋さんや専門職種で成り立っています。


前回紹介した漉き割屋さんもそうですが、この裁断師さんもなくてはならない仕事です。


機械があるからってなんでもできるわけではなく、それぞれが経験に基づいた文章化できない知識や技術を持っていますね。




過去の関連ブログ:

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

お待たせしました! 月1回恒例となったスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」第3弾です。


今回は革を薄くする仕事「漉き割り」とは? 皮革業界の「縁の下の力持ち」に敬意を込めて、写真、動画、イラストを加えて徹底解説してくれました。


通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしておりますが、この春から人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが加わりました。

イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。

なお、「本日は革日和♪」の次回以降のスケジュールにつきましては、次のリンク先をチェックしてください。

 「本日は革日和♪


***


普通に電話かけたら「毎度です!大阪のムラキです!」と挨拶をしています。


毎度です!って大阪の商売人ってほんとに使うの?と思われがちですが、私はほんとに使っています。儲かりまっか?は気心がしれたら使っていますね。


さて、人に話したくなる革の話。


革業界には「この職種がないと製品が作れない」「この人たちがいないと革業界はまわらない!」という専門職種の方々がおられます。

靴の職人50年やっている!という人やカバンの先生をやっています!という人でも会うことが少ない職種を紹介してみましょう。


今回は「漉き割り屋」という職種です。


同じ革でも製品のパーツによって厚みが違います

例えば、財布などでしたら外側部分は1.2mm、内側は0.8mmで作ることがあります。

「表も裏も同じ厚さでいいんちゃう?」

いえいえ、鞄や財布などは表は厚く、裏は薄く作ったほうが全体的に軽く、メリハリがあり美しく作ることができます。

「たかだか0.4mm程度、たいした違いじゃないだろ!」と思いがちですが、革の業界では大きな違いです。

ですが皆さんもご家庭でこれらの厚みがどれだけ違うのかすぐわかる方法があります。

 

厚み0.2mmの大違いを実感してみる

女性の髪の毛と男性の髪の毛、触ってみたらわかりますが男性のほうが明らかに太いとわかります。
では、その太さの違いは、というとわずか0.1から0.2mm程度しかありません。

ほかにもお札1枚で0.1mm、新聞紙を2枚重ねると0.1mm、分厚いカレンダーで0.3mm。

こう考えると0.4mmって結構分厚いものです。

人間の手ってのは優秀ですね。革も1mmと1.2mmを触ってみると明らかに違うことがわかります。


漉き、という作業が革業界ではものすごく重要


じゃあ、革を販売している革屋さんはそれらの厚みをそれぞれで在庫を持っているのか、というとそんなことはありません。

注文を受けて「革1枚を1.3mm、革1枚を2mmに薄くします」「革の半分を0.6mm、残りをそのままで納品」などそれぞれに対して薄くしていきます。

革を薄くする工程を「漉き」と言います。

全体を薄くすることを「割り漉き」や「漉き割り」と呼びますが、「漉き」という一言で終わることも多いです。

「割り漉き」「漉き割り」の違いは東西の違いです。西が漉き割り、という言葉を使います。

この革1枚を薄くしてくれる加工屋=「漉き割り屋」さんですが、日本全国で東京・大阪で数軒、姫路に1軒程度しか存在しません。

おそらく日本全国足しても10軒ないと思います。多分5か6軒。それくらいレアな職種です。

以前撮影してYOUTUBEで紹介した割り漉き屋さんの動画があります。

ぜひ、見てみてください。そのうえでもうちょい詳しく解説していきましょう。


漉きって結局革を削っているの?

違います。

輪っか状の刃物が高速回転しており、その上を滑らせることで革を上と下に分割して薄くしていきます。上の面を銀、下の面を床革と呼びます。

革の世界的にはこの銀の部分がとても価値があります。

銀の部分を均一に、穴をあけることなく、仕上げる漉き工程はとても重要なわけです。

下記の写真で説明するならば上と下部分にベロリと分割されているわけですね。


動画見てみたけど、単に厚み調整して革を送り込んでいるだけじゃないの?

彼らのすごさを解説すると平気で1時間かかります。

それくらい奥が深く、技術を有する仕事です。

簡潔に説明するならば・・・

革、というのは馬や牛、豚による動物種の違いや、ギュッとしまっているタンニン革、ふんわり柔らかいシワありのクロム革など、様々な種類が莫大に存在します。

お願いしている漉割り屋さんは厚み調整のゲージがありません。

大きな大きなハンドルがあるだけです。

ゲージがあったほうが便利じゃないの?


「ゲージはあかん。信用できない。革は安定性に欠ける。表面の張りやなめし方、仕上げにより変わってしまうからゲージは信用できないんや」


この言葉を解説しますと・・・


ギュッと締まっている革の2mmとふんわりとしたシワありの2mmでは同じ革でも密度が異なります。
割り漉き屋さんはそれらの表面の硬さや締まっているかどうか、などを指先の感触で確かめて微調整を行っていきます。

その上で「こっちの革は1枚だけ0.6mm、その次はふんわりとした革を1.2mm」など1枚1枚を瞬時に判断して機械をいじるわけです。

結局は指先の感覚が一番信用できます。


また、革は1枚1枚が形状が異なり、大きさが異なります。

大きい革は1人では到底作業できません。

送る人として最低でも1人、受け取る人として1人が必要となります。

機械があれば誰でもできる、という商売でもないですし、1人では到底できません。

ミスをしたら1枚数万円が消し飛ぶ経済的な危険性。もちろん高速回転する機械ですから物理的な危険もある商売です。


さぞかし工賃お高いんでしょ?

例えば私が働いている会社 フェニックスでは自社の革は400円、他社持ち込みの革でしたら600円となります。

革の基本的な大きさ1枚だろうが、その1/5の大きさだろうが一律です。あれだけの作業をたったの400円で行ってくれるんです、この仕事は。

割り漉き屋さんってのは本来は一定の厚みで大量に作業をしてなんぼ、の商売です。

1日あたり数百枚は作業しないとお給料が出せません。

彼らは本来「この20枚の革を全部一律1.0mmにしてね!」と言われて利益を出す商売です。

「この締まっているタンニン革1枚は1.2mm、このふんわりしたクロム革2枚は0.8mm、ほかにも・・・」という1枚1枚がバラバラな指定を1日20枚以上持ち込むフェニックスみたいな会社は本来割り漉き屋さん的には美味しいお客さんではありません。

ほんとに迷惑をかけているなと頭が下がる思いです


こういうことをすると割り漉き屋さんは怒ります。

私が何回かやってしまった失敗として、ホッチキスを革についたままにしてしまったことがあります。

高速回転している刃物の先端にホッチキスがあたってしまうとカツンっと欠けてしまいます。

ほんとうにわずかな欠けです。1mmあるかないかの世界です。

ですがこれを放置すると「薄くすけているゾーン」と「欠けているためその部分だけ分厚いゾーン」が交互に存在してしまいます。

これは虎模様のように見えるため「トラが出ている」と言われてしまいます。

これは手持ちの革を手持ちの機械で漉いたものですが、裏面に縞模様が出ています。

これがトラ模様ですね。「トラが出ている」といいます。

厚みが均一ではなく、場所により革の厚みが分厚い・薄いが交互に出てしまうわけです。

で、このような事態になると、欠けを治すために割漉き屋さんは欠けていない部分を全部研いで均一の厚みにしてしまいます。

それだけの刃物を浪費してしまい、研ぐ作業で時間がなくなってしまいます。

ほかにもクリップやタグをつけている細い針金なども刃を欠けさせる一因となります。


刃物ってどれくらいで交換するの?

動画の最後付近で刃物交換風景が見られます。

これらはだいたい7日~10日に1回程度交換するそうです。

彼らは常時研ぎながら仕事をしています。動画の中で火花が飛んでいますが、あれは漉きの作業をしながら砥石を当てていることで研ぎ作業も一緒に行っているからです。

もちろん研ぎをケチればその分刃物を買うお金を減らせます。その分儲かりますが、きれいに漉けないと信頼を失ってしまいますし、訂正作業などで時間を浪費してしまいます。

信頼と時間を考えると刃物はガンガンと研いで消費していったほうがいいわけです。


行ってみたい!どこにあるか教えて!

基本的に業者さん向けの専門職種となり、気軽に見学などができる場所でもありません。そのためどこにあるのか、取引できるのか、などのお問い合わせはご遠慮ください。


漉き割り屋さんは皮革業界を支える縁の下の力持ち的な商売です。

以前バスツアーで見学をしましたが、参加者は「これを見たら厚みが0.2mm程度狂っても文句言えませんね」と驚かれていました。

皮革業界はこのような仕事がまだまだたくさんあります。

折を見て紹介していきたいと思いますのでよろしくお願いします。

 

過去の関連blog:



‹‹ 前の5件 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11

プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

最近のブログ記事

カテゴリー

月間アーカイブ

rss
facebook witter

このページの一番上へ