欧米ブランドに「負けていないぞ!」

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」 の記事

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。

今回は、キッズレザープログラムに来た小学生からの難しい質問とジャパンレザーアワードの話。日本皮革産業連合会(JLIA)でこども達にレザーの魅力を発信するプロジェクト、「キッズレザープログラム」の委員を担当している村木さんならではのリアルな内容です。また、国内最大の革製品コンテスト「ジャパンレザーアワード2024」のお知らせもプラスしています。ぜひ、ご覧ください。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしていますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。

今後のスケジュールなどは下のリンク先をチェックしてください。


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毎度です!「先日、スマホを落としてなくしました」ムラキです。

まぁ、スマホを落としたのはショックではあるんですが、その過程の中で、「スマホをなくして新しいスマホにしてもラインの会話記録くらいしか失っていない」「代替スマホがあってeSIMがあれば4時間ほどで全部復旧できる」「公衆電話、ほんとにないな」などのさまざまなことが学べましたわ。またどこかでまとめます。大丈夫!スマホなくしたくらいじゃ世界は変わらない!むしろ一生使えるネタを拾えましたわ。

今月の話としては・・・

・キッズレザープログラムの質問を受けてその解答
・キッズレザープログラムが8月に経済産業省の「こどもデー」に今年も出展
・ジャパンレザーアワード募集開始したよ!

などとなります。

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キッズレザープログラム、というJLIAのプロジェクト


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多分、10年くらい関わっているんですよ、私。
えっ! もう10年以上、キッズレザープロググラムというプロジェクトに。



≪KLPの事業目的≫
1 革に関する正しい知識を持った消費者を育てる
2 皮革素材の可能性を伝えるモノづくり(生産)現場を育てる
3 職業選択に皮革産業という職業を選びやすい環境を作る

《KLPを通じて伝えたいこと》
KLPでは、こども達が革に触れられる機会を提供するだけでなく、正しい知識を学び、当たり前のように身の回りにある革製品について考えてもらうきっかけを創出したいと考えています。

この事業は10年以上前からJLIAでは行われています。SDGsが一般的になる前から、「革は食肉の副産物ですよ」ということなどをお子さんたちや親御さんに伝えてきていました。

高校生に革の請負職人としての話もしてきた

キッズレザープログラムのために東京出張行きまくったり、その過程で高校生に話をするためだけに自腹切って東京に行ったり、などいろいろおもしろいネタが拾えたものです。


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この話をした際には、「自宅工房で仕事していたら通勤もありません。ラッシュに揉まれる必要もありません」「1週間に会うのは仕事をもって来る営業さんとだけ!人と話さなくても生きていける!大丈夫!トモダチ100人いなくても生きていける!」という話をした際には、高校生よりも同伴して聞いていた教師のほうがウンウンと頷いていたのが不安になりましたが、あのときの先生は元気にしているかなぁ。

「豚と牛って鞣しは違うの?」という質問に・・・

豚も牛も革になるまでの作業はほとんど同じでしょうか?ピッグスキンの特徴として、毛が皮を突き抜けているため通気性が良い、摩擦に良い、と書かれていました。皮から革にする際に大きな違いがあれば教えてください。

このキッズレザープログラムを受託している担当者から、小学生のこどもが革に興味をもっているので教えてください、と親御さんから質問が届き、メールを何往復もしたそうです。

「オススメの絵本ありますか、とか、義父が肥育している牛の皮も革になっているんですか?とか。最終的にお子さんが自由研究として成果物を作るみたい。教えた絵本をすぐ読んでみたり、東京都立皮革技術センターにも足を運んでいるみたいです」(キッズレザープログラム担当者)

あー、なるほど。皮革技術センターにまで行くとはたいしたものだな、その親子さん。キッズレザープログラムという窓口通じてお子さんが革に興味持ってくれるとはありがたいなぁ。

豚と牛の鞣しの違いって?

豚と牛の鞣しの違いかぁ。結構難しい質問なんですよね。まず革の解説から。わかりやすく解説している動画をご覧ください。

この動画では、牛と豚の革の違いを解説していて、鞣しの違いの解答じゃないのですが、ここらへんを理解してから鞣しの話をしたほうが理解していただきやすくなると思います。

1 大きさが違うと設備が違う

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革を作る工場をタンナー、と言いますが、東京や埼玉などにそれぞれ10社弱が存在し、兵庫県たつの市と姫路市に登録者数でいうならば130社ほど存在します。(他の地域や詳細な数ではないと思います。それ言い出すと「何を持ってタンナーか」という論議にもなりますので。。)

で、東京のタンナーさんには豚を扱うところが多く、姫路市とたつの市は牛や馬が中心となります。これらは食文化の影響です。

関東は豚肉を食べる食文化であり、関西は牛肉を食べる食文化です。革は食肉産業の副産物です。そのため、東京の屠畜場などは豚が中心。そうなると豚皮を豚革にするタンナーが中心となります。

他方、関西は牛肉を食べる食文化であり、結果的に関西のタンナーさんは牛や馬などが多くなりました。

で、この違いが設備の違いに繋がります。関東のタンナーさんの設備は豚に適している設備=小さめとなります。他方、関西のタンナーさんの設備は牛や馬に適している=大きめとなります。

「大は小を兼ねるんじゃないの?」...大きな設備で小さく薄い豚皮を鞣すと、設備や工程によってはズタボロになります。中華包丁でお刺身を作るのは大変なわけです。ペティナイフでステーキ肉を切るのは大変なわけです。対象に対して適切な工具を使わないと効率や出来が悪くなります。

2 豚と牛では含有している脂が違う

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豚と牛、馬などはそれぞれに違いがあります。

豚の生き物の特徴としては脂が多いです。豚の角煮を作る際にそのまま煮込むと白い脂の層が固まります。あれが脂です。他方、牛や馬は、豚ほど大きさに対して脂を保有していません。

これが鞣しをする際に影響が出ます。設備、ではなくて、皮を革にする処方が異なります。
薬品の種類や量、タイミング、設備の稼働時間、などを決めるものを処方、と呼びます。これが豚や牛では全く違います。薬品も変わります。

結果的に、豚を鞣すのが得意なタンナーさんに「牛を鞣して」といっても、設備や処方が異なるため出来上がりが望んだものになるとは限らないわけです。

各タンナーや職人さんごとに得意技が異なる、というわけですね。

下のリンク先では皮革大学、という革の鞣し実習を行ったときの解説をしているのですが、私が習ったときはたまたま、和牛の皮を革に鞣しました。和牛は脂含有量が多く、ものすごくヌルヌルしていましたねぇ。豚はもっとすごいんだろうな、と思います。


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キッズレザープログラムが「経済産業省こどもデー」に出展予定です


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経済産業省は、「経済産業省こどもデー」というイベントを毎年8月の第一週に開催しています。今年も日程はまだ発表されていませんが、予定されているようです。


キッズレザープログラムは昨年もこのイベントに出展しており、今年も予定しているそうです。

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イベントではワークショップも開催されますし、革のことを知ってもらう 解説なども行われます。夏休みの自由研究にもおすすめです。

また、全国各地でイベントを開催中。そのイベント情報も随時、公式ウェブサイトに掲載されていますので、お近くのエリアの情報をチェックしてみてください。


ジャパンレザーアワード 募集開始!



さて、ジャパンレザーアワードの作品募集が開始されました。

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今年も9月28日(土)・29日(日)は、ジャパンレザーアワード審査会・応募作品展 開催

例年、9月下旬にジャパンレザーアワードの審査会が行われます。これは会場に全応募作品を並べ、それを土曜日に審査員が16時半か17時位までに審査します。この審査時間中は応募作品を見ることはできません!

ですが、17時以降~18時、さらに翌日の日曜日には1日、全応募作品を見ることができます。

例年、この同会場において、私が革の解説をしたり、レザークラフトフェニックスの展示販売などを行ってきました。革で作品、商品を作っている方はぜひご参加ください。そして全応募作品を見てみてくださいな。毎年、宮崎県から参加して見に来ている方もおられます。

会場では革の展示も行われ、私が歩きながら解説をしています。どれだけ、動画で解説しようが、実際に触らないと革はわかりません。ぜひ作品も革も触りに見に来てください。

おこさんが参加し、楽しめる展示やレザークラフト体験も充実される予定です。ファミリーでぜひ!

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審査会
9月28日(土) 11:00~16:00頃(予定)
審査中は直接作品を鑑賞することはできませんが、審査の進行状況は観覧可能です。4階の審査会場以外のエリアに関しましては、5階と6階にてイベントを開催しております。4階の審査会場以外のエリアへの出入りは自由です。

応募作品展
9月28日(土) 16:30~18:00(予定)
審査会終了後、会場が整い次第、応募作品展を開始します。
9月29日(日) 10:00~16:00(予定)

場所
渋谷ストリーム ホール
東急東横線・田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」C2出口直結


村木今後予定


7月19日(金)~20日(土) 「本日は革日和♪」(福岡・博多)


9月28日(金)~29日(土) 「ジャパンレザーアワード応募作品展」(東京・渋谷)

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。

今回は、タンナーを15年撮り続けた写真家の個展を見てきた、「レザー」「革」の表記がJIS規格で厳密になった。それに対するネットの反応などをまとめてくださいました。「東京レザーフェア」期間中に行われた「JIS K 6541:2024 革(レザー)-用語」制定などの説明会には、約160名もの皆さまがご参加くださいました。今週、新聞などで報道され話題になています。ぜひ、ご覧ください。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしていますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。

今後のスケジュールなどは下のリンク先をチェックしてください。


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毎度です!「量産の職人仕事をしつつイベント運営は相性が悪すぎる」ムラキです。

5月24日(金)・25日(土)、東京・浅草橋で「本日は革日和♪」を開催しました。事前予約制、かつ、入場料1,500円、かつ、3時間制限、というイベントでしたが、来場者の方の満足度は高かったと思います。1,500円もらっていますので来場者がいる間は常に来場者を見ており、右往左往している方や、出展者が来場者に気づかない場合などには必ず声がけをします。お金もらっている以上は親切ですので、私。

さて、今回の内容は、

・タンナーを15年撮り続けた写真家の個展を見てきた
・「レザー」「革」の表記がJIS規格で厳密になった。それに対するネットの反応紹介

という2点です。結論としては、

「革、に興味ある人はこれだけいた」という話です。

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タンナーを15年撮り続けた写真家 上吉川さんの個展

概要

・畜産農家からタンナーまでを丁寧に取材し、牛革製品が完成するまでの過程を撮影した作品を展示。

・普段は見る機会の少ない皮の加工工程やそれを支える職人たちの真剣な表情などを、ライティングなど細部にまでこだわって撮影した作品により、現場の臨場感を伝える。

・牛を食肉加工した際に副産物として産出される皮を利用して制作された牛革製品を通じて、「いのちの大切さ」について考えるきっかけとなる写真展。

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イベントの合間をぬってこの写真展を見に行きました。

会場は富士フイルムフォトサロン大阪

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写真家の上吉川氏の初個展は東京で2週間、札幌で1週間、最後に大阪で2週間行われました。この個展は富士フィルムが行っている若手写真家応援プロジェクト「写真家たちの新しい物語」の一環で開催されています。

写真集「かわと生きる」発売

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今回の東京開催での個展をきっかけに写真集が発行される、とのことです。5月30日(木)発売ですが、会場では先行販売されていました。タンナーを紹介した写真集も個展も今回が初めてだそうです。


版元からのメッセージ

国内の牛革なめしの現場を捉えた写真集はこれまで類がありません。
工場の床いっぱいに広がる牛の皮、大きなドラム型の機械から立ち上る湯気、そしてきびきびと働く職人たち。
著者は皮革産業のさかんな兵庫県たつの市に生まれ育ち、多くの縁から、現場で働く人々との交流を通して撮影を続けてきました。

皮革産業は、動物の皮を扱うことから、差別と偏見にさらされてきた過去があります。しかしそこで働く人々は、食肉加工の副産物に再びいのちを吹き込む自らの仕事に誇りを持ち、皮革を心から愛しています。作品とインタビューから、真摯な職人魂を感じ取っていただき、皮革への興味を高めていただけたら幸いです。

上吉川さんにインタビュー

知らない世界を見るのは面白いですな。いろいろと新しい視野のきっかけをもらえました。また後日、インタビュー動画でもあげます。

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タンナーの撮影はいつから? はじめたきっかけは?

15年前から地元のたつの市のために何かを、と思って撮り始めました。最初は市の商工会議所からの依頼で撮り始めたんですが、その後御縁もあり撮り続けてきました。

---当初はやはり現場は危険だ、ということで嫌がられたりもしたんですが、その後撮影した写真を見せたら、<俺、かっこよく撮っているな!>ということで徐々に認められた感じに」(上吉川さん)。

目に浮かぶ光景だなぁ。

個展開催期間中、ずっと在廊? 来場者は?

「東京では2週間、毎日個展会場に立っていました。大阪は2日だけ休んでそれ以外はずっと立っています。6月にやる埼玉では1か月の間、半分は立とうかな、と思っています」(上吉川さん)。

在廊予定などは、下のリンク(上吉川さんのFacebookアカウント)を参照してください。


「東京で立っている間に1.1万人が来てくれました。富士フィルムフォトサロンはとても有名な場所ですので来てくれる人も多いんですよ。来場者は多彩です。先日も小学校の先生が来てくれて、写真集を買っていただき、生徒に<牛を食べて、その皮が使われる、という話をしたい>と言っていただきました」(上吉川さん)。

来場者の反応は?

「皮をとるために牛を育てているんですか? という人がかなり多いです。体感8割くらい。来ていただいた方にはカメラの話や写真技術の話、なども解説するんですが、それは体感2割。8割くらいは、皮は食肉の副産物とか、革の工場は機械が自動化しているわけじゃないというような話ばかりしました」(上吉川さん)。

8割!? めちゃくちゃ多いな、それは。解説・PRの費用をフォローしてほしい・・・。

タンナーの写真について、写真家仲間の評価は?

写真を実際に見た写真家仲間からは、魅力的な撮影対象だ! 羨ましい! という声もあがりました。僕は生まれたのはたつの市だったため、生まれた場所にそんな撮影対象があるなんて卑怯だ! という声もあるくらいです。魅力的な撮影対象なんですよ、タンナーさんというのは」(上吉川さん)。

そら、たつの市に引っ越せ! と言いたくなりますなぁ。下のサイトで写真のいくつかを見ることができます。

批判的な声は?

「東京、札幌、大阪と個展をやってきましたが、一切なかったんですよ。正直、富士フィルムの方もそれは気にしていたんですよ。写真内容的にもタンナーのみならず牧場の風景や牛が屠畜場に積み込まれる写真などもあります。なにかしら「残酷だ!」的な声が出るかな、と思ったんですが、一切なかったです。それどころか <いただきます、ごちそうさまというのを確認できる機会がもらえた><とても勉強になった><実際に見たい>などの声ももらいました」(上吉川さん)。

次回は埼玉県川口市で開催


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2024年3月より「革」「レザー」と呼べる製品は動物由来のものに限定する、とJISで規定されました

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JIS規格の「革」「レザー」の定義についての説明会が5月24日(金)に行われ、約160名が参加しました。

JISで「革」や「レザー」の規格が制定される、とは?

「繊研新聞」(5月27日)の記事では・・・

JISは革・レザーを「皮本来の繊維構造をほぼ保ち、腐敗しないようになめした動物の皮」に限定、「人工的な材料の名称として使用してはならない」と定義した。

ここ数年、ヴィーガンレザーなど非動物性の原料を使った素材でレザーの用語が乱用され、消費者の誤解と混乱を招いていたことから、国際的な用語に統一して理解を深め、正しい認識での消費を促す。ISO(国際標準化機構)は19年に「Leather」の用語を規定した。

革・レザーは動物の皮を使い、仕上げ塗装や加工による表面層の厚さが0.15ミリ以下のものとする。「エコレザー」は、皮革の製造過程で排水、廃棄物処理が法令を順守していることが確認され、消費者と環境に有害な化学物質などに配慮した革と規定した。革を繊維状、粉末状にして50%以上配合した加工素材は「皮革繊維再生複合材」とする。基材の表面に合成樹脂面を配して、革の外観に類似させた素材は、「合成皮革」「人工皮革」に分類され、フェイクレザーも不適切な表現となる。

JIS 革・レザーの用語規定見直し 動物由来に限定 | 繊研新聞 (senken.co.jp)

「なんとかレザー、という曖昧な表現しているのはもう駄目よ」「レザーという表記は今後動物由来、かつ、皮本来の線維構造を保ったものに限る」という話です。

「動物由来、かつ、皮本来の繊維構造」とは、動物由来、だけだと、シルクを使ったものや、革を砕いて固めたものも「なんとかレザー」とか使われかねない予防ですね。

法的拘束力は?

罰則があるわけではないです。ただ、「なんとかレザー」と書かれているものは消費者に錯誤を招く、と判断されます。百貨店などでは扱いにくくなるのかもしれません。

企業の対応は?

調べた範囲内ではニトリなどは「なんとかレザー」という表記はやめて、「皮革(牛革)」「PVC」「合成皮革」など表記をここ数年で厳密に変えてきています。気付いたときには驚いたものです。

ダイソーなどはこの1年くらいで「レザー調」という表記を使い始めているな、と思っています。アパレルでは「レザータッチ」という表現を使ったりしています。

ネットの反応は?

Yahoo! ニュース(WWD JAPAN)



コメントをピックアップしてみると、

「レザーと書いてあって本革だと思ったらPVCだった」
「なんとかレザーは結局は人工皮革だったりフェイク」
「植物原料を化学処理してホンモノの「革」に作り変えたなら錬金術やんか」

などなど。

繊研新聞



コメントをピックアップしてみると、

「フェイクレザーという表記すらNG。例外作るのは危険だものな」
「レザーで検索してフェイクレザーがヒットすると腹が立つ」
「リサイクルレザーってなに? ベジタブルタンニンレザーはわかるがヴィーガン? PUレザーってなに?」

このJISでの規格制定は結構前から動いており、関係者の尽力も傍から見ていて「ほんとに大変だな」と思っていたものです。コメントを見ていると思った以上に消費者も錯誤されて迷惑被っていたんだなぁ、と実感しました。

知ってもらう努力を続ける、ということ

さて、今回は写真家の上吉川祐一さんの個展とJISの話を紹介しました。
全く違う話題ではあるのですが、「革という素材を知ってもらう努力を続けるのは大事だな」と思い知らされましたわ。

ムラキの今後予定

6月2日(日) レザーソムリエ 大阪講習会 講師として登壇。



7月19日(金)・20日(土) 「本日は革日和♪」(福岡・博多 博多チクモクビル)。
7月21日(日)は同じビルにてレザーソムリエ講習会が。



下のリンク先サイトにて情報を追記していきます。


カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。

今回は、タンナーが取り組む環境に良い革づくりを皮革産地、兵庫県たつの市を拠点とするタンナーで現地レポート。ドラム、レザーの新しい傾向、世界的な認証について、つくり手の皆さまからお話を聞きつつ、「環境に良い」革づくりの最前線を探ります。ぜひ、ご覧ください。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしていますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。

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毎度です!「暖かくなってきたので、タンナーさんに・・・」ムラキです。

普段は大阪で仕事をしています。革の仕事をしていて関西にいるメリットの一つはタンナーの集積地であるたつの市や姫路市が近い、ということです。そのためフラフラと行くこともあるのですが、今回は電車で2時間ほどかけてたつの市まで移動。現地でタンナーさんをめぐりました。

今回は、タンナーさんが推進している「環境に良い」革づくりに関しての紹介です。

・新しいポリプロピレンのドラムは環境にいい
・土に埋めると半年かからずに分解されるゼオライトレザー
・環境にいい、という定義はそもそもなに?
・LWG=Leather Working Groupという認証
・LWG認証とるのはこんなに大変

という話をしていきます。

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嶋田悟製革所

嶋田悟製革所の嶋田さんとは以前、皮革大学の講師をしていただいていたときに知り合いました。



近年SNSも始められており、ちょこちょこ見ていると「新しい設備入れました」と。


「古い木製タイコを撤去して新しいドラムを導入しました。
新しい物はいま世界的に主流になりつつある、ポリプロピレン(PPH)素材のものを選択しました。革造りに様々なメリットがあります。
気になる方はGoogle等でPPH drum tanneryと画像検索してみてください。
大型の木製ドラムは通常バラバラの部品を輸入して、工場内で組み立てを行いますが、このドラムは完成品をそのまま導入します。
大型設備は道路の通行許可や重機の手配等、かなり手間と費用がかかります」(2024年3月25日投稿より)

!?
そりゃ見たいし触りたいなぁ、ということでアポをとって見に行きました。

2304jlia001.jpgのサムネイル画像

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ポリプロピレンのタイコはどう違う?

タイコ、、革を作る時にぐるぐると混ぜる機械をドラムと呼んでいます。英語でもdrumですね。従来は木製ですが、こちらの品はポリプロピレン製です。ペットボトルなどで「PP」と書かれているものですね。

こちらの品がポリプロピレン製のドラム。写真で見るよりもデカく、実際にコンコンと叩くと重量感があります。


ポリプロピレン製だと軽いのかなと思ったけど、叩いた限り重くて頑丈っぽいですな。

「木製に比べると軽いです。革を何十枚入れると重くなります。その分電気の力で動かすときに消費電力が多くなり電気代が多くかかります。軽いと負荷も減り電気も使う量が減らすことができるわけですね。つまり省エネにつながります。

負荷はポリプロピレンだけで支えているわけではなく、ドラムの外側にある金属部分でも重さを支えて負荷を分散しているわけです」(嶋田さん)


木製のほうが自然的で環境にいい、という印象あるけど、ポリプロピレン製のほうがどういいの???

「洗浄が容易です。ポリプロピレンは薬品がドラム内部に染み込むことが無いため、様々な鞣しや染色に使いやすくなります」(嶋田さん)


使う水量が減る、とかもあるんですか?

「それはポリプロピレン製だから、というよりも内部の構造によります。こちらのドラムでは内部に打棒ではなく、羽がついています。この羽により水流が生み出され、より少ない水で革をなめすことが可能となります」(嶋田さん)


洗濯機みたいですね。

「実際に洗濯機の考え方も応用されているそうですよ」(嶋田さん)

少ない水で鞣し、コストも30%ダウンさせる新しい薬剤

日本皮革技術協会の環境対応革開発実用化事業のめっさ分厚い報告書が最近届きましたが、あそこに書かれていましたよね、新しい薬剤の話?


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「あれは経済産業省の補助を受けて新しい薬剤を複数使い、革の各工程で使うことで環境にいい、という革を作り、その革が実際には通常の革と物理特性や外観の差異があるか、どうか、というのを載せています」(嶋田さん)


それは新しい鞣し方ってことですか?

「この本の中ではいろいろな環境に対する負荷軽減の技法の話等が載っています。新しい鞣し方、というよりも革の工程の中で細々と革に対してメリットをもたらす、ということが可能で、それが結果的に革の価値やコストダウンや環境負荷を低減します、ということです。

革の鞣しでピックル工程が必要だったのですが、このピックル工程が不要になる、という鞣し方を紹介しています。これはクロムだけではなくクロムフリー・ヌメ革製造においても適用できます。

また、従来の硫化物を使った脱毛方法ではなく天然由来の酵素を使った脱毛方法、革の工程の一つである脱灰工程でバイオポリマーを使うことで革のシワを伸ばして高い面積が取れるようになる。結果的に製品を作る際に効率良くなる、というものも複合的に使ってみました。

これらの技法や薬剤は経済産業省の援助で行われているものですので、この報告書でも処方なども載せています。(処方=革のなめしの中で薬剤をどれだけ使うか、革に対するアクションをどれだけ、何分行うか?phの値はこの数値を目指す、などが書かれたもの)

当社に限らず、今回有難いことに多くのタンナーさんにに試験の協力・各社で現場テストをして頂いて様々な結果の収集が実現しました。この充実したレポートが多くの方の目に触れることを期待します」(嶋田さん)


本の中で紹介されている「生分解性に優れた環境に優しいゼオライト鞣し」ってのはどういうもの?

「ゼオライト鞣しは以前から行っているものですね。こちらは牛革1枚を丸々土に埋めたときの分解性をテストしています。実際に見てみましょう」(嶋田さん)

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あぁ、外から入ってくる時に、なんでこの部分だけ囲んで土の色が違うんだろ?でも生えている植物は特別な植物でも花でもないな、と思いながら見ていたんだが・・・

「この下にゼオライト鞣しの革を埋めています。ほら」(嶋田さん)

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???
これ、革? 
段ボールなどを土に埋めている、というわけじゃなくて?

「実際の革ですよ。この部分は地上にたくさん露出していてその他の部分ほど分解が進んでいません。分解が進んでいないからこそ、ムラキさんがいう段ボール状に残っているんですよ。インスタやFBでも書いていますが、23年5月、9月、10月の写真です。その革ですよ。ちょうど埋めてから11ヶ月目、というのが現在の状況ですね。季節や気温によって分解のスピードが大きく異なるということが判りました、また革の部位によっても分解の度合いが違いました。このあたりは実際に革を埋めて細かに観察して初めてわかりました」(嶋田さん)


「ゼオライト鞣し革の生分解性テスト
牛の半裁1枚を丸々使ってます。
大きいので工場の空いてる場所に埋めて経過観察

土の状態が良くないので想定より分解具合がゆっくりですが、かなり土に還ってきています。

1枚の写真は5月、2枚は9月、3枚目10月

同じ鞣しでも、その後のレシピによって分解具合が大きく変わることも判ってきました。

今後更に研究を続けます」(2023年10月11日の投稿より)


「土の色が違うのは革を埋めて、外から違う土を持ってきて上からかぶせたからです。植物が多数生えているのは別に何も植えていません。風に乗って勝手に生えてきているだけですよ」(嶋田さん)


土を触ってみたけど、虫も多数いるし、酸素量も多い良質な土ですねぇ。ここ以外の駐車場部分の栄養素が枯れた土とは全然違うなぁ。革を分解したから土に何かしら有害な何かが残っている、という感じもないですね。ダンゴムシやら他の虫もちらほらいますなぁ。

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「この革は、ムラキさんも見に行ったニューレザーコンテストで受賞もしていますし、今年のレザーアワードではこれらの革を使った作品も出されるそうですよ」(嶋田さん)

環境にいい、という定義はそもそもなに?タンニン鞣しは環境に良くてクロム鞣しは環境に悪いのか?

環境にいい、という定義はとても難しいです。イメージ的に「タンニン鞣しが環境にいい・クロム鞣しが環境に悪い」というものがありますが、何かしらの部分だけを取り上げたら、確実に「この部分は環境にいい」という部分を取り上げることはできます。ただ、そのやり方なり製品の別の部分で「環境に良くない」ということもありえます。

ライフサイクル分析(LCA)、というISO規格では、再生不能資源の枯渇・富栄養化・酸性化・温室効果・水使用量などの複数の観点から環境への影響について検討されています。これに照らし合わせると、鞣し方によって環境負荷が高い・低い、ではなく、製造工程や環境管理によって左右される、ということがわかっています。


鞣し方法によって環境への影響は異なるのでしょうか?「鞣しにはクロムを使うと聞きましたが、安全なのでしょうか?」

このLCAは分析、ですが、世界的な革の環境認証が今回紹介する「Leather Working Group=LWG」というものです。

Leather Working Groupという世界的な認証

さて、世界的な革の展示会に行くと、この「LWG」という文字が展示ブースでよく見かけられるようになってきています。この認証は2005年にナイキが音頭を取って始まった認証制度です。認証機関が認定、というものではありますが、レザーに関するブランドメーカー(ナイキや)、薬剤会社、タンナーなどが加入しています。

認証には250もの項目をクリアする必要があります。項目は、環境に対する項目として「省エネ」「省資源」「節水」「環境負荷への配慮」。安全性に対する項目として「工場内の安全衛生」。コンプラに対する項目として「法令遵守」。製品に対する項目として「規制物質リスト=消費者へのレザー製品の安全性の担保」「トレーサビリティ=生産履歴管理」があげられます。


2018年にLWGを取った繁栄皮革工業所

日本でいち早くこの認証を取ったのが繁栄皮革工業所さんです。



LWGという言葉を私が意識しはじめたのは、以前山陽さんへ話を伺いに行ったときです。


今回、話を伺ったのは繁栄皮革工業所の中嶋副社長さん。以前には「あぁ、大変そうな認証だなぁ」程度の認識でしたが、背筋が凍るほどの大変さでした。

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今回はよろしくお願いします。他のサイトなどでLWGを取ろうと思った経緯などが紹介されているので、違う切り口からお伺いしますが・・・

LWGとるのって大変なんですか?

「工場の中とかは見せられないものが多いのですが・・・この書類の束。LWG認証をとるためにはこの書類を書かなきゃいけません」(中嶋副社長)


これ、すぐかけるものなんですか?

「もちろん時間かかりますが、LWG認証って2年時間がかかるんですよ。この2年という時間は、できあがった革が2年経過してどういう風に変化していくか、というデータが必要となるからです。
さらに認証をとるためには、世界で14人いる認証員が実際に会社に来て1週間確認していきます。さらに、認証されても2年後にまた認証確認に来ます。このときに項目を満たさないと認証のランクが下げられることもあります」(中嶋副社長)


は!? プレッシャーすごいですやん

「もちろんです。最初に認証を受けたときは1週間で3kg痩せましたよ。当社は2018年に標準資格、21年にシルバー、23年にゴールドランクという最高峰を取得しました」(中嶋副社長)


250項目は上に書いたように、「環境負荷への配慮」「工場内の安全衛生」「法令遵守」「規制物質リスト=消費者へのレザー製品の安全性の担保」「トレーサビリティ=生産履歴管理」に分かれていますが、環境負荷への配慮はわかるんですよ。
工場の安全衛生や法令遵守って何を見るんですか??

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「ムラキさん、例えばあそこに焼却炉ありますよね?あれはゴミを燃やすものですが、あの焼却炉も環境負荷を考えたものであり、温度が表示されているようになっています。
一斗缶などでゴミを燃やしている、となると、LWGは習得できなくなります。工場内も見ていただけたらわかるように、人が歩くゾーンとフォークリフトが走るゾーンを分けるラインが引かれています。こういう細々としたことが250項目あるわけです」(中嶋副社長)


生々しい話を聞きますが、LWG取ったからって儲かる、というわけじゃないじゃないですか?
繁栄さん以外のタンナーが取ったら自社の旨味が減る、とかないんですか?

「現在LWG認証を受けたタンナーは、世界で2012年は129だったのが2023年は1180になっています。これは世界的な潮流です。例えばカバンなり靴のメーカーさんが世界の市場に出す商品を作る際には、このLWG認証を受けたタンナーの革を使わなきゃ当百貨店では扱わない、というのが増えてきています。さらにLWGが知られたら日本の百貨店でもそのような流れになるかと思います。
当社だけがこの認証受けていても意味がないんです。日本の他のタンナーさんも取ってもらいたい。
ムラキさんが以前行かれた山陽さんは昨年LWG認証を受けられましたが、当社もアドバイスなどは行いましたし、今後も他社さんでこのLWG認証受けたい、という人がいたらいくらでもアドバイスは行います」(中嶋副社長)



アドバイス受けたからって、これ取れるかな。気力・時間・体力、など社長に必要かと思いますが、他に何がいります?

「初期投資などのお金ももちろんかかります。で、それ以上に必要なのがケミカル=化学知識です。認証員は革を作る工程の質問を行います。その際に、『現場の~~さんが答えます』じゃ駄目なんです。社長がそれを答えないといけないわけです。だから、必要なのは社長に革を鞣すケミカルの知識が必要となります」(中嶋副社長)


LWG認証受けたからって儲かるもの?手応え感じます?

「現在、1か月に3~4件はブランドや学校が見学に来ています。特に若い学生さんは学校教育でSDGS教育を習った子が大学生になったり、もう就業しはじめています。海外に出す製品メーカーさんが、海外から言われて慌ててLWG認証受けたタンナーの革がほしい、と問い合わせが来て見に来られたりもしています。やはり時代は変わってきていますね」(中嶋副社長)

嶋田悟製革所さん、繁栄皮革工業所さん、を訪れて

2社とも、「情報は出します」「ぜひほかのタンナーもやってほしい」という思いは共通だと思いました。

両社の取り組み方は異なりますが、環境にいい、という面で非常に理知的な取り組み方だな、と勉強させてもらいました。革業界も多種多様な「環境にいい」取り組み方を行っています。これは自然環境に対する負荷に限らず、カバンや靴を作る労働環境や法令遵守(無理な残業していないか)なども言われるようになってきています。世界は変わってきており、時代の変化に立ち会っているな、と実感しますな。

この後さらにもう1社訪れて面白い話をもらいましたが、ここらはまた別の場所で紹介します。

ムラキ今後予定

5月24~25日 東京・浅草橋「本日は革日和♪」


7月19~20日 福岡・博多「本日は革日和♪」開催予定です

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。

今回は、皮革産地 兵庫県姫路市御着の恒例イベント「皮革フェア」と人気イベント「本日は革日和♪」(愛知県名古屋市)レポートです。

御着「皮革フェア」は4か所同時開催ですが、そのなかの一部を現地レポート。さらには、村木さんが主宰する人気イベント「本日は革日和♪」の名古屋開催分をセルフレポート。この春のジャパンレザーの動向を産地とユーザー参加型イベントから探ります。ぜひ、ご覧ください。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしていますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。

今後のスケジュールなどは下のリンク先をチェックしてください。


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毎度です!「4日間喋り続けて喉が枯れた」ムラキです。

最高5日間セミナーとかやっていたんですが、コロナでイベント体力が鈍っているのと、革日和の最中に話していた「カッターの話」5回くらいで喉と体力がつきましたね。ドラッグストアで事情を話すと、800円の噴霧タイプの薬を勧められました。トローチよりも強力ですな。

さて、今月は・・・

・姫路市御着で行われた「皮革フェア」視察
・愛知県名古屋市で行われた「本日は革日和♪」報告

同時に・・・

・革日和に出展したからって儲かりませんよ
・じゃぁなんのためにイベントやるんだよ!
・コロナあけても有料、かつ、事前予約制にしている理由

などを解説します。

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兵庫県姫路市、たつの市にはタンナーが集まっている

私がやっている「人に話したくなる革の話」というセミナーで、姫路&たつののタンナーについて説明しています。

日本全国でタンナーは、、、栃木県や山形県、長野県にそれぞれ1社~数社。東京・埼玉・和歌山にそれぞれ10社弱。で、兵庫県姫路市とたつの市で登録されている数で言うならば100社以上あります。

特に、姫路市とたつの市は全体で、というよりも地域に分かれています。

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(「ひょうご皮革物語」より)

今回訪れる御着地域は、「戦前よりタンニンなめしの底革の一大産地でありまた草履用青革の生産も盛んな地域。
戦後はクロムなめしに転換し靴用革底、草履用青革、服装ベルト用革、ぬめ革の他にクロムなめしの靴用甲革、靴用革、袋物用革、衣料革等の生産が盛んに行われています」。
(テキスト:「ひょうご皮革物語」より)

昔より底革が得意であり、私が秋に行っているタンナー見学バスツアーで訪れる「昭南皮革」さんも、この地域で底革やベンズなどを昔ながらのピット槽で作っています。


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この地域のお祭りとして開催されているのが、今回行く「皮革フェア」です。

兵庫県姫路市御着の「皮革フェア」を視察


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毎年3月に開催されるこのイベントでは、当日は各センターで屋台やイベントが開催されています。開催時間はなんと日曜の10時~14時のみ。その間に各センターを巡るループバスも巡航されています。

各センターではタンナーさんによるアウトレットや食べ物の屋台などがオープンしています。

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もし行くことがあれば西御着の総合センターの皮革資料室は見ておいて損はない

日本で革の資料を見ようと思うと・・・

・東京・教育資料室 きねがわ...「皮革と油脂」を中心とする木下川の産業資料と木下川小学校の学習成果を収集・保存・整理・展示



・東京・皮革産業史料館...

皮革産業資料館は、台東区の地場産業である皮革産業に関する製品や書籍、文献を収蔵・展示する資料館として昭和56(1981)年に開館しました。国内では唯一の皮革専門の資料館として貴重な存在です。展示品の中には元大関小錦の靴や長島茂雄氏のスパイクシューズなどもあります。




・東京・エース・世界のカバン博物館...革に限らずカバン、に関する資料館



これに加えて、今回訪れた兵庫県姫路市西御着の総合センターの皮革資料室があります。

・西御着の総合センターの皮革資料室

日本文化をになってきた皮革産業が、どのような工程でなされ、人々がどのように働いてきたのか、その歴史を示す資料を集め、皮革産業の歴史と文化を後世に遺すため、平成17(2005)年に西御着総合センター内に開室しました。

実際に昔使用されていた道具類や膠(にかわ)に関する資料、青革・タンニン革・クロム革・姫路革など、当時の「皮革のまち」を感じていただけるよう展示をしています。

皮革資料室の常設は、全国的にも珍しく、江戸時代から現代までの歴史的に貴重な資料も展示しています。



どういう資料室?

上記にあげている東京きねがわの資料室と同じ様にタンナー寄りの説明となっています。東京と違いゼラチンや膠などが重点的になっていますね。革に興味ある方は一度見ておいて損はないかと思います。

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「本日は革日和♪」in 愛知県名古屋 をやってきた


3月22日(金)・23日(土)、「本日は革日和♪」を愛知県名古屋市で行いました。

4日連続日程でイベント前日と翌日、1人でセミナーしていました

イベント前日の3月21日(木)には、愛産商会さんで「しくじりハンドメイド作家さん」「お金の話をしよう! ハンドメイドの値段の付け方セミナー」を。翌日3月24日(日)には、レザークラフトぱれっとさんで「漉き機を活かすセミナーハイパー~実機を前にして」を行いました。

「本日は革日和♪」展示会・ワークショップでは11社が参加し開催


佐々木工房 ハンドプレス機展示体験
サンプル師が教えるバッグ教室
ミヤツグ
抜き型工房川崎
刻印焼き印のStudio Yamato
nijigamitool
レザークラフトフェニックス
ZIT TOOLS
Japan Leather Craft Association - International Leather Craft Exhibition
Lized
グッドレザー

11社は結構大規模ですな。

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イベントは事前予約制・有料1,500円

イベントでは事前予約、かつ、1,500円の参加料をいただいています。

1枠3時間。1日2回。2日で合計4枠開催しています。以前は2時間×3回×2日、などだったのですが、やはり3時間ないとゆるりと見られませんね。

コロナもあけたのに予約制なの?

コロナが完全に終わったとは思っておらず、さらには麻疹の流行も言われています。いざというときの連絡先をきちんと確保しておきたい、というのが第1の理由。

第2の理由は、出展者から「有料制を維持してほしい」という声が多数あがったからです。
「無料だから行きます!」「予約なんてめんどくさい!」というお客よりも、「予約というめんどくさい手間を行い、きちんと情報を得るためにお金を払う」というお客のほうが出展者にしてもやり甲斐を感じるからですね。

5、6年前に愛知県一宮市で革日和を行った際は無料・予約制なし、にしていました。ですが、結果的に「全来場者の4割が開始2時間に殺到する」「翌日の午後からはすっからかん」という恐ろしい結果になりました。

ムラキさん、このイベントに出展したら儲かるの?

儲かりませんよ、さっぱり。特に革屋さんは儲かりませんね。

「じゃぁ出す意味ないやんか!」

アウトレット品なりセール品を販売すれば、そりゃ「やすい!」と儲かるかもしれません。ですが、それだけです。わざわざ出張費用かけて、ハギレなりアウトレット品を「無料だから来た100人」ではなく、「お金を払ってでも見に来た15人~20人 in 各枠」に叩き売ったとしても大した儲けになりませんがな~。

革は触らないとわからない情報が多すぎる。だからこそ、会場で革を触ってもらって「この革が気に入った!」という革を見つけてもらい、後日ネットから1枚でも買えるようにアピールする。そして革を売る、というのは会社の人を信用してもらう行為ですわ。「やすい革を売って儲ける」じゃなくて、「高いものを買うのだから、革屋のその社員個人が信用できるかどうか」を知ってもらうアピールをする。信用を売るのが目的ですわ。

だから、「アウトレット品は出展物の2割」までに限定。さらに、「初回の3時間枠でアウトレット品がなくなったから、後の時間のものも出して叩き売れ!」というのは絶対に許さないです。各枠のアウトレット品はきちんと保持しておいてください。「最終日の最終時間に行ったがアウトレット品はもうなかった」ってのは許さないです。それをすると、「最終日、最後の時間に行くと損だよ」と参加者から不信を買うからですわ。

革でも工具でも金具でも同じ。このイベントで売るのはその場こっきりの商品じゃなくて、"信頼"を売るわけです。

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3時間もあって退屈しないの?

予約時にアンケートや「聞きたいこと」などをまとめています。個別に紹介や説明もします。会期中はずっと私が受付場所で会場に気配飛ばしています。退屈そうにしていたら声かけしたり、30分ほどで話す「技法の話~世にも奇妙なカッターのはなし」などを行います。

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・カッターの致命的な欠点とそれに対する各社の回答
・ものが切れる原理と考え方
・最も切れるカッターナイフとその思想
・カッターナイフを最も多用する業種
・腱鞘炎にならないためのカッターナイフの使い方

これらを実際のカッターナイフで実演・体験しつつ会得してもらいます。上の写真にあるカッターナイフなんて普通は革業界では使いませんが、私の普段の特定の仕事では大活躍しています。

今回でしたらカッター以外にも、

・狩猟をしているが取った鹿の革などを鞣したい
>この国の害獣駆除助成の話や鞣し技術の載っている本の紹介
・芯材の使い方
・革会社の違い

などを個別に答えました。お金払って来てもらった以上は、きちんと得るものを得て帰ってほしいですから。

それらの講習はYouTubeでやってくれないんですか?有料でもオンラインでやってほしいんだが

YouTubeに載せない理由は2つ。

1つは、実際に触ってみないと凄さがわからないから。実際に目の前で実演し、相手に体験してもらう際に、「ここに力入れたら駄目」「あなたの手先は猫の手で、カッターが猫の爪の先端でひっかくかの如く切って」など、相手にあわせたアドバイスを与えないと技術は身につかないからです。

もう1つは、「ムラキさんはお金払ってくれる人に優しい」からです。これは、今回4日間毎日言っていたことですが、対価をもらわない限り優しくありません、私は。そして、お金なり対価を払わない人間は、それで会得したものを大事にしないですね。

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今後の革日和やムラキ予定

・5月24日(金)・25日(土) 東京 浅草橋 文具共和会館

5月23日(木)・24日(金)は「東京レザーフェア」も開催しています。



さらには、5月23日(金)~25日(日)は、台東区南部エリア一帯で行われるビッグイベント「モノマチ」も開催されます。

カテゴリー: 村木るいさんの「人に話したくなる革の話」

月1回のスペシャルコンテンツ、村木るいさんの「人に話したくなる革の話」。
2024年第二弾は、大阪府皮革業界総合研修で、今年度も「革とものづくり」という対談を行った、という話。

恒例企画、大阪府皮革業界総合研修に村木さん自身も「革とものづくり」というテーマで登壇。村木さんのセミナーの内容についてポイント解説と、そのほかの回を受講者としてレポート。独自の視点でまとめています。ぜひ、ご覧ください。

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通常、皮革産業のさまざまなトピック、イベントのレポートなどをお届けしていますが、人気イベント「本日は革日和♪」を主宰する村木るいさんが月1回スペシャルコンテンツをお届けしています。イベント、セミナーなど精力的に活動する村木さん。皮革に関する確かな見識を有し、幅広い情報発信に支持が寄せられています。

当ブログでは、レザーに関心をもちはじめた若い世代のかたや女性ユーザーにお伝えすべく、わかりやすい解説とともに西日本の皮革産業の現状をご紹介しています。独自の視点・レポートが大好評です。

今後のスケジュールなどは下のリンク先をチェックしてください。


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毎度です!「段取り8割!対談もイベントも事前準備が大事!」ムラキです。

今年度も大阪府皮革業界総合研修を見てきました。そして、登壇してきました。登壇、というか、狂言回し役ですね。

今回の話は、

・大阪府皮革業界総合研修、今年も面白かった
・こういう話をしてきた
 「革業界の専門職種 メーカーという役割」
 「人の育て方」
・対談形式、って見た目以上に準備が大変

というような話です。

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大阪府皮革業界総合研修とは

この研修は、皮革関連産業の振興のため、関連企業の経営者並びに従業員の方々に、最新の業界の動向やトレンド、あるいは実践的な経営の知識等を身につけていただけるよう、各界の著名な講師を招いて時流にあったテーマで実施されています。

大阪府と近畿経済局が毎年開催してくれる研修事業です。私が見に行くようになって10年以上になるのか・・・ほんとにありがたいな。

セミナーの内容紹介は下記でまとめています。


今回は2つ聞きに行ってきた&喋ってきた

 12月13日(水) 皮革・革製品のサステナビリティ 

 1月16日(火) 天然皮革~知っておきたい基礎知識~ 

 1月23日(火) これだけは知っておきたい革の特性 クレーム事例から学ぶ 

 2月6日(火) [講義/工場見学] 皮革のできるまで 

 2月9日(金) 「かわ」とサステナビリティ

 2月13日(火) 革とものづくり~令和時代の外注との付き合い方 

このうち、「皮革・革製品のサステナビリティ」と「『かわ』とサステナビリティ」の2つを聞きに行きました。ほかの回も聞きに行きたかったのですが、満席で聞けませんでした。

上記セミナーの最後にある「革とものづくり~令和時代の外注との付き合い方」を元メーカー勤務者・現フェニックス部長の横井さんと一緒に喋ってきました。

「かわ」とサステナビリティ、というセミナー、すごかった


2月9日に行われた『「かわ」とサステナビリティ』の登壇者は、国内の靴ジャーナリストの第一人者、大谷知子さんでした。

こちらの方は靴ジャーナリスト、というだけあって、例年、海外の靴の展示会「ミカム」のレポートや靴業界の動向分析などをなさっていますが、今年度は「サステナビリティ」という内容で話すとのこと。従来とは違った切り口ですので驚きました。

「今までとは違う切り口でを話す」ということは、違う勉強をきちんとしなきゃいけない、ということです。勉強をしてきちんとアウトプットしている、ってのは敬意を払いますわ。

内容も

・かわはどこからやってくるのか
・屠畜とは
・皮から革を作る歴史はいつから始まったか
・食肉に伴い生まれる「革」以外の主要製品
 ゼラチン、写真フィルム

などの話から

・タンナーが取り組む環境負荷の低減とサーキュラーエコノミー
・サステナビリティに対する革の意味

などと話も深くなっていき、聞いていて「最初は広く浅く」話が展開し、その後に「深く狭く」となっており、興味を持ちやすい構成になっていました。

セミナー『「かわ」とサステナビリティ』は、JLIA「TLA」と連動



私がもうひとつ受講した「皮革・革製品のサステナビリティ」は、TLA座長である川北芳弘さんによるセミナーでした。日本皮革産業連合会にせよ、日本タンナーズ協会にせよ、私にせよ、今、この「革は食肉産業の副産物ですよ」というような主張や講演などを増やしています。

川北さんのセミナーもTLAの座長だけあって面白いのですが、大谷さんの講演は「靴ジャーナリスト」という切り口から違う側面で「革のサステナビリティ」が語られていました。このようにいろいろな切り口や側面があることで、多種多様な入り口から革への知識を深めてもらえるのは面白いな、と思います。

圧倒的な専門家が一人だけ喋る、のではなく、多様な専門家が多様な切り口から革という素材を解説してもらう、という「情報提供が多様な切り口である」というのは現在の革業界の強みではあると思います。

革とものづくり~令和時代の外注との付き合い方 という話


それに対して私が段取り、組んだセミナー「革とものづくり~令和時代の外注との付き合い方」は、さっぱりサステナビリティなどと関係はありません。今回のセミナーで私がその話をしても、違う登壇者が語るならばそちらに任せます。私が大阪府から望まれているのは「他の方と違うことを毎年提供してください」というものですので、今回も違う側面から話をします。

なんと高校生が聞きに来てくれた

いろいろあって、ちょうどセミナーの前に「将来つくり手として生きたい!」という高校生に出会いまして。ちょうどいいからこのセミナー聞きにきな、と言ったところ本当に来てくれました。最近の高校生は行動力あるなぁ、と感心しました。

セミナー内容紹介

革製品づくりにおいて外注、というのは色々な面で存在します。
外注の職人や、内職さん、専門職の方々・・・昨今ではランサーズやココナラ、などのweb外注も存在しています。

・これらをお願いする上での注意点やトラブル事例。
・実際に外注ではなく内製した場合の困った点。
・さらにはSNSを外注は可能かどうか。注意点は?
・外注を依頼する人と、外注をしたい人との意識の落差とはどういうものがあるか

などを横井さんがレクチャーしてくれました。

セミナー内容抜粋

●革の外注の種類
●革の外注先はなぜ見つからないか?
●外注に頼んだら安くなるのか?
●外注はどう見つけるか?
●外注への頼み方
●外注の育て方
●SNSを自社で行う、デザイナーを自社で抱える
●仕事を頼むときの心構え
●こういうクライアントは嫌だ!
●外注の問題点
●今の時代は職人なり外注との付き合い方はどういうものか?外注との付き合い方
●外注に依頼するメリット・デメリットは?
●外注を探す、ではなく、育てることは可能か?育て方

セミナーちょっとだけ紹介:メーカーという仕事は各種加工業者を走り回るのが仕事

会場ではレジュメと一緒に、このセミナー用にまとめた限定ブログも作成しています。
そこに載せているのは当ブログへのリンクです。過去に載せたメーカーの話や各種加工会社の紹介をリンクで載せています。

現状、日本の靴なりカバンなりのメーカー仕事や加工業者の仕事を知りたいならば、動画やネットの文章、過去の文献あわせて、当ブログで過去に私が書いたブログが一番くわしいです。下記がセミナー受講生に紹介した内容です。

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メーカーは、クライアントから依頼を受けて「金具」や「革材料」などを仕入れるリスクを負って、各種加工を行って「請負職人」に縫製を依頼する。

セミナーちょっとだけ紹介:社内での人の育て方・外注の育て方

内製なり外注なりでの人の育て方は難しいです。外注は、ぶっちゃけ相性が悪い・こちらの要求するレベルに達していないならば切ればいいだけです。ある意味とても楽です。ですが、縫製にせよデザインにせよ内製する場合は、雇うコスト・首を切るコストがこの日本でもとんでもなく高いため、教育がとてもむずかしい。この前提に基づいて下記の話をしました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

もしあなたが内製でも外注でも、人に物を頼みたいならば・・・

内製するならば「育てる」覚悟がいる

・山本五十六の言葉

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、誉めてやらねば、人は動かじ」

「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」

「やっている、姿を感謝で、見守って、信頼せねば、人は実らず」

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外注するならば

・定期的にきちんと仕事を発注する

・まめなコミュニケーション

・逃げられないように

終了後高校生に感想を聞くと・・・

「ネットやYouTube動画を見ても全く載っていない情報ばかりでした!」と答えてくれました。

ビル・ゲイツでも手に入れられないのが「時間」です。私から見たら、「高校生かぁ・・・あと4、5回くらいはデカい失敗してもリカバリーできるから羨ましいな」と思ってしまいます。彼には失敗を恐れず、いろいろと経験してもらいたいものです。

対談セミナーでも段取り8割


このようなセミナーですが、事前に2時間ほど登壇者と打ち合わせをします。そのうえで、どのエピソードやどの話が今回のセミナーにふさわしいかを取捨選択します。今回は会話内容を単元ごとにまとめて、付箋紙に書いてどの順番で話すか、どのエピソードがいるかいらないか、などを判断します。内容をまとめて、付箋紙に各種話題をまとめて、それを順番に切り貼りしていきます。結構手間かかるんですよ。

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これらをもとに脚本を作ります。
脚本は、「この順番で話を進めます」「このときにこのエピソード話してほしい」「そのために話をふっかけます」というようなもの。

この脚本で全体の8割を規定します。残り2割は当日の会場に来る人の反応や来場者の事前リストをもとに話をしていきます。セミナーしているときは会場内の受講者が興味もっているか、暇そうか、などを逐一確認しつつ、適宜方向を定めていきます。結論などは変わりませんが、聞いた受講者が何を聞きたいのか、などを加減していきます。

アンケートを見せてもらいましたが、今回も受講者さんに喜んでもらえた、とは思います。

ムラキの今後予定


3月22日(金)・23日(土) 「本日は革日和♪ in 愛知県名古屋」


5月24日(金)・25日(土) 「本日は革日和♪ in 東京都浅草」
7月19日(金)・20日(土) 「本日は革日和♪ in 福岡県博多」


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プロフィール

鈴木清之

鈴木清之(SUZUKI, Kiyoyuki)
オンラインライター

東京・下町エリアに生まれ、靴・バッグのファクトリーに囲まれて育つ。文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務開始。日本国内のファクトリーブランドを中心にコミュニケーションを担当。現在、雑誌『装苑』のファッションポータルサイトにおいて、ファッション・インテリア・雑貨などライフスタイル全般をテーマとしたブログを毎日更新中。このほか、発起人となり立ち上げた「デコクロ(デコレーション ユニクロ)部」は、SNSのコミュニティが1,000名を突破。また、書籍『東京おつかいもの手帖』、『フィガロジャポン』“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”・”パーソナルギフトプランナー”としても活動中。

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