2017年8月 2日 の記事
August 2, 2017
「HandMade In Japan Fes 2017」レポート (2)
カテゴリー: 国内革事情
前回に続きまして、人気イベント「HandMade In Japan Fes 2017(ハンドメイドインジャパンフェス)」のレポートをお届けします。バッグ、革小物を出品していたブースをピックアップしました。
<pettica(ペチカ)>
岡山県出身、愛媛県在住のバック&革小物作家 片山美智代さんが、大学生のころから趣味でバックをつくりはじめ、雑貨屋、セレクトショップなどで販売をスタート。愛媛県松山市の工房で丁寧につくっています。
現在、倉敷、大阪、松山にて個展を開催しているそう。かわいいがまぐちがズラリ。使いやすさを追求し、サイズやバランスで独自性を打ち出しています。
切り替えのラインが個性的。穏やかな瀬戸内海に打ち寄せる波のような印象ですが、モチーフは特にないそうです。「富士山みたい」というファンのかたも多いとか。使うひとの感じ方次第、という自由さもいいですよね。ディスプレイも凝っていて素敵でした。
<squeeze(スクィーズ)>
創業1963年創業の大関鞄工房が立ち上げたオリジナルブランド。メイドインジャパン、メイドイントーキョーという軸がぶれることがなく、地道なものづくりに信頼が寄せられています。
バッグのほか、コンパクト財布が豊富。なかでも、気になったのがこちら。
絶妙なフォルムのコインケースは<手にしっくりと収まる小銭入れ>という商品名の通りの、フィット感。意外と収納力があり、コインが15~20枚くらい入るそうです。アクセサリーケースとしても使えるのもいいですね。
<kaunis sormus(カウニスソロムス)>
スモッキングの技法を生かしたものづくりを展開。今年からリスタートしたそう。女性クリエイターがひとつひとつ仕上げています。厚手の素材が多いので、指ぬきをしていても、なかなか大変そうな作業ですよね。そんなご苦労が垣間見えますが、ほかにない豊かな表情が素晴らしい。
スモッキングというと、70年代テイストに欠かせませんね。このところ、ペザント(農夫)ルックが注目されています。その代表的なアイテムのひとつとして、スモック(スモッキングの技法を生かしたトップス)も。懐古趣味だけでなく、キャッチーなアイテムとして新鮮ですね! カスタムオーダーもできるので、自分らしいオンリーワンがつくれそうです。
<style and things(スタイルアンドシングス)>
特許・意匠出願中の独自製法で上質な素材を用い、無縫製で仕上げるバッグがユニーク。手仕事が生かされながらも、工業製品のような佇まいがクールです。クラフト感をほっこりさせない、という、現在のトレンドにもぴったり。配色によって、かなり印象が変わりますね。すでに海外での評価も高く、グローバルに展開中。今後が期待されるブランドです。
<Trooms(ティールームス)>
人気ブランド<Trooms>は、お菓子をモチーフにした財布、革小物を中心に発表。なかでもチョコレートシリーズが大人気。腕利きの職人が丁寧につくっているため、大量生産ができず、オンライン、リアル店舗ともに発売後すぐ完売というアイテムも多いようです。
新作は、ミラーつきチャーム。インスタファーストな時代、自撮りのまえに便利。わざわざバッグから出さなくても、バッグチャームなら素早くチェックできるのもうれしい。また日差しが強いときは、さり気なく煌くのもいいですよね。
<革*jaocbi(カワアスタリスクヤコビ)>
インキュベーション施設<浅草ものづくり工房>入居ブランド<革*jaocbi>が、人気キャラクター< ぐにゃにゃんこ>で単独出展。シグネチャーライン<革切子>と異なる世界観で、SNSのアカウントも分けて展開しています。「コミックマーケット」などにも出展しているので、テイストに合わせた情報発信もお手のもの。
パペットも仲間入りしました。キャラクターが語りかけるようなエントリを続々投稿し、リピーターが続々来場。新しい革小物からフレンドリーで密接なコミュニケーションが生まれていました。
<バッグアーティストスクール レプレ>
会場では、展示販売だけでなく、ワークショップなど参加型イベントも充実。なかでも盛り上がっていたのが<バッグアーティストスクール レプレ>。
「ミシンでつくるミニトートバッグ」のワークショップに予約が殺到。各回2名という少人数制で、講師がマンツーマンでわかりやすく指導してくれます。ビギナーさんでも安心してチャレンジできました。
ブースでは、個性あふれるバッグを展示販売し、好評でしたよ。<バッグアーティストスクール レプレ>は、この春、愛知・一宮に新拠点がオープン。東名阪のネットワークが完成しました。
自社で運営するギャラリー&ショップ<b.a.g(バッグアーティストガーデン)>での展示販売、有名ショップでのイベント開催などもあり、スクール卒業後のサポート体制が万全。バッグづくりをしたいひと、バッグブランドを立ち上げたいひとの可能性を伸ばしています。
今回の「HandMade In Japan Fes 2017」も大盛況。スペースが大幅に増え、フロアが2つにわかれたこともあり、見やすくなりましたが、移動もあるので時間との闘いでした。有料イベントでありながらも、リピーターのかたがたの静かな情熱とパワーがスゴイ! 個人のつくり手とユーザーがつながる場、というだけでなく、メーカー、企業、地方自治体・・・と、出展者も増え、さらなる広がりが感じられました。今後も引き続き、この流れに注目していきたいと思います。
■ 参考URL ■
HandMade In Japan Fes 2017 <https://hmj-fes.jp/>
プロフィール
鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター
東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。
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