欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2023年9月20日 の記事

カテゴリー: ジャパンレザー トピック&イベント まとめ

このところ、公共交通機関のニュースが話題になっています。カーボンニュートラルへの取り組みとして開業した次世代型路面電車 LRT(栃木県宇都宮市~芳賀町)と、人手不足によるバス会社の全路線および事業廃止(大阪府富田林市)。いま、時代の分岐点なんですね。次世代へ受け継ぎ、ものづくりの灯を絶やさぬように、ジャパンレザーの魅力を発信し続けることでユーザーの皆さまに知っていただきたいと強く願います。

さて、9月後半というのに酷暑が終わらない秋、つくり手たちが丹精込めて仕上げた皮革素材と革製品を紹介するイベントが各地で次々と開催中です。どうぞお立ち寄りください。今回もイベント、メディア情報ほか、さまざまなトピックをまとめました。参考にしていただけますように。


【コンテスト情報】「ジャパンレザーアワード」

一般社団法人日本皮革産業連合会(JLIA)が開催しております国内最大の革製品コンテスト「ジャパン レザー アワード」、2023年度の全応募作品214点が公式ウェブサイトで公開されました。一点一点、360°カメラで撮影された写真と、応募者の皆さまのコンセプト、想いが掲載されています。ぜひ、ご覧いただきたい内容です。今回も素晴らしい作品ばかり! 個人的に気になった作品の傾向を10のキーワードでお伝えします。

■香川県のものづくり
NHK連続テレビ小説(通称:朝ドラ)第109作「ブギウギ」(10月2日スタート)の舞台として注目の香川県東かがわエリアは、手袋産業が盛ん。
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そんな地場産業、手袋づくりの匠による最新作! 磨き上げられた技術が詰まっています。
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手袋づくりのノウハウ、繊細な手仕事を生かしたデザイン性の高い革小物、同じく香川県の地域産業資源に指定された「観音寺市の麦わら帽子」づくりをベースに、材料をレザーにした作品が寄せられました。レザーを細いコード状にし麦わらと同様に縫い仕上げています。オールシーズン使えるのがいいですね。

■大阪&近畿のものづくり
2023年度の「ジャパン レザー アワード」は、受賞作品展示イベントを大阪で開催。地元の皆さまも奮起してくださって作品をエントリー。
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地域ブランド「大阪かばん」を展開する大阪鞄協会会員メーカー(写真上)、大阪バッグ協同組合からは80代の現役職人の自信作(写真下)が。
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メディアで話題の財布メーカーの次世代リーダー(写真下)、大阪の靴づくりを継承するつくり手、サンプル師が教えるバッグ教室講師からも。
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大阪・梅田 阪急うめだ本店 8階「b8ta Osaka - Hankyu Umeda」の会場に、凱旋展示される作品がありますように!

■タンナーの意欲作
革製品メーカーはもちろん、タンナーからのご応募も目をひきました。
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皮革素材づくりが盛んな東京都墨田区で約20年ぶりに新工場を開設した事業者(写真上)、長野県飯田市で上質なレザーを手がけるタンナー(写真下)が自らご応募くださいました。
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日本有数の皮革産地兵庫県の、兵庫県立工業技術センター皮革工業技術支援センター監修をはじめ、各タンナーのチャレンジングが秀逸。
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レザーの魅力を最大限に引き出した作品にご注目を。

■パッチワーク&リメイク
「SDGs」をテーマにするうえで欠かせない未利用皮革素材の活用。製品づくりに使われなかった革の端材を産業廃棄物にすることなく、製品づくりに生かした作品が増えています。
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なかでも、パッチワークで縫い合わせた作品(写真の作品以外にも数多くあります)が目をひきました。
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さらには、リメイク作品も! 「25年前につくられた革が劣化せず使用できることがサステナブルであることを証明する」、というアプローチに感動します。

■およばれ・よそいき
行動制限が解除され、外出する楽しさ、対面で会うよろこびを実感する2023年。今年を象徴していると感じたのが、作品コンセプトに書かれた「およばれ」「よそいき」というワード。
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当たり前でなくなってしまったことが、再び当たり前になることは、こんなにも尊いのか、とじわじわと沁みます。
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上質なハンドバッグの特別感とともに、つくり手・事業者が掲げるハーパス(存在意義)を提示しました。

■おまもり・縁起もの
風水の影響で幸運日・開運日に財布をお求めになる購買行動が定着していますが、その流れにぴったりのものづくり。
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2023年6月21日更新分(杉野服飾大学ファッションプロダクトデザインコース)でもご紹介しましたが、Z世代に「簡体字」が注目されるなか、「梵字」にフォーカスしたのは慧眼ですね。
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このほか、だるまキーホルダー、青い蝶をあしらったバッグ、神聖幾何学模様の財布(写真)・・・など、さまざまなラッキーモチーフの提案が楽しい。

■ハッシュタグにしたい細分化ニーズ
同じく2023年6月21日更新分でご紹介しましたが、店頭の売れ筋のひとつである「推し活」をテーマにした作品、レコード、映画館(写真)、バイクをはじめとした趣味のシーンで活用できるアイテムなど杉野服飾大学ファッションプロダクトデザインコースからご応募くださいました。
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これらのほかにも、にんじん型の競馬観戦用バッグ、ハロウィンにぴったりなかぼちゃ型バッグ、タップダンスシューズ(写真)など、ハッシュタグ化しやすく、熱量の高いコミュニティとつながるクリエイティブ。
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使用シーンを限定することで検索ニーズにマッチさせる、現在の流れにぴったりですね。

■こどもたちに届けたい革製品
同じく杉野服飾大学ファッションプロダクトデザインコースからご応募いただいた、ちいさなお子さんのためのレザーバッグは大人に憧れる多感な時期にファーストシューズのような提案。
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七五三に合わせたギフトとしてもいいですよね。上質なレザーバッグを贈り、「いいものを大切に使うひとになってほしい」そんな願いを込めて。ヒコ・みづのジュエリーカレッジ卒業生からは、こどものデザイン×クリエイターの遊び心を融合させてつくったシューズが。
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自由な発想に驚くとともに、このデザインを靴として仕上げた情熱に感激しました。
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このほか、さまざまなランドセル、こいのぼり型の小物などに加え、メッセージをダイレクトに訴求する作品も。「いただきます。」を型押しで配し、食す命に革製品としての新たな命を与える感謝の気持ちを表現した革小物(写真)は、食と革の文化としてのつながりを知るきっかけになりそう。

■レザーでつくったみた
かばん職人と将棋職人のコラボレーションによる新たな挑戦、「職人の合作 唯一無二の牛革製将棋セット」がスゴイ!
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「フライドポテトのあれを革で! 素敵なインテリアになるポテトケース」といったポップな作品、韓国ファッションで人気を集めたマンドゥバッグ(太い毛糸で編み上げたバッグ)の材料をレザーに置き換えた作品(学生部門)は、若い世代らしい発想と若い世代に受け入れられそうな、広がりがうれしいですね。

■歴代受賞者が挑む新作
今年はなんと、前年度のグランプリ受賞者がエントリー。虹の橋のたもとへと旅立ってしまった愛犬をモチーフにしたレザードール(オルゴール)を発表。 
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このほか、各部門の歴代受賞者たちによるシューズ、バッグ、クーラーボックス(写真)・・・幅広い作品でトライ。ジャパンレザーおよび、クリエイティブにかける皆さまの情熱こそが「ジャパンレザーアワード」の誇りであると痛感しました。

以上、独断と偏見でピックアップしましたが、ほかにも素晴らしい作品ばかりです。すべての応募作品は、「ジャパンレザーアワード」公式ウェブサイトでご覧いただけます。


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9月30日(土) ・10月1日(日)の二日間、東京・渋谷ストリーム ホールで応募作品展が行われます。革の魅力を存分にお伝えするため、3つのフロアでイベントを開催。一般公開となる応募作品展は、9月30日(土) 16:30~18:00と10月1日(日) 10:00~16:00です。審査日である初日は、11時から開場しておりますが、厳正なる審査の妨げとなるため、作品展示スペースへの立ち入りはご遠慮いただいております。審査の進行状況は、観覧可能です。
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その他のフロアでは、審査中もイベントが行われておりますので、存分にお楽しみいただけます。5階は、触れる皮革素材の展示。6階は、「Leather World Music Concert」演奏会が行われています。写真は昨年開催時に撮影したものです。

「テーーマ」ポップアップショップ、「LEATHER WORLD」の会場、渋谷スクランブルスクエアとこちらの会場、渋谷ストリーム ホールは、ペデストリアンデッキでつながっており、行き来もスムーズです。開場時間、終了時間が異なりますので、効率よくまわって楽しんでください。



【イベント情報】「テーーマ」

東京・渋谷 渋谷駅直結 渋谷スクランブルスクエア 2階で、9月16日(土)~、「テーーマ(teema)」のポップアップショップがスタート! 10月1日(日)まで行われています。
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取り扱い製品の中から厳選されたアイテムを展示し、ショールーミング体験を楽しんでいただけます。
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初日からオンラインでご購入が相次いでいます。

目玉コンテンツは、自分だけのとっておきのレザーアイテムをつくれるカスタマイズ。「ユードット」「エム・リップル」「モジャカワ」など、新進気鋭の人気ブランドの注目アイテムを自分らしいオンリーワンアイテムに仕上げることができるのがうれしいですね。実際の素材や形のサンプルも登場し色や素材感を確かめていただけます。手に取って見ることができるチャンスです。

「テーーマ」の公式ウェブサイトでは、カスタマイズの特設ページもありますので、ぜひチェックしてみてください。



【ライブ配信情報】「ジャパンレザーVOICE」

「ジャパンレザーVOICE」(#レザボイ)第15回が本日9月20日(水)16:00~、アズーリFM公式ウェブサイトよりライブ配信(生放送)予定です。
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第一特集「革製品紹介」は特別編。
NHK連続テレビ小説 第109作「ブギウギ」(10月2日スタート)の舞台として注目の香川県東かがわエリアの手袋産地の歴史、「グローブミュージアム」オンラインツアー、暖冬でも楽しめる手袋と手袋関連アイテムをご紹介予定です。

第二特集「ジャパンレザー最新トピック紹介」は、レザーの季節・秋を先取りするイベントをピックアップ。「テーーマ ポップアップショップ」「レザーワールド」「ジャパンレザーアワード応募作品展示イベント」をまとめて紹介。レザーファン必見の内容です。どうぞお楽しみに。



【メディア情報】「JLIAtv」 

一般社団法人日本皮革産業連合会 公式YouTubeチャンネル「JLIAtv」に、当ブログ月イチ連載でお馴染みの村木るいさんが登場! 
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インタビュー動画をぜひご視聴ください!!




【製品情報】「NESSO」

さまざまなメディアで紹介され話題! 靴づくりの人材育成を推進する仕掛け人 ロカシュー 大山 一哲さんが手がける新プロジェクト「NESSO」がスタートし、人気を集めています。

フルオーダーのグローブを提供する「NESSO」は、食肉用和牛の皮を有効利用したサステナブルな取り組み。プレイヤーの手にしっかりフィットして、薄くて軽量ながら耐久性を確保しつつ、手の届きやすい価格を実現。カラーリングや刺繍などのデザインを自由にカスタマイズ可能で、自分だけの軟式用オリジナルグラブが手に入ると好評です。くわしくはリンク先をご参照ください。






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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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