欧米ブランドに「負けていないぞ!」

2016年1月13日 の記事

カテゴリー: 国内革事情


イースト東京・蔵前エリアに昨年末、ふたつのショップがオープンしました。


レディスバッグの老舗と新進クリエイターが手がけるブランド、
とタイプはちがいますが、それぞれ、
日本の革と革のものづくりを発信しています。



老舗メーカー 高屋が本社エントランスの一部、ロビーのスペースを有効活用し、
直営ショップ<トートクラマエ>として開業しました。

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都営地下鉄浅草線蔵前駅にほど近く、大通りには面していないものの、
周囲には東京スカイツリーの眺望が人気のリバーサイドカフェ、
外国人観光客向けの宿泊施設などが。

高感度ユーザーがまち歩きを楽しんでいる一角です。


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「ショップとしてオープンすることで、
 ご近所のかたにも<高屋=バッグメーカー>として
 認知していただくきっかけになりました。

 大々的な販促をしていませんがクチコミだけで

  開店から約一か月(平日のみの営業)で
 100名以上のご来店があり、売り上げも順調に推移しています。

 バイヤーの皆さんからも評価が高く、店頭に近い環境で
 プレゼンテーションすることで追加オーダーが増えました」

と商品部部長 薄井さん。


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1Fが小上がりになっていてわかりにくかった、との顧客の意見を反映し、
店舗前にウェルカムコーナーを設置。

現在、打ち出している商品をディスプレイし、好評です。


現在、「ハルサイフフェア」を実施中<1月22日(金)まで>。

和装小物、バッグで知られる同社だけに、財布にもその伝統と技術が息づいています。

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きものの着姿を乱すことのない、
薄づくりや口金を配したアイテムを数多く展開。

「東京のものづくりは<あずまもの>と呼ばれ、かっちりとした仕立てが身上。

 かつては小股が切れ上がった、粋な女性に好まれたそうです。

 そんな伝統を受け継ぎ、当社でしかできないこと、ものを追求しています。

 長くお世話になっている つくり手のかたがたの仕事を
 確保することにもつながりますので」(薄井さん)。


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こちらのコインケースはレトロなデザインがいいですよね。

曲線を生かしたフォルムと多色づかいが目をひきます。

関西では<七色財布>と呼ばれ、厄除けの効果が期待できるそう。

大幅なモデルチェンジをせず、固定ファンのためにつくり続けるロングセラーです。


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トレンドのコンパクト財布もまた、上品でエレガント。

型押しやメタリック加工などを施したレザーを取り入れ、モダナイズ。


「出会ったときが最高で、
 時とともに魅力が色あせてゆくのではなく、
 持つたび、使うたびに新たな魅力が加わって、いつしか手放せない
 <お気に入りの品>になってゆく...

 そんな愛着につながるのが本当の品質だと思うのです。

 これからも、半世紀以上にわたって
 受け継がれてきた創業の精神<持つ身になって物作り>を忘れずに、
 ひとりでも多くのお客様の<愛着の品>が生まれることを願って
 よりよい製品をつくり続けてゆきます(高屋公式サイトより)」

というポリシーが反映されています。


高屋さん08.JPG

お買い上げでノベルティをプレゼント。

パッケージにはヘビ革を5円に見立てたモチーフを添えて。

スタッフのかたのぬくもりが伝わりますね。

接客は本社スタッフが交替して担当するだけに商品知識が豊富。

ていねいな対応がよろこばれていますよ。


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大きな姿見もあり、着こなしのバランスをチェックし、じっくり選ぶことができます。

今後は春の新作も登場するそうです。


■ トートクラマエ

 11:00~17:30営業 土日祝定休
 東京都台東区蔵前2-14-11
 tel. 03-5820-3877
 <http://www.taka-ya.co.jp/>



注目ブランド、カレド シェクリが

アトリエ兼ショップを蔵前3丁目に移転オープンしました。

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メインストリート・国際通りに面する倉庫跡をリノベーション。

高い天井を生かした空間はどこか、ブックショップのような雰囲気が漂います。


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梯子を置いているのは、そんな演出だけでなく、
ひとつひとつお客さまに手渡ししたい、というあたたかなおもてなしの表現。


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定番コレクション、新作に加え、1点モノや海外で買い付けたアンティーク雑貨などを
順次そろえて、ブランドのトータルな世界観を発信していくそうです。


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デザイナーの額賀 雄一郎さんは、イギリス留学中に
デザイン・アート系アワードの賞を相次ぎ受賞。

アレクサンダー・マックイーンでインターンとして活動し、渡仏。

大学院でさまざまなブランドとのコラボレーションを経験。

帰国後、フランス系ラグジュアリーブランドのデザインマネージャーに就任。

2014年、自身のブランドを始動しました。


ブランド名「calede checli(カレド シェクリ)」とは、
<ひねりを加えたずれ、枠に収まらない>という意味の<decale>(デカレ)と
<乱用されて本来の本質や目新しさが失われたもの>という意味での
<cliche>(クリーシェ)を組み合わせた造語。

<独自の感性で表現される創造性と、過去から続く伝統的なものへの尊敬>、
「Creative & Nostalgic」をコンセプトに、
新しく、どこかなつかしいニュースタンダードをかたちにしています。


シンプル&ベーシックの流れのなか、
高感度ユーザーの気分を変える、強いアクセントとなるデザインのコレクション。

シックななかにも、トレンドとして消費されない
<力強さ>、ブランドとしての<アイデンティティ>を内包。

ビームス、アッシュ・ペー・フランスをはじめ、
リステアでも取扱いが決定したそうです。


「ハイセンスでデザイン性の高いアイテムは、
 普段の生活に加えるだけで気分を高揚させる体験を与えてくれます。
 日本の職人がひとつひとつていねいにハンドメイドすることにより生み出される
 高いクオリティーで安心感をプラスしました」と額賀さん。


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店頭におかれた足踏みミシンは職人から譲り受けたもの。

日本のものづくりのバトンを受け取った証のように感じられますね。


ひとつのバッグの完成に向け、つくり手たちとの
やりとりのなかで、ときには意見の相違や衝突もあるそうですが、
お互いの信念や理想をすり合わせるプロセスとなり、
さらなる高みへ昇華しています。

海外で磨かれた感性と国内で受け継いだ技術が化学変化し、
新たなクールジャパンのDNAとして芽吹いているよう。


海外の展示会に積極的に出展し、プレス、バイヤーの評価も上々。

公式ウェブサイトは英語テキストを併記するなど、
インターナショナルブランドとして次のステージを見据えています。


■ カレド シェクリ

 不定休(アポイント制)
 東京都台東区蔵前3-9-5-102
 tel. 03-6240-9158
 <http://caledechecli.com/>



この春、チョコレート界のサードウエーブと呼ばれる
<ダンデライオンチョコレート>のオープンが予定され、活気づく蔵前周辺エリア。

ものづくりの街として、ますます話題になりそうですね。


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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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